Summer Pockets #2   作:トミー@サマポケ

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第十三話 8月6日

 

 

 

 

 

 

 

「羽依里君、朝だよ」

 

 今日も夏海ちゃんの声で目が覚める。

 

「おはよう、夏海ちゃん……」

 

「って、あれ?」

 

 目の前にいるのは鏡子さんだった。夏海ちゃんはその後ろから顔を覗かせていた。

 

「えっと、おはようございます」

 

 挨拶すると同時に素早く起き上がって、思わず布団の上に正座してしまっていた。まさか、鏡子さんが起こしに来るなんて。

 

 夏海ちゃんに、これどういうこと? みたいな視線を送ってみる。

 

「たまには気分を変えようかと思いまして」

 

「ちょうど羽依里君を起こそうとしてた夏海ちゃんと、廊下で会ってね」

 

「せっかくだから、鏡子さんに起こしてもらったんです! 驚きましたか?」

 

「うん。驚いた」

 

 鏡子さんの背後で、悪戯っぽく笑っている。見事にしてやられたようだ。

 

「昨日は鷹原さんに起こされちゃったので、仕返しです!」

 

「え?」

 

 鏡子さんが笑顔のまま固まる。

 

「夏海ちゃん、起こされちゃったって、どういうこと?」

 

「そ、そのままの意味ですけど……」

 

「それじゃあ羽依里君、寝てる女の子の部屋に入ったの?」

 

「えっと、その……はい」

 

「ラジオ体操に遅れそうでしたし、前も一度入ったし、えっとその……」

 

「え、前も? ということは、二回目?」

 

 あ、しまった。

 

「しろはちゃんなら別にいいけど、それ以外の女の子の部屋に入るなんて……」

 

 鏡子さんの顔がみるみる赤くなっていく。

 

「……お姉さんに電話しなきゃ!」

 

「待ってください鏡子さん! 話を聞いてください!」

 

 電話が置いてある居間に走って行ってしまった鏡子さんを全力で追いかけ、必死に誤解を解く。

 

 夏海ちゃんの部屋に入る前に一番に鏡子さんを探した事。結局不在で、俺が起こさなければ夏海ちゃんはラジオ体操に行けず、楽しみにしていた皆勤賞が無くなってしまっていた事等を話し、なんとか実家への電話は踏みとどまってもらう。

 

「ごめんなさい。私ったら、羽依里君の夏海ちゃんを思う気持ちも知らずに」

 

「い、いえ。わかってもらえたんなら、いいです……」

 

 朝から汗だくになってしまった。まずは着替えないと。

 

 汗を拭きながら、自室に戻る。

 

 

 

「鏡子さん、ちょっとハサミ借りていいですか?」

 

「うん、いいよ」

 

 

 

 部屋で服を着替えていると、既に準備を終えてたらしい夏海ちゃんが、鏡子さんからハサミを借りていた。

 

 なんだろう。先日のパリングルス工作大会で、工作にハマっちゃったとかかな。

 

 

 

 着替えを済ませた後、いつものようにラジオ体操へ出発する。

 

「それじゃ、今日も元気にラジオ体操、行ってらっしゃい」

 

「はい、行ってきます」

 

「行ってきまーす!」

 

 夏海ちゃんと一緒に加藤家を出る。なんだか、本当に兄妹みたいだ。

 

 鏡子さんに見送られて出発するってのも、初めてかもしれない。

 

 

 

 

 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 

 

 

 

「おはよう、羽依里!」

 

 神社の境内に着くと、いつものメンバーに加えて鴎がいた。

 

「せっかくスタンプカードもらったんだし、なるべく参加しないとね!」

 

 びしっとスタンプカードを構えて、やる気満々だ。

 

「鴎ってば、朝から元気よねぇ」

 

「だよなー」

 

 蒼と良一は空を見上げている。既にセミたちは盛大な声で空を叩いていて、今日も暑くなりそうだ。

 

「お前たちは逆に鴎を見習え。ほら、ラジオ体操大好きさんが、今日も元気にやって来たぞ」

 

 のみきが指さす方向から、今日もラジオ体操大好きさんがやってきた。

 

「お、おまえらー……準備はいいかー……?」

 

「……あれ、なんか元気ないですけど」

 

 本当だ。なんか疲れてるように見える。

 

「実は、毎日続くこの暑さで夏バテ気味なんだ……」

 

 まぁ、無理もない話だった。

 

「ラジオ体操大好きさん、しっかりしてください!」

 

「そ、そうだな……俺がしっかりしないと……よーし、お前らーーー! 準備はいいかーーー! 今日もラジオ体操を始めるぞーーー!」

 

 自らを鼓舞し、今日も元気なラジオ体操が始まった。なんか少し声が裏返ってたけど。

 

 

 

「第二の体操! 横隔膜の振動! うるああああぁぁぁー!」

 

「うるああああぁぁぁーーーー!」

 

 ラジオ体操大好きさんの指示に合わせ、皆で大きな声を出して横隔膜を動かす。

 

「なあ良一、この体操も結構続けてるけど、本当に横隔膜の運動になってるのか?」

 

「さーな。ラジオ体操大好きさんがそう言うんだから、なってるんじゃないか」

 

 

 

「第四の体操! 三半規管の鍛錬! ぐるぐるぐる~!」

 

 ラジオ体操大好きさんが頭を振り回す。

 

「ぐるぐるぐる~!」

 

 俺たちもそれにならって頭を振り回す。

 

「うう、気持ち悪い……」

 

 この体操も、三半規管が鍛えられてる感じは全然しない。

 

 

 

「よーし、今日のラジオ体操はここまでーーー!」

 

「「ありがとうございましたー!」」

 

「さあ、スタンプはこっちだぞー」

 

「はーい!」

 

 元気良く、一番最初にスタンプをもらいに行く鴎。

 

 俺たちもその後ろに並び、スタンプとログボを受け取る。

 

「おお、佃煮だ」

 

 今日のログボは瓶に入った海苔の佃煮だった。

 

「これ、ごはんに乗せると美味しいよね!」

 

「炊きたてごはんに乗せると最高だよな」

 

「のみきさん、早速帰って食べよう! 味噌汁と目玉焼き作るよ!」

 

「ああ、期待しているぞ」

 

 鴎はのみきと一緒に帰っていった。俺達も他の皆にあいさつをして、帰宅することにした。

 

 

 

 

 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 

 

 

 

「あ、羽依里君。ちょうどいいところに帰ってきてくれたね」

 

 帰宅すると同時、玄関先で鏡子さんに呼び止められる。

 

「どうかしたんですか?」

 

 俺は反射的に、海苔の佃煮の入った瓶とスタンプカードを玄関先に置いて振り返る。

 

「荷物が届いたって連絡が入ったんだけど、午前中でいいから取りに行ってくれないかな? どうしても抜けられない寄合が入っちゃって」

 

「暇ですし、良いですよ。港ですか?」

 

「駄菓子屋なんだけど」

 

「え、駄菓子屋?」

 

「あのお店って、通販代行もしていてね。匿名で色々取り寄せてくれるの」

 

「は、はぁ……」

 

 匿名って所が恐いけど、そんなサービスもやってるのか。写真の現像もやってるって話だし、すごい店だよな。

 

