Summer Pockets #2   作:トミー@サマポケ

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第三十六話 8月22日(前編)

「えっと……羽依里さーん、朝ですよー……?」

 

 ……朝。今日も夏海ちゃんの声で起こされる。

 

 でも、いつもに比べて声量が控えめなような気がする。

 

 それになんだか、いつもより声が近い。そして、下が硬い。

 

「……あれ」

 

 目を開けてみると、畳の上だった。もしかして、布団を敷かずに寝ちゃったのかな。

 

「おはようございます」

 

 体を起こしてみると、すぐ目の前に夏海ちゃんがいた。

 

「えーっと、おはよう」

 

 とりあえず挨拶は返したけど、イマイチ状況が把握できていない。夏海ちゃんの背後には大きなアリクイのぬいぐるみが見えるし、どうやらここは彼女の部屋みたいだ。

 

「ごめん、なんで夏海ちゃんの部屋で寝てるんだっけ……?」

 

「たぶん、これじゃないですか?」

 

 そう言いながら、一枚の紙を俺に見せてくれた。確かこれ、打順表だ。

 

「……思い出した。夏海ちゃんと一緒に今日の試合の打順を考えてて、完成と同時にそのまま寝ちゃったんだ」

 

 完成したのは夜も遅かったし、たぶん、安心感と達成感で二人揃ってバッタリいっちゃったんだと思う。

 

「最後の方はどうやって決めたか記憶にないですけど、無事完成したみたいで良かったです!」

 

 夏海ちゃんは笑顔だった。右の頬に思いっきり畳のあとがついてるけど、ここは黙っておこう。

 

「それじゃ鏡子さんがやって来る前に、起きて準備しようか」

 

「はい!」

 

 そう言って二人同時に立ち上がったその時、廊下を近づいてくる足音が聞こえた。

 

「……やばい!」

 

 俺はとっさにふすまの陰にへばりつくようにして隠れる。ここなら、入口からは死角になって見えないはずだ。

 

「え、どうしたんですか?」

 

「……夏海ちゃん、おはよう」

 

 直後に部屋のふすまが開いて、鏡子さんが顔を覗かせた。

 

「お、おはようございまふ!」

 

 思いっきり動揺していた。舌がもつれてるし。

 

「そろそろ起きないと。ラジオ体操に遅れるよ?」

 

「はい! すぐに準備します!」

 

「今日は野球の試合もあるんだよね? 皆で応援に行くから、頑張ってね」

 

「はい! ありがとうございます!」

 

 そう言った後、ぴしゃりとふすまが閉じられる。

 

「「ふぅー」」

 

 俺と夏海ちゃんは、ほとんど同時に安堵の声を漏らし、畳の上に座り込んでしまった。

 

 ……危なかった。また変な誤解を生んで、実家に電話されるところだった。

 

 今のうちに自分の部屋に戻って、身支度を整えよう。

 

 そう思って立ち上がった……その時。

 

「そうそう夏海ちゃん、今日のお昼なんだけど……」

 

 何か言い忘れたことでもあったんだろうか。再びふすまが開いて、鏡子さんが顔を覗かせる。

 

「えーっと……」

 

 そして、笑顔のまま固まってしまった。

 

「……とりあえず、お姉さんに電話してくるね」

 

 そして、努めて冷静に居間へと向かっていった。自然すぎて、逆に怖い。

 

 ……でも、結局この流れになるのか。今日はうまく切り抜けられたと思ったのに!

 

「「鏡子さん、誤解ですー!」」

 

 俺と夏海ちゃんは同時に部屋を飛び出して、慌てて鏡子さんを追いかけた。うん。このやり取りも、加藤家の日常になりつつある。

 

 

 

 

「お、お待たせしましたー」

 

 なんとか鏡子さんの誤解を解いた後、俺は玄関先で夏海ちゃんと合流して、神社へと向かった。

 

 道中は昨日と違って、全くと言っていいほど観光客を見かけなかった。祭りも終わったし、いつもの鳥白島が戻ってきた感じだった。

 

 

 

 

 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 

 

 

 

「皆、おはよう」

 

「おはようございます」

 

 境内に到着すると、いつものメンバーやリトルバスターズに加えて、鴎や紬、静久の姿が見えた。

 

「紬、おはよう。昨日は夏鳥の役、お疲れさま」

 

「……タカハラさん、昨日の出来事は忘れてください! むぎぎぎぎ……」

 

 なんだろう。せっかく褒めたのに、顔を真っ赤にしながら悶えていた。やっぱり恥ずかしいのかな。

 

「大役こなしたんだし、紬ももっと胸張ればいいのにねー」

 

 太陽のように笑いながら、空門姉妹がこっちにやってきた。

 

「そうですよ。役所の方にお願いして、ビデオだって撮ってもらってるんですから。後で皆さんで見ましょう」

 

 そう言う藍はビデオカメラを持っていた。大きな液晶画面がついているし、その場で再生できる最新式のなんだろうか。

 

「むぎぃぃーーー!」

 

 踊りをビデオに撮られているのを知って、紬が奇声を発しながらビデオカメラを奪いに行っていた。

 

 紬と藍はけっこう身長差があるし、さすがに奪えそうにはないけど。

 

「そういえば……」

 

 俺はちょっと気になって、リトルバスターズが集まってる方を見てみる。今日は試合の日だし、さすがの彼らもピリピリムード……。

 

「本日最後の筋肉アトラクションは、とっておきの筋肉フリーフォールだ! いっくぜぇぇーー!」

 

「「わーい!」」

 

 ……そんなわけがなく、いつも以上にはしゃいでいた。まぁ、その方が彼ららしいけど。

 

「はるちん・超・スーパー・タービュランス・アターック!」

 

「うわーーー! また負けたー!」

 

 少し離れた場所では、葉留佳が子供たちとメンコ勝負をしていた。

 

「ふっふっふ。まだまだ青いですネ」

 

「青いってどういう意味だ? はるちん、難しい言葉使うなよ。オレたち、子供なんだからさ」

 

「まだまだ私には勝てないってこと! 出直してこーい!」

 

「でもはるちん、超とスーパーは同じ意味よ? 帰国子女の子が言ってるんだから、間違いないわ」

 

「う、うううるさいなー。そう言うセリフは、私に勝ってから言って!」

 

 葉留佳は大きく胸を張って、ご機嫌だった。うん。ものすごく、大人げない。

 

「よーし、今度はオレが相手だ!」

 

 そこへ、なかなか体格のいい男の子がやってきた。あの子は力がありそうだ。

 

「ダイちゃん、がんばれー!」

 

「よーし、かかってこーい! はるちんのメンコがそう簡単にひっくり返されるはずが」

 

「うりゃー! ししょー直伝! 夜の蝶の舞!」

 

 直後、ばしーんと良い音がして、葉留佳のメンコが宙を舞っていた。

 

「えええ、うそーー! 夜のうちから油につけて、重さを増しておいたのに!」

 

「おいおい」

 

 一人の女の子がツッコんでいた。それにしてもはるちん、思いっきり卑怯な手を使っていた。

 

「はるちゃんが負けたから、子供たちにコンペイトウあげるよー」

 

「わーい!」

 

 そういう約束になっていたんだろうか、勝負が決まった直後に、小毬さんが子供たちにお菓子を配っていた。

 

 ……うん。今日もいつも通りの騒がしさだった。

 

 

「よーしお前らー! 今日もラジオ体操を始めるぞー!」

 

 やがてラジオ体操大好きさんがやって来て、ラジオ体操が始まった。今日も頑張ろう。

 

 

 

 

「……よーし、今日のラジオ体操はここまでー!」

 

「「ありがとうございましたーーー!」」

 

 例によって独創的な、島のラジオ体操が終わった。相変わらず、ラジオは使わなかった。

 

「さぁ、スタンプはこっちだぞー」

 

 その後、今日のスタンプとログボを受け取る。今日はくりまんじゅうだった。

 

「く、くりまんじゅう……」

 

 ログボを受け取った夏海ちゃんは画然としていた。さすがに、あれはどうやってもチャーハンにできないよね……。

 

 今の夏海ちゃんには下手に声をかけられないし、俺は自分のくりまんじゅうを食べながら、こっそりと夏海ちゃんのそばから離れた。

 

