雷が鳴る度にオレの腕を掴む力が強くなるのが分かった
こいつもしかして
「雷が怖いのか?」
「そんなわけないでしょ」
「とか言って手ぇ震えてるぞ?」
そう言った瞬間近くに雷が落ちたらしく、激しい音と共に電気も消えた
「結構近くに落ちたな」
腕を掴む存在が無くなったと感じたと思ったら一気に腕が重たくなり目を凝らしてみると、オレの部屋に入り込んで腕にしがみついていた
「おいおい、命令違反だろこれ」
「別に良いでしょ……それより何か灯りの変わりになるものないの?」
とりあえずとスマホのライトをつけた
「スマホってこんなに明るくなるんだな」
腕から離れてもこいつは部屋に戻ろうとはせずオレの隣にじっと座っている
「なんでパンツだけなの?」
「うるせーな、風呂上がりなんだよ
そういうお前もズボンくらい履けよ、目のやり場に困んだろ」
「見なきゃ良いでしょ?
あぁでも、見たいなら見ても良いよ?水着OK下着NGって考えていないから」
「見ねーよ!ていうかやっぱり雷が怖いんだな
いやー意外だな、お前みたいなやつにも怖いもんがあるんだな」
雷が鳴ると少し縮こまる姿を見てこれ以上何かを言うことはやめにした
「ほれ」
「なに?この手は」
「手くらい貸してやるよ」
少し笑ってからオレの手を軽く繋いだ
小さくて柔らかくて力を入れたら簡単に壊れてしまいそうな手
やっぱりこいつも女の子なんだよな
ただ無言の時間が過ぎていつの間にか電気も復旧したけど、こいつはオレに寄りかかってぐっすり眠っていた
眠っていれば本当に可愛いのにな
そう思いながら、起こさないようそっと抱えて布団の上に乗せ、オレはその横でひんやりとしたフローリングを感じながら眠りについた
次の日の朝
顔をグニグニ踏まれる感触で目を覚ますとあいつが笑っている
「普通に呼び起こせばいいだろ」
「あたしみたいなのに踏まれるなんてご褒美みたいなものでしょ」
前言撤回、何にもかわいくねぇ
「昨日のお礼っていったら変だけど、朝ごはん作ったから食べよ?」
「朝ごはんってオレの冷蔵庫に食べ物なんて殆どねぇだろ」
「それくらいあたしが用意しました」
一人用の小さなテーブルに並んでいたのはフレンチトーストとコーヒーが二人分ある
キッチンには鍋が仕込まれている
「これお前が?」
「あたしが料理するなんておかしい?」
「いや、そういう事じゃねぇけど
なんも変なものいれてねぇだろうな?」
「ならあたしの方食べる?」
「お前もここで食うつもりかよ!」
「わざわざ戻るのも面倒だし、洗うのもあたしだから良いじゃん」
何を言っても無駄か……
恐る恐るフレンチトーストを口に運ぶと予想以上にオレ好みの甘さで美味しく食えた
「美味しそうに食べてもらえてよかった
賞味期限切れてたから処理に困っていたんだよね」
「はぁ!?」
「アハハ、嘘だから安心して」
そう言いながら食べ終わった食器をすぐに片付け始めた
「この鍋には何が入ってるんだ?」
「野菜コンソメスープ、もう少し冷めたら冷蔵庫に鍋ごと入れちゃって大丈夫だから
食べる前にしっかりチンはしてね」
片付け終わるとドアからではなく穴から自分の部屋に戻っていった
「これで貸し借りは無しですよ、六道さん」
壁越しにそんな声が聞こえた