大雅side
「筮のことどう思ってる?」
「なんだよ急に」
「いいから答えるんだ」
「嫌いだな、あのタイプの女は」
「なるほどな」
「つか朝から何なんだよ」
「葛城から連絡があってな、筮がこっちの高校に編入することになった」
「そーかよ、まぁ期待すんなよ
オレは嫌いな女とは絶対に結ばれねぇからな」
そのあと何か言っていたが聞くことなく家を飛び出した
「よっ
今日も仲良く登校とは妬けるな」
昴と小恋ちゃんの背中を軽く叩いた
「よう大雅」
「おはようございます」
3年になってもこの関係は変わらない
ただただどうでもいい話をしながら登校する
1つだけ違うところは、いつも右隣にいた六花はもういないということ
「なんかお前やつれてね?」
「は?」
「大雅くん無理してない?」
「無理もなにも引きこもって勉強してるだけだよ」
「詰め込み過ぎるなよ」
「無理出来るところで無理しねぇと絶対に後悔するからな」
確かに疲労は貯まってるけど、力不足は否めない
「つかお前らはどうなんだよ」
昴に視線を送るとサッと眼を反らされた
「昴くんは……前よりかは出来るようになっていますよ」
「下の下にいたんだ、それ以上下がったらどうしようもねぇだろ
そんなんでxx大行けんのかよ」
「まぁなんとかなんじゃね?」
このままじゃ絶対に無理だな
そう思いながら校門を入ろうとしたとき誰かがオレの右手を引っ張った
「大雅」
「六花!?」
六花のはずないのに思わずそう口に出した
「六花…?とは誰のことですか?」
「う、筮……なんでお前がこんなところにいるんだよ」
「編入の手続きや引っ越し等で時間が経ってしまいましたが、大雅に会うためにあたしの方から会いに来たんです」
昴と小恋ちゃんはオレと筮の方を見て、小恋ちゃんから口を開いた
「大雅くんのお友達ですか?」
「…?あなたは大雅のなに?」
筮は少し睨むように小恋ちゃんを見ながらそう言ったが
小恋ちゃんはそれにほとんど動揺することなく普通に答えた
「あたしは大雅くんのお友達です」
あぁ、筮が少し睨んだところでこれくらいの目付きは六花の通常か
「ねぇ大雅、この子が六花って人?」
「ちげぇよ、つか離れろ」
無理矢理繋がれた手を離してため息をついた
「大雅のお父様から御昴 六花って悪い虫が大雅に付きまとってるって聞いてたんだけどどこ?」
「筮、もしかしてそんな言葉鵜呑みにしてんのか?」
「当たり前でしょ?あたしのお義父様になる人の言葉なんだから
で?大雅の家目当ての小汚ない泥棒猫はどこ?」
オレがぶちギレるより先に昴がキレて、筮の胸ぐらを掴んだ
「見もしねぇのに適当なことほざいてんじゃねぇぞ糞ガキ
家が優れていようがお前が優れてる訳じゃねぇんだ
1つだけ教えてやるよ、お前は御昴に何一つ敵わねぇ」
「あ、あんたねぇ!!あたしにこんなことして良いと思ってるわけ!?」
「あ?関係ねぇだろ
オレはお前がどこの誰なんだか知ったこっちゃねぇ
けどな、オレらの友達のことを悪く言うのは許せねぇんだよ」
いがみ合う二人に割って入った
「なんだよ大雅」
「大雅、あの下品な男はなに!?」
「二人とも落ち着けよ、まずは筮」
「なによ」
「とっとと手続き済ませてこいよ」
時計を指差し時間が無いだろと合図を出した
「そうね、それじゃあまた後で会いましょ」
小走りで校内へ入っていたのを見て昴の肩を叩いた
「サンキューな、オレがぶちギレる寸前だった」
「格好よかったですよ」
「えへ、そお?えへへへへへ」
その顔が無ければな……
HR前二人には筮のことを話した
「はえーー
親が決めた婚約者とか漫画の中だけかと思ったけど
本当にそんなことあるんだな」
「オレは昔から断ってたけどな」
「どうしてですか?
