君が帰る場所   作:pwpa

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今年の正しい終わり方

★大雅side

 

 

「なぁ六花、初日の出とか見に行かね?」

 

「行かないよ、寒いし疲れるし」

 

「だよなー、そう言うと思ったわ」

 

六花はクリスマスからオレに対して変わることなく接してくれる

無理をしている様子でもないし、気にしている様子でもない

顔の腫れも引いていて、瞼に絆創膏だけが残ってる

 

「ごめんね大雅、四人で集まること出来なくなっちゃって」

 

「オレは1に六花、2に六花、3・4が無くて5に六花だからな

そんなこと気にしちゃいねぇよ

それに時間が経てば小恋ちゃんだって分かってくれるさ」

 

クシャクシャと頭を撫でても、心の靄は取れない

 

正直、何で六花が傷だらけにならなきゃいけないのか

理解出来てるけど理解しきれていない部分もある

 

「たーーいが、また眉間にシワ寄ってるよ」

 

「あぁ、悪い悪い……」

 

「初日の出を見に行くつもりもないし、初詣も行きたいなんて思ってないけどさ

年末はこたつに入って、面白い番組見て、お菓子とか食べながらだらだら一緒に迎えたいな」

 

「一緒にってオレと?」

 

「それ以外誰がいるのさ」

 

あーもう滅茶苦茶可愛いなぁ!なんであの夜に誘いに乗らなかったのか不思議なくらいだ

 

そんな話をしつつもプリクラを撮り終えた

 

 

「オレ達が付き合って大体3ヶ月かぁ」

 

「どうかしたの?」

 

「いや、オレって女の子とその日限りとかでしか遊んでなかったからさ、相手もそれを同意してたんだけど、こういうの何か新鮮だなーって思って」

 

「その発言あたし以外の人の前で言わない方が言いと思うよ」

 

「へへっ、最低だろ?」

 

「でもその女の子は幸せだったんだよね

なら大雅は最低なんかじゃないよ」

 

「マジで?」

 

「好き嫌いは割れそうだけどね」

 

プリクラに落書きをしながら笑う六花を見て染々思う

初めて撮った時なんて全部真顔で落書きもしなかったのに今じゃ立派なJKしてんだなって

 

 

ゲームセンターから出て少し歩いていくと、買い物帰りの昴と鉢合わせた

 

「よ、よう大雅」

 

「おう昴」

 

「お前も…久しぶり」

 

「久しぶりだね、六道さん」

 

はっきり言ってぶん殴ってやりたい

握り締めて力込めていた拳を六花にそっと押さえられた

 

「久しぶりに少し話そうぜ」

 

 

久しぶりといっても数週間会っていないわけじゃないけど、毎日どうでも良い話で盛り上がっていたオレ達のLINEのグループはあの一件以来凍りついている

 

 

河川敷まで移動して3人並んで座った

 

 

「それで?小恋ちゃんとはどうよ」

 

「一緒に初詣に行く約束もしてあるよ」

 

「そっか……」

 

少しだけ沈黙が続いたが、昴は立ち上がってオレと六花の前に来て深々と頭を下げた

 

「あのさ!オレお前らに謝らなきゃならないってずっと思ってたんだ!!

オレがなんも考えないで余計なこと言って関係拗らせちゃって、本当に悪かった……申し訳ない………」

 

「それで許してやるって言われると思ってんのかよ」

 

「何も言えない方がよっぽど嫌だったんだよ」

 

その言葉と共にオレは昴の襟を掴んで立ち上がらせた

 

「てめぇが楽になりたいからって今さら謝ってんじゃねぇよ」

 

「大雅!」

 

止めようとした六花にオレは初めて強めの口調で言い放った

 

「止めんな、いくら六花の頼みでも聞けねぇんだよ」

 

「気が済むまで殴ってくれて構わない、オレが出来るお前らへの償いなんてそんなもんだ」

 

誰かを全力で殴ったのは初めてだった

初めてなのにどこを殴るつもりでどう殴ったのか頭の中では冷静に分かっていた

 

倒れた昴の上に座ってまた襟を掴み上げた

 

「オレらへの償いだと?次の日でもその日のうちでも謝れたのに逃げていた自分への償いだろうが!!」

 

「そうかもしれねぇけどな、オレは小恋を選んだんだよ

小恋を泣かせるような事はしたくねぇんだ、最低な答えだとしてもそれがオレの答えなんだよ」

 

「なら六花がいくら傷付いても良いって言うのかよ!!」

 

もう一度拳を振り上げた時、六花はオレに突っ込んできた

 

「六花!?」

 

「これ以上はダメだよ、大雅まで戻れなくなる」

 

「六花は何で怒らねぇんだよ!!

