第Ⅰ問 文月学園生徒会始動!
〜明久side〜
充実した夏休みが終わって早数日。新学期も始まったある日のこと。
「───ねえ、雄二」
「なんだ明久?」
「やっぱり変わらない?」
「無理に決まってるだろ」
「デスヨネー」
「なんでカタカナなんだ・・・・・・」
僕は雄二に提案していたが、何言ってんだと言う眼差しの元却下された。
ちなみに僕と雄二が今いるところは、教室ではなく体育館だ。
そして場所も、秀吉たちがいる所では無く───
『───続きまして、今学期より新たに発足した生徒会より挨拶があります。生徒会のみなさん、どうぞ壇上に』
「ささ、お兄ちゃん。行かないと」
「うう」
「あはは。大丈夫だよ、私達もいるから」
「・・・・・・吉井、ひとりじゃないから安心して」
「そうだぞ明久。おまえは俺たちの生徒会長なんだから。これぐらいシャキッとしないとな」
「はぁ。わかったよ・・・・・・。それじゃあ、行こうか」
僕らは体育館の舞台袖から歩きだし、壇上に姿を現す。
出た順番は僕から順に、零華、恵衣菜、雄二、霧島さんだ。
舞台袖から出た僕らは登壇の左横に横一列に並ぶ。
『では文月学園第一期生徒会役員を紹介させていただきます。右から【会計】二年Aクラス霧島翔子さん』
司会の先生の自己紹介に小さく頭を下げお辞儀をする霧島さん。
『【庶務】二年Fクラス坂本雄二君』
続けて雄二もお辞儀をし。
『【書記】二年Fクラス姫宮恵衣菜さん』
恵衣菜も同様にする。
『【副会長】二年Aクラス吉井零華さん』
零華も同じようにしてお辞儀をして。
『最後に【生徒会長】二年Fクラス吉井明久君』
僕の名前が呼ばれると、少し前に出てみんなと同じようにお辞儀をする。
『以上五名が、文月学園第一期生徒会役員となります。尚、生徒会顧問は、第二学年学年主任の高橋先生となります』
生徒会の担当顧問は二年の学年主任である高橋女史だ。
西村先生も候補に上がっていたらしいが、補修担当やその他色々もあり、学年主任の高橋先生となったとの事だ。
『まだ慣れずに失敗するところもあると思いますが、みなさんも協力して下さい。それでは、生徒会長から挨拶を頂きたいと思います。生徒会長、吉井明久君』
「はい!」
司会の先生にいわれ、僕は壇上に登り。
「えー。コホン。・・・・・・みなさん、こんにちは。あれ、こんにちはでいいのかな?」
壇上に上がり、言葉を発っし疑問を声に出すと、あちこちからガタッとズッコケるような音が響いた。
問答していると、横から呆れ苦笑した声が伝わる。
「お兄ちゃん・・・・・・」
「明久くん・・・・・・」
「・・・・・・?」
「なにやってんだか・・・・・・」
やれやれと言った風の三人(霧島さん除く)の視線を受けながら。
「えーと。この度、文月学園生徒会長を務めることになりました、吉井明久です」
あはは、と引き笑いをして話す。
「と言っても、生徒会長のことを聞いたのつい一ヶ月程前なんですけどね」
思い返すように声に出して、生徒会の事を伝えられたある日のことを思い出す。
それは今から一ヶ月程前のこと───
一ヶ月前
音ノ木坂学院での試験召喚システムの講師と音ノ木坂学院での学院生活を終えた夏真っ盛りのある日、僕と妹の零華と幼馴染みの恵衣菜、悪友の雄二と雄二の彼女である霧島さんの五人は学園長であるお祖母ちゃんに呼び出され、文月学園学園長室にいた。
「いきなり休みの日に呼び出して悪いね」
「いえ、事前に昨日連絡を貰ってましたので」
すまなさそうに謝罪するお祖母ちゃんに僕はそう言う。
昨日の夜、お祖母ちゃんから学校に来るように連絡を貰ったのだ。雄二と霧島さんも学校から連絡を貰ったのだろう。
「ところで俺たちを呼び出したってことはなんかあったのか?」
僕らの問いに雄二がお祖母ちゃんに訪ねる。
「実は、アンタ達に文月学園第一期生徒会役員に就任してもらいたいのさ」
「「「・・・・・・・・・・はい?」」」
お祖母ちゃんの言葉に、僕と恵衣菜、雄二は間を大きく開けてポカンとした顔で言う。霧島さんも声には出さないけど、え?って顔をしている。その一方、妹の零華はふふふっ、と笑みを浮かべていた。
「えっと、学園長。もう一度言ってくれますか?」
空耳かと思った恵衣菜はお祖母ちゃんにもう一度言ってもらうようにお願いした。
「二年Fクラス、吉井明久。姫宮恵衣菜。坂本雄二。二年Aクラス、吉井零華。霧島翔子。あんた達に、来学期から文月学園第一期生徒会役員になってもいたい」
恵衣菜のお願いに苦笑してもう一度お祖母ちゃんがさっきと同じ言葉を言う。
お祖母ちゃんの言葉を頭に反響させ、十秒後ようやく理解した僕と恵衣菜、雄二は。
「「「はいいいいぃぃぃぃーーっ!!!?」」」
室内に響き渡るほどの声を上げた。
声を上げなかった霧島さんも目を大きく開いていた。
ただ一人、零華だけは違ったけど。
「ふふ。お兄ちゃんたち驚きすぎだよ〜」
「いやいやいや!これを驚くなって方が無理があるから!───って、なんで零華はそんなに冷静なの?」
「・・・・・・そう言えば。もしかして知っていた?」
僕の言葉に霧島さんが零華に聞く。
「あはは。実はね。生徒会を創るって話は聞いていたから」
どうやら零華はお祖母ちゃんから予め聞いていたようだ。
いつ聞いたのだろう?
