君が帰る場所   作:pwpa

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日常というものはほんの少しの事で非日常へと変わる ③

「どういうつもり?」

 

「わ、悪い!変な意味はないんだ……

ただ六花ちゃんが今まで見てきた女の子の中で1番に可愛く見えて……いや、これは言い訳だ

嫌だったよな、水買ってくるから」

 

立ち上がろうとしたとき、今度はオレが六花ちゃんに捕まった

 

「一人だとまた泣きそうだから側にいて」

 

予想外過ぎる答えに少し戸惑いつつも腰を下ろした

 

「ならぽっかりと空いた穴が埋まるまではずっと側にいてやるよ」

 

あれ?オレ告白みたいな事言ってるのか?

え?告白したことねぇから分からねぇぞ

 

「それは告白?」

 

ですよねー

 

「六花ちゃんがそう思ってくれてるのであれば」

 

「ずるいなぁ、今あたしが断れるはずないのに」

 

「無理ならそれで良いからよ…」

 

オレの手の上に六花ちゃんの手が重なった

 

「友達として…だとしても九頭竜さんには甘えてしまうと思う、だからあたしで良ければ九頭竜さんの彼女にして下さい」

 

「マジで?」

 

「んー……九頭竜さんはあたしの中で好きか嫌いの二択で考えると好きだし

九頭竜さんが言った通り少しずつお互いを分かり合えれば良いんじゃないかなって思うから」

 

なんだろう、告白ってこんなにドキドキするものだったのか

 

「ならさ、まずはオレの事名前で呼んでみてよ」

 

「呼び捨ては苦手だからそれは良いよね、大雅さん」

 

「六花ちゃぁぁぁぁん」

 

オレの考えでは2年目くらいに友達として名前で呼んでもらえると思っていたから、嬉しさのあまりベッドに飛び込んだ

 

「ちょっと大雅さん!?」

 

「ちょっとの間だけで良いからさ、ギューッてさせて」

 

「それは構わないけど、エッチなことはまだしないでね」

 

密着している腰を少しだけ浮かせた

 

「分かってる分かってる、オレ六花ちゃんの為に今の女関係を全部解消するから」

 

「これで六道さんは西城さんのことだけを見ていられるよね」

 

「また自己犠牲?」

 

「そうじゃない……なんて言い切れないかも」

 

「六花ちゃんがそう思わないようにするためにオレがいる

だから今はオレなんかに時間を費やすって思っているかも知れねぇけど、必ずオレで良かったと思わせるからさ」

 

「大雅さんがモテる理由がよく分かる」

 

「そうは言ってもオレから告白っぽいことするの初めてだからな」

 

「だろうね、何となくそんな感じしたもん」

 

オレも見透かされたのか、六花ちゃんもよく見ているじゃんか

 

それから二人で寝転がってる写真を撮って、昴に送りつけてやった

『六花ちゃんはオレに任せておけ』それだけ文章をつけて

 

結局教室には戻らずに下校時間まで保健室で色々と話をしていた

始業式ということもあって13時までしか学校にいれないということが、今日初めて悔しく思えた

 

帰りは昴と小恋ちゃんも誘って四人で帰った

 

「それでは、あたしはこっちなので」

 

「おう、またな小恋」

 

「じゃーねー」

 

小恋ちゃんと帰り道が別れるとすぐに六花ちゃんの手を繋いだ

 

「なぁ、六花ちゃんの家行っても良いか?

それで夜は昴んち泊めてくれよ」

 

「あたしはいいけど、六道さんは?」

 

「オレも良いよ、穴のこと隠すのに必死で大雅のことそんなに誘えなかったからな

それでさ、本当にお前ら付き合ってんのか?」

 

「だからこうしてお手て繋いで帰ってんじゃん

どうした?嫉妬か?」

 

「んなわけねぇだろ!」

 

笑ってくれる六花ちゃんを見ると少しだけ安心するな

 

どうでも良い話をしながらアパートにたどり着くと本当に隣同士ということに少しだけ笑えた

 

「六道さん」

 

「んだよ」

 

「お祭りの日の夜はごめんなさい」

 

「い、いいよそんなのは、お前が謝るなんて気持ち悪いな」

 

「ううん、これだけは伝えておかないといけないことだから」

 

「まぁオレの彼女だし許してやってくれよな」

 

「もう許してるっつーの

ていうかいつも通りじゃねぇのはオレが嫌だからな」

 

「はい!そこまでー!!

小恋ちゃんいるのに六花ちゃん口説こうとするなよ

そんじゃーな昴、また後で」

 

昴は先に部屋に戻っていって六花ちゃんも『少しだけ片付けたい』なんて言うこと無く、すぐに家に入れてくれた

 

「なんつーか、シンプルな部屋だな」

 

「別の言い方だと何にも無い部屋に聞こえるよ」

 

オレが今まで見てきた中で1番何にもねぇ部屋だもん

 

「定番の卒アルとか見せてよ」

 

「無いよ?」

 

マジかよ……

 

「六花ちゃんは家にいるとき何してんの?」

 

「勉強?」

 

「なんで疑問系」

 

「なんだろうね、パソコンあってもスマホでなんでも出来ちゃうし、よく考えるとあたしって何にもしてないかも」

 

会話がねぇ……

 

出されたお茶を飲みながらただ静かに時間が流れた

 

「なぁ六花ちゃんはなんでオレと付き合ってくれてんの?

オレなら女の子の頼みは殆ど断らないことくらいわかるだろ?

なら都合よく使えば良かったんじゃねぇかな」

 

「大雅さんならどんなことを言っても受け入れてくれるとは思ってたよ」

 

「だったら尚更じゃん

昴と仲直りしたいとかなら喜んで手伝うのに」

 

「あたしが本当に大雅さんのことを好きになったら、それが絶対に罪悪感になるから

多分あたしはこのまま大雅さんのことを本当に好きになる

だからあたし自身が楽でありたい為だよ

でも結局は利用してるだけみたいだよね、大雅さんが嫌ならこの関係を終わりにしても良いよ」

 

「やべぇ」

 

「ん?」

 

「抱き締めたい」

 

………

 

「口に出てた!!」

 

「それこそ遠慮しなくても良いのに」

 

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