〜明久side〜
浴衣コンテストが始まり、次々と僕ら男子は
《───ありがとうございました。では次の方、ステージへどうぞ》
「・・・・・・雄二」
「なんだ翔子?」
「・・・・・・ファイト」
「ああ・・・・・・」
霧島さんの声に雄二は全く覇気のない声で返し、ステージへと上がって行った。
ちなみに、残っている男子は雄二のみである。あの後、康太、須川君、横溝君、恭二、秀吉がステージに上がって行った。その時の事を一言で表わせと言うと難しい。まあ、言えるとしたら『なんとも言えない』と言うべきだろうかな?
何せ、恭二たち全員僕と同じような感じだったのだ。
僕は、雄二の背中を見ながら恭二たちの番だった時のことを思い出す。
康太は当初、司会者さんの質問を『はい/いいえ』の二択で答えていたのだけど、ある質問の『浴衣の他にどのような服が好きですか?』に康太は今までの寡黙キャラから一転して饒舌になり、「・・・・・・チャイナドレスや着物は言うに及ばずレースクイーンにチアガール看護婦にキャビンアテンダント更にはファミレス店員に女性警官制服やレオタードとOLスーツにセーラー服やブレザーや巫女服に加えてメイド服やテニスウェアなども素晴らしいと何でもありません」、と火葬後の心臓マッサージくらい手遅れなほどの饒舌っぷりを出したのだ。その結果、会場から康太に向けて『こ・う・み!こ・う・み!』と香美コールが繰り広げられたのだった。
その光景を眼にした僕らは、なんとも言えない空気に包まれた。なにせ、まさか康太にあそこまで男を虜にする《魅了》という才能があるとは思わなかったのだから・・・・・・。ちなみに工藤さんは、光を無くした眼で怖いと思えるほどに空笑いをしていた。
今にして思い出しても恐るべし康太と、言わざるをえない。
康太の次の僕らのメンバーは須川君だ。須川君がステージに上がると動揺のようなものが観客に流れた。その時、まさかバレた!?と思ったが、実はその全くの逆で須川君の姿に見蕩れていただけらしい。それを聞いた僕ら男性陣は揃って、「なんでだ!?」と心の声に出して叫んだ。その僕らに須川君の彼女である桜咲さんが、「亮ちゃん、素体が良いからなのか分からないんだけど、ああして視ると何処かお姉さん、って感じがするんだよね〜」と目を蕩けさせて言った。桜咲さんのその視線は、まっすぐに須川君へと向けられていた。まあ、確かにどこか霧島さんに似て、クール系お姉さんな感じがする。髪はダークブラウンのセミロングウィッグを着けているため、余計、須川君が男だと知らない人から見たらクール系お姉さんに見えるのだろう。
そのことを桜咲さんから伝えられた須川君は、今も近くの椅子に座って鬱状態になっていた。ちなみにそれは須川君だけに留まらず、横溝君と恭二もなのだが・・・・・・。あ、僕も戻って来た時はやや鬱状態だったけど、その次の零華の質問やらで回復したよ。回復した理由は単純に、僕の可愛い大切な双子の妹に下劣な視線を向けている人がいたからだ。
とまあ、それは置いといて、須川君のあとは五人くらいして横溝君がステージにたった。
横溝君は日系のアメリカ人女子という設定なためか、やや?いやかなり反響があった。さすがに須川君みたいにはならなかったんだけど、ファンデーションとかメイクした横溝君に会場のお客さんが盛り上がった。で、桜咲さんどうよう、横溝君の彼女であるエレンさん曰く、「浩二のメイク、やりすぎちゃったかもしれないわ。けど、仕方ないわよね!だって、浩二、カッコイイ+可愛いんだもの!」とのこと。まあ、確かにスラッとしていて女子目線からしたらカッコイイのかもしれない。可愛いかはわからないけど。とまあそんな訳で僕らの中では比較的マシな感じだったんだけど、横溝君曰く視線が気持ち悪かった、との事らしく今も須川君と同じく鬱状態でエレンさんに介抱されていた。ちなみに須川君も桜咲さんに介抱されているよ。
そして、次に恭二なんだけど・・・・・・。
「もういっその事殺してくれ・・・・・・!」
「だ、大丈夫よ恭二。私がいるから!」
恭二は須川君と横溝君より遥かに鬱状態だった。もう自虐的になってるし。何故恭二があの状態なのかというと───。
「さすがに、あれはないよね」
『『『うんうん』』』