「吉井妹には口止めしていたからね。吉井妹のせいじゃないよ」
「はあ・・・・・・」
まあ、お祖母ちゃんが口止めしていたなら仕方ないけど。
「そんで学園長。なぜ、急に生徒会なんか創ることにしたんだ?前までこの学校には無かっだろうに」
雄二の言うように、ここ文月学園は他校と違い生徒会執行部が存在しない。文月学園は開校まだ七年ほどだ。つまり、最近出来た学校といってもいい。他に近辺だと、つばさやあんじゅ、英玲奈が通うUTX学園(またの名をUTX高校)も近年出来た学校だ。UTXは近年出来た新しい高校なのに対して絶大な人気を誇る。現に、入学希望者は開校数年にして大勢だ。今は音ノ木坂学院への入学を考えている雪穂ちゃんも、UTXへの入学を考えていたほどだ。
ちなみにUTXは共学である。そしてさらに、設備が最新だ。しかし、その面入学金や受験料は多額であり音ノ木坂学院や文月学園と比べるとかなり高い。
今は廃校の危機が去った音ノ木坂学院が女子校。というのに対して、UTXは共学という点でも人気があるのだろう。
まあ、UTXの人気の一番の理由はつばさたちA‐RISEがいるからなのだろうけど。
で、さらに言うとここ文月学園も音ノ木坂学院が廃校という危機に陥った原因でもある。(お祖母ちゃん談)
何故なら、文月学園は『試験校』という試験召喚システムの実験場でありバックにスポンサーが多く存在するため、学費が半端なく安いのだ。その面、試験校のため経営が世論に左右されやすく、イメージの低下を避けるため不祥事は大っぴらにできないという問題点があるのだが。ここ最近だと、文化祭での拉致事件と前教頭竹原による内部事件。さらに、清水美春による傷害事件と男子生徒(一部除き)による覗き。そして、最大のが僕が刺された殺人未遂だ。
文化祭での零華や穂乃果たちを拐った拉致事件は、雄二と康太との協力により僕らが内々で片付けてある。しかし、その際に他校の穂乃果やつばさたち、小学生の葉月ちゃんを拐われた。こう言っちゃなんだけど、自校の生徒より他校の生徒が攫われたことが問題だ。まあ、それについては特に怪我とかも無かったし、僕たちの迅速な救援とお祖母ちゃんによって何とか事なきを得た。これで一番よかったのは、連れ攫われたのが僕らの知人だったということだけど。
そして、竹原に関してはお祖母ちゃんが内々に処理し竹原を学園から排除し問題なし。合宿での傷害事件と覗き未遂についても学園内で内々・・・・・・に処理したのかな?まあ、覗きに関わった生徒は一週間の停学処分を受けたみたいだけど。清水美春に関してはまあ、重罪ということなんだけど。
そして、開校始まって以来の一番の事件とも言えるのが、清水美春による僕への殺人未遂だ。いや、恵衣菜たちへの殺人未遂も入るのかな?
