★六花side
弟くんのテストも見させてもらったけど多分大雅と同じくらいだと思う、勉強してこれくらい出来てるのであれば入試なんて簡単にクリアできると思うけど
弱いところはなんとなく理解できた
「なんであんたがオレの部屋にいんだよ」
「お母さんにまで頼まれちゃったしね、引き受けたからには教えられるところは教えるよ」
「あのババァ……」
「それに学園トップクラスのあたしが教えるんだからありがたいと思いなよ?六道さんに教わるより何倍も価値ある時間にしてあげるから」
疑うような目をしながらでもしっかりと机に向き合っている、彼の集中力がどれくらい持つのか時間を気にしつつ要点をまとめて教え込んだ
「なぁ六花」
「年上なんだからそれなりの呼び方しなよ」
「年上に見えねぇよ、えっと六花ねーちゃん」
「まぁそれでもいいか、なにかわからないところでもあった?」
「昴兄とどういう関係なんだ?
付き合ってるわけでもねぇんだろ?」
「主従関係かな」
「主従!?」
「そ、あたしはあの人の弱味をいくつも握ってるから何でも言うことを聞かせられるの」
「あの昴兄が……」
「まぁ嘘だけどね」
「嘘かよ!!」
「ただ部屋が隣で同じクラスの人、それ以上でもそれ以下でもないよ」
「そういうことか、つーか六花ねーちゃん指輪してるってことは彼氏いるんだろ?中々マニアックな趣味してるやつだろうな」
「言い忘れてたけどあたし大雅ともう1年くらい付き合ってるよ、写真見る?」
写真を見せると絶望に近い顔をされた
「た、大雅さんとあんたがぁ!?
大雅さんは色んな女の子とたくさん遊ぶすげぇ人だろ!?それなのになんであんたなんかと付き合ってるんだよ!」
「悪かったね憧れの先輩があたしなんかと付き合ってて」
「
「筮さん?」
「あんただって知ってるだろ?大雅さんが金持ちなのは」
「そりゃね」
「だから大雅さんには婚約者がいるんだよ」
「それも知ってるけど名前は初めて知ったかな」
「知ってて付き合ってんのかよ…あんた見かけによらずすげぇんだな」
本当にどうしようもなくなったときは、あたしは素直に退くと思う
けどまだ今は大雅の優しさに甘えていたいし退く気もない
「さて、話が脱線したね勉強に意識戻そうか」
その後も中々途切れない集中力はあたしですら感心した
絶対に六道さんの弟なんかじゃないと思えるくらいに
お昼になるとわざわざ部屋まで呼びに来てくれて、一緒に食事をとった
「すげぇんだぜ母ちゃん、六花ねーちゃんが教えてくれると何で分かんなかったかが分かんねぇくらい分かるんだ」
「五十鈴がそんなこと言うなんてめずらしいこと」
「彼は馬鹿ではないようですから、視点を変えて説明するだけでどんどんと頭に入っていっています」
「な?オレは頭良いんだよ
だから昴兄と同じところ受けても良いだろ?」
「そうは言ってもねぇ……」
「なんでそんなに嫌なんだよ、昴兄はひとり暮らししてんのに!」
「家賃が6~7万、食費1~2万、光熱費1万、通信費1万、雑費や娯楽に2~3万
最低見積もっても11万1ヶ月に必要になってくるんだよ、それが昴さんときみ二人分はかなりの出費になることも汲み取って考えないと」
「そうなのよ五十鈴、ひとり暮らしってとってもお金がかかるの」
「じゃあ何で昴兄は良いんだよ!」
「あの子は小学生の頃から大雅くんと仲良かったから、高校生になったら絶対に一人暮らしするって決めてずっとお金貯めていたの、今だって月の仕送りの半分は自分の貯金から下ろしてるのよ」
六道さん意外とそういうこと出来るんだ
そういえば何だかんだで質素な生活してるような気がする
「ならオレだって…」
「五十鈴はどんどんお金使っちゃってるでしょ」
「バイトするし!」
「ひとり暮らしでバイトに明け暮れる人は絶対に学業が疎かになるよ、あたしはオススメしない」
「六花ねーちゃんまでなんでそんなに否定すんだよ!」
そう言って逃げるように自分の部屋に行ってしまった
「はぁ……六花ちゃんもご両親に感謝しながら生活しているのね」
「感謝なんてしていませんよ?
