〜明久side〜
「「・・・・・・・・・・」」
「お、おい、大丈夫か明久、坂本?」
ど、どうも、吉井明久です。そして隣でグデー、と伸びているのが坂本雄二です。で、僕達に声をかけてきたのが根本恭二だ。
何故恭二が心配しているのかと言うと。
「お主ら災難?じゃったの」
「・・・・・・同情する」
「どっちかと言うとアイツらの方が災難じゃないか?」
「あー。それは自業自得だろ」
「確かにな。だって───」
「「「この二人に逆ナンしたんだから」」」
はい、須川君、横溝君、恭二の言った通り、僕と雄二は海で逆ナンされました。そしてそれを見逃す僕の妹+幼馴染兼恋人と雄二の彼女である霧島さんたちではなく。
「遠目から見てたが寒気が走ったぞマジで」
「ああ、それは俺も感じたぜ」
「というか、彼女たちの背後に鬼が見えたような気がするんだが・・・・・・」
「・・・・・・阿修羅だった」
「ふむ。普段優しい者ほど、怒ると怖いと言うからの」
何故逆ナンされて疲れているのかと言うと、僕は恵衣菜たちを、雄二は霧島さんを宥めるのにかなり苦労したからだ。さらに付け加えると、恵衣菜たちをナンパしてきた馬鹿な人たちへの排除にも疲れた。いや、普段は疲れないんだけど、今日は何故かとてつもなく疲れた。
そう思い出しつつ、僕と雄二は身体を起こした。
「お、起きたか」
「お主ら大丈夫か?」
「目が死んでないか?」
起こすとかなり失礼なこと言われた。僕達の目が死んでるわけないじゃん!ただ窶れてるだけだし!
「いや、それはそれで心配なんだが」
何故地の文がわかったのだろう?
恭二の言葉に驚きつつ、僕と雄二は身体をストレッチして解す。
「そう言えばみんなは?」
ここがウチの別荘だと分かり、僕は秀吉たちに恵衣菜達のことを訪ねる。そこに。
「あ、お兄ちゃんと坂本君起きたんだ」
「明久くん、なにかうわ言言っていたけど大丈夫?」
恵衣菜たちがやって来た。
それと同時に。
「ブハッ!!」
「あ、明久!?」
「何故いきなり鼻血が吹き出るのじゃ!?」
僕は鼻血を盛大に噴き出した。
何故鼻血が噴きでたかというと。
「どうかしたんですか───って!なんで明久は鼻血を流して倒れているんですか!?」
「え?!ちょっ!?尋常じゃない量よ!?」
「ゆ、輸血しないと!」
「・・・・・・輸血パック」
「あ、ありがとう!」
「いやいや!なんで輸血パックなんかもってるんや!?」
「・・・・・・万が一のため」
「説明になってないわよ!?」
「一体何を見たらこうなるの!?」
「え、えーと、その・・・・・・」
「お兄ちゃん、私の浴衣を見て、その・・・・・・」
『『『『『はい?』』』』』
「もしかして・・・・・・」
「まさか、また・・・・・・」
「つまり・・・・・・」
『『『『『結局いつものシスコンかよ!(じゃねぇか!)(じゃない!)(なの!)(ですか!)』』』』』
という訳である。
で、僕はと言うと。
「我が生涯に、一遍の悔い、なし・・・・・・」
と、鼻血を流して言っていた。
閑話休題
「それで、なんでみんな浴衣着てるの?」
浴衣を着ている女子陣に聞くと。
「今日この近くの場所で夏祭りがあるんですよ」
葵姉さんが薄紫の浴衣を着てそう言った。
そう言えば昼間行った海の案内板にも夏祭りの告知が貼ってあった気がする。
「もしかして車で行くの?」
「はい。着替えとか持って行きますので」
「着替え?」
「ええ。着替え、です」
何故だろう、葵姉さんが着替え言った途端、僕の背筋に寒気が走ったんだけど・・・・・・。着替えって、普通に服を着替えるの着替えで合ってるよね?