「代金は先払いしてあるから、品物を受け取って来てくれるだけでいいからね」

 

「わかりました」

 

「それじゃ、よろしくね」

 

 鏡子さんはそこまで話すと、慌ただしく出かけて行ってしまった。

 

「午前中で良いんなら、宿題終わった後に夏海ちゃんも一緒に……って、あれ?」

 

 さっきまで玄関にいたはずの夏海ちゃんの姿がない。

 

 そして、玄関先に置いたはずの海苔の佃煮も無くなっていた。

 

「この流れはもしかして……」

 

 俺は急いで台所へ向かう。家に入った時点で、既に香ばしい匂いが漂ってきている。

 

「あ、もうすぐ朝ごはんできますから、座って待っててください」

 

 台所に入ると、夏海ちゃんがエプロンをつけて、フライパンを動かしていた。

 

 フライパンの横には予想通りに、半分くらいに減った佃煮の瓶が置いてあった。

 

「夏海ちゃん、今日の朝ごはんって」

 

「はい。佃煮チャーハンです!」

 

 炊きたてごはんに乗せて食べたかったけど、また先手を打たれてしまったみたいだ。

 

 

 

「はい、完成しました! どうぞ!」

 

 数分後、佃煮チャーハンが俺の前に置かれた。

 

「それじゃ、いただきます」

 

 とりあえず食べてみる。

 

 所々焦げてるところがおこげみたいで美味しかったけど、それ以外はどうやっても海苔の佃煮の味しかしなかった。しかも佃煮の水分で、せっかくのチャーハンがべちゃっとなってしまっていた。味は良いだけに、残念だった。

 

 

 朝食後は夏海ちゃんと宿題をする。

 

 国語の宿題だろうか。夏海ちゃんの口からケンコーホウシとか、マクラノソウシとか、久しぶりに聞く単語が出ていた。

 

 宿題の後、鏡子さんに頼まれていた荷物を取りに駄菓子屋に行くことにした。

 

「夏海ちゃん、駄菓子屋に行くけど一緒に行く?」

 

「あれ、何か用事ですか?」

 

「うん。鏡子さんから用事を頼まれてさ」

 

「せっかくなので、ついて行っていいですか?」

 

「うん、一緒に行こう」

 

「はい!」

 

 

 

 

 夏海ちゃんと一緒に駄菓子屋に到着すると、天善が居た。

 

「よう天善」

 

「天善さん、おはようございます!」

 

「鷹原に夏海か。どうしたんだ?」

 

「この店で通販代行をしてるって鏡子さんに聞いてさ。荷物を受け取りにきたんだ」

 

「なるほどな。俺もついさっき、新しいラケットを注文したところだ。この店の通販代行システムは素晴らしいぞ」

 

 見ると、天善は手に何も持っていなかった。いつもはラケットを握ってるのに。

 

「あれ、あのラケット壊れちゃったんですか?」

 

「ああ。長年の相棒だったが、ついにガタが来てしまってな」

 

「海水につけたり、花火打ち返したり、最近は色々無理させてたっぽいしな」

 

「……いらっしゃい」

 

 そんな話をしていると、店の奥から店番のおばーちゃんが出てきた。

 

「あれ、そういえば今日は蒼はいないんですか?」

 

「蒼ちゃんは今日も港で出店じゃのお」

 

 今日もやってるのか。後で行ってみよう。

 

「もう少ししたら藍ちゃんが来てくれるはずなんじゃが」

 

 おばーちゃんはゆっくりとした動作で駄菓子やアイスの補充をしていた。

 

「あの、鏡子さんが注文していた荷物が届いてるって聞いてきたんですけど」

 

「おお、そうじゃったな。少し待っていておくれ」

 

 おばーちゃんはこれまたゆっくりとした動作で店の奥に消えていった。

 

「なぁ天善、もしかして昨日のオルゴールキットもここで取り寄せてくれたのか?」

 

「ああ、実家が自転車屋をしている関係で、珍しい取り寄せ本がたくさんあってな。その中に曲を自作できるオルゴールキットがあったわけだ」

 

「自作?」

 

「付属の楽譜に穴を開けて、自分で曲を作れるタイプがあるんだ。夏海はパリングルスで代用していたけどな」

 

 昨日夏海ちゃんが作ってた楽譜がそれだったわけか。

 

「楽譜の方は静久が作ってくれたんだっけ」

 

「ああ、俺は楽譜が読めないからな。水織先輩にも協力してもらったんだ」

 

 裏で静久も動いてくれていたわけか……今度会った時にお礼言っておかないと。

 

「個人で注文しても良かったんだが、駄菓子屋に代行してもらった方が不思議と早く届くからな。ギリギリだったが、間に合って良かった」

 

「天善さん、色々とありがとうございました!」

 

「いや、昨日は喜んでもらえたようだし、思い出になったのならそれでいい」

 

 ……どうやら、本当に何もやって無かったのは俺だけらしい。

 

「ほい、これじゃの」

 

 その時、おばーちゃんが奥から鏡子さんの荷物を持って戻ってきた。

 

「ありがとうございます」

 

 受け取った拍子に、ふと気になって品物を見ると……商品名の所も、差出人の所も、マジックで塗りつぶされていた。

 

「うわ、怪しい」

 

「そりゃ、守秘義務があるからの」

 

 ……まさか、この島で守秘義務と言う言葉を聞くとは思わなかった。

 

「皆、色々な事情があるからの」

 

 おばーちゃんの意味深な発言を噛みしめつつ、俺達は一度加藤家に帰宅する。

 

 

 

 

 帰宅しても、例によって鏡子さんはいなかったので、受け取った荷物は居間に置いておく。

 

 中身なんだろう。すごく軽かったんだけど。

 

 一応任務は達成したんだけど、同時に暇になってしまった。

 

「鷹原さん、港に行ってみませんか?」

 

 冷蔵庫から麦茶を出して二人で一休みしていると、夏海ちゃんがそう切り出す。

 

「駄菓子屋のおばーちゃんの話だと、今日も蒼が出店をしてるって話だしね。行ってみようか」

 

「はい!」

 

 

 

 

 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 

 

 

 

 外に出て、港へ向けて歩く。

 

 何日か前の肝試しの話とかしながら、二人でのんびりと歩いていると、田舎道にさしかかる。

 

「この道でも、左右の森と草むらから良一と藍が飛び出してきてね……こっちも心臓が飛び出るかと思ったよ」

 

「夜だったら、本当に怖そうですね」

 

「その先の木からも鴎が落ちて来るし、もう大変で……あれ?」

 

 その時、田舎道に生えてる木の根元が目に留まる。そこに蒼が寝ていた。

 

「え、蒼?」

 

 確か港で出店をやってるはずなのに。

 

「あれ、藍さんじゃないですか?」

 

「え、うそ?」

 

 夏海ちゃんに言われて近くで見直してみると、藍のようだった。

 

「髪の巻き方、蒼さんと逆ですし」

 

 俺の隣にやってきた夏海ちゃんが、その寝顔を覗き込む。

 

 髪型もそっくりだけど、よく見たら巻き方が蒼と逆だった。前の登校日の時にもやってたし、通学スタイルというやつだろうか。

 

