鬼巫女日常綺譚   作:鉄夜

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第7話

大量の鬼が逃げ惑う人々を追いかけ進んでいた。

 

人々は助けを求めて泣き叫びながらか逃げていた。

 

先頭を行く鬼が追いつき、その爪で目の前の獲物を切り裂こうとした時。

 

ズガァン!

 

その額に加州の突きが炸裂し、

そのまま押し倒して地面に磔にする。

 

加州は敵の頭から刀を抜くと、

背後の敵を逆袈裟に斬る。

 

再び背後から襲って来た敵の攻撃を避け、背中越しに心臓を突き刺す。

 

その背後上空から1匹の鬼が飛びかかろうとするが、

 

「コード103。」

 

その声と共に上空に現れた肥前が地面に串刺しにする。

 

地面に刀を刺して膝まづいている肥前の周囲から鬼が襲いかかるが、

 

「コード302。」

 

肥前の周囲に巨大な岩の棘が出現し、鬼達を串刺しにする。

 

岩のトゲが崩れると、肥前の正面から複数の鬼が襲いかかる。

 

肥前は刀を構えると、敵を斬りながら走り抜け、加州と背中合わせになる。

 

「加州さん!」

 

「肥前、無事でしたか!」

 

2人は互いの背中を守りながら戦う。

 

「この鬼、一体どこから!」

 

「おかしいですね、

予兆があれば報告があるはずですが・・・。」

 

「この数、私達だけだといつか抜けられます?」

 

「大丈夫ですよ、

椒林剣さんならこっちに援軍を送ってる筈です。」

 

「ならそれまで!」

 

肥前が高速移動して敵を10体ほど一瞬で斬り飛ばす。

 

「私達で持ち堪えるしかないですね。」

 

「そうですね!」

 

加州は正面の鬼が繰り出してきた爪を避けて腕を切断し、そのまま首を刎ねる。

 

背後から襲ってくる敵の顎を背中越しに鞘の先で打ち、空中に浮い所を振り返りざまに胴体を横に両断する。

 

その加州の顔の横を肥前の投げた刀が通過し、加州を背後から襲おうとしていた鬼の頭に突き刺さる。

 

肥前は襲ってきた敵の股下をスライディングで通り抜け、

敵の亡骸に刺さった刀を抜いて、

回転するように周囲の敵を斬る。

 

刀を逆手に持ち、地面に刺して妖力を込めてから真上に斬りあげると縦状の斬撃が敵を切り飛ばす。

 

2人は再び背中合わせになる。

 

「キリがないですね・・・。」

 

「ええ、斬っても斬っても湧いてくる・・・。」

 

2人がうんざりしていると。

 

「かかれぇぇぇぇ!」

 

叫び声と共にたくさんの鬼巫女が鬼に攻撃を仕掛けていた。

 

「無銘部隊、ようやく来ましたね。」

 

「加州さん。」

 

「ええ、巻き返しますよ!」

 

「はい!」

 

2人は無銘部隊と共に応戦するが、敵の数は増える一方であった。

 

「キリがない!」

 

「くっ!」

 

と、肥前の視線の端に何かが見えた。

 

それは何かが敵を斬り飛ばしながらこちらに進んでくる姿だった。

 

その影は文字通り目にも止まらぬ早業で手に持った刀を鞘から抜き敵を斬り裂いては刀を鞘に戻しを繰り返しながらこちらに歩いて近づいてきていた。

 

その人物が近づいてくるにつれ、

その輪郭がはっきりしてきた。

 

美しい銀色の髪に、銀色の瞳を眠たそうに半分閉じている少女、

菊一文字則宗はこちらに向かって手を振ってくる。

 

「やっほーキヨ〜。

お待たせ〜。」

 

「お菊!