僕達も同情してしまうほどのだったのだ。
恭二がああなってしまった理由、それは―――
「まさか恭二に告白してくる人がいるなんて・・・・・・」
そう。恭二の姿を見た観客の一部が、恭二に熱烈な告白をしてきたのだ。司会者さんも止めるように言ってくれたんだけど、数の暴力ならぬ、数の声により聞きいられなかった。最終的に、恭二が舞台袖に帰ってくることで止んだけど、帰ってくるなり恭二は、友香さんに抱きつき声に出さずに泣いた。で、それが今も続いている。うん、今日は僕達全員(男子のみ)のトラウマ記念日だなぁ・・・・・・。
「さて、雄二は・・・・・・」
気を取り直し、僕は視線をステージ上にいる雄二に向けた。
ステージ上では丁度司会者さんが雄二に名前を尋ね、雄二が答えているところだ。
『洪雄麗デス。ヨロシクオ願イシマス』
中国人という設定なのでわざと片言の日本語で雄二は喋る。まあ、雄二にはかなりのアドバンテージがある。リアクションが難しい質問がきたら言葉がわからないフリをすればいいのだから。
《これはまた・・・・・・背の高い方ですね。どうですか、小畑さん》
司会者さんは少しだけ驚いた表情を取ると、審査員の小畑さん?に話を振った。話を振られた審査員の小畑さんはと言うと―――
《素晴らしいですね。私、背の高い方が大好きなんですよ》
声高にそう告げた。
それを聞いた僕は心の中で大声で「何でぇーっ!」と発した。それは雄二もで、ものすっごく困った顔していた。
《審査員の高評価が得られました!他に質問は―――って、あれ、小畑さん?》
司会者さんも驚きながら解説する中、小畑さんは突然立ち上がり席から雄二のいるステージに向かって歩き出した。そのまま小畑さんは雄二に向かって言う。
《ハネムーンはカンボジアなんかどうですか?》
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はい?
雄二に向かって言われた言葉に、僕はフリーズし頭の動きが止まった。それは恵衣菜や鬱状態から少し回復していた恭二達もで───。
『こ、国籍ガ違ウノデ困リマース』
《愛があれば大丈夫です。マイハニー》
『愛ナンテアリマセン!』
《私には愛が生まれる自信がある!》
『ワタシアナタノコト嫌イデース!』
《友達からで構わない。一生大切にするぞ!》
『いい加減にしろ!シバくぞおっさん!』
《君になら、何をされてもいい!》
え、えーっと・・・・・・・・・・。
理解できない状況に僕達がいるなか、たった一人だけ動いている人がいた。それは───
「・・・・・・私の旦那に手を出そうだなんて。・・・・・・許さない」
雄二の彼女兼嫁兼妻である霧島さんだった。そして霧島さんの手にはいつの間にかスタンガンらしきものが握られていた。
「き、霧島さん・・・・・・?」
ようやく動いた頭を回転させて霧島さんに声を掛ける。
「・・・・・・吉井」
「な、なにかな?」
「・・・・・・あの人、始末してくる」
「へ?」
「・・・・・・・・・・」
小さな声で。しかし、確かな怒気を混じらせて言った霧島さんは、そのままステージに向かって歩いていった。
「・・・・・・って、ちょっとまってぇっ!」
「・・・・・・(コク)?」
僕の声に振り返って小さく首を傾げる霧島さん。 その動作は、なんで止めるの?と言っていた。
「・・・・・・吉井も殺る?」
「やるが殺るになってるよ!?」
「・・・・・・?」
珍しく霧島さんにツッコんでいると。
「───翔子ちゃん。あの人殺るなら私も行くよ」
「零華!?」
後ろから、妹の零華がハイライトを無くした瞳で言っていた。
「・・・・・・じゃあ一緒に」
「うん」
「いやいやいやいやいや!一緒にじゃないからね!?」
慌てて二人を止めるが。
「お兄ちゃん、そこどいて♪あの人殺れないから♪」
「語尾に♪を付けて可愛くしてもダメだからね零華!?いや、確かに録音したいくらい可愛いけどさ!」
零華だけしか止められず、零華の物騒だが可愛い声にそう言う。すると。
『『『どこまでシスコンなんだ(なんですか)(なの)(なわけ)!?』』』
現実逃避から回復した恭二達がツッコんできた。
失礼な!零華の可愛い声を録音したいと思うのは当然じゃないか!
