バカとテストと召喚獣 奏で繋ぐ物語   作:ソーナ

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第Ⅲ問 開幕!文月学園体育祭!

 

〜明久side〜

 

 

『───只今より、文月学園体育祭を開幕します』

 

あれから時が過ぎ、今日は文月学園体育祭当日だ。

空は快晴で雲ひとつない。

生徒会長としての挨拶を終え、選手宣誓や召喚野球大会についての説明などが終わり、ついに一つめの種目が始まろうとしていた。

僕らは各々のクラスの陣地で。

 

「確か召喚野球の一回戦の相手はEクラスだったよね?」

 

「ああ。初戦は隣のクラスだな。二回戦は初戦で勝ち上がったクラスだし」

 

「ってことは零華と何れ戦わないといけないのか・・・・・・やだなぁ。妹と戦うの」

 

「あのなぁ、四月に思いっきり争ってたくせに何言ってんだ?」

 

「それはそれ。これはこれ」

 

「ったく」

 

呆れたようにため息を吐く雄二。

だって兄としては、可愛い妹と争いたくない気持ちが勝ってるんだから仕方ないよね!?

そこに。

 

「明久君のシスコンぶりは、今更のことよ坂本君」

 

「お、中林か」

 

「や、中林さん」

 

Eクラス代表の中林さんがやって来た。

 

「試験召喚戦争では負けたけど、今回の召喚野球では負けないわよ」

 

「望むところだ中林」

 

おお、雄二と中林さんの間に火花が飛び散ってる。

バチバチと火花が飛び散ってるような雰囲気に少しだけ引く。

 

「あはは、今日はお手柔らかにね吉井君」

 

「こちらこそ」

 

代表同士が火花を散らす中、僕はEクラスの副代表的な位置にいる三上さんと握手を交わす。

それから数分後。

 

 

『間も無く、試験召喚野球大会第一回戦第一試合が開始されます。出場する生徒は所定の位置に向かってください。繰り返します。間も無く、召喚野球大会第一回戦第一試合が開始されます。第一試合のクラスは所定の位置に向かってください』

 

 

設置されたスピーカーから放送委員のアナウンスが流れた。

 

「よし!んじゃ行くぞ!」

 

『『『おおっ!!』』』

 

雄二の掛け声に参加する僕らは声を上げた。

そのすぐ近くでは。

 

 

 

「行くわよみんな!Eクラスの力、Fクラスに見せつけるのよ!!」

 

『『『おおおっ!!!』』』

 

「私たちの成長した姿をここで発揮するわよ!総員構えぇ!!」

 

『『『Yes,my lord!!!』』』

 

 

 

「「「「「・・・・・・・・・・」」」」」

 

え、ええぇ・・・・・・・・・・。

目をパチクリとするほどの一糸乱れぬ敬礼に僕たちは全員唖然としていた。

あれは・・・・・・一体・・・・・・。

 

「あ、あははは。宏美、熱の入りようが凄かったからねー。クラスのみんなも」

 

ただ一人、三上さんはあはは、と苦笑していた。

うん。Eクラスは軍隊になってしまったみたいだ。だって全員、中林さんに向けて、直立不動をとって右手を胸のあたりに持っていって中林さんに『Yes,my lord』って言っているんだもん。なんていうか、その、うん。中林さんが女王で、クラスメイトがその臣下?部下?みたいな感じだね。

 

「坂本君、私たちもあれやる?」

 

「誰がやるか」

 

恵衣菜の問いに雄二は嘆息したように返した。

まあ、少し恥ずかしいからね。

とまあ、そんなこんなもあり───。

 

「えー。では、第一回戦第一試合、Eクラス対Fクラスの試合を始めます。両クラスとも、礼」

 

『『『『『よろしくお願いします!』』』』』

 

両クラスとも挨拶を済ませ、僕たちFクラスは自営のベンチに戻った。

 

「それで雄二。順番って?」

 

「ああ。基本の守備位置と打順はだいたいこんな感じだ」

 

そう言って雄二が見せてきた紙には、僕らの打席順が書かれていた。

上から───

 

 

 

打順 守備位置   名前

 

1番 ファースト  木下秀吉

 