応援感謝します!」

 

「いいっていいって〜。

で、そっちは新人さんだよね〜。」

 

菊一文字は肥前に向かって頭を下げる。

 

「はじめまして〜、

菊一文字則宗です。

よろしくね〜。」

 

「ご・・・ご丁寧にどうも。

って後ろ!」

 

肥前の言う通り、菊一文字の後方から鬼が3匹襲いかかろうとしていた。

 

「ダメだよ〜。

人の自己紹介を邪魔したら〜。 」

 

菊一文字は鯉口を切ると、

右手で刀を抜いて後方に一回転するように振るい、また元の位置に戻る頃には刀はまた鞘にほとんど納まっていた。

 

「死んじゃうよ〜。」

 

パチンと菊一文字の刀が完全に鞘に納まると、敵の体ばばらばらになって崩れ落ちる。

 

「は・・・速い。」

 

肥前の呟きを聞いてか、

菊一文字は自慢げに言う。

 

「あたぼうよ〜。

なんたって菊ちゃんの剣は鬼巫女最速だもの〜。

まぁ、足は七星剣さんに負けるけど〜。」

 

そこに、3人のインカムに連絡が入る。

 

『鬼の発生源を特定しました。

今から腕輪のマップに位置情報を送信します。』

 

加州が腕輪を操作すると、腕輪の上にホログラムで小さな地図が現れ、その中で赤い点が点滅していた。

 

それを確認して加州は口を開く。

 

「肥前、先に行ってください。」

 

「え?」

 

「これだけ人が居れば大丈夫だよ〜。

だからここは先輩たちに任せなさ〜い」

 

「・・・分かりました!」

 

肥前は目標地点に向かって駆け出そうとした。

 

「肥前!」

 

加州に呼び止められ、肥前は立ち止まる。

 

「肥前、たとえ目の前が絶望で染まろうとも、光を見失わないでください。」

 

「・・・え?」

 

「お行きなさい!」

 

その言葉で、肥前は再び走り出した。

 

「キヨは優しいね〜、

あんなこと言うなんて〜。」

 

「いいえ、ひどい先達ですよ。

あの先に何があるか知っていて行かせるんですから。

だからせめて。」

 

加州と菊一文字は2人は振り返らずに背後に刀を突き出す。

 

加州の刀は後ろから襲ってきた敵の腹部を突き刺し、

菊一文字の刀は同じく首を貫いた。

 

「先輩らしく、後輩に華は譲りましょう。」

 

「りょうか〜い。」

 

#####

 

一方。

 

蜻蛉切と一緒にいた城和泉は目の前の光景に唖然としてい。

 

「せいやああああああああ!」

 

蜻蛉切は槍を縦横無尽に振り回し、鬼の群れを相手に大暴れしていた。

 

蜻蛉切が槍を一振すれば、

大量の鬼が一瞬で肉塊とかす。

槍の風圧だけで少なくとも10匹は鬼を吹き飛ばしていた。

 

当の蜻蛉切の顔には返り血が飛び散っていたが、瞳孔が開いたその顔には楽しそうな笑顔が浮かんでいた。

 

それを見ていた城和泉は、

 

(うわぁ・・・)

 

ドン引きしていた。

 

(なんやあの子、1人だけ別ゲーしてるやん。

ウチら基本ACTなのにあの子だけ無双ゲーしてるやん。)

 

巨大な鬼は胴体を綺麗に両断され、

あるものは殴り飛ばされ壁に大の字でたたきつけられる。

 

遠くから大型の鬼が巨大な瓦礫の塊を投げてくれば、

蜻蛉切はそれに目掛けて槍を投げ破壊すると、槍はそのまま敵を打ち貫く。

 

敵に刺さった槍は光を放って消えると、

蜻蛉切の手元に戻って来た。

 

「次!」

 

そう言って敵に飛びかかる蜻蛉切はまるで子供のようにはしゃいでいた。

 

「子犬やと思たらとんだ狂犬やなぁ。

ってあぶない!」

 

その声に蜻蛉切が顔を上げると、

巨大な瓦礫が降ってきていた。

 

「2度も同じ手を・・・っ!」

 

鬼の1匹が口から放った光弾が、

蜻蛉切の右足を貫き、彼女は膝を着いた。

 

それでも瓦礫を破壊しようと顔を上げると、

 

スパァン!

 

瓦礫は蜻蛉切の真上で真っ二つに切断された。

 

「・・・え?」

 

蜻蛉切が唖然としていると空中か一人の少女、鉋切長光が着地してこっちに歩いてきた。

 

「あははは、暑くなりすぎだよ、新人ちゃん。」

 

膝をついている蜻蛉切に鉋切は手を伸ばす。

 

「あの・・・私足が。」

 

「よく見てみな、もう治ってるよ。」

 

「えっ?

