君が帰る場所   作:pwpa

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踏み出す勇気

告白してから数日過ぎたけど、なんもやる気しねぇ

大雅も気を使ってくれてるのか合コン組んでくれてるけど、やっぱり簡単に気持ちは変えられねぇのかな

 

『ピンポーーン』

 

あいつの言う通り無理だったんだよな、きっと腹抱えて笑ってるんだろうなー……

 

『ピンポン』『ピンポン』『ピンポーーン』

 

なんかムシャクシャしてきたな…

 

チャイムが鳴っても出る気がしなかったはずなのに、今回はどこにも発散できなかった怒りをぶつけてやるつもりでドアを開けた

 

「うるせーなこの野郎!!」

 

「やっと出てきた」

 

長い髪をうしろで束ねていたせいか、一瞬誰か分からなかったけど、その笑顔だけは忘れなかった

 

「やぁやぁ先走り少年、ご機嫌麗しゅう」

 

「何の用だよ」

 

「ここじゃなんだし、入らせて」

 

断る間もなく隙間を縫うように部屋に入り込まれた

 

「汚いね……カビでも生えてくるんじゃないの?」

 

「勝手に入ってきていきなり文句かよ!」

 

「あたしの部屋の穴からあまりよろしくない臭いが来てるの、つまりどういうことかわかるよね?」

 

そりゃ…ほとんど換気もしてないし、外にも出てないし、掃除もあの日以来してないな

 

「掃除して」

 

「今そんな気分じゃねーんだよ」

 

「今やらないって言う人は必ず後になっても終わらない

告白失敗してウジウジしてこんな感じに腐るなら、告白なんてしなきゃ良かったのに」

 

「しょうがねぇだろ!理屈じゃないんだよ!

あの雰囲気でならいけると思ったんだ

それに、お前の思い通りに動くのは嫌だったんだよ」

 

「人のせいにするのは格好悪いよ

そもそも、西城さんについてどれくらい知ってるの?

誕生日、好きなもの、好きな音楽、苦手なものでもいくつか知ってる?」

 

言われてみればホラー系が好きということ以外は全然知らないけど

 

「そんなのこれから知っていけば良いだけだろ」

 

「目の前の事しか考えていない六道さんにそんな器用な事が出来る?

まだ言いたいこと沢山あるけど、あたしも手伝うから掃除しよ、ここじゃまともに呼吸もしたくないし、あたしの部屋まで臭くなる」

 

昼頃から夜にかけて掃除を進めていった

 

「よくもまぁ数日でここまで汚したものだね」

 

「明日にでも掃除しようと思ってし」

 

「あーそうですか

とりあえずお腹すいた、ご飯行きましょ

当然六道さんのおごりで」

 

「なんでそうなるんだよ!」

 

「だってここまでして、何にもありませんっておかしいでしょ?」

 

断れない……財布のなかを確認してもテーマパーク用に服を新しくしたり財布を新調したり、普段行かない美容院へ行ったりで今月はかなり厳しい

 

「マックで良いか?」

 

「は?」

 

「今月ピンチなんだよ……」

 

「この埋め合わせは必ずするーって言ったくせに何にもないのに、お金も無いと」

 

すごく残念そうなため息をつかれて少しだけ時間が過ぎた

 

「わかった、今日はあたしが出すからご飯行くよ」

 

「前みたいに作りゃ良いだろ?」

 

「こんな時間からそんな面倒なことしたくないの」

 

ちょっと待っててと言われてあいつは自分の部屋に帰り、暫くすると服に『燃料はナマ』とプリントされたTシャツに着替え、髪を下ろして戻ってきた

 

「お前ももう少しまともな服着ろよ」

 

「六道さんと出掛ける為だけにこれ以上何を着ろと?」

 

あー……やっぱりこいつは無理だ

 

そう思いながらも奢ってくれるからと付いて行った店は、洒落た感じの個室のあるレストランだった

 

「高そうだけど大丈夫か?」

 

「ファミレスであたしと二人きりなところ誰かに見られても良いの?」

 

それは困るのだけど、メニューを見てもどれを頼んで良いのか分からない

あいつはメニュー見てオレを見ようとはしないし……

同じものにすれば良いか

 

注目する前に同じのでと伝えたのに、注目している時は別のものを頼まれていた

 

「なんで同じのにしねーんだよ」

 

「遠慮してるのか緊張してるのか分からないけど

そのどちらかだってことはあたしにだって分かるから」

 

嫌味な奴だなと思いながらも出されたものをどんどんと口にしていく

よくよく考えればここ数日まともなもの食べてなかったな

 

「それで?なんであたしが失敗するって忠告したのに告白なんてしたの?」

 

「だから、雰囲気に飲まれてここしかないって思ったからだよ」

 

「雰囲気に……ねぇ………」

 

「だってLINEだって沢山してるし、笑い合えることも増えたし、パレードの時は手も繋げてたし」

 

「それなら六道さんの家に入ったり、一緒に寝たり、覗かれたり、ご飯一緒に食べたり…タオル越しだけどキスまでしたあたしは六道さんの彼女ですか?」

 

「そ、それは違うだろ!」

 

「そう、違うね

だから今回のことも西城さんからしてみたら違う事なんだよ

あの後西城さんと色々と話したけどさ、六道さんに好意を持たれていたことに関しては嫌ではなかったみたいだよ」

 

「じゃあなんで断られるんだよ」

 

「ここからはあたしの憶測だけど、時間じゃないかな」

 

「時間?」

 

「パレード前まであった壁をやっと壊したところで六道さんが焦りすぎたってこと」

 

「だってよぉ……」

 

「まぁ良い情報をあげるのであれば、西城さんは六道さんのこと嫌ってはいないですよ」

 

「本当に!?」

 

「直接話をしたしね、夏祭りでも誘って焦りすぎたこと謝りなよ」

 

「また付いてきてくれたりとかは?」

 

「あり得ないですね~、テーマパークでの人混みでも嫌なのにお祭りとか行く人みんな死ねば良いのに」

 

「ひどくね?」

 

「まぁあたしから言いたいのはそれくらい

いつまでも腐ってるのは六道さんらしくないよ」

 

こいつなんかに元気付けられるなんてな…

 

「ありがとな、オレがんばるわ!」

 

「それと貸しが2つね」

 

なん…だと……!?

やっぱりオレこいつ嫌いだ

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