2番 ショート   土屋康太

 

3番 ピッチャー  吉井明久

 

4番 キャッチャー 坂本雄二

 

5番 ライト    姫路瑞希

 

6番 セカンド   島田美波

 

7番 センター   須川亮

 

8番 サード    姫宮恵衣菜

 

9番 レフト    横溝浩二

 

ベンチ 福村幸平

    近藤吉宗

 

 

 

以上11人だ。

 

「へぇ。主要メンバーは全員入れてるんだな」

 

紙を見て須川君がそう言う。

 

「だな。ん?だが、坂本」

 

「なんだ横溝?」

 

「いや、お前がキャッチャーなのはいいんだが・・・・・・吉井がピッチャーで大丈夫なのか?」

 

「あー・・・・・・まあ、なんとかなんだろ」

 

「おいおい・・・・・・」

 

雄二の応えに冷や汗を流す横溝君。

何故横溝君が雄二に聞いたのかと言うと。

 

「明久よ。雄二の召喚獣を消し飛ばさぬようにな」

 

「・・・・・・(コクコク)手加減必須」

 

「わかってるよ秀吉。康太」

 

そんなやり取りをして僕らは準備に取り掛かった。

先行後攻は、先行がEクラスで後攻が僕たちFクラスだ。

僕はピッチャーなため、グラウンドの投手の立ち位置に立ち召喚獣を召喚する。生身じゃなくて、召喚野球だから召喚者である僕らはどこにいても良いんだけど、やりやすさからほぼ全員が召喚獣と一緒に、それぞれの位置についている。もちろん、召喚獣の動きを阻害しないように真後ろや横に立ったりしてる。

ちなみに、今回使用するボールも(一般的な召喚獣と同じで物には触れない)実際の野球ボールと同じ重さに設定されてるらしい。

さて、ここで秀吉と康太が僕に忠告してきた理由はこれは野球だが、召喚獣による野球のため普通の野球とは違うのだ。召喚獣の力はFクラスの点数であっても、普通の人の数倍は力があるのだ。僕らやAクラスのみんなが普通のボールを投げたら打てっこない。そして、もしそんなボールが他の召喚獣に当たった結果は───予想した通りである。

まあ、そんな為一応パワー上限はあるみたいだけど。(お祖母ちゃん談)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『プレイボール!』

 

主審を務める寺井先生の声が召喚フィールドが張られたこのグラウンドに響き渡り、一回戦のゲームが始まる。

 

「しゃーっす!試獣召喚(サモン)っ」

 

Eクラスのトップバッターが挨拶・・・・・・でいいのかな?をしながらバッターボックスに入る。守備側は立ち位置に規定はないけど、バッターはボックスの真後ろあたりに立つ。これは相手のサインやミットの位置が見えないようにするためだ。

 

 

 

古典

 

 

 Eクラス 園村 俊哉(そのむら しゅんや) 117点

 

 

 VS

 

 

 Fクラス 吉井 明久 508点

 

 

 

「(うーん。やっぱり、最後に受けたテストがお化け屋敷前だから低いね)」

 

他の人から比べたらこれでも十分高いのだが。

二学期になってから特に補充試験を受ける必要もなく、前回のお化け屋敷前に受けたテストの点数からあの常夏コンビと戦った後の点数になってる。(希望者は補充試験を受けている)

この試合のそれぞれ科目は、一回は古典、二回は数学、三回は化学、四回は英語で、五回が保健体育になっている。まずは古典勝負だ。

僕の分身たる召喚獣にボールを持たせキャッチャーである雄二の指示を待つ。変化球は使えないので、雄二が指示するのはコースと、あとは球の速度くらいだ。まずは、一球目。雄二の召喚獣のミットが示す場所は───

 

「(え、ど真ん中?)」

 

ど真ん中だった。

 

《そんなど真ん中で大丈夫?》

 

キャッチャーとして召喚獣の後ろに立つ雄二へ視線を送り、アイコンタクトで会話する。すると、雄二からもアイコンタクトが帰ってきた。

 

《大丈夫だ。向こうも慣れない召喚獣を使っての一球目だ。様子を見てくるはずだ。それに、一球目で感覚を確認した方が良いだろう》

 

《なるほどね。了解》

 

確かに、通常の野球とは違うだろうから感覚が上手く行かないだろう。一球目で確認した方が良さそうだ。

相手は運動部だし、緩い球では打たれるだろう。だから、いつもと同じようにやってみるか。

 

《じゃあ行くよ雄二》

 

《おう。来い明久》

 

雄二の指示したコースに投げる。せぇ・・・・・・のっ!

