僕のヒーローアカデミア〜Dark Knight〜 作:ΣiGMA
〝
母親は〝第四世代〟の個性持ちでヒーローだった。
父親が誰かは知らない。俺が物心ついたときには既にいなかったからだ。
母親の個性は自身がイメージしたものを現実にする〝投影〟.........しかしそんな母も病に倒れ亡くなってしまった。
当時まだ子供だった俺は母の妹、つまり叔母夫婦に引き取られ、本当の息子のように大事に育てられた。
そんな叔母夫婦にも一つ下の娘がいて、彼女は俺が引き取られた日からかなり懐いていた。
彼女の名前は〝
故に俺が来た時にはもう車椅子の生活を余儀なくされていた。
しかし理科はそんな自身の境遇に悲しむこと無く、前向きで明るい性格だった。
「今日からは義兄さんに車椅子を押してもらえますね♪」
なんて言っていたのがつい最近の事のように思える。
ちなみに彼女も個性持ちだ。個性は〝
そんな自慢の義妹は将来、ヒーロー育成学校である雄英高校のサポート科への入学を目指すそうだ。
俺も未来のヒーローとなるべく、中学卒業後は雄英高校へと入学する.........はずだった。
しかし試験当日に運悪く落石事故に遭遇してしまい、それにより試験を受けることは出来なかった。
俺は失意のままに滑り止めで受けた一般高に入学.........理科はその事を残念がっていたが、俺としては入学先の高校が良い高校だった事もあって不思議と不満は無かった。
来年、理科が目標を叶えてくれればそれで良かった。
ヒーローになる事を諦めた訳では無いが、ヒーロー育成高校に入らずとも別の方法でヒーローになる術はあるはずだ。
だから......。
だから今だけはヒーローになる事を忘れ、高校生活を謳歌しよう.........そう思っていたはずだった。
しかしある事がきっかけで俺は望まぬヒーロー生活を送る事となる。
政府非公認のヒーロー、〝ダークナイト〟として......。
▷▶︎◀︎◁▷▶︎◀︎◁
きっかけは金を下ろすために入った銀行での事だ。
そこに偶然銀行強盗が押し入り、職員に向けて金を要求した。
強盗は3人......その全員が個性持ちだった。
俺を含めた客の大半が個性持ちだったが、皆強盗に怯えて動けないでいる。
(ここは俺が......いや、でも周囲を巻き込む可能性が!)
俺は強盗成敗を成功させる為に必死になって考えた。
そして徐に手を挙げると、強盗の一人にこう言った。
「す、すみません......と、トイレに行かせては貰えないでしょうか?」
「あぁ?我慢しろ。」
「貴方は結界寸前の状態で我慢出来ますか!」
「チッ......仕方ねぇ。おい、コイツをトイレに連れてけ!もし逃げ出そうとしたら殺して構わねぇ!」
「はい!」
こうして見事に強盗の一人を誘き寄せる事に成功した。
あとはトイレでコイツを倒すだけ......。
(黒いレインコートに仮面......か。)
「さっさと用を済ませろ!」
「でっかい方ですけど......?」
「どっちでもいいからさっさとしろ!」
男にそう怒鳴られ個室に蹴り飛ばされる。後で覚えとけよコンチクショー。
そうして個室の中で待つこと一時間......見張りの強盗が痺れを切らしたのかドアを思いっきり叩いてくる。
「おいまだか!いつまで入ってるつもりだコラ!」
「べ、便器にハマっちゃって......た、助けて!」
「はぁ?どういう事────ぐぁ!?」
ドアを開けた男の顔面を全力で蹴り抜くと、男はその場でよろけ後の小便器に後頭部をぶつけ気を失った。
俺は直ぐに男から黒のレインコートと仮面を奪い取ると、男を縛り付けてから銃を乱射した。
そしてレインコートと仮面をつけて窓口へと戻る。
「おい......あのガキはどうした?」
「銃声聞こえなかったですかね?逃げようとしたんで殺しましたよ。」
その言葉に客達が悲鳴をあげる。
まぁ自分の事とはいえ、こうも絶望感を出されるとネタバレしづらいな。
「そうか......どうせここにいるヤツら全員殺すつもりだったんだ。だから一人二人殺ったところで何も変わりゃしねぇよ。」
やっぱり殺す気だったか......なら絶対に阻止しねぇとな。
リーダーと思わしき男は客達の方を向くと、声高らかにこう言い放った。
「さぁ、ここにいるヤツら全員撃ち殺せテメェら!!」
「え?撃っていいんですか?」
「はぁ?」
俺の〝撃っていいんですか?〟という質問に拍子抜けするリーダー。
「あ......当たり前だろぉぉぉがぁぁぁ!!寝惚けた事言ってねぇでさっさと撃てや!!」
「分かりました......それでは言われた通りに。」
ダァン......ダァァァン!!!!
『ぎぃやぁぁぉぁぁ!?』
一発目はもう一人の手下の足を、もう一発はリーダーの銃を持った手を撃ち抜いた。
その事により2人は声を揃えて悲鳴をあげる。
「テメェ......何のつもりだ?」
撃ち抜かれた手を抑えながら睨みつけてくるリーダーを前に、俺は首を傾げながら答える。
「いや......〝撃て〟って言われたもんで。」
「アホか!?俺らじゃなくてコイツらに決まってんだろ!!」
「はぁ......それなら俺には無理ですね。」
「あ"ぁ?」
「だって俺......あんたの手下じゃないですもん。」
変えていた声帯を元に戻してそう言い放つと、リーダーは目を見開いて俺を見てくる。
「テメェ......何もんだ?」
「答えかねますね。まぁ、〝通りすがりのヒーロー〟とでも言っときましょうか。」
「ふざけんな!!」
リーダーは急いで落ちていた銃を拾うと、俺に向けて発砲してきた。
しかし俺はそれを自身の体を〝粒子分解〟させて避ける。
そしてリーダーの目の前で元に戻ると、自身が手にしていた銃とリーダーの銃を分解と再構築で融合させる。
十字の形でくっ付いた銃にリーダーはその場で腰を抜かしてしまった。
「て、テメェ......まさか個性持ちか!?」
「気付くのが遅せぇよ。」
最後にリーダーの顎を蹴り抜いて気絶させると、未だに悶絶している手下と共に縛り上げた。
そして震えている客達に優しく声をかける。
「大丈夫だったか?」
「は、はい......でも、一人の少年が......。」
「安心していい。彼は無事に逃げ出す事ができ、俺に助けを求めてきたのだ。本当に偶然出くわして本当に良かった。」
「貴方は一体......。」
「通りすがりのヒーローだ。それでは!」
最後にそう言って颯爽とその場から撤退する俺.........このままいて奴らの仲間と勘違いされるのもそうだが、正体バレするのも嫌なので逃げるのだ。
そうして銀行から出た俺は帰る途中で金を下ろしていない事に気づいてコンビニのATMに駆け込んだのだった。
その事がきっかけで俺の秘密のヒーロー活動が幕開けるのだが、俺はこの時既にヒーロー達が行動に移していることを知る由もなかったのだった。
これはそんな俺とヒーローとヒーローを目指す奴らの物語......。
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