★昴side
コンコンと積み上げられた段ボールから聞こえるノックにビクッと反応した
居ないふりすれば……と思っていたのにノックの音が止まることはない
しんどいながらも段ボールを下ろして隣の部屋に顔を出した
「あんだよこんな遅くに」
「今日の命令だけど
なんでこの街に来たのか教えてよ」
はっきり言って拍子抜けだった、もっと酷い命令をされるのではないかと内心ビクビクしていたからだ
「大した理由なんてねーよ
ただ都会に出たいって思ってやって来たくらいだな
お前だってそんなもんだろ?」
「そうかもねー
あ、もういいから出ていって」
何だこいつと思いながらも強く言うことも出来ずに頭を戻していったが
もしかしたらまた呼ばれるかもしれないと、その日の夜は無駄に長く起きていた
「おっはよ昴」
「おう……」
「んだよ寝不足か?」
「あぁちょっとな」
結局ほとんど眠ることが出来ず休みは終わり、学校で朝から大あくびをするほどだった
「適当な理由つけて保健室でも行きゃ良いじゃん」
「オレのそういう嘘はすぐバレるんだよなぁ」
頭の中はダルい眠いが渦を巻いている状態のなか、クラスのみんなはどんどんと集まりはじめていた
「随分と眠たそうですね、六道さん」
「しょーがねーだ……ろ?」
机に突っ伏している状態から少し顔を上げると、オレの机に手を置いて楽しそうにしている見たことのある顔が……
「お前!なんでここに!?」
「だって同じクラスで六道さんの前の席はあたしじゃ無いですか」
まじか!?
オレは約1ヶ月そんなことも気付かないで過ごしていたのかよ!!
「つーか寝不足なのはお前のせいだよ!
命令するって言うからどんなんか…」
オレの唇に中指を当て言葉を遮られた
「命令とか何を言っちゃってるんですか?」
女子に唇を触られるなんて……じゃねぇ!!
「隣人として以外はオレに干渉しねぇ約束だろ?」
周りに聞こえないくらいの声でそう言うと、こいつはケラケラと可愛らしく笑って言った
「クラスメートとして今は接しているんですよ
避けると逆に怪しまれますから
それじゃおやすみなさい、六道さん」
そう言われなくともとっとと寝てやるよ!と意気込み次に起こされたのはお昼だった
「おー、飯行くぞ」
「くぁ…っ
もうそんな時間か」
「ずっと寝てたもんなお前は」
屋上でおにぎりを噛りながらボーッとしていると大雅の口から思わぬ人物名が出てきた
「昴ってさ、六花ちゃんとどういう関係なんだ?」
「誰だそれ?」
「前の席の御昴 六花ちゃんだよ」
米が変なところに入り込んで思い切り噎せて、確実に脳ミソも起きた
「あー……死ぬかと思った
で?あいつが何なんだよ」
「オレが聞きてぇよ、学校の可愛い子リスト上位に入る逸材と昴がどういう関係なのかって
朝見てたんだぞ?あんなに楽しそうに笑ってる六花ちゃん見たのは初めてだからな」
「ただのクラスメートだよ、そもそもあいつの連絡先とかLINEすら知らねぇし」
「となると寝ぼけた昴の面が面白くて笑ってただけかぁ
まぁそうだよな、昴が六花ちゃんと仲良くなってるはずねぇもんな」
何かバカにされてる気がするけどオレとあいつの関係がバレたら、社会的にオレが死ぬな
黙っておこう
それから約1ヶ月、大雅には上手く誤魔化しながらそれくらいの月日が過ぎた
あいつからの命令は毎日些細なことで、少し話をすることも日課のようになり、段ボールを積み上げて塞いでいた壁の穴はキャスター付きの棚に置き換えていた
大雨の降る夜、いつもより早い時間にノックの音が聞こえてきた
「なんだよこんな時間に」
風呂上がりということもあってパンツ1枚だけど
出すのは顔だけなら問題ないだろうと棚をずらした瞬間腕を掴まれた
「ぬぅあぁ!?ホラーかよ!!お前!」
「め、命令……
ちょっとの間このままでいて」