蒼い月   作:雨にんじん

19 / 21
ギルド『蒼い月』

この世界の4大国家のひとつ、ランスニュイア国の国家公認ギルド。
その戦力は1国と渡り合えるほどの戦力を持っていた。
ギルドマスター"アルテミス"の死後、ギルドは衰退し解散する。

拠点だった酒場宿には、最後のギルドメンバーの1人「オルファリス」が、
アルテミスの子「アテナ」と、戦災孤児で引き取った「パラス」の
二人の少女と一緒に慎ましく暮らしていた。

ある日、助けを求める不思議な声のもとへ、夜中部屋を抜け出し向かう少女たち。
その人物は光る羽根を生やした天使なる存在「ミカエル」であった。

ミカエルは捕らわれた場所から解放してくれた礼として、
パラスには「亡くなった両親へいつか逢わせる事」約束し、
アテナには「パラスの夢を叶える為の運命とチカラ」を授けた。

"血の契約"

そしてミカエルは二人へ忠告する。「この村を離れるように」と。
2人は忠告通り、急いで村を飛び出して山を登る。
振り返ると、彼女たちの育ったエンドラの村は業火に覆われて焼かれていた。

何もかもを失った二人。

そして2人はランスニュイアの女軍兵アストライア大佐に出会い、
使用人として働きながら学び、国に仕える兵を目指すことになった。

ミカエルとの血の契約後から、アテナは食欲を失う。
そんな身体の異変を抱えたまま、使用人生活が始まった。

そして時は流れ数年後…。
ランスニュイアの兵になる為の試験が始まる。

**********************************************************************

■アテナ=パルティナ■
短いくせっ毛の栗色の髪。栗色の瞳。男の子みたいな容姿をした少女。
事故死したギルド「蒼い月」のギルドマスター、アルテミスの一人娘。
活発で行動的だが、お馬鹿でお調子者。パラスが大好き。

■パラス=ルイアーナ■
長くまっすぐ伸びた金色の髪。真っ白い肌。人形の様な可愛らしい容姿の少女。
戦災孤児となった後、ギルド「蒼い月」の幹部ゼファに拾われる。
時折我儘な面もあるが、人の話をよく聞く優等生。アテナが大好き。

■オルファリス=ルアイル■
薄氷のような美しい容姿。青色の長髪。青色の瞳。難病を患った女性。
アテナとパラスと3人で、解散したギルド拠点の酒場宿に住んで暮らしていた。
元ギルド「蒼い月」の副マスター。

■ゼファ=ユイオン■
汚らしい身なりの無精ひげを生やした中年男。
難病のオルファリスを気にかけ、酒場によく顔を出していた。
元ギルド「蒼い月」の幹部。

■ミカエル■
超長身の謎の男。自分を大天使と名乗り、アテナと血の契約を交わす。

■アルテミス=パルティナ■
二つ束ねの栗色の髪。栗色の瞳。「群青の月姫」という異名を持つアテナの母。
かつて精鋭ぞろいのギルド「蒼い月」のギルドマスターだったが、
魔法詠唱実験で事故死する。(その後ギルドは衰退し解散。)

■アストライア=クェス■
赤い短髪。赤い瞳。凛とした佇まいに華がある男勝りな女性。
ランスニュイア国の軍兵(大佐)。諜報活動が主な仕事。
アテナとの出会いに運命を感じ、生きる道を示す。

■アヤ=マキナーシブル■
黒色の長髪。褐色肌。アストライアに使える使用人。
常に無表情で正面を見たまま目を合わせずに淡々と喋る長身の少女。
口調も表情も硬いが、利口で気づかいが出来る使用人として優秀な子。

■リゼット=リスタニア■
2つ結びのオレンジ色の髪。八重歯がチャームポイントの可愛らしい少女。
使用人4人の中では最年少。年の割にはしっかり者で仲間想い。
使用人の先輩として、パラスに色々と教えることになる。

■フォルテシモ■
アテナとパラスを襲った死人の様な謎の青年。

■ボン=ルシューマ■
ランスニュイア城下町はずれの鍛冶屋の店主。恐妻家。

■Dr.ボラージュ■
エンドラの村はずれにあった謎の研究所の責任者。村消滅後は行方不明。



使用人生活編3 - 入隊試験 -
試験


ランスニュイア城。アテナ達の住む一角。

その日は使用人達皆が慌ただしく、これからの大事な試験の支度をしていた。

 

一人を除いて。

 

そう今日は使用人全員のランスニュイア国軍、入隊試験日。

 

ガチャガチャと焦りながら食器を洗うアテナの後ろを、

支度を終えた他の使用人たちが通り過ぎる。

 

一番最初に通りかかったのはリゼット。焦るアテナの背に声をかけた。

 

「アテナまだ食器洗ってたのですかー?遅刻してしまうのですよー?;;」

「え…うそ。リゼちゃんもう行けるの?え…まって全然終わんない…;;」

「仕方ないのです…リゼが食器を水で流すので早く洗うのですよアテナ♪」

「リゼちゃん…キュン///;;」

 

次にアヤが通りかかる。急ぐ二人の様子を首を伸ばして見にやってきた。

 

「アテナ?まだ食器洗ってるのですか。支度は済んでいるのですか?」

「うう…まだ何もおわっでない…;;;」

「あなたという人は…食後の片づけは任せてほしいん!とか言った

 あなたの言葉を全面的に信用した私が愚かでした…。」

「だって…試験の日だってことすっかり忘れちゃってて…。」

「早朝にお伝えしたでしょう…。仕方ありませんね…。私が食器を拭いて片付けます。」

 