 お腹の上に手を置いて寝てるし、とことなく品があるような。隣にイナリもいないし。

 

「ううん……」

 

 その時、藍が身じろぎしてバランスが崩れる。

 

「あ、危ない」

 

 思わず、倒れかけた方の肩に手をやって、藍の身体を支える。

 

「……?」

 

 その衝撃で、閉じられていた藍の目がゆっくりと開く。

 

「……は?」

 

 藍は一瞬戸惑ったような顔をして、その後ものすごい目で睨みつけてきた。

 

「……羽依里さん、離してもらえますか?」

 

「え、でも」

 

 今この状況で手を離したら、、藍が痛い目にあうような。

 

「良いから離してください!」

 

「はい! ごめんなさい!」

 

 さっきにも増して睨まれて、俺は思わず手を離す。

 

 ……ごちん。と音がして、木の根で藍が頭を強打していた。

 

「~~~~!」

 

 左のこめかみ辺りを押さえて、声にならない声をあげていた。

 

「だ、だから言ったのに……」

 

 その後も、藍はしばらく悶えていた。足をバタバタさせて、凄く痛そうだった。しかもスカートだったので、色々と危なかった。

 

「羽依里さん、最低です。女の子の顔に傷がついたらどうしてくれるんですか」

 

「だって、離せって言われたから離したのに……」

 

 俺は理不尽に怒られていた。

 

「ところで藍さん、どうしてこんな所で寝てたんですか?」

 

「港で蒼ちゃんの出店の準備を手伝った後、まだバイトの時間まで時間があったので、ここで休んでいたんです。そしたら眠ってしまいました」

 

 木の下はいい感じに日陰にになっていて、藍の隣に座っている夏海ちゃんは快適そうだった。

 

 ちなみに俺はそこに近づくこと許されず、直射日光に晒されている。

 

「羽依里さんはそれ以上近づかないでください。あやうく襲われかけましたし」

 

 だからそれは誤解だってば……。

 

「この場所、気持ちいいですね」

 

「そうでしょう。この場所はなぜか落ち着くんです。蒼ちゃんもよくここでお昼寝をしています」

 

「そうなんですね」

 

「蒼ちゃんのにおいがします」

 

「え、なにそれ」

 

 どんなにおいか気になってしまった。ブルーハワイみたいな?

 

「だから近づかないでください」

 

「ぐぬぬ……」

 

「ところで藍さん、バイトの時間は良いんですか? 駄菓子屋のおばーさん、待ってましたけど」

 

「ああ……そろそろですね」

 

 藍はゆっくりと起き上がると、スカートについた草を払い落とす。

 

「夏海ちゃん、せっかくですから蒼ちゃんの出店にも行ってあげてください。きっと喜びますよ」

 

「はい!」

 

 藍は背伸びをしながら、住宅地の方へ歩いていった。

 

「それじゃ、俺達も港へ行こうか」

 

 その後ろ姿を見送った後、俺達も港へと向かった。

 

 

 

 

 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 

 

 

 

「あ、いらっしゃーい」

 

 港に行ってみると、いつもの所に蒼が出店を出していた。

 

「最近、ずっと蒼と藍が店を出してる気がするんだけど」

 

「そりゃあねー。なんだかんだで商売のノウハウ持ってるし」

 

「それじゃ、今日もウッハウハなんだな」

 

「ううん。全然……」

 

 ……正直でよろしい。

 

「それで、今日は何を売ってるんだ?」

 

「これよ」

 

 クーラーボックスを開けると、中は氷でキンキンに冷やされていて、色とりどりの果物が入っていた。

 

 更に、その一つ一つに棒が刺してあり、果物の周りは水あめでコーティングされている。

 

「なんて言うんだっけ、これ」

 

「あんず飴よ」

 

「そりゃ売れないよな……」

 

「え、なんで?」

 

「そりゃ、顔に飛ばないしさ」

 

 氷でキンキンに冷やされている関係で、果物をコーティングしている水あめもかなり固い。これなら確かに顔には飛ばないと思う。

 

「どういう意味よそれ」

 

 蒼、そんなジト目で見ないで。思い出させるようなこと言った俺も悪いけど。

 

「藍みたいにイナリに任せて、無人販売にした方が良いんじゃないか?」

 

 とりあえず話題を変えてみる。

 

「さすがに食べ物の出店をイナリに任せるのはねー」

 

「あ、そう言えばそうだよな」

 

 なんだかんだで野生動物だし。

 

「とりあえず、夏海ちゃんと一つずつ貰おうかな」

 

「まいどありー。どれでも一つ50円だから、好きなの取っていいわよ」

 

 そう言ってクーラーボックスを俺達の方に向けてくる。色々な種類の果物があるので、結構悩む。

 

「それじゃ、このイチゴにします!」

 

「俺はこのパイナップルにするかな」

 

 あんず飴を二つ買って、夏海ちゃんと一緒にその場で食べる。

 

「甘酸っぱくておいしいです!」

 

「うん。美味しい」

 

 果物を飴でコーティングしたお菓子と言えばリンゴ飴が思い浮かぶけど、このあんず飴は食べてるうちに水あめが溶けてきて、良く言えば柔らかくて食べやすい。悪く言うと、急いで食べないと水あめが溶ける。

 

「……なぁ蒼、おしぼりとかないか?」

 

 正直なところ、パイナップルはその形状の関係か食べにくかった。別のを選べばよかった。

 

 それにしても商品名はあんず飴なのに、実際にはあんずは使われていないのはいかがなものだろう。

 

 

「……そういえば羽依里、佃煮いる?」

 

 悪戦苦闘しながらあんず飴を食べ終わった頃、蒼がそう切り出してきた。

 

「え、海苔の佃煮なら朝食べたけど?」

 

「もっと特別やつよ」

 

 蒼はそう言うと、別のクーラーボックスから包みを取り出し、俺に手渡してくる。

 

「なんだこれ」

 

「駄菓子屋のおばーちゃんからもらったの。おすそ分けしてあげる」

 

 風呂敷に包まれている。手に持った感じは中にタッパーが入ってるっぽい。

 

「ここだと暑いから、帰ってから開けてね」

 

「わかった。ありがとうな」

 

「蒼さん、ありがとうございます!」

 

 腕時計を見ると、ちょうどお昼時だった。さっそく昼ごはんにいただくとしよう。

 

 

 

 

 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 

 

 

 

 帰宅して手を洗い、さっそく昼食の準備をする。

 

 朝は夏海ちゃんに先手を打たれてチャーハンにされてしまったから、ようやくの佃煮だ。

 

 ほかほかご飯を用意して、風呂敷包みを開いて、タッパーのふたを開ける。

 

 

「きゃあああーーーーっ!」

 

 そして、俺は叫んでいた。

 

「……」

 

 夏海ちゃんはあまりの恐怖に、俺の数歩後ろに下がって震えている。

 

 もらった佃煮……佃煮は佃煮でも、蜂の子とイナゴの佃煮だった。完全に油断していた。凄まじいインパクトだった。

 

「蒼も貰ったのは良いけど食べれないから、俺達にくれたんだな……」

 

 もう一度だけ、ちらっと中身を見る。まんま虫だ。これを島の皆は普通に食べるのだろうか。田舎恐るべし。

 