祖父母の反対を押し切ってひとり暮らししていますけど、名義以外は全て自分でやりくりしてますから」
両親ではなく祖父母と言ったことを気にしたのか謝られた
「気にしないで下さい、多分弟くんは昴さんでも出来ているから自分でも出来るって思っているのだと思います
だからこの話は昴さんに任せるべきではないでしょうか」
「そうね、昴にも話してもらえるように伝えておくわ」
その後食器を洗うのを手伝いながら気分を変えるように別の話をした
「六花ちゃんのお洋服乾いたと思うけどもう着替える?」
「そうですね、いつまでもノーパンノーブラじゃ変な感じですし」
少し苦笑に近い笑われ方をされながらも干されていた服を取ってもらってすぐに着替えた
「あたしまた弟くんの部屋に行きますね、それと最悪兄弟で同じ部屋に住まわせるという手もありますから少しくらい彼の意思も考えてあげて下さい」
そう言って部屋に向かうと見て分かるほどいじけていた
「なんだよ、ひとり暮らし出来ねぇんならもう勉強なんてしねぇぞ」
「今してる勉強なんて将来そのうちの1割程度しか必要にならないしやらないならそれでいいじゃん」
「へ?オレを勉強させるために来たんじゃねぇの?」
「しなくて良いことをする必要ないでしょ
それよりコンビニでも行かない?なにか奢ってあげるよ」
「まじで!?嘘じゃないよな!?」
思ったより食い付きが良かった
気分転換程度に誘ったつもりだったのに、急いで着替えられて何故か急かされた
「お小遣いなんてあっという間に無くなっちまうしさ、ほしいもんも買えねぇんだよな」
「それは使い方の問題でしょ?」
コンビニに入るとすぐにカードゲームの所へ向かっていった
「なにそれ?」
「今クラスで流行ってんだよ、強いカード欲しいしさ」
「へぇ」
「でもレアなカードは一箱のうちに何パックしか入ってねぇんだ、それを引けりゃ良いんだけど」
「それが分からないところはギャンブル制あるね」
数パック手にとって見てみると少しだけ違いに気付いて聞いてみた
「レアなカードっていうのは特別な加工がされたりしてるの?」
「加工?それに近いかもな、全体が光ってたりするし」
「なるほどね」
それを聞いてそこにあるパックを全て手に取り仕分けを始めた
「なにしてんだよ」
「多少重さが違う」
「重さ?」
「そうだね、なにかと加工されてるなら少し重くはなると思うから、あたしが持って少しでも違和感があるものを抜き出してるとこ」
彼はあたしが抜いたパックを手にとっていたがよく分かっていない様子でいる
「本当に違うのか?」
「なら買ってみよっか」
仕分け終わったパックを元に戻してよく分からないカード5パックとアイスと飲み物を買ってコンビニを出た
「はやく開けさせてくれよー」
「はいはい」
買ったカードを手渡すと嬉しそうに開封し始めた
「すげぇ!全部レアカード当ててんじゃん!!
どうやったのか教えてくれよ」
「だから重さだってば」
「オレも分かるようになるかな」
「それだけ好きなものに熱中できるなら出来るでしょ」
アイスと飲み物の入った袋を渡して少し前を歩いた
「大雅みたいになりたいのってどうして?」
「そりゃ、大雅さんかっこいいし、モテるし、絶対に楽しいだろうから、大雅さんみたいになりたいんだよ」
「小さいね」
「はぁ?六花ねーちゃんのほうが小せぇじゃんよ」
「いや、考え方の問題」
「そんなこと言われたって分かんねぇよ」
「弟くんは大雅じゃないから大雅にはなれない
コピーにだってなれはしない、自分に合わない生き方して、無理して、心配させられる」
「そんなのやってみなきゃ…」
「分かるよ、弟くんは大雅とは違う、やっぱり六道さんの兄弟だもん」
「よくわかんねぇし」
「まだ分からなくて良いよ
それじゃ帰ろうか、それでもう一度話してみなよ
今度はしっかり向き合って逃げないでさ、男の子なんだから出来るよね?」
「う、うるせぇな!年下みたいな癖に男の子なんて言うなよ!」
「ならあたしと対等になれるくらいがんばりなよ
あたしからすれば弟くんは六道さん並みにガキだからさ」
ガキガキと言い合いながらも家に戻った
★六花sideout
★昴side
これはなんていう状態なんだ?