 

 

「ほら、この紬ちゃんの表情とか最高ですよ」

 

「本当ね。凛々しいわ」

 

「うむ。普段の紬君はまず見せない表情だな。これ、写真にできないのか?」

 

 適当にぶらぶらしていると、少し離れたところで、藍と静久、来ヶ谷さんの三人が顔をくっつけ合っていた。たぶん、紬のビデオを見てるんだろう。

 

 その証拠に、少し離れたところで紬がむぎゅむぎゅ言いながら頭を抱えていた。ビデオは俺もちょっと気になったけど、さすがにあの三人の間に割って入る勇気はない。

 

「お前ら、お楽しみのところ悪いが、ちょっと集まってくれ。今日の試合についてだ」

 

 そんな中、恭介は持ち前のリーダーシップで集合の指示を出していた。

 

「皆、今日の試合は8時半にグラウンドで行う。よろしく頼むな」

 

 時間と場所は昨日も確認はしていたけど、再確認といったところだろうか。

 

「わかった。恭介、お手柔らかにお願いするよ」

 

 俺はそう言いながら歩み出て、恭介に握手を求める。

 

「……残念だが、手は抜けないぞ? あくまで真剣勝負だからな」

 

 恭介は握手を返してくれながら、悪戯っぽく笑う。もちろん、こっちも手を抜いてもらおうなんて微塵も思っちゃいない。

 

「うむ。やるからには、我々も本気だぞ」

 

「鷹原さん、負けませんよー!」

 

 来ヶ谷さんやクドも、やる気に満ち溢れていた。

 

「俺たちだって必死に練習してきたんだ。そう簡単には負けないぜ?」

 

「日頃の生活で培った島民の身体能力、なめてもらっちゃ困るわよー?」

 

 良一や蒼も気合十分。どちらのチームもやる気に満ち溢れているみたいだった。良い勝負できるといいけど。

 

「楽しみにしてるぜ。それじゃ、また後でな」

 

 そこまで話をした後、恭介はリトルバスターズの面々を引き連れて、神社から去っていった。

 

「夏海ちゃん、俺たちも帰ろうか」

 

「はい!」

 

 そんな彼らを見送った後、俺たちも帰路に就いた。

 

 

 

 

 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 

 

 

 

「羽依里さん、朝ごはん、くりチャーハンでいいですか?」

 

 加藤家に帰宅するなり、夏海ちゃんが笑顔でそう言ってきた。語呂は良いけど、くりまんじゅうだし。さすがに美味しくなさそうだ。

 

「夏海ちゃん、あのさ」

 

「くりチャーハンでいいですよね?」

 

 だから笑顔で言わないで。お願い。

 

 平静を装ってるけど、しれっとチャーハンモードだった。

 

「そ、そういえば、しろはが言ってたんだけど」

 

「はい?」

 

「チャーハンの極意は具材にあらず。塩コショウと卵、ネギのみチャーハンこそ、チャーハンの神髄だって」

 

「え、しろはさんがそんなことを?」

 

 ……以前、似たようなことは言っていたけど、半分嘘だった。でも、くりチャーハンを回避するには、今はこれしか方法が思いつかない。

 

「今日はシンプルなチャーハンを作ってみてよ。夏海ちゃんのチャーハンが、しろはのチャーハンにどれだけ近づいているか、俺が判定してあげるからさ」

 

「……わかりました! それじゃあ今日は、普通のチャーハンに挑戦にしてみます!」

 

 夏海ちゃんはそう意気込んで、俺にくりまんじゅうを手渡してくれた。

 

 いいぞ。イチかバチかだったけど、しろはの力でチャーハンモードに打ち勝てた気がする。

 

「じゃあ、今日は具材の代わりに、魂を入れますね!」

 

 そう言いながら、エプロンをつけて台所へと消えていった。今日のチャーハンは、ソウルチャーハンとでも名付けようかな。

 

 夏海ちゃんを見送った後、俺は特にできることもないので、居間で待つことにした。

 

「おはようございまーす! お届け物でーす!」

 

 ……その時、玄関から元気のいい声がした。出てみると、この島では珍しいケロケロ便だった。

 

「鷹原羽依里さん宅はここですよね? ケロケロクール便です! こちらにハンコがサインをお願いしまーす!」

 

 俺は配達員に促されるがままにサインをして、ずっしりと重い荷物を受け取る。住所は加藤家になってたけど、確かに俺宛だった。

 

「ありがとうございましたー!」

 

「どうも、ごくろうさまでした」

 

 配達員を見送った後、俺は荷物の発送元を見てみる。これ、どこかの会社っぽいんだけど。

 

「……あれ、誰か来てたんですか?」

 

 直後、夏海ちゃんがチャーハンの乗ったおぼんを持ってやってきた。早い。もう完成したのかな。

 

「うん、俺宛の荷物みたいなんだけど……お腹空いてるし、ご飯食べてから開けることにするよ」

 

「はい! 冷めないうちに、味の判定をお願いします!」

 

 ……そうだった。今日はそういうことになってたんだ。荷物のおかげで、すっかり頭から飛んでいた。

 

 

 

 

「さあ羽依里さん、食べてみてください!」

 

 とん、と俺の前にできたてのチャーハンが置かれる。俺の向かいに座る夏海ちゃんは自分のチャーハンには手を付けず、俺の方を食い入るように見つめている。

 

「それじゃ、いただきます」

 

 その視線に気圧されながら、ソウルチャーハンをいただく。卵と塩コショウ、そしてネギだけの、本当にシンプルなチャーハンだった。

 

「……ど、どうですか?」

 

「うん、美味しい」

 

 夏海ちゃんのチャーハン、特に具材を入れなくても十分美味しいじゃない。

 

「し、しろはさんのと比べてどうですか?」

 

「……ごめん。比べさせてもらうと、まだしろはの方が美味しいよ。しろはを90点とすると、夏海ちゃんのは82点くらい」

 

「そ、そうですか……その8点の差、すごく大きそうですね」

 

 がっくりと肩を落としてしまった。下を向きながら、しろはさんには羽依里さんへの愛情という最強の調味料がありますもんね。とか呟いている。

 

「でも、十分美味しいと思うよ。さすがだね」

 

「ありがとうございます……」

 

 そうフォローすると、夏海ちゃんは何とも言えない顔で自分の作ったチャーハンをほおばりはじめた。

 

 夏休みのうちに、もう一度夏海ちゃんにチャーハンの作り方を指導してあげられないか、しろはに聞いてみようかな。

 

 

 

 

 朝食を終えた後、さっそく荷物を開封してみる。

 

「何が入ってるんですかね?」

 

 洗い物を終えた夏海ちゃんも一緒になって、箱の中を覗き込む。中には、冷凍されたお肉の塊がいくつも入っていた。

 

「え、お肉ですか?」

 

「みたいだね……でも、なんでお肉が?」

 

 不思議に思っていると、箱の中に一枚の紙を発見した。

 

「……高級バーベキューセット、ご当選のお知らせ」

 

 俺は紙に書かれていた内容をそのまま読んでみた。

 

 そう言えば何ヶ月か前、雑誌の懸賞に応募したんだっけ。

 

 確か、しろはの持っていた雑誌に懸賞付きのクロスワードパズルが載っていて、それを二人で解いたんだ。

 

 その賞品の中に、高級バーベキューセットがあった記憶がある。複数の賞品の中からランダムに当たる仕様だったし、何が当たるのかわからなかったけど。

 

 しろはは『懸賞なんて、どうせ当たらないよ』と言っていたけど、俺は特賞の熱海温泉ペア旅行が当たって欲しくて、たまたま加藤家の住所を書いて、応募したんだ。

 

「懸賞って当たるものなんですね。びっくりしました」

 

 夏海ちゃんが目を輝かせていた。俺も当たるなんて思わなかったし。

 

「でも、これだけたくさんのお肉、ここの冷蔵庫に入りますかね?」

 

「うーん、ちょっと厳しいかもしれないね」

 

 俺は夏海ちゃんと揃って、台所の方に視線を送る。加藤家の冷蔵庫は、ほとんど調味料の類しか入ってないんだけど、それでもこれだけのお肉が入るほどのスペースはないと思う。