 

 

 

キンッ

 

 

 

『ホームラーーン』

 

 

 

「うぉぉいっ!打たれてるぞ明久ぁー!」

 

「打たれてるじゃないか雄二ぃーー!」

 

ボールは甲高い音をたて、青空へと消えていった。

召喚フィールドの範囲を超えたボールは空へと消え、ホームランとなった。

 

「ふ、二人とも・・・・・・」

 

「お主ら・・・・・・。いくらなんでも、運動部の面子を相手にど真ん中はどうかと思うぞい・・・・・・」

 

初回の初球でいきなりのホームラン!これで0対1になってしまった。

しまった。思わずすっぽ抜けたボールを投げてしまった。

 

「おねっしゃっす!試獣召喚(サモン)っ!」

 

ノーアウトランナーなしで2番バッターが現れる。僕はボールを受け取り、雄二と視線を交わす。

 

《手加減するなよ明久》

 

《わかってるよ》

 

二球目を召喚獣を操作して投げる。

 

 

 

キンッ

 

 

 

『ホームラーーン』

 

 

 

「明久ぁぁーー!?」

 

「あ、あれぇーー!?」

 

今度は手加減なしで投げたはずなんだけどなあ?!

自分でも驚くことに僕は驚愕の表情を出す。

 

「明久くん・・・・・・」

 

「何やってんだよ吉井・・・・・・」

 

「大丈夫かおい・・・・・・」

 

「・・・・・・体調不良?」

 

「明久、お主・・・・・・」

 

「よ、吉井君・・・・・・?」

 

「よ、吉井・・・・・・?」

 

後ろの守備から恵衣菜たちの唖然とする声が響く。

 

「お願いします!試獣召喚(サモン)っ!」

 

ノーアウトランナーなし、0対2で3番バッターがボックスに入る。うん、これ以上はヤバい。

 

《明久、全力で投げろ。これ以上の失点はヤバい》

 

《うん。わかってる》

 

雄二がアイコンタクトで伝えてきた通り、これ以上の失点はヤバい。雄二の召喚獣が送ってきたサインは───

 

「(速球。真ん中下ね。了解)」

 

三度目の構えを取り、ボールを投げる。どうだ?

 

 

 

『ストライクッ!』

 

 

 

良かった。

今度は打たれずに済んだ。

僕の召喚獣が放ったボールは、雄二の召喚獣が構えるミットの中に収まっており、相手の召喚獣は微動打にしなかった。

 

《よし、いいぞ明久。その調子だ》

 

返ってきたボールを受け取りながら、アイコンタクトで伝えてくる雄二に。

 

《了解》

 

とアイコンタクトで応える。

続けて3番打者への二球目───

 

 

 

『ストライクッ!』

 

 

 

二球目も見事、雄二の召喚獣の構えるミットに収まりストライクが取れた。Eクラスの3番バッターは目で捉えられなかったのか一歩も動かなかった。

そしてその次の三球目もストライクが取り、アウトをもぎ取った。

 

《よし!いいぞ明久!そのままアウトをもぎ取るぞ!》

 

《わかった雄二!》

 

ボールを送ってきた雄二とアイコンタクトを交わして、4番バッターを見る。4番バッターは───

 

「勝負よ、明久君!!」

 

「受けて立つよ中林さん!!」

 

Eクラス代表の中林さんだ。

 

 

 

 Eクラス 中林 宏美 285点

 

 

 VS

 

 

 Fクラス 吉井 明久 508点

 

 

 

表示された僕と中林さんの召喚獣の点数は約二倍の差がある。が、僕は中林さんの点数に驚いていた。中林さんの点数は、Cクラス上位ほどの点数だったのだ。

 

「驚いた明久君?期末テスト勉強の時、久保くんに美子と一緒に教えてもらったのよ!」

 