釣りして帰ってきたらお袋と五十鈴と御昴が向き合って座ってんだけど
「あら、丁度良かったわ、昴もこっち来なさい」
「まず説明くらいしろよな」
「あんたの意見聞かないとまとまらないこともあるのよ」
渋々空いてる椅子に座ってとりあえず五十鈴の方を見た
「なぁ昴兄、来年から昴兄の部屋にオレも住んで良い?」
「は?」
「ウチには二人もひとり暮らしさせられるお金なんて無いって言ってるのに五十鈴ってば聞かないのよ
無理しない程度にバイトもするって言い出すし」
「なるほどな、けどオレの部屋で男二人は狭いぞ?」
「昴兄が良いならオレだって我慢するから」
「なら良いんじゃねぇの?オレは反対しねぇけど」
「まぁ六道さんならそう言うと思った」
それまでに壁の穴を何とかしとかねぇといけないのは確かだけど、五十鈴だって都会に憧れてるんだ
兄貴のオレだけが良くて五十鈴がダメなのはかわいそうだしな
「全く昴も五十鈴に甘いんだから」
「まぁまだ受験まで日はあります、それまでに弟くんの気持ちが変わればこっちの高校を受ければ良いと思いますし、気持ちが変わらなければあたし達と同じ高校受ければ良いかと思います
それにあたし達の通っている高校は兄弟で入学すると入学金や授業料が少し安くなったりするようですから、デメリットだけではないですよ」
「あら?そうなの?」
「え?そうなのか?」
「それを狙っていたんじゃないの?」
・・・・・・・・
御昴はオレ達にいくらくらい安くなるのかを3年間分だいたいの計算を出してくれた
「あらま、こんなに変わるなら五十鈴もあっち行っても良いかもね」
「気が変わるのはや!!」
「大体での計算ですけどそのくらいは免除されるはずですよ」
「ありがとな!六花ねーちゃん」
「お礼なら賛同してくれた昴さんに言いなよ
あたしは少し休ませてもらいますね」
御昴は縁側の方へ勝手に向かって行ってしまった
それからは親父が帰ってくるまでお袋と五十鈴と高校についてしばらく話していた
「たでーまぁ!六花ちゃんと昴送るぞー!」
「了解、御昴呼んでくるわ」
親父が帰ってきたことを確認して縁側の方へ行くと御昴は体を丸めてスゥスゥと寝息をたてている
前にも思ったことだけど静かにしてりゃ可愛いんだよな
頬をつついても猫のように頬を少し擦るだけで起きる気配がない
オレって御昴にたくさん迷惑かけてたな
なにかあるたびに頼ってばっかりだったし、今のオレがあるのも御昴のお陰みたいなものなんだよな
「サンキューな」
外側に跳ねている髪を抑えるように軽く頭を撫でていると御昴の目は開いていた
「うお!?」
「何についてのありがとうかな?」
「いつから起きてたんだよ!」
「さぁ」
クスクスと笑いながら体を伸ばして座り直しオレに頭を向けてきた
「な、なんだよ」
「もう一度感謝の気持ちを込めて頭を撫でなさい」
くそ!起きてると本当に嫌なやつだな
「あー、たくさん迷惑かけて、それに毎回付き合ってくれてありがとうな」
適当に撫でていたつもりだったのに御昴は目を細めて少し嬉しそうにしていた
「もう良いよ、ごめんね、ありがと」
「そうか?」
御昴が先に立ち上がると再び口を開いた
「あたしやっぱりまだ六道さんのこと好きかも
大雅には体も許したけど最初に根付いた感情はそう簡単にクリア出来ないね」
「残念ながらオレにはラブリーマイエンジェル小恋がいる」
「知ってるよ、それでもこれ以上何かしてもらったら本当に心が揺らいじゃうから」
「御昴を敵に回したくねぇし、親友の彼女と付き合ったりなんかした日には大雅と顔向け出来ねぇからな」
オレもそう言いながら立ち上がったのだが、直接的に御昴から好きだと言われたことは初めてだったから内心ドキドキしていた
「親父帰ってきたしさ、オレらも帰ろうぜ」
御昴はお袋と五十鈴に何か話した後すぐに車に向かってきた
「それでは色々とありがとうございました
弟くんも来年待ってるから、絶対に合格しなよ」
「ったり前だし」
「んじゃ行くかぁ」
帰りにオレと御昴が何も話すことはなくアパートの前に到着した
「それじゃまた明日ね」
「お、おう」
玄関に入った瞬間オレは御昴に好きだと言われた瞬間を思い出して頭を抱えた
オレだって御昴か小恋か本気で迷ってた、オレが小恋に告る前に御昴から告白されていたら間違いなく御昴を好きになってたと今でも思う
「今さらそんなこと言うなよ……」