 

 かと言って、このままだとせっかくのお肉が腐ってしまう。何かいい手段はないものか。

 

「……あ、そうだ」

 

 その時、良いこと思いついた。俺は電話を手に取って、しろはに電話をかける。

 

「……もしもし」

 

「ひっ!?」

 

 ……数回のコール音の後、電話に出たのはしろはのじーさんだった。そういえば、祭りの翌日も漁は禁止なんだっけ。そりゃ、じーさんも家にいるわけだ。

 

 油断していたわけじゃないけど、耳元であの声を聞くと、さすがにビビる。

 

「お、おはようございます。羽依里ですが、しろはは?」

 

「しろはか。少し待っていろ」

 

 ごとん、と受話器を置く音がした。続けて、少し遠くでじーさんがしろはを呼ぶ声がする。

 

「……しろは! 電話だぞ。しろは!」

 

「い、今着替えてるから、もう少し待って!」

 

 なんか電話の向こうから、そんな声が聞こえてきた。しろははラジオ体操に来ないし、今くらいの時間に起きてるんだろうか。

 

 

 

「……ごめん、おまたせ」

 

 しばらくして、しろはが電話口に出た。

 

「ああ、着替えてたんならしょうがないよ」

 

「え、もしかして、聞こえてた?」

 

「うん。ばっちり」

 

「~~~……」

 

 なんか急に黙ってしまった。電話の向こうで、しろはが赤くなってるのが容易に想像できる。

 

「そ、それで、朝早くからどうしたの? 電話なんて珍しいよね」

 

「ああ、実はさ……」

 

 俺はしろはに、以前応募した懸賞で大量の肉が当たったことを伝えた。

 

「……それで、食堂の冷蔵庫を貸してほしいの?」

 

「そう。これから持って行くから、お願いできないかな」

 

「いいよ。でも、冷蔵庫は食堂でも使うし、そんなに長い間は入れておけないからね?」

 

「構わないよ。実はもう一つ、考えがあるんだ」

 

「考えって?」

 

「それは食堂で話すよ。とりあえず、持っていくから」

 

「わかった。気をつけてね」

 

「うん。ありがとう」

 

 そこで電話を切る。そのまま壁にかけられた時計を見ると、7時過ぎ。まだ試合までは余裕がある。

 

「夏海ちゃん、今からこのお肉を持って、しろはの食堂に行ってくるから」

 

「食堂ですか?」

 

「うん。しろはが食堂の冷蔵庫を貸してくれるらしいんだ」

 

「そうなんですね。あそこの冷蔵庫、大きいですもんね」

 

「少し用事もあるし、夏海ちゃんは打順表を持って、先に小学校に行っててほしいんだけど」

 

「わかりました! 小学校で待ってますね!」

 

「うん。それじゃ、また後でね」

 

 俺は夏海ちゃんにそう告げて、大量のお肉が入った段ボールとバイクのキーを持って、表のガレージへと向かった。

 

 

 

 

 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 

 

 

 

「羽依里、おまたせ」

 

 食堂の前で待っていると、しろはがやってきた。彼女は体操服姿で、髪をポニーテールに纏めている。どうやら、この後すぐに野球の試合に行けるように、準備をしてきてくれたらしい。

 

「はい。どうぞ」

 

 そのまま食堂の鍵を開けてもらい、店内に上がらせてもらう。ちなみに、しろはが持っている鍵には、以前のデートの時に一緒に買った鳥のキーホルダーがついていた。

 

 俺のバイクの鍵にも同じものが付いているのを思い出す。自分からペアグッズが欲しいとか言っておきながら、実際に持ってみるとすごく照れくさかった。

 

 そんなことを考えながら店内を歩き、カウンターの上に段ボールを置く。

 

「それで、当たったお肉ってのがこれなんだけど」

 

 俺は箱の中から肉の塊を取り出して、カウンターの上に並べていく。

 

「……すごい量だね。良いお肉みたいだけど」

 

 しろはがそのうちの一つを持ち上げながら、そう言っていた。俺にはよくわからないけど、しろはが見れば、品質の良さは一目瞭然らしい。

 

「でも、あの懸賞……羽依里、こっそり応募してたんだね」

 

「あー、うん……俺としては、特賞の熱海温泉ペア旅行が当たって欲しかったんだけどさ」

 

「ぶっ」

 

 わざと聞こえるような声で言ってみた。直後、動揺したしろはが持っていたお肉を落としてしまっていた。まだ梱包されていて、本当に良かった。

 

「あ、朝から何を言ってるの……」

 

 落としてしまった肉を慌てて拾いながら、しろはは顔を赤くしていた。

 

「いや、せっかくだから二人っきりで旅行とかしてみたくて」

 

「は、羽依里はいつも旅行で島に来てるでしょ。それより、電話で言ってたもう一つの考えってなに?」

 

「え? ああ……このお肉を使って、お昼にお別れバーベキューをしたらどうかなって」

 

「お別れ、バーベキュー?」

 

「そう。今日の試合が終わった後、島の皆と、リトルバスターズの皆でさ。お別れのバーベキューをしたらどうかな」

 

「……あ、それはいい考えかもね」

 

「だろ?」

 

 最後に親睦も深められるし、沢山のお肉も処理できるし、一石二鳥だと思う。

 

「それじゃ、さっそく準備しないとね。場所は食堂の前を使ったらいいよ」

 

 どうやら、しろはも乗り気になってくれたらしい。さっとエプロンをつけて、棚から調理道具を取り出し始める。

 

「私がお肉や野菜の下ごしらえをしておくから、羽依里は道具の用意をお願い」

 

「その道具はどこにあるんだ?」

 

「網やバーベキューコンロは奥の倉庫にあるよ。表に出して、軽く水洗いしておいてね」

 

「わかった。倉庫だな」

 

 俺はしろはから指示を受けて、食堂奥の倉庫へと向かう。入ってすぐのところにコンロが置かれていた。そこまで埃もかぶっていないし、定期的に使っている感じだ。しろはの言う通り、軽く水洗いすれば問題なく使えそうだった。

 

「羽依里、できるだけ急いでね。野球の試合に間に合わなくなっちゃったら、元も子もないよ?」

 

「そ、そうだよな。急ごう」

 

 

 

 

 その後は二手に分かれてバーベキューの準備をした。

 

 でも、俺は勝手がわからない食堂の倉庫の中で、炭を探すのに手間取ってしまい、結局は手際良く食材の下準備を終えたしろはにも手伝ってもらうことになってしまった。

 

 

 

 

「……うん。ひとまず、これで準備完了だね」

 

 椅子や食器の類は後々用意するとして、なんとか試合前にあらかたの準備を終えることができた。

 

 その直後に時計を見ると、8時15分。そろそろ時間的にやばい。

 

「しろは、バイクの後ろ乗って。そろそろ試合に間に合わなくなるよ」

 

「あ、本当だね。それじゃ、お願いしようかな」

 

「うん。ヘルメット、しっかり被って」

 

「うん」

 

 その後はしろはと一緒に、急いで小学校へと向かった。

 

 

 

 

 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 

 

 

 

 小学校の正面前にバイクを止めて、しろはとグラウンドへ向かう。

 

「……ねぇ羽依里、なんだか歓声が聞こえるんだけど」

 

「え、歓声?」

 

 ……耳を澄ましてみると、しろはの言う通り、どこからか声が聞こえる。しかもそれは、グラウンドに近づくにつれて大きくなってくる気がした。

 

 やがてグラウンドに到着した俺たちは、その目を疑う。

 

「え、なにこれ」

 

 そこには、広いグラウンドをぐるっと囲むように特設の観客席が設けられていた。もしかして、昨日ここで作業をしていた人たちって、これを作っていてくれてたのかな。てっきり祭りの準備だとばかり思っていたけど。

 

「あ、羽依里さんにしろはさん!」

 

 俺たちの姿を見つけて、夏海ちゃんが興奮気味に走ってきた。

 

「夏海ちゃん、おまたせ。すごい歓声だね」

 

「はい、私も驚いています! それに、あの旗を見てください! すごいですよ!」

 

「え、旗?」

 