あ、ホントだ。」

 

足が治ったのに気づいて蜻蛉切が鉋切の手を握って立ち上がると2人はそのまま握手をする。

 

「私は鉋切長光。

呼ぶ時は(かんな)でいいよ。」

 

「蜻蛉切です!

さっきは助かりました。

ごめんなさい、私どうかしてて・・・。」

 

「いいっていいって!

失敗しないで成長しない子は居ないよ。」

 

と、2人の真上から複数の鬼が襲いかかる。

 

が、

 

シュパッ!

 

敵はばらばらになり崩れ落ちる。

 

シュルシュルと音を立てて、血のついた複数のワイヤーが城和泉が両手に着けているグローブに納まっていく。

 

「ウチになんか言いたいことは?」

 

と、城和泉がドヤ顔目決めると、

 

「敵を解体(ばら)す時は真下に人がいないか見てからにして欲しぃなぁ。」

 

敵の血肉を頭から浴びて体が真っ赤に染った鉋切が不機嫌そうにしていた。

 

「ごめん。」

 

城和泉が鉋切に謝罪したところで、大勢の無銘達が押し寄せてきた。

 

それと同時に、3人の腕輪に鬼の発生源の位置情報が送られてくる。

 

「お、来よったなぁ。

鉋、頼んだで!」

 

「あいよ!」

 

鉋切は刀を両手で持つと妖力を込めて下から上へと斬りあげる。

 

すると、巨大な斬撃が敵を吹き飛ばしながら走り抜け、道が開けた。

 

「行け、蜻蛉。」

 

「え?2人は?」

 

「うちらはこいつら相手しなきゃだからねぇ。

あとは頼んだ!」

 

「うん!わかった!」

 

2人に促され、蜻蛉切も地図が示す場所へと向かった。

 

#####

 

「うおおおおおおおおおおお!」

 

「うおらあああああああああ!」

 

鬼丸と同田貫も鬼達を相手に戦っていた。

 

2人ともお互いの背中を守りながら、大群を相手に大立ち回りをしていた。

 

鬼丸は鬼の攻撃を避けて足払いをして転倒させ、心臓に刀を突き刺す。

 

振り下ろされた鬼の掌を突き刺し左手に持った鞘で鬼の側頭部を殴り、頭蓋を叩き砕く。

 

動かなくなった敵から刀を足で外していると、

後方で爆発音が鳴り響いた。

 

鬼丸が振り返ると煙が立ち上がっており、覚醒して両目が黒く染った同田貫が宙に舞っていた。

 

「鬱陶しいんだよ!雑魚がっ!」

 

同田貫は横に一回転しながら腕を振りかぶる。

 

手のひら手の上でバチッと火花散り、

 

「爆ぜろ!」

 

叩きつけるように腕を振り下ろすと爆発を起こして敵の群れを吹き飛ばす。

 

その爆発で再び空に飛んだ同田貫は空中で一回転して体制を整え、

制服の内ポケットからパチンコ玉を握れるだけ取り出す。

 

「オラよ!」

 

それを敵の群れに投げつけると、

パチンコ玉は爆発し敵は四散する。

 

同田貫が着地すると、

鬼丸は呆れたように言う。

 

「派手っすね、

いつもそんなふうに戦ってんすか?」

 

「おめぇも好きに暴れていいんだぞ、

建物をいくら壊そうが、金を出すのは国だからな。」

 

「そうっすか・・・それなら!」

 

鬼丸は覚醒し、右目が黒く染まる。

 

刀を炎が包み込み、燃え上がる。

 

「遠慮なく暴れさせてもらうっすよ!」

 

鬼丸はそう言って目の前の鬼達に飛びかかる。

 

鬼丸が鬼を袈裟斬りにすれば、傷口から炎が燃え広がり鬼の体を焼き尽くす。

 

背後から攻撃しようとする大型の鬼の足を鬼丸の鬼の腕が掴んで空中に持ち上げ他の鬼にハンマーのように叩きつけられる。

 

