スマホをテーブルの上に置いてじっと見つめること数時間
あいつには誘うべきだと背中を押されたけど
本当にあいつの言ったことが本当だったのかと、今更ながら疑ってしまう
壁を叩いて少しするとあいつは穴から顔を出した
「なに?」
「本当に誘って良いのかな、ストーカー扱いされたりとか、キモがられたりとかしないかな」
「女々しいこと言ってないで、それすら誘えなかったらテーマパークで出来た溝が一生埋まらなくなるよ?」
「わかってるんだけどさ、なんて誘えば良いか一緒に考えてくれないか?」
「そんなの夏祭りは2日あるんだから、お互いに予定合わせれば良いでしょ?
あたし今忙しいんだからそんなどうでも良いことで呼ばないで」
「そこをなんとか……」
凄く嫌そうな顔をしながらも穴からオレの部屋に完全に移動してきて、オレのスマホを手に取った
「とりあえず文章は考えるから、良ければ送信して」
「お、おう」
それからすぐにオレへとスマホが返ってきて画面を確認するとcallと出ている
「考えて行動するタイプじゃないのに頭で考えようとしないこと、それじゃあね」
何かをオレが言う前にあいつは穴へと逃げていって、それとほとんど同時に小恋が電話に出た
『す、昴くん?』
「お、おう……久しぶり……」
『うん、久しぶりです』
「えっと……んと………まつり……」
『え?なんですか?』
1度深呼吸をして気合いを入れ直した
「夏祭り一緒に行かないか!?」
『えっと……』
「と、当然二人じゃなくて前みたいに御昴とか、大雅誘ってみんなでなんだけど、嫌か?」
『嫌ではないですけど、あたし何かが一緒に行ってよろしいのでしょうか』
「逆に来てほしいから誘ってるんだよ、今みたいにギスギスしたの苦手だからさ、オレが自分勝手なこと言ってるのは十分分かってるけど、小恋も一緒に来てほしいんだ」
『分かりました、また日時が決まり次第LINE下さい、待ってます』
電話が切れた瞬間まるでゴールが決まったサッカー選手並みのガッツポーズをしていたのだが、痛いほどの視線に気付いてその気配の方向、つまり穴の方へと目を向けると、頬杖を付いてジト目をしているあいつがいた
「あたしは行かないからね」
「そこを何とかお願いします!!」
「行・き・ま・せ・ん!
それに、九頭竜さんも夏休み後半は旅行だって言ってたでしょ?」
忘れてた!!あいつはボンボンだったんだ!
始業式ギリギリに別荘から帰ってくるとか言ってたっけな……
一応と思い電話をしてみても一言で断られた
「お願いだ!お前しか頼れる人がいねぇんだよ
人助けだと思って一緒に来て下さい」
穴に半身突っ込みながら全力でそう訴え続けること一時間、オレの顔面はあいつに叩かれ、蹴られ続けて見事に腫れ上がった
「ぼ、ぼでがいびまぶ(お、お願いします)」
「分かったから、もぅ……」
やっと折れてくれたところで力尽きた
小恋には大雅は来れなくなったことは伝えた
一応あいつもいるからデートではないよな?デートではないな、うん
安心してるのかガッカリしてるのか分からないな
「相変わらずはやいじゃん」
私服で来たのはあいつだった
「お前な、浴衣で行こうって言っただろ?
オレだって甚平来てきたのによ」
「あたしはその連絡に了承してないし」
「だからってなぁ」
それからすぐにカランカランと音をたてて浴衣を着た小恋もやってきた