 夏海ちゃんが指差す方を見てみる。ほとんど埋まっている観客席の中で、たくさんの旗が揺れていた。

 

 中には漁船で使う大漁旗もあったけど、そのほとんどはひげ猫団の旗だった。色も形もそれぞれ違う。どうやら、島の皆が俺たちを応援するために手作りしてくれたみたいだ。

 

「そう言えば新聞紙ブレード大会の時、ひげ猫をチームの旗にしていたっけ」

 

「うん。その話が広まっちゃったんじゃないかな」

 

 ニコニコ顔の夏海ちゃんとは裏腹に、俺としろはは呆気に取られてその旗を見ていた。昨日今日の話なのに、島民の団結力すごい。

 

 

「……立派な観客席だな。ちょうどいい、打球があそこを超えたらホームランというのはどうだろう?」

 

 背後から声がしたので振り返ると、恭介を筆頭にリトルバスターズのメンバーが集まっていた。

 

 確かに、あれより向こうにボールを飛ばされたら拾いに行くのは無理そうだ。

 

「うん。それでいいよ。後で他のメンバーにも伝えておくから」

 

「ああ、頼んだぜ」

 

「あ、そうだ恭介たち、試合の前に一つ話があるんだけどさ」

 

「ん? どうした?」

 

「筋肉を分けて欲しいってんなら、今日は他をあたってくれよ?」

 

「いや、残念ながら筋肉は必要ないからさ」

 

 真人は本当にブレないなぁ。

 

「この試合が終わった後、食堂の前でバーベキューしようと思ってるんだけど、リトルバスターズの皆も一緒にどうかな」

 

「ほう。さしずめ、我々の送別会と言ったところか」

 

「えっと、まぁ、そんなところ」

 

 さすが来ヶ谷さんは察しが良い。すぐに俺たちの意図に気づいてくれた。

 

「そういうことなら、参加しないわけにはいかないな」

 

 恭介がそう言い、リトルバスターズのメンバーもそれに同調してくれる。

 

「でも、試合後のバーベキューを楽しむためには、まずはこの、とてつもないアウェーゲームを乗り切らないといけないわけですネ」

 

 無数のひげ猫の旗が振られる観客席を見ながら、葉留佳がそう言っていた。確かに、リトルバスターズにしてみればプレーしにくいことこの上ないかもしれない。

 

「まぁいいじゃない。アウェーのほうが燃えるわよ」

 

 そう言うのは佳奈多だった。なんとなくだけど、この人は逆境に強そうだ。

 

 それにしても『必勝! 鳥白島チャーハンズ! 具材のごとく、魂を熱く焦がせ!』みたいな横断幕まで見えるし。さすがにやり過ぎじゃないだろうか。

 

 

「……すごいですねこれ。何のお祭り会場ですか」

 

「試合のこと、島中で噂になってたみたいだけど……ここまでやってくれるなんてねー」

 

「島民にしてみれば、滅多にないイベントだしな。気合いが入ってるんだろ」

 

「大方、昨日の祭りの続きみたいに思ってるのかもな」

 

 そう話をしながら、空門姉妹や良一、天善がやってきた。予想外の状況に、皆して苦笑いを浮かべている。

 

「すごいよなこれ。すごいパワーをもらえる気はするけど」

 

 

『……あー。あー。ただいまマイクのテスト中』

 

 合流した四人と話をしていると、不意にのみきの声が聞こえてきた。

 

『ライト方向の観客席、聞こえるか? 聞こえたら手を振ってくれ』

 

 そしてその言葉に応えるように、ライト方向の観客たちが一斉に手を振っていた。どうやら、感度も良好みたいだ。

 

「……もしかして、放送機器まで入ってるの?」

 

 グラウンドの隅に小さなテントが出ていて、そこにのみきと西園さんが座っていた。どうやらあの二人が司会を務めてくれるらしい。

 

「まぁ、放送機器は運動会とかでよく使うし、のみきも島内放送してるから、得意なんじゃないの?」

 

 しろはがそう教えてくれた。こういう小さな島だと、運動会も島を上げて盛り上げるって言うけど。

 

「鳥白島チャーハンズ、頑張れー!」

 

「応援してるぜー!」

 

 ……この島民の一体感を見るに、間違いなさそうだ。

 

 

「間に合ったー!」

 

「さすがシズクです! おっぱいパワーです!」

 

 続いて、賑やかな声がした。見ると鴎と紬、そして静久がグラウンドにやってきていた。これで全員集合だ。

 

「スーツケースを押すなんて貴重な体験、させてもらえて嬉しいわ……」

 

 静久はそう言いながら、肩で息をしていた。見た感じ、鴎と紬をスーツケースに乗せて、それを押してきたみたいだ。おかげで遅刻はしなかったみたいだけど。静久、大丈夫かな。

 

「皆に渡したいものがあるの!」

 

「あるんですよ!」

 

 そんな静久をよそに、鴎と紬は手に持った何かを俺たちに配り始めた。

 

「鴎、これなに?」

 

「鳥白島チャーハンズのチームキャップだよ!」

 

「え、チームキャップ?」

 

 言われてから、よく見てみると……正面に手書きのひげ猫があしらわれた、オレンジ色の帽子だった。つまり、これを試合中に被って欲しいということだろうか。

 

「全員分、ほとんど徹夜で作ったんだよ!」

 

「はい! 実質2時間くらいしか寝てません!」

 

 三人とも、よく見たら目の下に少しクマがあるような気がする。皆のために睡眠時間を削ってまで、この帽子を作ってくれたらしい。

 

「ありがとう。使わせてもらうよ」

 

 鴎たちが作ってくれた帽子を、全員で被る。なんだかこれだけで一体感が増した気がする。

 

「そうだ。全員集まったところで話があるんだけどさ……」

 

 俺は皆が揃ったタイミングで、ホームランのルールや、試合後のバーベキューの件を伝えた。予想はしていたけど、皆快諾してくれた。

 

 

 

 

『おーい、そろそろ試合を始めるぞ。参加選手の皆は本塁周辺に集合してくれ』

 

 夏海ちゃんに持ってきてもらった打順表を皆で見ながら最終確認をしていると、のみきからそう放送がかかった。俺たちは指示された通り、ホームベースに集合する。

 

 集まってみると、そこには対戦相手のリトルバスターズや西園さん、のみきの他に、見たことのない人が4人並んでいた。

 

「えっとのみき、この人たちは……?」

 

「紹介しよう。今日の試合を担当してくれる審判団だ。右から順に、球審の斎藤さん、一塁塁審の斎藤さん、二塁塁審の斎藤さん、三塁塁審の斉藤さんだ」

 

 え、この人たち、全員同じ苗字なのか。偶然にも程がある。

 

「この斉藤さんたちはかつて、あの甲子園で試合を裁いた経験がある、凄い人たちなんだぞ」

 

 甲子園っていうくらいだから、凄いことなんだと思う。公正で優秀な審判がいるのは良いことだ。

 

「それでは、試合を始める前にルールの確認をしておく!」

 

 球審の斉藤さんが前に歩み出て、試合のレギュレーションが確認された。

 

 それによると、今日の試合は基本5回まで。5回終了時点で同点だった場合、最大7回までの延長戦を行う。それでも決着がつかない場合は、引き分けになるらしい。

 

 そして3回以後、後攻チームの攻撃が終了した時点で7点以上の差が開いていた場合、コールドゲームとなり、そこで試合終了になるとのことだった。

 

 また、夏海ちゃんのカーボンバット使用や、俺たちの守りの際に打球が鴎のスーツケースに当たった場合アウトになること、鴎の走塁時はスーツケースの帯同可など、特別ルールの取り決めがされた。

 

 この辺りは小学生の夏海ちゃんや、ハンデのある鴎に対する救済措置として了承されたらしい。

 

「そして今日の試合は、一部島ルールが適応される。それについては、その都度説明する。うまうー」

 

 二塁塁審の斉藤さんがそう言っていた。でも、島ルールって何だろう。少し気になったけど、今聞くのは野暮な気がした。

 

 ルール確認が終わり、俺は恭介と打順表を交換する。それによると、各チームの打順やポジションは次のようになった。

 

 

■リトルバスターズ

1:来ヶ谷唯湖(ショート)

