★六花side
「何か暖まるもの頂戴、西城さんは?」
「あ、あたしも六花ちゃんと同じもので……」
適当な頼みかたなのに店員はしっかりと答えてくれた
「でしたらこちらのジンジャーミルクティやハニージンジャーミルクティがおすすめです」
「じゃあ前者の方で、それと何か食べる?」
随分と緊張してる様子だね、こんなんで話が出来るのかな
「あ、あのあたし今、持ち合わせそんなにないので……」
あぁ、大雅と来たときはそんな心配してなかった
「彼女にも同じものをお願い」
「かしこまりました」
店員は綺麗なお辞儀をしてあたしらの注文をとり終えた
「あたしお金をそんなに持っていませんよ?」
「いいよ、あたしが払うから
ここさ、大雅に教えてもらった場所なんだけど良い雰囲気でしょ?」
「でも……」
「お酒は口を滑らかにする、そして甘味は頭を整理できる、だから呑まれない程度にお酒を飲みながら甘いものをつまむのが話をするのに最適なんだって、よく父さんが言ってたけどさ
あたしらは甘味のみで頭の中整理しながら話そうよ」
西城さんが次の言葉を探しているうちに頼んだケーキと飲み物が運ばれてきた
「食べてみなよ、あたしですら美味しいって思えたくらいのものだ」
少し戸惑いながらも視線はケーキの方をしっかりと捕らえている
「ならあたしから話そうか」
フォークを皿に少しだけぶつけて音を出して西城さんの視線を奪った
「は、はい」
「まずは本当にごめんね、あたし六道さんのこと昔好きだった人と重ねて見ていて、そのうちに好きがどんどんと強まった
いっそのこと襲われて既成事実でも良いかもって思えるくらい」
「その……六花ちゃんが好きだった人って」
「前にあたしの部屋で話したでしょ、もう死んじゃったよ」
「ごめんなさい……」
「あやまらないで、六道さんは西城さんを選んだっていう事実は結構前から受け入れていたし、しっかり祝福していたから」
「じゃあ……じゃあ何であの時あたしに恨まれるようなことを言ったんですか?」
「あの時あたしが別のことを言っていたらさ、西城さんは六道さんと別れてたでしょ、それでいてあたしと六道さんが付き合えば良いとまで思うと分かっていたから
だからあたしだけが嫌われれば済む解決策を選んだの」
「あたしの心を計算したってことですか?」
「いや、人の心は分からないから、見えるところから消去法で消していった感じかな」
「それで六花ちゃんの導きだした答えが……」
「六道さんの幸せ」
「ズルいですよ、そんな事……」
「そうだよ、ズルいんだあたしは、父親譲りでね」
ケーキに切れ目をいれて一口サイズを口に運んだ
「西城さんは六道さんのことをまだ信じられないでいるの?」
「あたしは、あたしを好きだって言ってくれた昴くんを信じています」
「ならそれで良いんだよ」
ミルクティを飲み終えて次にコーヒーを頼んだ
「あたしからの話も良いですか?」
「いいけどその前に、ケーキ食べなよ」
不安そうな顔をしていたのにケーキを食べた途端に雰囲気が明るくなったのが分かった
「美味しかった?」
「はい、とても……ではなくて、あたしの話も聞いてください」
「はいはい」
「あの時たくさん叩いてしまって本当にごめんなさい」
「あれは正解だよ」
「それは六花ちゃんだけの答えです、あたしは六花ちゃんを嫌いになって昴くんからも遠ざければ良いって簡単に考えていましたけど
ずっと心がチクチクしていました、四人で集まっていたあの時がどれだけ楽しかったか昴くんと話してようやく気付いたんです
あたし達には六花ちゃんが必要だって」
まっすぐ大きな瞳で見られながらそう言われた
「流石に恥ずかしいね、そんな直球ど真ん中で言われると」
「そんなつもりで言ったんじゃ無いですよ」
「でも良かったよ、西城さんとはまだ仲の良い友達でいられそうで」
「でも昴くんは譲りませんよ」
「あたしには大雅がいるから、もう六道さんは諦めているよ」
「本当ですか?」
「本当に」
「本当の本当ですか?」
「本当の本当に」
西城さんは力が抜けるようにテーブルに両腕を置いて安堵の息をついた
それにしても、テーブルに乗っかる程の胸というのはどういう事なのか
あたしはテーブルに乗っかるどころかかする程度しか無いのに
「ねぇ西城さん」
「西城さんなんて硬い呼び方は無しにして下さい
あたしは六花ちゃんのこと全部許しますから
大雅くんみたいに小恋ちゃんとか昴くんみたいに小恋って呼んで下さい」
「それじゃあ小恋っておっぱいのサイズいくつ?」
「きゅっ……急に何てこと聞くんですか!?」
「いや、羨ましいなって思って」
「気にしているんですから、そういうことは聞かないでください」
「なら聞かないから触らせて」
「余計嫌です!」
「ケーキもう一個頼んでも良いから」
その一言は小恋の苦渋の選択のようで、悩ましている
「服の上からちょっと触るだけですよ」
計画通り
「すみませーん、テラス席移動しても良いですか?」
店員は快く受け入れてくれ、テラス席で嬉しそうにケーキを食べる小恋の胸を凝視した
大雅や六道さんがあたしの誘惑に乗らないのってやっぱり胸かな?
あたしもあれくらいバインバインなら良かったのに
「それじゃさっそく」
「ちょっとだけですからね、まだ昴くんにも触らせたこと無いんですから」
六道さんにそんな度胸が無いことくらい知ってる
服の上から軽く撫でるように触って、自分の胸も触る
「あーーーーーーーーーーーーーー!!」
おもいっきり揉みしだいてやった
「なんだこれは……あたしと同じ人間なの?
どうしたらこんなに成長するのだ」
もう軽くなんてどころではなく、両手で鷲掴みにして揉み続ける
・・・・・・
「ちょっと……」
・・・
「六花ちゃ………」
・・・・
「ちょっと触るだけって言ったじゃないですかぁ」
「そのつもりだったんだけどさ、Dカップ御馳走様でした」
「な、何で分かるんですか?」
「そりゃ揉んだし?」
「酷いです酷いです!」
「アハハハハ、無いものこそ欲しくなるんだよね
あたしのも揉んでおく?」
「六花ちゃんの揉むほどないじゃないですか」
「人には言って良いことと悪いことがあるんだよ?」
そのあとは適当に謝り合いながらも大雅といるときとは違うたのしい時間を過ごすことができた
部屋に戻ると穴から六道さんが顔を出していた
「なに?」
「どうだったよ」
「小恋に聞けば良かったんじゃないの?
まぁ大丈夫だったよ、問題はないから」
「そっか、それはそれと小恋から連絡が来てな
お前に汚されたってあったけど何かしたのか?」
「さぁ?ご想像にお任せしますよ
それと大雅もいるんでしょ?こっち来なよ」
出ていた顔はすぐに大雅に変わって穴からこっちに移動してきた
「おかえり六花」
「うん」