何でそこまで平然でいられるんだよ!!」

 

「あたしは大雅も好きだけど

六道さんも西城さんも好きだから、だからこれ以上この関係をバラバラにしたくないの」

 

「わっかんねぇよ!!そんなの全然わかんねぇよ!!

何でオレらの事を想ってるのに六花は自分を傷付けられるんだよ」

 

「あたしにも分からないや」

 

困った顔をしながらも笑う六花にこれ以上何も言えなかった

 

「おい昴」

 

「なんだよ」

 

「小恋ちゃんの誤解を解いてやってくれ

これは多分オレにも六花にも出来ねぇことなんだ」

 

「時間……時間かかるかもしんねぇぞ」

 

「出来ないとは言わないんだな」

 

「当たり前だろ、オレが撒いた種だ

自分でなんとかしないと格好悪いだろ」

 

「今でも随分と格好悪いけどな、あの一発でオレは全部許してやるよ

あー……手ぇ痛いな、人って何でこんなに堅いんだろうな」

 

「殴られたオレはそれ以上に痛いけど、こいつ……御昴の傷は更に痛いんだよな」

 

「ようやっと理解したか、ほれ」

 

昴に手を差し出すと座り込んでいた昴は手をとって立った

 

「信じてるぜ、親友」

 

「任せておけよ親友」

 

昴から離れて六花の手を取り直した時、昴は六花に言った

 

「御昴、本当にごめん、それとありがとな」

 

「お礼なんていらないよ、あたしはこんなやり方でしか出来ないだけだから」

 

「御昴も大雅を悲しませるなよ、その逆もだ」

 

「当たり前だ」

「当たり前でしょ」

 

そう言ってオレ達と昴は分かれた

 

 

 

「六花の部屋でのんびりするのはクリスマス以来か」

 

「だって寒いのに大雅は色んな所に行きたがるんだもん」

 

六花の部屋で買ったばかりのこたつに入って、買ったばかりのテレビを見て過ごす

 

「姿見は捨てたのか?」

 

「割れちゃったしね、結構お気に入りだったんだけどさ」

 

「そっか」

 

 

少しすると蕎麦を準備して六花は戻ってきた

 

「年越しそばって年を越す日に食べるのか、年を越す瞬間に食べるのかよく分からないよね」

 

「そういえばそうだな、蕎麦は食べるけどいつ食べるかはいまいちわかんねぇよな」

 

対面に座った六花はこたつに入ると言葉の通りとろけ出した

 

「おーい六花、果てしなく不細工になってるぞ」

 

「こたつに入ると魂まで持っていかれそうになるよね

そういえば大雅、手を見せて」

 

オレは左手を六花に見せようとすると、六花は首を横に振った

 

「右手」

 

「今はダメ」

 

昴を殴った時に歯が当たったのか皮が剥けて血が出てる

こんなの見せられるわけがない

 

「いいから見せて」

 

オレの隣に移動した六花に無理矢理手をとられた

 

「やっぱり血が出てる」

 

「こんなの舐めておけば治るから、気にすんな」

 

そういうと六花がオレの手を舐めた

 

「りりりりりり六花!?」

 

「舐めれば治るんでしょ?」

 

「ほ、ほら、血をなめるのは危険性があるんじゃ」

 

「大丈夫だよ」

 

手を舐められるのってこんなに気持ち良かったのか?

 

「まぁ冗談はこれくらいにして、はい」

 

絆創膏を貼られた

 

「お風呂入るときそのままじゃ滲みるでしょ」

 

「うん、そうだねー」

 

「なにがっかりしてるの……お蕎麦食べよ」

 

あぶねぇ、大雅のベビータイガーがキングタイガーになるところだった

 

そのあとは本当にだらだらとした時間を過ごして年を越した

 

 

「1年終わっちゃったね」

 

「こられからまた始まる、今度は途中からじゃなくって最初から六花とな」

 

「うん」

 

その時だけは小恋ちゃんや昴のことなんて本当に気にならないくらい六花だけを想い続けた

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