「ていうか、どうしようこれ」

 

「と、とりあえずチャーハンにしましょうか?」

 

「……あまりにグロテスクすぎるからやめようか」

 

 一瞬想像してしまった。慌ててそのイメージを打ち消す。

 

「鷹原さん、そういうの好きじゃないですか」

 

「好きだけど、それは本の中であって、こういうのじゃないんだ」

 

 この島の生活で多少は虫に慣れてきているとは言っても、これは別問題だ。

 

 とりあえず中身をできるだけ見ないようにしながら蓋をし、風呂敷で包みなおして冷蔵庫にしまう。

 

 気を取り直して、お昼はキムチうどんを食べることにした。

 

 お湯を注ぐと、すぐにキムチの良い香りが漂ってきた。これぞ現代人の食べ物という感じがして、安堵する。

 

 そして、きっちり三分経ってからいただく。

 

「うん、うまい」

 

 この辛さが夏の暑さにちょうどいい。

 

「うう、ちょっと辛いです……」

 

 辛み調節用の特製スパイス、俺と同じように全部入れちゃってたみたいだし。これだと夏海ちゃんには少し辛いかもしれない。

 

「ちょっとお水持ってきます」

 

「あ、トウガラシの辛さは水じゃ消えないから、牛乳飲むと良いよ」

 

「そうなんですね。ありがとうございます」

 

 しばらくして、コップに入れた牛乳を持って戻ってきた。俺も後で牛乳飲もう。

 

 

 

 

 昼食後、今日はイベントも特に聞いてないのでまったりと過ごす。

 

 そういうと聞こえはいいけど、ぶっちゃけ暇だった。

 

「すみません鷹原さん。ちょっと出かけてきます」

 

「え? 夏海ちゃん、どこか行くの?」

 

「はい。ちょっと用事です」

 

 麦わら帽子をかぶってリュックを背負って、どこかに出かけていってしまった。一人で外出とか、珍しいな。

 

 一人残され、ますます暇になってしまった。

 

 どこか出かけようかな……と思って立ち上がった時、冷蔵庫の佃煮を思い出した。

 

「そうだ。あの佃煮、しろはなら役立ててくれるかもしれない」

 

 少なくとも、このまま加藤家の冷蔵庫で眠っているよりいいと思う。

 

 というわけで佃煮を冷蔵庫から引っ張り出し、氷を入れたビニール袋と一緒にバイクの収納スペースに入れる。

 

「しろは、どこにいるだろう」

 

 俺はしろはを探すため、バイクを発進させた。

 

 

 

 

 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 

 

 

 

 最初にしろはの家に行ってみる。

 

「しろはー」

 

名前を呼んでみるけど、誰かが出てくる気配はない。近くの鶏小屋から、ニワトリの鳴き声が聞こえてくるだけだった。

 

「留守なのか。ここじゃないとしたら……」

 

 

 

 俺はバイクを走らせて、島の外れ……しろはの釣り場にやってきた。

 

「あれ、ここにもいない……」

 

 ここにもしろはの姿はない。少し前に船が通ったのか、波の音がやたら大きく聞こえる。

 

「ここもいないとしたら……あれ?」

 

 周囲を見渡していると、見慣れた後ろ姿を見つけた。夏海ちゃんだ。

 

「夏海ちゃん」

 

「……っ!」

 

 背後から声をかけたからか、夏海ちゃんが飛び上がるくらい驚いていた。

 

「た、鷹原さん。驚かせないでください……」

 

「ごめんごめん」

 

 ……あれ? そういえば夏海ちゃん、バイクの俺より先にどうやってこの場所に来たんだろう?

 

「どうかしたんですか?」

 

「ううん。なんでもないよ」

 

 きっと俺の知らない秘密の抜け道とかあるんだろう。しろはとかそういうの詳しそうだし。

 

「それより鷹原さん、何しに来たんですか?」

 

「え? えっとね……」

 

 俺は夏海ちゃんに、しろはの所に例の佃煮を持っていこうとしている旨を伝えた。

 

「一緒に行って良いですか?」

 

「いいよ。後ろに乗って」

 

「はい!」

 

 夏海ちゃんと合流し、再びバイクを走らせる。

 

 

 

 

 次にため池に寄ってみた。しろはの釣り場からだと道すがらだし。

 

「おお、涼しい」

 

 水が近くにあるせいか他の場所より涼しいとは思うけど、しろははおろか、周辺には誰の姿もなかった。

 

「でも、なんで来たんだろう……」

 

 俺達はバイクから降りて、ため池の近くに寄っていく。

 

 しろはのことを考えていたら、何故かここに来てしまっていた。先の昆虫採集大会の時、鴎と来て以来だ。

 

「れいだーん」

 

 両手を構えて、なんとなくやってしまっていた。

 

「え、なんですかそれ」

 

 その様子を見た夏海ちゃんが少し引いていた。

 

「ごめん夏海ちゃん、気にしないで」

 

「は、はぁ……」

 

 俺は何の気なしにため池を覗き込む。岸に近い所では浅くなっているところもあって、池の底が見えていた。ザリガニ達がわしゃわしゃと元気に動いている。

 

「夏海ちゃん、別の場所に行ってみようか」

 

「れいだーん」

 

 夏海ちゃんの方に振り向くと、こっそりやっていた。なんというか、微笑ましい。

 

「ご、ごめんなさい。なんでかやってしまったんです!」

 

 見られたのが恥ずかしかったのだろうか。顔を赤くしながらバイクの方に走って行ってしまった。

 

 俺もあえて何も言わず、バイクにまたがった。

 

 

 

 

 その次に、漁港の方に行ってみた。しろはのじーさんが漁から戻っていれば、しろはがどこにいるかわかるかもしれないし。

 

「……誰も居ませんね」

 

 漁港には漁師はおろか、ネコの子一匹いなかった。

 

「ここも外れかな」

 

「あれ、羽依里?」

 

 夏海ちゃんと二人バイクに乗ったまま、踵を返そうとしていると、背後から声をかけられた。

 

「鴎さん、こんにちわです!」

 

「やっほー、なっちゃん」

 

 いつものようにスーツケースを引いて、鴎が歩いていた。

 

「鴎、こんな所で何やってるんだ?」

 

「散歩だよ」

 

「え、この暑い中を? 大丈夫か?」

 

「これがあるから大丈夫!」

 

 見ると、鴎は白い日傘を持っていた。鴎の黒髪に映える感じで、似合っていた。

 

「ところで羽依里、しろしろと喧嘩したの?」

 

「え、別にしてないけど」

 

「なんかね、しろしろが羽依里と喧嘩して、怒って出て行っちゃったって噂を聞いたんだけど」

 

「誰から?」

 

「港であったおばさん。若いっていいわねって言ってた」

 

 いやいやいや、若い云々言う前に、喧嘩してないから。

 

「羽依里がバイクでしろしろを探し回ってるってのも、噂になってるんだけど。そのバイク違うの?」

 

「確かにバイクも乗り回してるし、しろはも探してるけど、喧嘩はしてないから」

 

「うーん。そうなんだね」

 

「もしその噂を流してる奴に会ったら、きちんと訂正しといてくれ」

 

「わかった」

 