2:棗恭介(ライト)

3:直枝理樹(キャッチャー)

4:宮沢謙吾(ファースト)

5:二木佳奈多(セカンド)

6:井ノ原真人(サード)

7:三枝葉留佳(センター)

8:能美クドリャフカ(レフト)

9:棗鈴(ピッチャー)

 

控え選手:神北小毬

実況:西園美魚

 

 

■鳥白島チャーハンズ

1:空門蒼(ファースト)

2:空門藍(セカンド)

3:三谷良一(センター)

4:久島鴎(ライト)

5:鳴瀬しろは(サード)

6:鷹原羽依里(キャッチャー)

7:加納天善(ショート)

8:紬・ヴェンダース(レフト)

9:岬夏海(ピッチャー)

 

控え選手:水織静久

控え選手兼実況:野村美希

 

 

 大方の予想通り、リトルバスターズは一発を狙えるメンバーが上位を固めてきている。

 

 俺たちは一発を狙える選手は少ないけど、打線の繋がりには自信がある。どうやって鈴を打ち崩すかが勝負の鍵になりそうだ。

 

 また、同時にジャンケンで先攻後攻も決められ、俺たちは後攻めになった。

 

 

 

 

「夏海ちゃん、リラックスして!」

 

 ……試合が始まるまでの僅かな時間を使って、俺と夏海ちゃんは最後の投球練習をしていた。

 

 試合直前の緊張感。スポーツは違えど、水泳のそれと同じだった。マウンドから投球練習をする夏海ちゃんからも、緊張が伝わってくる。

 

 ちなみに投球練習をしている間、放送で各ポジションの選手が紹介されていた。まんま高校野球だった。

 

 

 

 

「……それじゃ皆、頑張ろう!」

 

「「おーーー!」」

 

 最後に皆で円陣を組んで、気合いを入れる。この気持ちの昂ぶり、部活をやめて以来、本当に久しぶりかもしれない。

 

「……相変わらず、素晴らしい団結力だな」

 

 円陣が解かれると同時に、恭介からまっすぐな言葉がかけられた。

 

「……ああ、最高の仲間達だからさ」

 

「俺たちリトルバスターズだって最高のチームだ。良い勝負をしようぜ」

 

 恭介はそう言って、軽く右手をあげると一塁側のベンチへと歩いていった。

 

 

 ……俺の失言に端を発した、リトルバスターズとの交流。

 

 僅か数日間だったけど、試合を目標に島の皆と野球の練習をして、絆がより一層深まった気がする。

 

 今日はその集大成だ。絶対に負けたくないと、心から思った。

 

 

「それでは試合を始める。全員、整列!」

 

 審判団と共に並んであいさつを交わした後、俺たちはグラウンドに散る。いよいよ試合が始まる。

 

 

 

 

 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 

 

 

 

「プレイボール!」

 

 全員が各ポジションにつき、球審の斉藤さんから試合開始の宣言がされる。

 

『一回の表、リトルバスターズの攻撃です。1番バッターは来ヶ谷さんです』

 

 西園さんの声がグラウンドに響く。同時に、来ヶ谷さんが打席に立った。

 

「さて、お手並み拝見と行こうか」

 

 来ヶ谷さんはどこか余裕のある表情で夏海ちゃんを見る。夏海ちゃん、落ち着いて行こう。

 

「……えい!」

 

 夏海ちゃんの初球はフォーク。来ヶ谷さんはバットを振ることなく見逃す。判定はボールだった。

 

「えい!」

 

 その後の二球目、三球目とギリギリ決まって、ツーストライクと追い込んだ。

 

「ほう。なかなかのコントロールだな」

 

「(……夏海ちゃん、ここはもう一回外そう)」

 

 俺は夏海ちゃんへそうサインを出して、グローブを外側に構える。

 

「フ……甘いぞ」

 

 しかし、来ヶ谷さんはその球筋を見切って、一塁方向へ流し打つ。ライナー性の強い当たりだった。

 

「うりゃあっ!」

 

 しかし、そのボールをファーストの蒼が横っ飛びで押さえる。そのまますぐに一塁へ戻ってベースを踏む。これでワンアウトだ。

 

『おお、試合開始早々、ファインプレーだな』

 

「さすがだ蒼、助かった!」

 

「これくらい、どーってことないわよー!」

 

 泥だらけになりながら、右手を挙げてくれる。

 

「いいぞ、蒼ちゃーん!」

 

 いきなりの好プレーに観客が沸く。

 

「うわ、なんかはずかしーわね……」

 

「……へぇ、予想はしていたが、やっぱり一塁は守りが固そうだな」

 

 そう言いながら、2番バッターの恭介が出てきた。

 

『続くバッターは恭介さんです。彼もなかなかの強打者ですよ』

 

「西園のやつ、勝手に人の情報をばらさないでほしいもんだな……」

 

 ……そんな話をしながらも、恭介はボールをよく見ている。三球投げて、取れたストライクは一つだけだった。

 

「……よし、そこだっ!」

 

 続く四球目を狙われた。恭介が打ったボールはショートを守る天善の頭上を超え、リトルバスターズにチーム初ヒットをもたらす。

 

「カノーさん、行きますよ!」

 

 捕球した紬から天善を経由して、恭介のいる一塁へとボールが中継される。アウトにこそできなかったけど、球筋も安定しているし、練習の成果が出ていると思う。

 

『最初のアウトは取れたものの、続く恭介氏にヒットを許してしまったな』

 

『シングルヒットですし、まだ大きなピンチではないですよ。続くバッターは3番、直枝さんです』

 

「うーん、さすが恭介は上手だなぁ……」

 

 恭介に続いて、理樹が打席に立つ。悪いけど、彼にそこまで強打者のイメージはない。どうして3番打者なんだろうか。

 

「よし理樹、ここはバントだ!」

 

 その時、恭介が一塁からそう指示を出していた。草野球だから、誰かが指示役を担うのは当然なんだけど、その手の指示って、もっとこっそりやるもんじゃなかったっけ。

 

「たあっ!」

 

 その後、理樹は夏海ちゃんがわざと外したナックルを上手にバントしていた。

 

 俺は前方に転がったボールを捕球した後、一瞬二塁を見る。恭介は足が速いし、これは二塁を刺すのは無理っぽい。

 

「いくぞ、蒼!」

 

 安全策でそのまま一塁へ送球せざるをえなかった。理樹をアウトにして、これでツーアウトになったけど、得点圏にランナーを進められてしまった。

 

『リトルバスターズは一打先制のチャンスだな』

 

『はい。続くバッターはリトルバスターズが誇る4番、宮沢さんです』

 

 司会の二人が話す通り、ここで満を持して4番バッターの登場だ。謙吾は元剣道部ということもあって、腕っぷしも強そうだ。

 

「悪いが、連戦連勝の男だぞ」

 

 その言葉に偽りはないようで、打席に立っただけでも、すごい威圧感だった。あの真っ赤なリトルバスターズジャンパーのせいもあるかもだけど。

 

「うう……」

 

 そんな謙吾に気圧されてしまったのか、夏海ちゃんが投じた球は二球続けてボール判定だった。

 

「(夏海ちゃん、ここは外角ギリギリにナックルを投げよう)」

 

 そう指示を出して、外にミットを構える。

 

「よし、もらった! メーーーン!」

 

 しかしその三球目を狙われた。かろうじて芯で捕えられなかったらしく、そこまで高くは飛ばなかったけど、ボールの勢いがすごい。

 

 一、二塁間を守る空門姉妹の間を抜けて、ライト方向へ高速で転がっていく。これはやばい。長打コースだ。

 

「よし、さすがだ謙吾!」

 

 悠々と三塁を回り、ホームベースへ走り込んでくる恭介を為す術なく見ていた……その時。

 

 ぼすっと音がして、ライトを転がっていたボールが鴎のスーツケースに当たった。

 

『特別ルールにより、今の打球はアウトになります』

 

「ええーーーっ!?」

 

 西園さんが放送でそう言うと同時に、理樹がベンチで大きな声を上げていた。無理もない。普通ならツーベースヒットは固い打球だし。

 

「スリーアウト! チェンジ!」

 

 その結果を受け、球審の斉藤さんが攻守交代を宣言する。

 