これにより、文月学園の生徒が同校生徒を刺したという事が広まり一時期文月学園は悪い意味で注目を浴びた。これが起きたため、スポンサーから問い合わせが来たり、生徒の親から抗議の連絡が来たりしたそうだ。僕はその頃恵衣菜とともに音ノ木坂学院へ行っていたから知らなかったけど。零華から聞いていた。
今は落ち着いたそうだけど、もしこれで殺人になっていたらこの学校は音ノ木坂学院と同じく廃校の危機になっていたかもしれない。まだ二ヶ月も経ってないけど、あの頃のお祖母ちゃんはとても疲れていたのを覚えている。ほんとゴメンなさい。
とまあ、そんなこんなで文月学園は『新入生を大量に取られた』ことから近隣の高校からは目の敵にされているのだ。まあ、UTXほどの規模じゃないけど、金銭で言えば文月学園の方がだんと安いからね。それに、文月学園の敷地面積は結構大きく、旧校舎と新校舎に体育館。食堂に、小さいが体育系の部活棟。さらに数ヶ月前にできたスタジアムと。こちらも施設はかなりある。
ちなみに、つばさがUTXに行ったのはあんじゅや英玲奈が誘ったからである。本当は葵姉さんにも声が掛かっていたんだけど、葵姉さんは翠姉さんが養護教諭としている文月学園に来た。理由はこっちの方が楽しめそうだから、だそうだ。
穂乃果、海未、ことりは母さんたちの母校である音ノ木坂学院に行ったが、僕は音ノ木坂学院が共学じゃないのに咥え、お祖母ちゃんから誘われていたため妹の零華と恋人の恵衣菜と一緒に文月学園に来た。うん。音ノ木坂が共学だったら、音ノ木坂の方に行っていたのにという想いもある。
とまあ、論点は少しズレたけど。雄二の問いにお祖母ちゃんが。
「坂本の言うように、急遽生徒会を創ることになった理由は音ノ木坂と姉妹校なったからさね」
と言った。
「一応、前々から創設する予定はあったんだけどね。システムの研究やらで手が回らなかったのさ。それに、元教頭の竹原がいたからね。おいそれと創れなかったと言うのが本音さ」
「なるほどな。そんで、竹原もいないこの機会に創ってしまおうとしたわけか」
「そういうことさね」
雄二の納得したように頷きながら言う言葉に肩を竦めて言うお祖母ちゃん。
確かに、元教頭の竹原は何かとお祖母ちゃんを失脚させようとしていた。もし、文化祭の時に大きく行動していなければまだ在籍していた可能性がある。お祖母ちゃんも竹原のことは調査していたみたいだけど。それに、竹原のことだ。生徒達に成績や進学のことを融通してやるとか言って手駒にするだろう。あの、常夏コンビのように。
「・・・・・・学園長、質問が」
「なにさね?」
「・・・・・・生徒会を創るのは分かりましたが、役職はどうなるんですか?」
霧島さんがお祖母ちゃんに尋ねると、お祖母ちゃんは引き出しから一枚の紙を見せてきた。
「アタシとしては、その紙に書かれている役職に就いて欲しい所さね」
お祖母ちゃんが見せてきた紙の一番上には『第一期生徒会執行部役員』と書かれていて、その下には五つの役職と僕らのそれぞれの名前が以下のように記載されていた。
生徒会執行部 初期役員
会計 二年Aクラス 霧島翔子
庶務 二年Fクラス 坂本雄二
書記 二年Fクラス 姫宮恵衣菜
副会長 二年Aクラス 吉井零華
生徒会長 二年Fクラス 吉井明久
と。
「!?」
用紙を見た僕は目をゴシゴシと擦り、再び用紙に視線を向ける。
が、そこに記載されていた名前と役職は変わってなかった。
やがて。
「ぼ、僕が生徒会長ぉぉぉぉぉぉぉーーーッ!?!?!?」
学園全体に響き渡るのではないかと思うほどの絶叫を出した。
「な、ななななななっ!?なんで僕が生徒会長なんですか、お・・・・・・学園長!!」
危うくお祖母ちゃんと言いそうになったのを堪え、学園長と言い直す。雄二たちには僕と零華がお祖母ちゃんの孫だとは言ってないからね。というより、秘密にしている。学園で知っているのは恵衣菜と翠姉さん、葵姉さんだけなんだけど、高橋先生と西村先生もお祖母ちゃんが僕達の関係を言っていたらしい。まあ、高橋先生はともかく、西村先生は大丈夫だ。高橋先生はその、若干天然だから。
高橋先生に姉さんを会わせたらどうなるんだろ。多分ツッコミが止まらないんだろうなぁ。
そう思いながらお祖母ちゃんを見ると。
「なんでって言ってもねー」
僕のこの反応が予想通りだったからか、お祖母ちゃんは苦笑しながら言う。