中林さんの言葉に僕は納得する。

なるほど。確かに、Aクラスにして序列上位の久保くんなら教え方も上手いし、要点とかをわかりやすく解説できる。尚且つ久保くんは中林さんの彼氏だ。教えてもらう時間が多いのだろう。

 

「まだ貴方には遠く及ばないけど・・・・・・!この試合、私たちEクラスが勝つわ!そして、優勝賞品も貰うわ!」

 

「そうはいかない!勝つのは僕たちFクラスだ!」

 

僕と中林さんの間にバチバチと火花が飛び交い、召喚獣の背後に化身のようなものが現れたな熱気が出る。

ちなみに、この召喚野球大会、優勝したクラスには優勝賞品として図書カードや学食の食券などがある。

 

「(雄二からのサインは・・・・・・!)」

 

雄二とアイコンタクトを交わし、雄二の召喚獣はミットを移動する。

 

「(場所は・・・・・・右下!)」

 

僕は息を飲み、召喚獣に指示を送る。

 

「(行けっ・・・・・・!)」

 

投げられたボールは一直線に雄二のミットへと迫る。

 

「っ!」

 

 

『ストライクッ!』

 

 

投げられたボールは吸い込まれるように雄二の召喚獣のミットに収まった。一瞬動いたような気がしたが、中林さんの召喚獣は初球を目で追って見送った。どうやら様子を見たようだ。

雄二から返ってきたボールを受け取りながら再び構える。

 

「・・・・・・」

 

再び召喚獣に指示を出してボールを投げる───

 

 

 

カンッ

 

 

 

『ファール!』

 

 

中林さんの召喚獣は、今度はバットを振りボールに当たったが、当たったボールは三塁の方へと流れ飛んでいき、ラインから外れファールとなった。

 

「・・・・・・」

 

再びボールを持ち構えを取る。

相手を見据えて、三球目を投げる───

 

「見切ったわ!」

 

「なにっ!?」

 

 

 

キンッ

 

 

 

『ホームラーーン』

 

 

投げられたボールを完全に見切った中林さんの召喚獣は、眼をキランッ!と光らせて思い切りバットを振り、ボールを打った。

打たれたボールは僕のはるか頭上を飛び、青空の彼方へと飛んで行った。

これで0対3とさらにEクラスが有利になり、僕たちFクラスが不利になった。

 

「(さすが中林さん。まさか見切られるなんて!)」

 

今投げたボールは先二回投げた時より早くした。けど、それを予想していたかのように、中林さんの召喚獣はバットを振るい、ホームランをした。バトミントン部とはいえ、運動部所属は伊達じゃない。

 

「ふふ。この勝負、私たちEクラスが勝ちを貰うわ!さあ、みんな!Fクラスに私たちの・・・・・・。運動部活系クラスの底力を見せつけるわよ!!」

 

『『『Yes,my lord!!』』』

 

ホームベースへと戻ってきた自身の召喚獣を見て、中林さんは胸を張って言った。そしてそれに続く、三上さんを除くEクラスのクラスメイト。

5番打者と変わる中林さんを見ながら、雄二に視線を送りアイコンタクトを交わす。

 

《これ以上は相手の好きにさせるなよ明久。速攻で残り2アウトをもぎ取る》

 

《了解雄二!》

 

アイコンタクトを交わし、5番打者がバッターボックスに入り召喚獣が現れる。

僕は召喚獣に指示を出し───

 

 

 

『ストライクッ!』

 

 

 

 

『ストライクッ!』

 

 

 

 

『ストライクッ!バッターアウト!』

 

 

5番打者を速攻で3ストライクさせ、続く6番打者もストレートの3ストライクし、攻守を入れ替えた。

 

「よし、行くぞおまえら!この勝負、俺らが勝つぞ!」

 

『『『おーう!!』』』

 

雄二の激励に声を震わせて、僕らは攻撃に転じた。

Fクラス、1番最初の打者は───

 

 

「行くぞ!試獣召喚(サモン)っ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───秀吉だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 











次回 『激闘!発熱続く文月学園体育祭!』 Let GO to The Next Baka Live!
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