「無念っ……」

 

「なんてこった。アンラッキーだったぜ」

 

 謙吾と恭介はやるせない顔をしながら、ベンチへと下がっていった。なんにしても、助かった。

 

 

 

            1 2 3 4 5 R

 リトルバスターズ   0       0

 鳥白島チャーハンズ  -       0

 

 

 

『鳥白島チャーハンズ、立ち上がりに失点のピンチを迎えましたが、スーツケースによって救われました』

 

『まったくだ。スーツケース様々だぞ』

 

 そんな実況を聞きながら、俺たちはベンチに集まる。

 

「鴎さん、ありがとうございました!」

 

「いやいやー、なっちゃん、気にしないで良いよー」

 

 結果的にチームのピンチを救うことになった鴎は、その大きな胸を張っていた。

 

「でも鴎ちゃん、ボールがライト方向へ転がっていった時、ひえー! とか言いながら、スーツケースの陰に隠れてませんでした?」

 

 そんな鴎を、セカンドを守っていた藍がジト目で見ていた。

 

「そ、それはその、結果オーライということで!」

 

 ……うん。ボールがスーツケースに当たってくれて本当に良かった。

 

 なんにしても、初回の攻撃は無失点で切り抜けられたわけだし。ベンチに座る夏海ちゃんの顔にも、安堵の表情が見て取れる。

 

「それじゃあ、今度は俺たちの攻撃だ。トップバッターの蒼、任せたぞ」

 

「切り込み隊長ってやつねー。頑張ってくるわよー」

 

 蒼はバットを手に、打席へと向かっていった。なんとも頼もしい背中だった。

 

 

 

『一回の裏、鳥白島チャーハンズの攻撃だ。先頭打者は蒼だな』

 

 実況ののみきがそう言い、蒼がバッターボックスに立つ。同時に、観客席から歓声が巻き起こる。

 

「それじゃあ皆、しまっていこー!」

 

 一方で、キャッチャーの理樹がリトルバスターズの皆を鼓舞していた。

 

「蒼ちゃん、頑張ってください」

 

 先制攻撃を仕掛けるために、俺たちの中で一番身体能力の高い双子を打順の頭に並べて配置したんだ。早めに出塁して欲しいところだけど。

 

「よし、いくぞっ……てりゃっ!」

 

 鈴が振りかぶって、第一球。

 

「……ストライク!」

 

「え、ちょっと」

 

 蒼は驚愕の表情でボールを見送る。それしかできないくらいに、鈴の球が速かった。

 

 あれは、昨日一緒に練習した時よりボールが速い気がする。

 

「ねぇ鈴、昨日よりボール速くない? もしかして、実力を隠してた?」

 

 思わず、蒼がそう聞いていた。

 

「別に隠してたわけじゃない。今日は調子が良いんだ」

 

 キャッチャーの理樹からの返球を受け取りながら、鈴はあっけらかんと言う。もしかして、昨日俺たち相手に投げたのが、いい投球練習になったんだろうか。

 

「続けていくぞっ……てりゃっ!」

 

 ……二球目は外れたけど、三球目はまたストライクだった。蒼はあっという間に追い込まれてしまった。

 

「こ、この!」

 

 続いて投じられた四球目を狙ってバットを振るけど、空振りだった。オッサンほどじゃないけど、すごく落ちるフォークだった。

 

「ストライク! バッターアウト!」

 

「うう、悔しい……」

 

 三振を喫した蒼が肩を落としながらベンチへと下がってくる。想像以上の鈴の投球に、観客席からもどよめきが起こっている。

 

「カーブ、スライダー、フォーク。どれもすごい球威なんですけど」

 

 本気の鈴を見て、夏海ちゃんはかなりのショックを受けてるみたいだった。

 

 

 

『続くバッターは2番。藍だな』

 

「蒼ちゃん、仇は取りますよ」

 

 蒼に続いて、藍が打席に立つ。彼女も島では身体能力が高い方だ。練習でも常に結果を出していた印象があるし、期待したい。

 

「いくぞ、あい。てりゃっ!」

 

 ……一球目はストライクゾーンから外に逃げていく誘い球。藍はこれを見送る。ボール。

 

「ていっ!」

 

 続く二球目。真ん中近くに飛んできたストレートを狙い打つ。

 

「なにぃっ!?」

 

 ライナー性の当たりが三塁方向に飛ぶ。よし、このまま抜ければ一気に長打だ。

 

「フ、甘いぞ」

 

 しかし、ショートを守る来ヶ谷さんがノーバウンドで捕球していた。これでツーアウトになってしまった。湧き上がった歓声が一瞬でため息へと変わる。

 

『く、来ヶ谷氏の守備力もかなりのものだな……やすやすと捕球しているように見えるが、あれは難しいぞ』

 

 のみきの声も動揺していた。くそ、今のは絶対ヒットになったと思ったのに。

 

「蒼ちゃん、ごめんなさい……」

 

 蒼と同じように肩を落とし、藍がベンチに戻ってきた。こういう時も、やっぱり双子だった。

 

 

 

『鳥白島チャーハンズは二者連続で凡退に終わってしまいました。続く3番バッターは三谷さんです』

 

「よーし藍、ここは男の俺が目にもの見せてやるぜ!」

 

 西園さんに名前を呼ばれた良一が、これみよがしに藍を見た後、意気揚々と打席に向かっていく。良一、頼んだぞ。

 

「しねっ!」

 

「……!」

 

 しかし、頼みの良一も鈴の剛速球の前に、固まっていた。

 

「なぁ……これ、女子が投げるボールじゃねーんだけど」

 

「そんなことは痛いほどわかってる。なんとかしてくれ。男なんだろ」

 

 俺は半分祈るような気持ちで良一にそう告げる。そうこうしている間に、もうツーストライクと追い込まれていた。

 

「くそっ……おりゃあっ!」

 

 良一はなんとかバットにボールを当てるけど……大きく打ち上げてしまった。

 

「よしきた」

 

 その内野フライをファーストの謙吾が捕球して、スリーアウト。まさかの三者凡退だった。

 

 

 

           1 2 3 4 5 R

 リトルバスターズ  0 -      0

 鳥白島チャーハンズ 0        0

 

 

 

『鳥白島チャーハンズ、初回は三者凡退に終わりました』

 

『いや、鈴がすごいというのは知っていたが、正直ここまでとは。私も驚いている』

 

『鈴さんはこの島に来てから、全くと言って良いほど練習をしていなかったはずですが』

 

『そ、それであの投球なのか? 恐ろしいな……』

 

 解説の二人の会話が響く中、俺たちはほとんど休憩することなく、守備位置につく。

 

 

 

『それでは二回の表。リトルバスターズの攻撃です。迎えるバッターは5番、二木さんですね』

 

「夏海には悪いけど、思いっきり強振させてもらうから」

 

 佳奈多はそう言ってバットを構える。彼女も元剣道部という話だし、新聞紙ブレード大会の時を思い出すと、来ヶ谷さんと謙吾の中間みたいなイメージだ。

 

「(夏海ちゃん、ここは低めに集めよう)」

 

 俺はそう狙いを伝えて、ミットを低めに構える。夏海ちゃんも頷いてくれてるし、この作戦で行くしかない。

 

「えい!」

 

 一球目は力んでしまったのか、ワンバンしてしまった。俺も何とか捕球する。まずはボールだった。

 

 続く二球目。今度はうまくミットに収まったけど、また外れてしまった。

 

「……えい!」

 

 夏海ちゃんの投じた三球目。投げた本人も、低めの球が続くのを気にしていたのか、ボールが高めに浮いてしまった。

 

「……そこね」

 

 そのボールを見逃さず、佳奈多はバットを一閃。レフトとセンターの間に落ちる、大きな当たりだった。

 

「くそー!」

 

 転々と転がるボールをセンターの良一が捕球して、三塁のしろはに送る。残念ながら、余裕でセーフだった。

 

「おおー、さすがおねーちゃん!」

 

「かなちゃんすごいー」

 

 リトルバスターズのベンチから歓声が飛ぶ。ノーアウト三塁。いきなり大ピンチだった。

 

 

 

『リトルバスターズ、先制のチャンスを迎えました。続くバッターは6番。井ノ原さんです』

 