「ところで鴎、しろは見なかった?」

 

「ごめん、見てないよ」

 

「わかった。ありがとうな」

 

 そのままバイクのキックスイッチでエンジンを起動させる。早い所しろはを見つけないと。

 

 バイクをUターンさせて、住宅地を駆け抜ける。もしかしたらしろはとすれ違わないかと周囲に気を配りながら、そのまま一本道を通って、灯台へと向かう。

 

 

 

 

 灯台に着くと、そこには紬が居て、灯台の周りに水を撒いていた。

 

「おーい、紬―」

 

「紬さーん」

 

「むぎゅ! タカハラさんとナツミさんです!」

 

 バイクに乗ったまま紬に声をかけると、水道の蛇口を絞めて、こっちに走ってきた。

 

「紬、何してるんだ?」

 

「今日も暑いですから、打ち水をしていました!」

 

 灯台の壁にはデッキブラシが立てかけられていた。俺の知っている打ち水とは、だいぶ違うみたいだ。

 

「あれ。紬さん、今日は一人ですか?」

 

 夏海ちゃんが周囲を見渡しながら言う。そういえば静久の姿がない。

 

「はい、シズクは課題の提出日だそうで、本土に戻っています!」

 

 すっかり忘れていたけど、静久は大学生だった。

 

「全部完璧に提出したはずなのにー、って泣いてました。できるだけ早く提出して帰ってくるらしいです」

 

 せっかくの夏休み、静久も一日も多く紬と一緒に居たいんだろう。

 

「そういえば、静久さんって何学部なんですか?」

 

 夏海ちゃんがふとした疑問を口にする。言われてみれば、俺も聞いたことがない。

 

「むぎゅ、わたしも知らないです」

 

 紬も知らないみたいだ。

 

 楽譜が読めたり、パリングルス工作大会での絵の具の扱いとかを見てると美術系なのかもしれない。

 

 一瞬、おっぱい学部という単語が浮かんだけど、さすがに無いだろう。

 

「ところでタカハラさん、シロハさんと喧嘩したんですか?」

 

「え?」

 

「潮風に乗って、そんな噂が聞こえてきました。新しい恋人ができてシュラバだとか」

 

 え、なにそれ。

 

「大丈夫だよ。喧嘩なんてしてないから」

 

「そ、それならいいのですが」

 

「変に噂が独り歩きしてるみたいだね。早くしろはに会わないと」

 

「それじゃ紬、頑張ってね」

 

「はい! ご武運をお祈りしています!」

 

 紬は俺たちに笑顔で手を振りながら、打ち水の作業に戻っていった。

 

「次はどこに行こうかな……」

 

 俺と夏海ちゃんは灯台を後にした。

 

 

 

 

 その後は住宅地まで戻り、駄菓子屋や神社にも足を運んでみる。神社には人っ子一人いなかった。

 

 駄菓子屋には店番の藍がいたが、今日はしろはは来ていないとのことだった。

 

 ……行く当てが無くなってきた俺たちは、気が付けば役所に来ていた。

 

「しろは、来てないよな?」

 

「なぜ役所にいると思ったんだ?」

 

 俺たちの前に立っているのみきは呆れ顔だ。

 

「後はここくらいしか残って無かったんだ」

 

「しろはと喧嘩したと聞いたが」

 

「いや、してないから」

 

「愛人2号に弁当を貰っていたと、噂になっていたぞ」

 

「いや、愛人2号って誰?」

 

「それはわからないな。結局は噂だからな」

 

「どうしてもしろはと会いたいと言うのなら、鉄塔から呼びかけてやろうか?」

 

「いや、それはやめておくよ」

 

 そんなことをしたら、それこそ噂を助長しかねない。

 

「……もう少し探してみるよ」

 

「事情はわからないが、頑張れよ」

 

 その後もあっちこっち走り回ってみたが、ついにバイクのガソリンがなくなってしまった。

 

 俺は結局しろはを見つけることはできず、バイクを押しながら、失意の元に加藤家へ帰宅した。

 

 

 

 

 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 

 

 

 

「羽依里君、しろはちゃんと喧嘩したって本当?」

 

 帰宅すると開口一番、鏡子さんにそう言われた。

 

「誤解ですよ。喧嘩する以前に、今日会えてもいないんですから」

 

「愛人からお弁当受け取ってるのをしろはちゃんに見られて、泣きながら逃げられたって。寄合でも噂になってたよ」

 

 ……噂がますます独り歩きしてる。だから愛人って誰。

 

「じゃあもしかして、しろはのじーさんの耳にも?」

 

「ううん。今日は鳴瀬さんは寄合に来てなかったから、まだ大丈夫だとは思うけど」

 

 今日は漁に出てるんだろうか。なんにしても助かった。もし、あのじーさんの耳に入っていたら、間違いなく殴り込みに来られていただろうし。

 

「……あ、もしかしてお弁当って、あれじゃないですか?」

 

「え?」

 

 その時、夏海ちゃんが思い出したように声をあげる。

 

「ほら、蒼さんから佃煮受け取ったじゃないですか」

 

 夏海ちゃんに言われて、蒼から佃煮を受け取った場面を思い出した。受け取った佃煮は風呂敷鼓に包まれてたし、見ようによってはお弁当を受け取っていたように見えたかも。

 

「あの場面を誰かに見られたのか……」

 

 それから噂が独り歩きしたのか……噂って怖い。

 

「今の時間なら、もうしろはちゃんも食堂に行ってるだろうし、行くなら早く行った方が良いよ」

 

「わ、わかりました」

 

 鏡子さんに促されて、俺は食堂へと向かう。もちろん、問題の発端となった佃煮を持って行くことも忘れない。

 

「夏海ちゃんは後からゆっくり来て良いからね!」

 

「はい!」

 

 俺は急いで外に飛び出すと、食堂へと走った。

 

 

 

 

 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 

 

 

 

「しろはー!」

 

 バイクはガソリンが切れてしまっていたので、全力で走ってきた。

 

「え、いらっしゃい。今日は早いね」

 

 扉を開けると、カウンターの奥にいたしろはが驚いた顔をしている。俺はそんなしろはに近づき、肩に手を置く。

 

「しろは、変な噂が流れてると思うんだけど、気にしないでくれ」

 

「え、噂?」

 

「俺はしろは以外に愛人なんていないし。弁当貰ったなんて事実はないから!」

 

「え? え?」

 

「俺が愛してるのはしろはだけだから。しょせん、噂は噂だから!」

 

 俺はまくしたてるように話す。

 

「……ごめん、羽依里の気持ちはその、すごくうれしいんだけど……えっと、言ってることの意味がよくわからない」

 

「え?」

 

 しろはは顔を赤くしているが、どことなく困ったような顔をしている。

 

「……噂、知らない?」

 

「ごめん。今日は私、ずっと食堂に籠っていて」

 

「……へっ?」

 

 しろはによると、今日は丸一日、昨日貰った中華鍋を油になじませたり、新しいメニューの開発をしたりと、食堂に入り浸っていたらしい。

 

 よって、島中で囁かれている噂は全く耳にしていないとのことだった。

 

「な、なーんだ……心配して損した……」

 

