★六花side
「まぁ長くなっちゃったけど、そんな感じかな
六道さんそろそろ起こさないと」
揺すっても起きない六道さんは、そこまで気持ちよく眠っているのであれば、起こすのも悪いと決め、諦めて大雅さんと二人で降りた
「それで、昴と一條って奴を少し被せて見てたって感じ?」
「そうかもね、顔が似ていたわけでもないのに雰囲気が似ていたのかもしれないのかな
他の人と関わることを避けようとしていたのに、六道さんを知れば知るほどあたしから近付いていたと思う」
「なんか妬けちまうな~そんな事聞くと」
「大雅さんはあたしの気持ちを上書きしてくれるんだよね
その為ならあたしは身体も大雅さんにあげられるよ」
「女の子が軽々しくそんなこと言うんじゃない」
軽く小突かれてそっと手を握られた
「オレはオレのやり方で六花ちゃんの全部を貰う
何とかの為に何かするなんてもってのほかだ
前にも言っただろ?六花ちゃんからオレに抱き付きたくなるようにするって」
そういえば大雅さんはこういう人だった
先を見据えて行動できる人、人の気持ちを誰よりも理解しようとする人
だからあたしは大雅さんに甘えているんだ
もっとちゃんと向き合うべきはあたしの方なのかもしれない
「ねぇ大雅さん」
「どした?」
「この髪切っても良い?」
「まさか、髪を切るって失恋か!?」
「そうじゃないよ、ただ過去に縛られてたこの髪をこれからに向けて切りたくなっただけだから」
「あぁ、そういうことか
オレはどんな六花ちゃんでも愛せる自身しかねぇから
丸坊主にしたとしてもオレの自慢の彼女だって言ってやるよ」
「ありがと」
「一緒に行きたいところだけど、楽しみは後にとっとくかな
明日楽しみにしてるから、それと話してくれてありがとな、俄然やる気出たわ」
少し名残惜しそうに手を離され、大雅さんは見えなくなるギリギリまであたしを見送ってくれた
「いらっしゃいませ~~
ご予約のお客様ですかぁ~~」
「いいえ、いっぱいなら別行きますけど」
「は~~い大丈夫で~す」
大抵別に行くと言えばすぐに切ってもらえる
席に案内されて後ろに立ったのは、若い男性の美容師だった
「今日はどのように?パーマとか?」
「ん~、ショートボブくらいまで切っちゃってください」
「ショートボブくらい……結構幅広いけど」
「お任せします」
髪にハサミを入れる手が鏡越しに見える
「勿体無いと思うけどな、お客さん失恋したとか?」
「失恋か~~、答えを言えずに逃げられた過去と切り離すためかな」
「なにそれ、ウケる」
わからなければ『なにそれ』だよね
「それにしても結構長いのに凄く良い髪してるよ
切ってる最中言うのは変だけど、本当に勿体無いくらいにさ」
「みんなにもそう言ってるんでしょ」
「無い無い、オレは美容師の学校卒業してすぐ働いてる新米だけどさ、ここまで毛先まで綺麗な人初めて見たぜ
やっぱり細かい所にも目が届くっていうか手入れをする女性って評価高いと思うな」
色々と話しているうちにいつの間にか眠ってしまっていたらしく、目が覚めると髪を切ってくれた男性が掃除をしていて、他には誰も目に入らなかった
「あれ?起きた?」
「はい、ごめんなさい」
「良いって良いって、それより鏡見てごらんよ」
長かった髪は肩にかかるかかからないかくらいで切り揃えられていて、少しだけ軽くなった気がした
「ありがとうございます、お代は?」
「お客さんがいくら払うかはお客さんが決めることだ
満足してくれたならそれなりに欲しいし、不満があるなら払わなくても良いからさ」
「それこそなにそれ」
「店長がいたら怒られるけどさ、これがオレのポリシーなんだよ」
普段美容院なんて行かないで自分で切り揃えていたから相場が分からない
一万円を支払った時、笑われた
「満足したってことで良いのかな、御昴 六花さん?」
「どうしてあたしの名前を?」
「生徒手帳落ちてたから中見ちゃったんだ
写真あったけど、あれが元カレ?」
「流石にプライバシーの侵害ですよ」
それだけ伝えて店を出た
★六花sideout
★昴side
「ここはどこだ!!!
あいつらはどこだ!!!」
何でオレを置いてくんだぁぁぁぁぁ………