「よし、筋肉打法だ!」

 

 全力でバットを振り回しながら、真人がバッターボックスに立つ。いかにも飛ばしそうな、逞しい筋肉だった。

 

「(夏海ちゃん、ここは内角を攻めよう)」

 

 俺はそういう意図を込めて、ミットを内側に構える。夏海ちゃんも頷いてくれたし、ここはなんとか抑えたい。

 

「……いてっ!?」

 

「あ」

 

 次の瞬間、どむっと音がして、夏海ちゃんが投げたボールが真人の脇腹を直撃していた。内側を意識しすぎちゃったのかな。

 

「デッドボール!」

 

「ご、ごめんなさい!」

 

 球審からそう宣告され、夏海ちゃんが帽子を取って謝っていた。

 

「夏海、気にする必要はない。真人の筋肉はヘルメットより頑丈だからな」

 

「へっ。そう誉めるなよ。筋肉が照れるぜ」

 

 恭介がそうフォローしていた。真人は本当に何ともないようで、軽く手をあげて一塁へと歩いていった。

 

 でも、これでノーアウト一、三塁。こうなってしまったらランナーは気にせず、目の前のバッターに集中するしかない。

 

 

 

『リトルバスターズ、チャンスを広げました。次のバッターは7番、三枝さんです』

 

「ほらほらセンター、バーック!」

 

 続いてバッターボックスに立ったのは、葉留佳だった。元気よくバットを振り回して、打つ気満々だ。

 

「よーし、なっちゃん! こーい!」

 

「(夏海ちゃん、落ち着いて。まずは初球を外して様子を見よう)」

 

 デッドボールを与えてしまった夏海ちゃんのケアも考えて、今度は俺は外側にミットを構え、ボールを待つ。

 

「いきます……えい!」

 

「でぇぇーーー!?」

 

「ストライク!」

 

 初球を外してみたけど、葉留佳は大きくバットを振っていた。というか、ほとんどボールを見ていない。

 

 ……あれ? これってもしかして。

 

「(夏海ちゃん、もう一回外してみよう)」

 

 俺はもう一球外すように、夏海ちゃんにサインを送る。

 

「今度こそーーー! ありゃーーー!?」

 

「ストライク!」

 

 ……葉留佳は二球目も大きく空振っていた。

 

「(夏海ちゃん、今度は落としてみよう)」

 

「……えい!」

 

「よしきた絶好球ーーー!」

 

 ……直前で落ちるフォークボールに、葉留佳はまんまと引っかかった。

 

「ストライク! バッターアウト!」

 

「はるちん、豪快に空振ったー!」

 

 自分でなんか言ってるし。何にしても、これでワンアウトだ。

 

「うう、最後がフォークボールなんてヒドい……」

 

 三球三振を喫した葉留佳は、すごすごとベンチへ下がっていった。ごめん。これも勝負だから。

 

 これで調子を取り戻したのか、続くクドもファールフライに仕留める。打ち上げたボールを三塁手のしろはが捕球し、これでツーアウトだ。

 

「ふぅ……」

 

 二つのアウトを取ったことで、夏海ちゃんも多少落ち着きを取り戻してくれた感じだ。ひとまずは安心かも。

 

 

 

『三枝さん、能美さんと続けて打ち取られてしまいましたが、まだチャンスは続いています。次のバッターは9番。鈴さんですね』

 

 鈴はピッチャーだからか、ラストバッターを務めていた。

 

「こい、なつみ」

 

 打席に立った鈴は眼光鋭く夏海ちゃんを見ていた。まさに獲物を狙う猫だった。

 

「(夏海ちゃん、ここはなんとか抑えよう)」

 

 俺は慎重に配球をするけど、一球目、二球目共に見送られ、ボール判定だった。さすがピッチャーだけあって、鈴は選球眼がある。

 

 続く三球目はファール。ファーストの蒼が直接捕球しようとしたけど、ギリギリ間に合わなかった。

 

 ……それに続いて投じた四球目。

 

「……そこだっ! えいっ!」

 

「あ!」

 

 外角低めに投じた一球を捉えられ、うまくセンターの深い所にはじき返された。

 

 その間に三塁走者の佳奈多がホームイン。一塁にいた真人も三塁へ。バッターランナーの鈴も一気に二塁まで進んだ。見事なツーベースヒットだった。

 

『リトルバスターズ、先制しました。これで0-1です。ランナーもまだ二人残っていますし、チャンスは続いています』

 

『うう、皆、頑張ってくれ……』

 

 マイクを通してのみきの悲痛な声が聞こえる中、打順が一巡して、迎えるバッターは来ヶ谷さんだ。

 

「最初の打席で感じたが、一塁側は守備が固いな」

 

 バットを構えながら、今度は三塁方向を見ていた。もしかして、今度はあっちの方に打つつもりなんだろうか。

 

「……えい!」

 

 その来ヶ谷さんに対し、夏海ちゃんが投じた一球目。動揺して投げ損じてしまったのか、ど真ん中だった。

 

「……うむ。絶好球だな」

 

 そのボールを来ヶ谷さんが逃すはずがなく、レフトの深いところへ運ばれてしまった。これはやばい。

 

「むぎゅーーー!」

 

 レフトの紬が急いで捕球しに向かうけど、その間に三塁走者の真人、二塁走者の鈴が続けてホームイン。あっという間に2点を追加されてしまった。

 

「フハハハハ!」

 

 そしてバッターランナーの来ヶ谷さんも、不敵な笑いと残像を残しながら、ものすごい速さで三塁を蹴っていた。

 

 ……まずい。このままじゃランニングホームランになる。

 

 本塁の守りを意識しながらボールの位置を確認すると、ちょうどショートの天善がボールを受けたところだった。あそこからだと、普通にホームに投げ返したんじゃ、とても間に合わない。

 

「そうだ……天善! 六波羅反台を使え!」

 

 今からホームへ返球しようとする天善に、俺は大声でそう伝える。

 

「……その手があったか。いくぞ! 奥義! 六波羅反台!」

 

 俺の言葉を受けた天善は素早くボールを空中へと投げ、なぜか右手に持っていたラケットで、全力でボールを打つ。

 

 すると、そのボールは手で投げるより遥かに速いスピードで、一直線に俺のミットに収まった。

 

「よし、間に合え!」

 

 捕球を確認した俺は、直後に本塁に突っ込んできた来ヶ谷さんと交錯する。

 

 

 

「……スリーアウト! チェンジ!」

 

「ふぅ……危なかった」

 

 正直微妙なところだったけど、なんとか来ヶ谷さんをアウトにすることができた。さすがに、これ以上の失点はまずかったし。

 

「……まさか、あそこまでの好返球が戻ってくるとは予想外だったよ。楽々セーフだと思ったんだがな」

 

 俺と交錯して、まだ地面に倒れたままの来ヶ谷さんがそう言う。やっぱり、この人の足の速さは異常だ。

 

「悪いけど、真剣勝負だからさ」

 

「当然、それは理解している。だが鷹原少年。いくらアウトにするためとはいえ、おねーさんの胸の上に手を置くのはどうかと思うぞ?」

 

「え? あ、ごめん!」

 

 言われて気づく。思いっきり来ヶ谷さんの胸を触ってしまっていた。もちろん、グローブ越しだけど。

 

「フッ、おねーさんは気にしないよ。そういうお年頃だろうしな」

 

「うう、不可抗力なのに……」

 

 俺は急に恥ずかしくなりながら、その手を放す。

 

「え、なにしてるの」

 

 でも、守備位置から戻ってきたしろはに、その状況をバッチリ見られてしまっていた。

 

「し、しろは。違うんだこれは」

 

「やっぱり、羽依里は大きな胸がいいの……?」

 

 しろはは自分の胸を押さえながら、俺の脇を通り過ぎてベンチに戻っていった。ち、違うから。俺にとってはしろはのがベストサイズだから。

 

 

 

           1 2 3 4 5 R

 リトルバスターズ  0 3      3

 鳥白島チャーハンズ 0 -      0

 

 

 

「……ところで恭介、天善のあの返球方法に関しては異議を唱えないのか?」

 