 一気に安心してしまった。身体から力が抜けて、カウンター席に座り込んでしまう。

 

「羽依里がそこまで慌てるって、どんな噂が流れていたの?」

 

「実はさ……」

 

 俺は島で流れている噂について、しろはに話して聞かせた。

 

「……ぷ。変なの。私と羽依里が喧嘩するなんて、ありえないよ」

 

 一笑に付してくれた。

 

「……羽依里を怒ることは、時々あるかもだけど」

 

「それは喧嘩じゃないもんな」

 

「そうだね」

 

 しろはが笑う。俺もつられて笑顔になる。

 

「それで……騒ぎの発端になった、蒼からもらった佃煮ってのがそれ?」

 

「そう」

 

 隣の席に置いていた風呂敷包みを、しろはに手渡す。

 

「わあ、美味しそう」

 

 タッパーを開けて、中身を見る。全く動じる様子はない。

 

「味見していい?」

 

「ど、どうぞ」

 

 カウンターに置いてある箸立てから箸を一膳抜き取って、イナゴの佃煮を口に運ぶ。

 

「うん。おいしい」

 

 おおう、食べてる……。

 

 何度も思うけど、島の人間は逞しすぎる。

 

「これを使ったレシピ、考えてみるね」

 

「う、うん。期待してるよ」

 

 しろははタッパーのふたを閉めて、佃煮を冷蔵庫へとしまう。

 

 ……しろはには悪いけど、しばらく食堂で日替わりはは頼まない様にしよう。

 

 

 

 その後もしろはと今日の出来事を色々と話した。

 

 どうやら、しろはも静久が何の大学に行っているかは知らないようだった。

 

 

 

「しろはさん、こんばんわー」

 

 日が暮れた頃、夏海ちゃんがやってきた。

 

「ごめんね夏海ちゃん、取り越し苦労だったみたい」

 

「そうですか」

 

 口には出さないけど、談笑している俺たちを見て、安心している様子だった。

 

「二人とも、そろそろ良い時間だし、晩ごはんにする?」

 

「そうしようかな。夏海ちゃんも座って」

 

「はい!」

 

 セルフの水を用意して、夏海ちゃんも席に座るように促す。しろははおしぼりとメニュー表を渡してくれる。

 

「それじゃ、今日は何にする?」

 

「俺は活け作り定食にしようかな」

 

 少し考えて、今日は魚にすることにした。

 

「私は日替わり定食ください!」

 

 夏海ちゃんは日替わり定食を注文していた。

 

「うん。少し待っててね」

 

 ……そういえば、今日の日替わりって何だろう。さすがにさっきの佃煮は使われないだろうけど。

 

 それからしばらくして、俺たちの前に料理が並べられていく。

 

 ご飯、豆腐のみそ汁、海藻サラダ、大豆の煮物。ここまでは二人とも同じだった。

 

「はい、羽依里」

 

 俺の前に刺身の乗った皿が置かれた。メインはイカとタコの刺身だった。美味しそうだけど、なんだろうこの組み合わせ。

 

「はい、夏海ちゃん」

 

 そして、夏海ちゃんの前には大きなたい焼きが二つ乗った皿が置かれていた。

 

「え、たい焼き?」

 

 夏海ちゃんも素っ頓狂な声を上げてしまっていた。

 

 俺も思わず二度見してしまった。どう見ても、焼きたての美味しそうなたい焼きだった。

 

「うん。日替わりのたい焼き定食」

 

 夏海ちゃんは何とも言えない顔をして、固まっていた。

 

「えーと、中身はあんこだよね?」

 

 固まっている夏海ちゃんに代わって、俺が質問してみる。

 

「そう、だけど……」

 

 もしかして、あんこ嫌いだった? みたいな顔をされた。

 

「お、美味しそうです!」

 

 慌てて取り繕ってる。夏海ちゃんも大変そうだ。

 

「それじゃ鷹原さん、いただきましょう!」

 

「そ、そうだね。いただきまーす」

 

 気を取り直して、俺たちも食事を始める。

 

 イカとタコの刺身は甘くて歯ごたえがあって、最高だった。

 

 一方で夏海ちゃんは、一生懸命みそ汁と大豆の煮物でご飯を食べていた。

 

 やっぱりたい焼きとごはんは合わなかったらしい。

 

「ごめんね夏海ちゃん。今度はこしあんとか、カスタードたい焼きも用意しておくね」

 

 いやしろは、そういう問題じゃないと思う。

 

 時々、この島の住民の食文化が分からなくなる。

 

「いえ、カスタードたい焼きは邪道と、どこかの誰かも言ってましたし、これで大丈夫です!」

 

 その後も夏海ちゃんは笑顔で食事を続け、たい焼き定食を完食した。夏海ちゃん、頑張ったね。

 

 

 

 

 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 

 

 

 

 しろは食堂から帰宅した後、お風呂を沸かした。

 

 食堂での労をねぎらって、一番風呂は夏海ちゃんに譲ってあげた。

 

 俺はお風呂の順番が来るまで、居間でのんびりテレビを見ていた。

 

 

『そこの人! どいてどいて!』

 

 またテレビドラマをやっていた。凄腕の食い逃げ師である女の子が、伝説のたい焼きを食い逃げしたのは良いが、追手にすぐそこまで迫られているという内容だった。

 

 箸を持つ方に避けろと主人公に言われて、左に避けて主人公とぶつかっていた。どうやら食い逃げ犯は左利きらしかった。

 

 夏海ちゃんには悪いけど、時折出てくるたい焼きがとてもおいしそうだった。

 

 

「羽依里君、お友達が来てるよ」

 

「え、友達?」

 

 その時、鏡子さんから声をかけられた。

 

 誰だろうと思いながら玄関に出てみると、良一がいた。

 

「よう」

 

「こんな時間にどうしたんだ?」

 

「釣りに行かないか?」

 

「え、それって」

 

「夜釣りだ」

 

 昨日お願いしたばっかりのはずだけど、もう準備してくれたんだろうか。

 

「いいな。夜釣り」

 

「行こうぜ、夜釣り」

 

「「レッツゴー」」

 

 コツン、と良一と拳を合わせる。

 

 ノリでそこまでやった後、ちゃんと鏡子さんに許可をもらって外出した。

 

 夏海ちゃんはお風呂に入っていたし、今回は俺だけ出かけることにした。夜の海は危険だから、夜釣りには同行しない約束だし。

 

 

 

 

 懐中電灯と釣り道具を持った良一と一緒に夜道を歩く。

 

「ところで夜釣りって、どこでやるんだ?」

 

「着いてのお楽しみだ」

 

 良一はいたずらっぽく笑う。にやけるだけで教えてもらえそうにない。

 

「天善が先に言って準備をしてくれているはずだぜ」

 

「天善も来るのか」

 

「ああ、今回は男三人水入らずだな」

 

 良一はどことなく嬉しそうだ。

 

 まぁ、たまにはこういう時があってもいいかもしれない。

 

「夜釣りって、昼間の釣りと何か違うのか?」

 

 折角なので、釣り場に着くまで色々と質問させてもらうことにした。

 

「そうだなー。まず、夜は魚の警戒心が薄れて釣りやすくなる。入れ食いになったり、思わぬ大物が釣れたりな」

 