そんな不安が過ぎるが、僕たちは外に停めてある車に乗り込み、夏祭りの会場に向かった。
夏祭り会場
姉さんと翠姉さんの運転する車に乗って十数分後、僕たちは夏祭りの会場に来ていた。
「うわぁ〜!お姉ちゃん!お姉ちゃん!凄いね!これが夏祭りなんだ!」
「ええ、凄いわね」
特に、帰国子女である絵里と、亜里沙ちゃんのはしゃぎ様が凄かった。亜里沙ちゃん、目をキラキラさせていたし。
「人が結構沢山いるね」
「うん」
夏祭り会場はそれなりに広く、海岸付近のためか結構人が沢山いた。地元の人や旅行で来た人と多様だ。
現に。
「さぁ!今日は夏祭りデース!沢山楽しむわよダイヤ!果南!」
「ま、鞠莉さん!引っ張らないでください!───って!果南さんも鞠莉さん止めてください!」
「えぇー。さすがにそれは無理かなぁ〜」
「果南さぁぁぁぁん!!?」
なんか凄い小学生ぐらいの女の子三人がいた。
「な、なんか、すごいね。今の子達」
「あはは。すごいと言うより、あの黒髪の女の子大丈夫かな・・・・・・」
「ま、まあ、大丈夫じゃないかな・・・・・・?」
ちょっと?───ま、まあ、かなりテンションの高い金髪の女の子に引っ張られて行く黒髪の女の子と、金髪の女の子同様にテンションの高い青い髪の女の子たちの後ろ姿を見ながら僕と恵衣菜、零華は苦笑した。他にも。
「千歌ちゃん、向こうにみかんアイスがあったよ!」
「ほんと曜ちゃん?!」
「うん!早く行こう!」
「うん!」
と、仲のいい子達の姿や。
「未来ずらー!」
なんか屋台を見て感動している女の子。
「ギランっ!堕天使ヨハネ、降臨!」
堕天使と呼称している黒いローブを羽織った女の子、などかなり個性的な人たちがあちこちにいた。
「な、なかなか個性的な人たちが多いね」
苦笑い気味にそう言うと。
「それは私達もだと思いますけど?」
深い碧の浴衣を着た海未が呆れた眼差しで僕を見てきた。はて、なんでだろう?
それに続いて、白とグレーの浴衣を着たことりが。
「ま、まあ、確かに・・・・・・私たちも個性的な人多いよね」
「そう?」
「うん」
「確かにことりの言う通りね」
ことりの言葉に同意するように水色の浴衣を着た絵里がうなずく。
「そうなの絵里?」
「ええ。明久はシスコンで、零華はブラコン。希はスピリチュアル。木下君は女の子?みたいだし、土屋君はカメラの腕がいいし、と数えるだけでも両手が足りないわね」
「ははは・・・・・・」
絵里の言葉に僕はあからさまに視線を逸らす。図星だからだ。まあ、確かに僕らの友達はかなり個性的な人たちが多いよね。
僕がそう思ってると。
「・・・・・・雄二、焼きそばを買ってきた」
「お、サンキュー翔子」
「・・・・・・うん、はい」
「ああ」
霧島さんと雄二がイチャついている姿が観えた。
「(仲良く食べさせあってるし、ホント仲いいよねあの二人。まあ、霧島さんの雄二への愛はかなり重いけど。あ、恵衣菜たちもかそれは)」
心の声に出してそう想いながら零華たちと屋台の中を進んでいく。
その間に、たこ焼きやかき氷、ケバブ、焼きそばや、夏祭りの醍醐味である射的、金魚すくい等など色んなことをした。途中迷子になっていた女の子を家族の元、というよりお姉ちゃんの元に送り届けたりとして時間が過ぎていった。
「へぇー、今日ミス浴衣コンテストがあるんだ」
途中あった看板の文を読んだ僕は少しだけ驚いていた。あまり浴衣コンテストというのは聞いたことないからだ。
「お、ホントだな」
「ほぉー。商品もあるんだな」
「・・・・・・海の幸セット、魅力的」
「ペアの温泉旅行チケットもあるのか、すごいな」
雄二たちも看板を見て、景品の一覧を見て感嘆の声を出した。
「どうせなら零華たちも出てみたら?」
「私たちも?」
「うん。あ、別に無理にとは言わないけど」
僕がみんなにそうフォローすると。
「いいですね、参加しましょうか」
「ええ」
姉さんと葵姉さんを筆頭に、みんな参加する表明を出した。
「え?参加するの?姉さん?」
「はい。もちろん参加しますよ」
姉さんの声に嫌な予感が過ぎった。
そして。
「───
『『『散開ッ!!』』』
姉さんのその一言を聞いた僕らはすぐさま逃走に移った。
が。
「逃がさないよお兄ちゃんたち!みんな!」
『『『うん!』』』
零華の指示のもと恵衣菜達が僕らを捕まえに来た。
僕の元には。
「くっ・・・・・・!」
「明久くん、逃げられないよ♪」
「明久、参加しましょう?」
「そうそう。ここにいる全員で♪」
「覚悟を決めてね明久くん♪」
「えーと、ごめんなさい明久くん。捕まってください」
恵衣菜や穂乃果たちμ's全員が。
雄二のところにはもちろん。
「・・・・・・雄二、逃がさない」
「うぉぉぉっ!?しょ、翔子!?」
「・・・・・・絶対似合うから」
「いやいや!俺に似合うわけないだろ!?明久や秀吉なら兎も角、俺はないだろ?!」