そこに燃え上がった刀を振り下ろすと火柱が上がり、周囲の敵をやき尽くす。

 

鬼の群れに突っ込み、炎を纏わせ巨大化させた鬼の腕で一気に30体ほどを殴り飛ばす。

 

鬼丸と同田貫、2人の戦場は爆音が響き渡り、そして土埃と血飛沫で溢れていた。

 

それを鬼を倒しながら遠目で見ていた無銘の鬼巫女達は明らかに引いていた。

 

「うっわぁ。

私ら今からあそこに行くの?」

 

「巻き添えくらいそうなんだけど・・・あんな所に突っ込むバカいるの?」

 

そんなことを呟く鬼巫女たちの耳に、その声は聞こえてきた。

 

「そこまでだ鬼共!」

 

声の主は、高い建物の上から腕を組んで叫ぶ。

 

「天が呼ぶ!地が呼ぶ!人が呼ぶ!

鬼を倒せを我を呼ぶ!」

 

その鬼巫女、九字兼定はまるで戦隊ヒーローのようにポーズを決めて叫ぶ。

 

「臨!兵!闘!者!皆!陣!列

!在!前!

輝く九字は正義の証!

九字兼定!只今参j」

 

ドカアアアアン!

 

九字が立っていた場所に、鬼丸に殴り飛ばされた鬼がぶつかって破壊する。

 

「あ?どうした鬼丸!」

 

「いや、なんかバカが1人で叫んでたんで黙らしときました。」

 

「よくやった。」

 

「そこで・・・褒めるなあああ!」

 

煙の中から飛び出してきた九字は鬼丸に詰め寄る。

 

「ふざけるな貴様!

名乗りの最中に攻撃するやつがあるか!」

 

「この非常時に馬鹿やってんじゃねぇっすよ。

アホなんすか?アホなんすねわかりました。」

 

「初対面でアホ呼ばわりはやめろ!」

 

「いいからさっさと戦えアホ。」

 

「アホじゃない!九字!九字兼定!

ったく!」

 

九字は再びポーズをとる。

 

「変身!」

 

その言葉と共に覚醒すると、

九字の頭から足先まで全身を赤い鎧が包む。

 

鎧を身に付けた九字は敵に向かって構えを取る。

 

「さぁ、覚悟しろ鬼共!」

 

それを鬼丸は少し冷めた目で見ていた。

 

「何やってんすか、あれ。」

 

「ヒーロー志望なんだよ。

察してやれ。」

 

九字の正面から鬼が1匹飛びかかると、九字はその顔面を殴り飛ばす。

 

鬼はほかの鬼を蹴散らしながら土煙を上げて吹き飛ぶ。

 

続いて九字は跳躍し、

空中から急降下して地面を殴りつける。

 

鬼達がその衝撃で空中に浮くと、

拳を天に向かって突き出し、衝撃波で敵を天高く吹き飛ばす。

 

鬼の1匹に飛びかかり、

空中で回し蹴りをして首を飛ばす。

 

九字は、素手で次々と敵を屠っていった。

 

と、そこで腕輪の地図に鬼の発生源の位置情報が送られてきた。

 

「田貫さん。」

 

「鬼丸、ここは俺と九字で引き受ける。

お前は先にいけ。」

 

「2人の腕を疑うわけじゃねぇっすけど・・・大丈夫なんすか?」

 

「大丈夫だ!」

 

鬼丸の問に、同田貫ではなく九字が答える。

 

「正義は決して敗れない!

だからお前も成すべきを成せ!」

 

「・・・了解っす!」

 

鬼丸は、目標地点に駆け出した。

 

鬼丸が去ったあと、田貫はニヤニヤしながら九字に話しかける。

 

「かっけぇこと言うじゃねぇのー。

九字先輩。」

 

「事実を言ったまでだ。

正義の味方は・・・ヒーローは決して負けない。

それに・・・。」

 

九字は敵に向かって構える。

 

「背中を友に任せているのだ!

尚更負ける要素が見つからん。」

 

「ははっ、言ってくれるねぇ。

・・・いくぞ!九字!」

 

「応!」

 

2人は、眼前の敵を睨みつける。

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