「へぇ、そうなのか」

 

「そして、今の時期だと涼しく釣りができる」

 

 確かに、この間皆とやった釣りは楽しかったけど、かなり暑かった。しろはの釣り場は風がそれなりにあるから、誤魔化せていたけど。

 

「後、近くに街灯とか光があると釣れやすい。集魚灯ってのもあるしな」

 

「そうなのか? 逆に逃げそうなもんだけど」

 

「光に集まるプランクトンがいてな。それを食いに小魚が集まる。すると、その小魚を食いに大物も寄ってくるわけだ」

 

「あー、そういうことか」

 

「この辺の海だと、メバルにスズキ、チヌ、カマスとかだな」

 

 俺でも名前くらい聞いたことのある魚ばかりだった。その辺が釣れると言われると、やる気も出る。

 

「でも、時々ゴンズイやエイが釣れることもある。そいつらは毒針を持ってるからな。もし釣れたらすぐに逃がせよ」

 

「わかった」

 

 

 

 

 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 

 

 

 

「よし、着いたぜ」

 

 その後も色々なレクチャーを受けているうちに、釣り場に到着したようだ。

 

「あれ、ここって」

 

 暗いからわかりにくかったけど、しろはの釣り場だった。

 

「お、鷹原も来たのか」

 

 そして聞き慣れた声がした。天善がすでに来ていて、釣り糸を垂れているようだった。

 

「そういえば鷹原、愛人2号に弁当をもらったという噂は本当か?」

 

「ただの噂だ! もらったのは佃煮だ!」

 

 この二人もしっかり知っていたのか。噂って怖い……。

 

「ところで、こんなに暗いんじゃウキも見えないじゃないか?」

 

「大丈夫だ。見てみろ」

 

 天善の指差す先、真っ黒い海面を見てみると、一点だけ淡い光を放っている場所があった。

 

「え、なんだあれ?」

 

「電気ウキってやつだよ。あれなら沈んでもすぐにわかるだろ」

 

 良一がすぐ近くに釣り道具を置きながら、そう説明してくれる。

 

「羽依里の分もちゃんと用意してあるぜ」

 

「それは助かるけど、こう暗いと仕掛けを作るのも大変そうだな」

 

 良一が懐中電灯を持ってはいるけど、それ以外の場所は本当に暗い。足元すら見えない。

 

「心配しなくても、秘密兵器がある」

 

 そんな俺の心境を知ってか知らずか、良一はバッテリー式の投光器を用意していて、それを使って明かりを灯す。

 

「おお、すごいな」

 

 一気に明るくなった。これなら足元の心配もいらなさそうだ。

 

「さっき言ったろ。光に魚は集まるって」

 

 慣れた手つきで釣りの仕掛けを用意しながら、得意げに話してくれる。

 

 明るくなって分かったが、全員分のバケツまで用意してあった。

 

「ここには元々光源がないから、こっちで用意してやるんだよ。イカ釣りの時には光でイカを集めるって話、聞いたことあるだろ」

 

 確かにそんな光景をテレビで見たことがある気がする。

 

「ほれ、羽依里の釣り竿だ。エサは自分でつけろよ?」

 

「わかった」

 

 良一から手渡されたタッパーに入っていたのは、見慣れた虫だった。これがエサなんだろう。

 

 出来るだけ見ない様にしたり、これは虫じゃない! 魚のエサだ! と自分を誤魔化しながら、エサを針につける。

 

「このエサが一番匂いがきついからなー」

 

 良一がそう言いながら、俺の隣で釣りを始めた。

 

「夜は暗いから、魚も嗅覚を頼りにエサを探す。必然的に匂いが強いエサの方が釣れるわけだな」

 

 そう言う天善は、俺達二人とは防波堤を挟んで反対側の海に仕掛けを沈めている。

 

 投光器は防波堤のちょうど真ん中に設置され、全体的に明るい。これならやりやすいな。

 

「それじゃ、始めようぜ」

 

 それからは時々適当に駄弁りながらも、釣りを楽しんだ。

 

 

 

「よし、ヒット!」

 

 入れ食い……とまではいかないけど、短い間隔で魚が釣れる。

 

 良一の秘密兵器の力は絶大で、様々な魚が光に集まってきているみたいだ。

 

「おっ、それはメバルだな」

 

 俺が釣った獲物をバケツに入れるのを見て、良一がそう教えてくれた。

 

「刺身や煮付けにしてもうまいんだぜー」

 

 そうなんだ。今度しろはに作ってもらおう。

 

「俺としては、スズキを釣りたいところだけどなー」

 

 良一のバケツには俺の倍以上の数のメバルが入っているが、まだ満足していないみたいだ。

 

「うおおおーー! またエイだ!」

 

 ちなみに、天善はゴンズイやエイばっかり釣れているようだった。

 

「なぁ天善、お前もこっちで釣らないか?」

 

「いや、これもトレーニングになると思えば……!」

 

 確かに、エイがかかった時の引きってすごいって言うし、トレーニングにはなるかもしれないけど。

 

 

 ……その時、ボンという音がして、防波堤の中央に置かれていた投光器の明かりが消えた。

 

 

「うわっ!?」

 

 煌々と灯るライトに目が慣れてしまっていた分、それが消えてしまうと一気に真っ暗闇に逆戻りだ。

 

「やべ、バッテリーが上がっちまったか」

 

「大丈夫か、予備は?」

 

「あったはずだけどよ……確か、向こうの方に……」

 

 隣にいた良一が動く気配がした。どうやら対応してくれているらしいが、真っ暗で何も見えない。

 

「羽依里、あぶねーから、そこ動くなよ!?」

 

「わかった」

 

「良一、懐中電灯はどうした?」

 

 少し離れたところから、天善の声も聞こえる。

 

「上着のポケットだな……それも向こうに置きっぱなしだ。まいったぜ……」

 

 え、ということは良一、今は裸なのか。いつの間に脱いだんだ……。

 

 

 

 何はともかく、三人が三人とも目が慣れないと動けない状況になってしまった。

 

 どうしようもないので、俺も一度釣竿を上げて、海の方を眺めていた。

 

 やがて多少目が慣れ、お互いの輪郭くらいは認識できるようになってきた頃…・…。

 

 

 

「……あれ?」

 

 視界の端に、小さな光が見えた。

 

 目を凝らしてよく見ると、それは光る蝶だった。この前、秘密基地に行く途中に見た蝶とそっくりだ。

 

 やっぱり見間違えじゃなかったんだ。

 

 ゆっくりとふわふわ飛びながら、こっちに近づいてくる。俺はなぜかその蝶に触れようと、手を伸ばす。

 

 もう少しで触れる……というところで、光る蝶は俺の手を避ける様に、ふわりと海の方へと逃げる。

 

 俺はそれを追うように、一歩前へと足を踏み出す。

 

 更にもう一歩。

 

 

 ……そして、自分が防波堤の上にいたことを、一瞬だけ完全に忘れていた。

 

 

「……羽依里!」

 

 良一の声がして我に返るけど、時すでに遅かった。俺は足を踏み外し、海へ落ちていく。

 

「やばいっ!」

 

 真っ暗闇の中、風を切る感じで落ちていくのがわかる。昼間の記憶を思い出すなら、海から防波堤までの高さは4メートル前後と言ったところ。

 

 今日は波はそこまでないけど、夜の海は未知数だ。落ちたが最後、上も下も分からなくなる可能性が高い。ものすごい勢いで恐怖心が襲ってくる。

 

 ……くそ、俺は元水泳部だぞ!

