あいつが髪を切った時には驚いた
小恋にはどうして切ったのかオレに聞かれるし、大雅に聞いてもいまいち分からん
覚えがあるとしたら墓参り行った日の帰りか?
あの時電車に乗って10分くらいで寝てたんだよな、けどあいつも別に何か変わったわけでもねぇしな
気にするのは止めよう、考えるのはオレに合わない
「そろそろクリスマスシーズンだよな
街のイルミネーションとか綺麗になってる」
「そうですね、普段は家族と過ごしていましたが
今年はみんなで過ごせると良いですよね」
え?みんなでって……
あれあれ~~おかしいぞ~~
どうしたの昴くん
小恋がクリスマスをみんなで過ごすって言うんだ
「えっとさ、小恋はクリスマスにオレとデートとかじゃ嫌かな?」
小恋はボンッと耳まで赤くなった
「えっと…嫌ではないですけど、まだあたし達付き合って間もないので二人きりだとまだ緊張し過ぎてしまうのです」
なんて可愛い生き物なんだ、あいつにも見習ってほしいくらいの純情さだよ
「よし、取り敢えず大雅にも聞いてみるわ」
任せとけと言わんばかりに自信満々でそう言って別れたのだが
「はぁ!?何で1年で1番大切なクリスマスをお前らと過ごさなきゃならねぇんだよ」
「六道さんも西城さんと二人きりの方が嬉しくないの?」
「そりゃオレだって小恋と過ごしたいけどよぉ……」
オレの部屋での話し合いは一瞬で断られた
「正直あたしはどっちでも良いから、大雅さんと六道さんで決めてよ」
あいつはあいつでそう言うと自分の部屋へと帰っていった
「つーか昴は甘すぎるぞ、せっかく付き合えたのに小恋ちゃんに流されっぱなしじゃん
オレと六花ちゃんなんて買い物行ったり少しゲーセン行ったりしてるぞ?
お前ら何か発展あんのか?」
「確かになんもねーけど、大雅だってあいつに流されてるところあるんじゃないのか?
どうせあいつの事だしキスとか出来てないんだろ?」
オレも当然まだしてないけど、あの大雅だって流石にあいつ相手じゃまだのはずだ
「とっくにしたっつーの
昴お前まさか……まだ………?」
「オレはお前らと違ってプラトニックなんだよ!
悪いかよ!童貞で悪いかよ!!」
「童貞が悪いとは言わないし言ってねぇよ
六花ちゃんだってまだ処女だしな」
「童貞と処女は価値が違うんだよー!!
って、大雅のくせにキスしたのにエロいことしてねぇのか!?」
「その話は置いとけ、取り敢えずクリスマスは無しだ
あり得ねぇぞ、好きな人と一緒以外なんて」
「だからまた四人でさ…」
「却下だ、オレ六花ちゃんのとこで飯食ってくるから、この話は終わり
もし諦めがつかなければ六花ちゃんを説得しろ
六花ちゃんに言われればオレは喜んでその意見に賛成してやるから」
大雅は穴からオレの部屋から抜け出してあいつの部屋に移っていった
大雅かあいつのどちらかを説得すれば良いのは分かったけど、どちらが簡単かなんて天秤にかけても分からない
ひとまず小恋に電話をした
『昴くんですか?』
「うん、悪いな小恋、大雅説得したけどクリスマスはやっぱり無理そうだって」
『そうでしたか、あたしのほうこそごめんなさい
嫌な役を昴くんに押し付けてしまって』
「いやいや、小恋の期待に添えないオレが悪いんだ」
『いいえ、あたしが先に六花ちゃんに話していれば
もしかしたら上手くお話が進んだかもしれないのに』
「けどまだ時間はあるから諦めないでみるよ」
『あたしも六花ちゃんに電話してみますね』
電話を切ってもため息しか出なかった
自分の情けなさが辛い
『だから二人で過ごそう!』って言えたらどれだけ良かったか
ふと視線を感じて穴の方をみると大雅とあいつが並んでオレの様子を見ていた
「どうよあれ」
「意気地無しにもほどがありますね~」
「だよな、なら二人でクリスマス迎えようぜとか言えないのかな」
「うるせーー!!二人してオレをバカにしやがって!!」
大雅はため息をついて言った
「バカにしてねぇよ、バカだと最初から思ってるし」
「なんだとぅ!?」
ケラケラ笑う二人に怒りそうになったとき、大雅はまた口を開いた
「今回だけだぞ、オレんちでイヴから集まらせてやる
年末は絶対に四人でなんて言うなよ」
「大雅さんと話し合って、今回だけという結果になったから、良かったね」
全力で土下座をして感謝した
「マジでサンキューな!
小恋にもすぐ連絡しておくからさ、やっぱり無しとかやめてくれよ」
「土下座は謝るときにしろよ、それと男がそう簡単に頭下げんじゃねぇよ」
パッと立ち上がってすぐに小恋に連絡を入れ、今日ばかりは二人が神様に見えた