そうこう、している間に。
『・・・・・・雄二は渡さない』
『翔子ぉ!?』
霧島さんがステージ上で雄二を守っていた。いや、護っていた、の方が正しいのかな?
そんなこと思っていた次の瞬間。
「っ!?な、なに!?」
「機材のコードが爆発した!?」
ステージ上の機材が、霧島さんの持っていたスタンガンに反応して小規模な爆発をし、照明がすべて切れた。
『・・・・・・雄二、帰る』
『お、おう』
《ま、待ちたまえ!まだ連絡先を聞いて───》
『・・・・・・邪魔』
《あばばばばばばばばば!!》 チーン・・・
『・・・・・・そこの司会者さん』
《は、はい。なんでしょう?》
『・・・・・・この人、捨てといて』
《!わかりました!》
『・・・・・・よろしく』
《任されましたぁ!》 ガタッ!
な、なんか分からないけど霧島さんに捨てといてと言われて司会者さん、意気揚々と小畑さんの所に行った。
《ま、待ってくれ、まだ話を───》
《いい加減しつこいわ!いい加減にしろ!》
《な、なんだね一体!?》
《えー。コホン。誠に申し訳ありませんが、本日のミス浴衣コンテストはこれにて終了させていただきます!》
《な、何を突然───!》
《参加者の皆様。そして観客の皆様、誠に申し訳ありませんでした!以上をもちまして、本日のイベントを終了させていただきます!お帰りの際はお気を付けてお帰り下さい!》
《待ちたまえ!まだ終わって───!》
《うるさいですよ!だいたいあんたのせいで終わることになったんだろうが!》
《なに!?》
《それでは係りの方の指示に従ってご退出下さいませ。本日は誠に申し訳ありませんでした》
あー。司会者さんがいきなりミス浴衣コンテストの終了宣言をしだした。周りの人も、どこか納得している表情で文句を言わずに帰って行った。
「そ、それじゃあ僕らも帰ろうか」
なんともやるせない感じの中、僕らは参加の記念品を貰って別荘へと帰って行ったのだった。
別荘
「「「「「「ハアーー・・・・・・」」」」」」
「大丈夫かお主ら?」
「「「「「「全然大丈夫じゃない」」」」」」
別荘に戻ってきた僕らは、さっそく夕飯の支度をするため、外に出たのだが、夕飯のBBQの支度をしながらつい数時間前のミス浴衣コンテストを思い出し、ステージに上がらずに終わった秀吉を除いた僕ら六人は盛大に、大きなため息を吐いた。
「一生もののトラウマをおったぜ・・・・・・」
「同じく・・・・・・」
「もう勘弁して欲しいな・・・・・・」
「ああ。ある意味忘れられない日になったな・・・・・・」
「・・・・・・激しく同意する」
「そうだね・・・・・・」
秀吉を除いた僕ら男共はため息を吐きながらそう言う。
手を動かしながら話していると。
「あ、あの、お兄ちゃんたち。ちょっといいかな・・・・・・」
「?どうしたの零華・・・・・・それにみんなも」
零華たち女子勢が神妙な趣でやって来た。
尋常じゃない雰囲気を感じた僕らは手を止め、息を呑む。そんな僕らに喋ったのは海未だった。
「その・・・・・・すみませんでした」
海未の言葉に頭を下げる零華たちに僕らは戸惑う。
「え、あ・・・・・・。すまん。何がだ?」
戸惑う僕らを代表して雄二が困惑気味に訪ねる。
雄二の質問に答えたのは前に出てきた霧島さんだ。
「・・・・・・雄二たちを浴衣コンテストに出させたこと」
「「「「「「ああ・・・・・・・」」」」」」
霧島さんの言葉にみんながなんで謝っているのかわかった僕ら。僕らを女装させて浴衣コンテストに出場させたことに謝っているのだ。
いや、まあ、確かに元はと言えば零華たちが僕らを女装させて出場させたことがきっかけなんだけど・・・・・・。まさか、ここにいる全員さっきのことは予想すらしてなかったと思う。あんな、女装した僕らに異様に熱い視線を向けてくる解説者と観客に。僕らだって予期してなかったのだ。それを零華たちのせいにするというのは、あまりにもお門違いというものだろう。
「あー、うん。別に気にしてないからいいよみんな」
「だな。まあ、多少はトラウマになったかもしれんが、流石にあそこまでとは誰も予想してなかっただろ」
「ああ。友香たちが気にすることねぇよ」
「けど恭二・・・・・・」