今は六花ちゃんのことが好きだからっていうのは分かりますけど、筮さんも可愛らしい子だと思いますよ?」
なんか女の子なら何でも良いみたいに思われてたのか?オレは
「親父の敷いたレールの上を進み続けるのがガキの頃から嫌だったんだよ、オレも兄貴もな
それに筮は……」
「ほらほら席につけー」
「っべ!!この話はまた後でな」
教師が来てすぐに自分の席へと戻っていく
「あー……ホームルームの前に3年のこんな時期だが転校生を紹介する、入ってきなさい」
頭がいてぇ……
「みなさん初めまして、葛城 筮です」
男からの反応がかなり良いし、女の子からの反応も悪くはなさそうだけど
「大雅の婚約者のあたしが編入してきたからには
大雅に変な虫が付かないように致しますので」
一斉に視線がオレに刺さり、耐えきれずに教室から出ようとドアへ歩いて向かった
「もしかして葛城って四大財閥の1つの葛城グループ?」
「あぁ、それなら九頭竜グループの大雅の婚約者っていうのも頷けるよな」
「なにそれ、理想的」
「ウッホ…九頭竜大雅の尻、良い形してるぜ」
「庶民が狙える相手じゃねぇよな」
何か1人変なこと言ってるやつ居たけど気にしないでおこう
保健室で自習しながらお昼頃まで過ごしていると筮が入ってきた
「いい加減諦めなさいよ、パパ達の決めたことよ」
「は?オレが誰を好きになろうが関係ねぇだろ」
「いいえ、関係あるわ
あたしと大雅が結ばれることで将来的に大きな利益となる
それにあたしは大雅のこと好きだから」
「あっそ」
「なによその顔」
「別に、オレからしてみたらオレの親父の会社がどうなろうが、お前の会社がどうなろうが知ったこっちゃねぇんだよ
それにまず第一にオレは筮のこと別に好きじゃねぇから」
「昔のことまだ怒っているの?」
「そんなんじゃねぇよ
ガキの頃おもちゃ壊されたくらいのこと今でも根に持つわけねぇだろ
オレは自分の好きなようにならないと嫌って考えるお前みたいな女が嫌いなだけだ
今まで抱いた女にそういうやつは1人もいねぇからな」
「あら?あたしだって大人になっているの
昔のままだと思わないでちょうだい
それとこれ、なんだと思う?」
取り出したのはA4サイズくらいの茶封筒
そこには『御昴 六花身辺調査』と書かれているのはすぐにわかった
「大雅が誰と付き合っているのかずっと調べていたの
最後に付き合っていたのがこの子よね」
「あぁ、そういうところも嫌いなんだよ」
中は気になるが素直に見せてくれって言って見せてくれるはずがねぇ
「どうすればいい」
「大雅のおじさまに、あたしと結婚するって言ったら見せてあげるわ」
「ならいいわ、見ねぇよ」
筮は苦虫を噛み潰したような顔をした
「大雅だって自分の思い通りにならないと嫌なんじゃない」
「オレだけじゃねぇよ、大抵の人間は皆そうだ
だがな、お前は大抵の人間が踏みとどまるはずの線を越えてんだよ」
返事もなく茶封筒をしまうと筮は背を向けた
「まぁもう会うことも無いでしょうし
でももし万が一を考えて手は打っているわ
急に勉強を頑張りだしてる様子だけど未来は変わらないの
大雅は社長椅子で偉そうにしてくれれば良いの
あたしと結婚をしてね」
筮はそう言って保健室を後にした
くそっ!!筮のことだ、六花がどこにいるのかも絶対に知っていて何かしてくる
こんな時に何にも出来ねぇのがかなり悔しい
勉強に手がつかなくなったのは自分でもすぐに理解して、その日は早退した