「吉井兄以外、初代生徒会長に相応しい生徒なんかいないだろうさね」
「いやいやいや!確かに僕は二年の序列一位ですけど、クラスはFクラスなんですよ!?人望でいうなら、零華の方が相応しいと思いますけど!?」
という言葉の裏で、零華の生徒会長姿が見たいのが本心である僕だった。
「───お兄ちゃん、今私の生徒会長姿が見たいって思わなかった?」
「ドキッ!」
突然の零華のその言葉にドキッ!とする。
その僕の姿を見て。
「「「「結局何時ものシスコンか」」」」
と珍しく霧島さんも声を揃えて言った。
え、だって、可愛い双子の妹の生徒会長姿見たいじゃん!?兄として当然だよ!凛々しく壇上でスピーチする零華。ああ、想像しただけで───
「───」
「おい明久。鼻を抑えろ。鼻血が出てるぞ」
「はっ!」
雄二の言葉に僕は鼻の穴をティッシュで抑えて止血する。
「一体何を想像したら鼻血が出んだよ・・・・・・」
「ま、まあ、明久くんだし。アハハ・・・・・・」
「・・・・・・血、大丈夫?」
「吐血よりはマシさね」
四者四様の言葉に返す言葉もない。ちなみに零華はと言うと。
「もう。はい、お兄ちゃんティッシュ」
「あ、あ"りがとう零華」
「家に帰ったらすぐに洗濯カゴに入れてね。染み抜きするから」
「お願いね零華」
「うん♪」
手馴れた動作で僕の手伝いをしてくれていた。
〜閑話休題〜
鼻血が治まり、再び話が始まる。
「話を戻すよ。なぜ、吉井兄が生徒会長なのかと言うとだね」
「言うと?」
「アタシを含め、全教員が吉井兄。アンタを推薦したからさ」
「ぜ、全教員!?」
まさか文月学園教員全員に推薦されてるとは。
「まあ、アタシも提案した時は驚いたよ。それと同時に納得もしたさ(まあ、元々明久には生徒会長になってもらいたかったんだけどね)」
「納得?」
「そうさね。吉井、アンタは観察処分者の役割だけでなく、文化祭での件や、合宿所での件。そして、先日までの音ノ木坂学院での姫宮との講師としての実績がある。これは成績だけじゃ測れないさね」
「なるほどな。確かに明久は文化祭での件や合宿所での件を含め、生徒やこの学園のために迅速してきた。それに、音ノ木坂での召喚獣の講師。なにより、俺たち二年の序列一位だしな。もうすぐ受験の三年は除くとして、新入生の一年もアウト。となると二年になる。俺たち二学年の中で一番生徒会長に相応しいのは誰でもない、明久だな。俺や翔子。姫宮や吉井妹でもない。寧ろ、俺たちはお前を支える方だな」
お祖母ちゃんの言葉に続いた雄二が言う。さすが元神童なだけある。頭の回転が速い。
「そういうことさね。どうだい、吉井兄。生徒会長。引き受けてくれないさね?」
「・・・・・・」
お祖母ちゃんや雄二の言葉を聞いて、僕は零華や恵衣菜、霧島さん。そして雄二の顔を見る。四人は僕に向かって無言で頷いた。
それを見て僕はお祖母ちゃんの顔に視線を向けて。
「分かりました。生徒会長、引き受けます!」
力強くそう言ったのだった。
現在
「(ホント。お祖母ちゃんには適わないな)」
策士とでも言うのか、初期生徒会役員を僕ら五人にしたのは恐らく、僕が生徒会長としてやりやすくする為だったのだろう。
気心がしれた人たちとやれば落ち着いて出来る。ストレスなども無く、平穏な日々が送れるということだ。
まあ、これを伝えられてまだ約一ヶ月前といきなりで戸惑いもしたけど。
「───以上で僕の話を終わりにします」
生徒会長挨拶も終わりをむかえ。
「なにかと、不作法があるかと思いますが精一杯やって行きますので、どうぞ宜しくお願いします!」
と言い、一礼して壇上から降りて零華の横に移動する。
移動すると、体育館中から拍手の音が響き渡った。
『───以上で全校集会を終わりにします』
司会担当の先生の言葉によって、新学期初めの全校集会が終わった。
これで、僕ら生徒会が始まった。
二学期は一体なにが起こるのか楽しみで仕方ない想いでいっぱいだ。
『第一期生徒会執行部 役員
生徒会長 二年Fクラス 吉井明久
副会長 二年Aクラス 吉井零華
書記 二年Fクラス 姫宮恵衣菜
庶務 二年Fクラス 坂本雄二
会計 二年Aクラス 霧島翔子
以上の者を文月学園第一期生徒会役員に任命する。
学園長 藤堂カヲル 承認』
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