「大丈夫だって。それになんだ。あー・・・・・・さっきは友香に助けられたからな」
「恭二・・・・・・」
いつの間にか恭二と友香さんが惚気あってる。まあ、それは置いといて。
「んなわけだ。これでこの話は終わりだ」
「ですが・・・・・・」
「海未」
「明久・・・・・・。わかりました」
尚もなにか言おうとする海未を静止し、この話題を終わらせる。まあ、絵里や真姫、霧島さん、エレンさんたちが何が言いたそうだけど、ここで区切らせる。
話を終わらせたそこに。
「よし。すまんが、出来たから持って行ってもらってもいいか?」
雄二がそう言った。
雄二の手元を見ると、料理の下ごしらえやらが出来ていた。
「あ、うん」
「ええ」
「はーい」
出来た料理を、次々運んで行き。
「よしっ。んじゃ明久乾杯するか」
「そうだね」
僕達学生はジュースを。姉さんと翠姉さんはお酒を飲んでもいいんだけど、さすがにこの場ではあれ、という事もありノンアルコール飲料のコップを手に持つ。
「───えーと。それじゃあ、かんぱーい!」
『『『かんぱーい!!』』』
僕の音頭でみんなコップを打ち合う。
飲み物を飲むと、それぞれ食べたいものを手に取る。
「っ!美味しい・・・・・・。あんたがこれを作ったの?」
さっそく雄二の料理を食べたにこが目を見開いて問う。
「ん?ああ」
「意外に器用なのね・・・・・・。驚いたわ」
「そいつはどうも」
「・・・・・・私の自慢の旦那さん」
「おい翔子。俺達はまだ籍も結婚もしてないからな?」
「・・・・・・大丈夫。三年後ぐらいにはなってるから」
「二十歳になる前に結婚かよ!?」
「あ、明久に聞いてはいたのだけど直に見ると凄いカップルね」
「・・・・・・ありがとう。矢澤」
「にこでいいわ」
「・・・・・・にこ」
「ええ。あ、坂本」
「ん?なんだ?」
「これ、どうやって作ったのか教えて貰えない?家族に食べさせてあげたいから」
「ああ。構わねえぞ」
μ'sの中でかなり料理が上手いにこが雄二に手元の料理の作り方を聞いている。これまた驚きの組み合わせだ。雄二もにこと料理談義で気が合うのか楽しそうに話している。
そのまましばらくして、唐突に姉さんと翠姉さんが―――。
「それにしてもあのミスコン。やはり結果がどうなのか気になりますね」
「そうね〜。あのまま続けていたら誰が優勝していたのかしらね」
と口にした。
『『『っ!!』』』
それを聞いた僕らは、体がビクンと震えた。
今はもう既に着替えて普通の格好だけど、あの浴衣姿・・・・・・かなりハイレベルだったと思う。まあ、何せコーディネートしたのがことりたちなのだから当然かな。それに、この中から優勝者が出てもおかしくなかったと思う。まあ、もっともそれが"普通"の浴衣コンテストだったらなのだけどね・・・・・・。
「んー。やっぱり零華じゃないかな?」
優勝者、と聞いてまず一番最初に頭に出たのが妹の零華だ。
「え!?お、お兄ちゃんっ!?」
僕の言葉に驚く零華。さらに。
「あ〜あ。また明久くんのシスコンが出ちゃったよ」
「ったく。ほんと、ぶれねぇな明久のやつ」
「何故一番最初に零華の名前が出るのでしょう・・・・・・?」
「シスコンここに極まり、やね」
「希、なんでこっちを見るのかしら・・・・・・?」
「え〜。だってエリちもやろ?」
「なっ!?」
「どうしたのお姉ちゃん。顔が赤いよ?」
「なっ、なんでもないわよ亜里沙っ!」
恵衣菜や雄二たちが次々と呆れたように言ってきた。
「ん?やっぱり零華が優勝者だと思うよ。うん」
僕が自信を持って、胸を張って言うと。
「あーー。明久、その根拠は?」
雄二が歯切りの悪そうな感じに聞いてきた。
「え?だって普通でしょ?零華はこんなにも可愛いんだよ?それに、手入れのされてるクリーム色の髪に幼そうな顔。スタイルも良くて、可愛くて、綺麗で、可愛くて、似合っていて、可愛くて───」
「お、落ち着け明久!なんで可愛くてを連呼するんだ!?」
「え?事実でしょ?」
『『『はァー・・・・・・。こっの、極度の妹の大好きシスコン大バカ明久(さん)(くん)が・・・・・・!』』』
「え、なんで急に僕バカって言われたの・・・・・・?」
恵衣菜たち全員、揃って同じことを言い、バカって言われた僕は首をかしげた。うん、なんで?