そして最後にパラスが通りかかった。

 

「みんな何してるの?いかないの?」

「アテナの仕事が終わらないので手伝っているのですよ♪パラス」

「そう。」

 

そう素っ気なく答えるとパラスは通り過ぎて行った。

"そっとしておいてあげよう"と決めた日からアテナはパラスと口をきいていない。

アテナは寂し気にため息をつくと、真後ろからパラスの声がして驚いた。

 

「どいて。わたしが洗うからアテナは早く支度してきたら?」

 

仏頂面だけど久しぶりにパラスの優しさに触れられて、

アテナは少し泣きそうになりながら返事を返した。

 

「う…うん!うん!///ありがとうパラス!」

 

 

 

なんとかアテナも無事支度を終え、入隊試験の場であるいつもの訓練場所へとついた。

いよいよここで試験が行われる。四人が無言で待機していると、

そそくさとアルベルアが二人の兵と共にやってきた。

 

「やぁやぁ。これで全員かな?」

 

全員が緊張をしながら返事をする。

 

「本当はアス…いえアストライア大佐が試験官を務めるはずだったのですが、

 彼女は今とても忙しいみたいなので、代わりを頼まれちゃいましてね。」

 

アストライアの気品あるイメージとは程遠い風貌。

頼りなく気さくな笑みを浮かべるこのメガネ男の次の言葉に、アテナ以外が驚愕した。

 

「代理を務めます。わたくしアルベルアといいます。」

 

全員が身を凍らせている中、唐突にアテナは緊張した様子でアルベルアに話しかけた。

 

「う、うっす!;アルベルアさん!今日はよろ…んご!!!」

 

話し途中のアテナの口をアヤが手で慌てて覆った。

苦しそうに驚くアテナへアヤが耳打ちをする。

 

「おバカなんですか!?あなたは!!アルベルア参謀長です!!

 この国の3番目に偉い人ですよ!お許しがなければ話しかけてはいけません!」

「え…マジ?;;」

 

パラスとリゼットは恥ずかしくて手のひらで自身の目を覆った。

するとその出来事を大笑いしてアルベルアは受け入れた。

 

「ぶふっ!あっはっはっは!いいんです。気にせず話してもらえた方が私は嬉しいですから。」

「そ…そうでありまっすか?えへ///えっへへへへ///」

 

一緒に照れ笑うアテナに、アルベルアの付き人兵士が我慢の限界を超えて一喝した。

 

「貴様!いい加減身をわきまえんか!!!」

 

その怒声にアテナ達四人は身を震わせ驚き直立した。

アルベルアは兵をなだめると、アテナへ近づき目線を合わせてしゃがみこんだ。

 

「君がアテナくんだね。アスから話はたくさん聞いていますよ。」

 

アテナはジっとアルベルアの話を聞いていた。

 

「色々しがらみがあって面倒ですが、少しずつでいいんです。一緒に慣れていきましょうね。」

 

そういうとアルベルアは更に小声でアテナへと話しかけた。

 

「私もこういうのがとても苦手なのでw内緒でアテナくんとお友達になれたら嬉しいです♪」

 

そういうとアルベルアは笑顔でアテナに握手を求めた。

 

 

 

そして入隊試験は始まった。

体力テスト・実技テスト・魔法テスト・様々なテストを終え、日もだいぶ沈んできた頃、

いよいよ最終試験となる問いが書かれた紙が其々に手渡された。

 

アルベルアは皆にこう伝える。

 

「本日の試験はこれで終了となります。二日目となる明日、

 また午後にその紙に書かれた問いの答えを聞かせてもらいますので、

 それまでに各々答えを探し求めて下さい。」

 

そして青白い刻印の入った城の通行手形と、白く輝くカードが四人に手渡された。

 

「それまでの城の行き来は自由です。飛行魔法のライセンスカードも渡しておきます。

 決してなくさないように。それと、遠出の森の中だけは現在警戒区域ですので、

 決して立ち入らないようにしてください。」

 

 

「以上です。では一時解散。」

 

 

 

日は落ちてすっかり夜。いつもの居間にと戻ってきた4人。

リゼットが皆に話しかけた。

 

「みんな晩御飯はどうするですか?」

 

外出用のフードコートをかぶりながら、飛行魔法用のほうきを手に取りアヤは答えた。

 

「私はまずこの紙に書かれた問いの答えを見つけようと思います。リゼ。」

 

その答えにパラスも答えた。

 

「私もそうする。それぞれ出先で済ませたらいいんじゃない?」

「わかりましたです♪では私も出かけますですよー♪」

 

其々が居間から出ていくと、ひとりポツンと取り残されたアテナ。

食卓の椅子に座り、問いの書かれた紙を見つめた。

 

「私の適正は前衛職のナイト。前衛でもっとも大切なものとは何か???か…。」

 

天井をみつめて悩むアテナ。

 

「やっぱり仲間を守らないといけないんだから"仲間"じゃないのかな…?」

 

深く悩みながら強く紙を握っていると、うっすらと紙は光だし問いの続きの言葉を浮かびあげた。

 

「えなに…んん?なんだろ…。ボン=ルシューマに会うが鍵?」

 

それは聞き覚えのある名前だった。

 

アテナはさっそく外出用のフードコートをかぶり、

鍛冶屋の店主ボンの元へと向かうのだった。

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。