 

 俺はできるだけ自分を鼓舞し、覚悟を決めた。

 

 

 

 

「……あいてっ!?」

 

 数メートル落下して、そのまま海に……と思ったら、妙な感触の上に落下した。

 

「……あれ?」

 

 暗くて何も見えないけど、俺は確かに海に向かって落ちたはずだ。すぐ近くで海のにおいがする。

 

 手探りで回りの様子を探ってみると、大量の網が敷き詰められた船の上だということが分かった。

 

 この網がクッションになってくれたらしく、結構な高さから落ちたのに、怪我らしい怪我もしていなかった。

 

 

「羽依里! 大丈夫か!?」

 

 船の上で呆然となっていると、懐中電灯の明かりで照らされた。良一の声も聞こえる。

 

「……ああ、なんとかな!」

 

「なんだその船!?」

 

「わからない。たまたま下にあったんだ!」

 

 明かりで照らされてわかったけど、船は防波堤の一部に残された杭にロープで結ばれていた。

 

「……ちょっと待ってろよ!」

 

 懐中電灯の明かりが消え、良一の声も遠ざかっていった。

 

 しばらくすると、遠くからエンジン音が聞こえてきた。目を凝らすと、良一がマリンジェットに乗って助けに来てくれたのだとわかった。

 

「怪我はないか?」

 

「……ひとまず大丈夫そうだ」

 

「だから夜の海は気をつけろって言ったろ。ほら、掴まれ」

 

「悪い。助かった」

 

 この時ばかりは、良一の背中が頼もしく見えた。

 

 

 

 

「もし、あのまま夜の海に落ちてたらヤバかったぜ」

 

 マリンジェットで防波堤の周囲をぐるっと半周する。暗いので距離感はわからないけど、かなりの距離を移動しているみたいだ。

 

「あの防波堤は結構古いからな。海の下は波に結構削られてて、ボコボコになってるんだ。夜にそんな場所に落ちたら、さすがの羽依里でも助からないぞ」

 

「……」

 

 良一にそう言われて、改めて背筋が寒くなった。

 

「今回は本当に運が良かったな」

 

「ああ……それにしても、なんであんなところに船があったんだろうな?」

 

 船着き場でもない、ただの防波堤なのに。

 

「少し離れたところに船着き場があるからな。そこの船がたまたま流れてきてたんだろ」

 

「でも、ロープで係留されていたような……いや、なんでもない」

 

 今はそんな細かいことを気にしている場合じゃなかった。何事もなかっただけ、良しとしないと。

 

 ……そこからもう少し海上を走り、しろはの釣り場の入り口付近に戻ってきた。

 

 釣り道具やバケツを持った天善もそこで待っていてくれ、俺の身を案じてくれた。

 

「鷹原、肝を冷やしたな」

 

「ああ、心配かけて悪かった」

 

「怪我をしてないのならなによりだ」

 

「まさか、今度夏海ちゃんを乗せてやろうと係留しておいたマリンジェットが、こんなに早く役に立つなんてなー」

 

 良一はマリンジェットを杭に固定しながら、安堵の声を上げる。

 

「おかげで助かった」

 

「さて、今日はもうお開きにしようぜ。さすがの羽依里も、もう釣りって気分じゃないだろ?」

 

「しばらく夜の海がトラウマになりそうだ」

 

「そう言うなって。またやろうぜ」

 

「ああ、また誘ってくれ」

 

「今度は安全な所でな。港とかいい感じんじゃないか?」

 

 あそこなら常夜灯があるし、安全かもしれない。

 

「ところで二人とも、俺が海に落ちそうになったこと、他の皆には秘密にしておいてほしいんだ」

 

「わかってるよ。他の連中に余計な心配かけたくないんだろ」

 

「三人だけの秘密にしておこう」

 

 快く了承してくれた。本当にありがたい。

 

 「あとほれ、今日の羽依里の取り分だ」

 

 そう言って良一からバケツを渡される。明らかに俺が最初に釣っていた量より増えている。

 

「え、良いのか?」

 

「量が釣れたから、早めに切り上げたってことにしておこうぜ」

 

「ありがとうな、二人とも」

 

「気にすんな。それより、気をつけて帰れよ」

 

「ああ、それじゃ、またな」

 

 二人に別れを告げ、俺は一人で帰宅の途についた。

 

 

 

 

 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 

 

 

 

「あ、鷹原さん、おかえりなさい」

 

 帰宅すると、夏海ちゃんが出迎えてくれた。

 

「ただいま。鏡子さんは?」

 

「急な寄合が入ったとかで、出かけていきました」

 

「そうなんだ」

 

「早かったんですね。夜釣りって、もっと遅くまでやるのかと思ってました」

 

「予想以上にたくさん釣れちゃってね」

 

 俺は努めて笑顔で、魚の入ったバケツを夏海ちゃんに渡す。

 

「わ、すごいですね」

 

「とりあえずビニール袋に小分けして、冷蔵庫に入れておいてもらえるかな」

 

「わかりました」

 

 俺から受け取ったバケツを両手で持ちながら、台所へ向かっていく。

 

「あ、お風呂沸かし直してますから、すぐに入っちゃってくださいね!」

 

「うん、ありがとう」

 

 なんとか誤魔化せたみたいだし、ありがたくお風呂に入らせてもらうとしよう。

 

 涼しいとはいえ潮風に当たりまくったおかげで、身体はベタベタだし。半分冷や汗もあるかもだけど。

 

 

 

 

「鷹原さーん! もうバスタオルなかったので、ここに置いておきますねー!」

 

 お風呂に入っていると、ガラス戸越しに夏海ちゃんの声が聞こえた。

 

「うん、ありがとう」

 

 

 

「……怪我がなくて、良かったですね」

 

 

 

「え?」

 

 ちょうどシャワーで頭を流していて、何を言ったのか聞き取れなかった。

 

「……まぁいいか」

 

 日中の佃煮騒動からの夜釣りと、動き回ったのもあって、入浴後はすぐに自室に戻って眠りについてしまった。

 

 

 

 

 

第十三話・完




第十三話・あとがき


おはこんばんちわ。トミー@サマポケです。

今回はいわゆる佃煮騒動とでもしておきましょうか。うわさ話が独り歩きして話が大きくなっていく恐怖を書いて……みたかったんですが、なんだか微妙な感じになってしまいました。

後は夜釣りですね。私も昔に何度か経験ありますが、本当に釣れる魚が違うんですよ。

ちょっと筆休め的な回にしたかったのですが、やっぱりメインのイベントがないとどうも盛り上がりに欠けますね(汗


■今回の紛れ込みネタ

・テレビドラマ
『そこの人! どいてどいて!』
kanonのあゆとの出会いのシーンですね。この手のシリーズはやりやすいので、時々紛れ込ませていこうかと思いますw

今回は紛れ込ませネタは少なめでした。

感想など頂けましたら、泣いて喜びます。
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