理解出来ずにいる中、恵衣菜たちは僕をほぼ無視して。
「やっぱり、甲乙つけ難いですね」
「そうね。女装した明久たちも優勝候補に入っていたと思うし」
「いや、綾瀬絵里よ。わしらが優勝候補に入っていること時点でおかしいのじゃが」
「いやいやいや〜。ウチから見ても、木下君たちは十分優勝候補やったとおもうで」
「私も、恭二の女装姿にキュンッ!って来たわ」
「友香。頼むから女装だけはもう勘弁してくれ・・・・・・」
「あはは・・・・・・。みんな大変ね〜。玲はどうかしら?」
「そうですね。アキくんの女装は見慣れてますから、他の五名の方の女装に新鮮で良かったです」
翠姉さんの質問に答えた姉さんに僕はすぐにツッコミを入れた。
「ちょっとまって姉さん!僕は女装なんかしないから!」
そう非難するように言うと、僕の耳に。
「ねえ恵衣菜ちゃん。明久くんの女装姿、つい最近にも見たような気がするんだけど」
「うん」
「というか、この半年で十回は見ていると思います」
「あはは・・・・・・」
「明久さん、言ってることが矛盾してるって気づいてないのかな・・・・・・」
ヒソヒソと、何かを話してる恵衣菜と穂乃果、ことり、海未、雪穂ちゃんの声が少し入った。
「なにを言っているのですか、アキくん?昨日の晩もスカートを履いたではないですか。寝ている間に」
「はいぃ!?」
いきなりの姉さんの言葉に僕は悲鳴のような声を上げた。
一体何をしているんだこの姉は!?
僕の疑問には妹の零華もで。
「ちょっと姉さん!僕が寝ている間に何したの!?」
「お姉ちゃん!お兄ちゃんになにしてるの!?」
「大丈夫ですよ二人とも。半分はウソですから」
「「へ?ウソ?」」
姉さんの、ウソという単語に面食うが。
「ウソ?どうやったら今の話の半分がウソにできるの!?」
「今の話の中にウソになるようなものあったかな!?」
これまたすぐにツッコミ問う。
すると姉さんは、ポケットからスマホを取り出し画面を見せてきた。
「はい。膝の上までしか履かせてませんから」
寝ている僕に、真っ赤なスカートを膝まで履かせた写真を。
「半分履かせたの?!」
「なんで半分履かせたのかな?!」
「いーえ。業界用語では"半ヌギ"です」
「は、半ヌギ・・・・・・」
「いやいやいや!これのどこが半ヌギなのよお姉ちゃん!しかも、半ヌギの意味違くないかな!?」
「そうですか?」
「「そうだよ!!」」
どこへ行っても全くぶれない姉さんに僕と零華はため息をついた。
そこに。
「玲〜。ちょっと、ひさしぶりにお話しましょうか〜」
甘ったるい声で翠姉さんが姉さんに近づいて言った。
僕らは翠姉さんのその声と空気の感じでなんとなくわかった。今の翠姉さんはかな〜り怒っていることを。そして、お話が、OHANASI、だということを。それにきづかない姉さんは。
「お話ですか翠?」
「うん。二人っきりで、たぁ〜〜っぷりOHANASIしましょう」
「わかりました」
翠姉さんと一緒に飲み物を持って別荘の方に歩いていった。
やがて、姉さんと翠姉さんの姿が見えなくなると雄二が。
「お、おい明久。お前達の姉、大丈夫なのか?小暮教諭がにこやかな笑みを浮かべて連れていったんだが・・・・・・」
その場の全員を代表して言ってきた。
それに対して僕ら―――僕、零華、恵衣菜、葵姉さん、穂乃果、雪穂ちゃん、ことり、海未。はもう慣れたというような感じで。
『『『多分大丈夫だと思う(よ)(います)(な)(いますわ)』』』
と、同時に同じ言葉を発したのだった。
なにせ翠姉さんは高校まで姉さんと一緒だったのだ。姉さんの対策方など翠姉さんにとっては御茶の子さいさいだろう。伊達に、姉さんの幼馴染みをやってない。
そんなこんなで時間は過ぎていき、合宿という名の旅行一日目が終わった。あ。ちなみに、今回の旅行は二泊三日です。
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