「・・・・・・お願い」
「ひ、卑怯な・・・・・・!」
霧島さんの首をかしげ、上を向いてお願いした姿にさすがの雄二も歯が立たず捕まった。普段クールな霧島さんがことりと同じ『お願い』をしたことにかなり驚いている。というか威力が半端ないと思う、雄二に対して。
秀吉達はと言うと。
「あ、姉上!麗子を止めてくれぬか!?」
「いやよ。残念だけど、あたしは今回こっち側だから」
「なぬっ!?」
「秀吉くんなら大丈夫よ!自信を持って!」
「いやいや!わしは男じゃぞ?!」
「男の娘でしょ?」
「違うぞ!?男の娘ではないぞ!?」
「はいはい秀吉。麗子、秀吉を連れていくわよ」
「うん」
「だ、誰かぁー!」
秀吉は木下さんと天野さん二人に連れて行かれ。
「・・・・・・愛子、まさかお前もか!」
「いやー、前から康太くんの女装姿見てみたかったんだよね〜」
「・・・・・・俺には似合わない。愛子は似合ってる」
「えへへ、ありがとう康太くん。で〜も、康太くんも参加だからね♪(チラッ)」
「・・・・・・ブハッ!!愛子、それは卑怯・・・・・・」
工藤さんの足にやられ・・・・・・やられたのかな?工藤さんの足を見て康太は鼻血を出し捕まり。
「りょ、亮、俺の目はおかしいのか?アイツらの後ろになにか見えるんだが・・・・・・!」
「い、いや、俺も見えるぞ」
「亮ちゃん、逃がさないからね?」
「浩二、おいたはそこまでだよ」
「「ヒィィーーーー!!!」」
横溝君と須川君は悲鳴を上げて自分の彼女に捕まり、
「さすがに俺にはしないよな友香!?」
「恭二」
「あ、ああ」
「女装して浴衣を着るのと、女装してメイド服を着るの、どっちがいい?」
「どっちも同じじゃねぇか!!しかもなんだその二択は!?どのみち女装するんじゃねぇか!」
「選んで恭二」
恭二は友香さんに追い込まれていた。
そんな多勢に無勢により──────
数十分後
『『『・・・・・・・・・・』』』
女装して浴衣に着替えた僕達がいました。
僕達の浴衣や化粧道具は車に積んであった。どうりで姉さんが、着替えを持っていくって言ったわけだ。化粧は演劇部である天野さんと、μ'sの衣装デザイナーであることりと絵里、妹の零華がやってくれました。
「うん!みんな似合ってる!」
「嬉しくないよ恵衣菜」
トホトホと、抵抗出来ないままなるようになった僕は女装して浴衣を着た姿で恵衣菜の褒め言葉を受け取っていた。正直あまり嬉しくない。
「アキくん、姉さんは嬉しいです。そんな可愛らしく育ってくれて」
「それ、褒めてないよね」
僕はジト目で姉さんを見る。
そこに。
「お姉ちゃん、お母さんとお父さんにも送ろう♪」
「もちろんです!お婆ちゃんにも送りましょう」
「うん!」
「では私も両親に・・・・・・」
「あっ!私もお母さんたちに送ろうっと!」
「うふふ♪明久くんの浴衣姿っていうレアな姿は絶対に残しとかないと!」
零華を筆頭に、姉さん、海未、穂乃果、ことりがスマホのカメラモードで僕の女装した浴衣姿を収めていった。───ん?ちょっと待って、今送るって聞こえたような・・・・・・。
そんな夢でも見ているような単語が聞こえ、頭をクリアにしようとする。が、
「絵里ちゃんたちもいる?」
「じゃあ、折角だから貰おうかしら」
「じゃあ、グループLINEに載せとくね」
「わかったわ」
穂乃果と絵里の話に僕は唖然とした。それと同時に、LINEの着信音が流れた。
「ま、まさか・・・・・・」
慌ててスマホのμ'sのグループLINEを見る。
そこには。
「─────────っ!!?!?!!?」
僕の女装して浴衣を着た姿が写っていた。
その写真を見た僕はムンクの叫びのような、声にならない悲鳴を上げた。
三十分後
僕達はミス浴衣コンテストの会場に来ていた。
というより、連れて来させられた。
いつの間に僕達の出場登録も済ませたのか、僕らはそれぞれネームプレートを受け取っていた。
僕のネームプレートには『吉井
他のみんなはと言うと、康太は『土屋
そこに。
『それでは只今より、第一回納涼ミス浴衣コンテストを始めます。出場者は控え室にお集まり下さい』
スピーカーからそんなアナウンスが流れた。
「どうする雄二?」
「くっ。大衆の面前で俺達が男だと知られたら世間的にもアウトだし・・・・・・」
「となると?」
「・・・・・・わざと失格になるしかない!」
「だな」
僕達、男七人は肩を組み。
「いいか、俺たちの目的は観客にバレることなく、この場を乗り切ることだ。これは俺たちの明日が掛かってる!」
「「「「「「おう!」」」」」」
「気を引き締めていくぞ!」
「「「「「「おうっ!」」」」」」
こうして、僕達男七人の戦いが始まった。
次回 『第一回納涼ミス浴衣コンテスト』 Let GO to The Next Baka Live!