 リトルバスターズのベンチからそんな声が聞こえていた。とっさにやっちゃったけど、確かにルール上問題はないんだろうか。

 

「別に良いんじゃね? 奥義とか、カッコ良いじゃないか」

 

 恭介はすました顔でそう言っていた。リードしてる余裕もあるんだろうか。なんにしても、助かった。

 

 

 

『二回の表が終わりまして、リトルバスターズが3点を先取しました』

 

「皆さん、ごめんなさいです……」

 

 西園さんが途中経過を放送する中、夏海ちゃんがベンチで申し訳なさそうに頭を垂れていた。

 

 リトルバスターズを完封できるとは誰も思ってないし、しょうがない部分はあると思う。

 

「大丈夫だよ。まだ試合は始まったばっかりだし」

 

「ああ。3点くらい、すぐに取り返してやる」

 

「ナツミさん、気にしてはいけません!」

 

 そんな夏海ちゃんに皆が声をかけて、元気づけてあげていた。こういう時、皆の優しさが本当にありがたい。

 

「それじゃ、私が反撃の狼煙を上げてくるね!」

 

 ぽんっ、と夏海ちゃんの肩を叩いて、鴎がバットを手に立ち上がる。そうだ、次は鴎の打席からだった。

 

「はい! 鴎さん、頑張ってください!」

 

「我らが鳥白島チャーハンズが誇る4番バッター、久島鴎。頼むぞ」

 

「島の外から来た旅行者だけに、助っ人外国人だね! 行ってくるよー!」

 

 夏海ちゃんや静久の声援を受けて、鴎が元気にバッターボックスへと向かっていた。

 

 

 

『それでは二回の裏。鳥白島チャーハンズの攻撃です。この回は4番、久島さんからです』

 

『ピンチの後にはチャンスあり、と言うしな。頑張ってもらいたいところだ』

 

「りんちゃん、お手柔らかにねー」

 

 鴎は普段と全く変わらない調子で打席に立つ。今更だけど、鴎の体操服って誰が用意したんだろう。ツインテールに纏められた髪も、凄く似合っているし。

 

「よし、いくぞっ……てりゃっ!」

 

 相手が4番バッターだということもあって、警戒しているんだろうか。鈴も最初の二球は外してきた。

 

 鴎はそのボールをしっかりと見定めて、ツーボール。ボールカウントが先行して、バッターが有利な状況になった。

 

「……見えた! とりゃーーー!」

 

 続く三球目。ストライクゾーンに甘く入ったフォークをしっかりと捉え、センター前へと運ぶ。

 

「おお、飛んだ!」

 

「いいから鴎、走れー!」

 

「それーーー!」

 

 ヒットになったのを確認すると、鴎はスーツケースにその身を預けて、足で地面を蹴ってスーツケースごと一塁の方へと滑っていく。

 

「なんだあの摩訶不思議なスーツケースはーーー!?」

 

 センターの葉留佳がそう言いながらもボールを拾い、そのままファーストの謙吾に投げる。鴎は余裕でセーフだった。

 

「……そのスーツケース、砂の上を滑ってたぞ?」

 

 葉留佳からのボールを捕球した謙吾は、信じられないものを見るような目でスーツケースを見ていた。

 

「うん、グラウンド仕様にしてある!」

 

 俺たちもよくわからないけど、鴎は以前のキャンプの時、マウンテン仕様にしてきたこともあったし。カスタマイズ可能なスーツケースなんだろうか。

 

 それにしてもさっきの打球、普通に走っていれば二塁は手堅かったはずだ。鴎だから一塁で止まってるけど。これもハンデだよな。

 

 何にしてもチーム初ヒット。ノーアウト一塁だ。

 

 

 

『チーム初ヒットが生まれ、このまま勢いづくでしょうか。続くバッターは5番、鳴瀬さんです』

 

「それじゃ、いってくるね」

 

「しろは、練習の通りにやれば、きっと打てるぞ。鴎に続いてくれ」

 

「うん。頑張ってみる」

 

 西園さんに名前を呼ばれ、しろはが打席に立つ。いよいよチャーハン打法がそのベールを脱ぐ。

 

「よし……いくぞっ」

 

 先頭打者にヒットを許してしまった鈴だけど、逆に開き直ったのか、積極的にストライクを取りに来ていた。

 

 対するしろはは、一球目、二球目と外から内に入ってくるボールを見逃し、早くもツーストライクと追い込まれてしまった。

 

「これで……どうだっ!」

 

 ……三球目。鈴が勝負球に選んだのは、思いっきり落ちてくるフォークだった。そのボールに対し、しろははなんとか食らいついて、ファールにしていた。

 

「……やっぱり、しろはの打ち方はよくわからない」

 

 マウンドからしろはのバッティングフォームを見ていた鈴が、不安げにそう口にしていた。確かに、しろはは相変わらずタイミングの取り方が独特だ。

 

「えいっ!」

 

 先のフォークに続いて鈴が投げた球は、渾身のストレートだった。明らかにさっきの球より速く、緩急をつけてきたみたいだ。

 

「……ほい!」

 

 ……しかし、しろははそのストレートにもタイミングを合わせて、豪快に打ち返した。その打球はショートの来ヶ谷さんの頭上を軽々と越える。

 

「マジかよ……あの細腕でレフトまで飛ばしやがるのか。一体どんな筋肉してやがる」

 

 三塁を守る真人が、レフト前を転々とするボールを見ながら、驚愕の表情を浮かべていた。なんだろう。しろはの場合は、チャーハン筋とでも名付けようか。

 

「わふーーー!」

 

 クドがボールを拾って、慌てて二塁へ送球するけど……すでに鴎はスーツケース走法で二塁へ到達していた。これでノーアウト一、二塁。チャンスが広がった。

 

 

 

『これは、鳥白島チャーハンズ、絶好のチャンスだ』

 

『そうですね。次のバッターは6番。鷹原さんです。頑張ってください』

 

「え、俺?」

 

 あろうことか、ここで俺の打席が回ってきた。

 

「羽依里君、頑張ってね!」

 

「お? それじゃ、あいつが加藤さんとこの親戚か? こりゃ、応援するしかねぇな! 打てよー!」

 

「しろはちゃんにかっこいい所を見せるんだよー!」

 

 反撃ムードが高まり、鏡子さんを筆頭に観客席から沢山の声援が送られてきた。どうしよう。俺、チャンスを広げるため、バントしようと思ってたけど。とてもそんな空気じゃなくなってしまった。

 

「よし。勝負だ、鈴」

 

 俺は仕方なく、普通にバットを構えて鈴と対峙する。

 

「いくぞっ……しねっ!」

 

 最初に投じられたのは、恐らくカーブっぽい。判定はストライクだった。

 

「えいっ!」

 

 続くボールは、ワンバウンドするくらいの落差を誇るフォーク。思いっきり引っかかって、バットを振ってしまう。

 

「うう、しまった……」

 

 あっという間に追い込まれてしまった。いざ対峙してみると、鈴のボールは多種多様で、すごく狙い球を絞りにくい。

 

 一度深呼吸をして、意識を集中させる。よし、今度こそ。

 

「くらえ、ライジングニャットボーーール!」

 

 次の瞬間、光の筋が理樹のキャッチャーミットに収まった。速すぎて球が見えなかった。

 

「ストライク! バッターアウト!」

 

 球審の斉藤さんの手が上がる。鈴の投げたボールのあまりのスピードに、観客席がどよめいていた。

 

「うう、皆、ごめん……」

 

 結局三球三振を喫した俺は、すごすごとベンチに下がるしかなかった。

 

『スピードガンによる計測によると、ただいまのボールは時速140キロとのことです』

 

『ちょっと待ってくれ。何かの間違いじゃないか?』

 

 西園さんがライジングニャットボールの球速を皆に通知していた。隣に座ったのみきも、動揺を隠せないでいる。

 

「ひゃ、140キロ……」

 

 ベンチに戻ってみると、夏海ちゃんも驚愕の表情のまま固まっていた。うん。全然見えなかったし、俺も信じられないよ。

 

 

 

『こ、こほん。鷹原は三振に切って取られたが、まだ鳥白島チャーハンズのチャンスは続いている。続くバッターは7番。天善だ』

 

「水織先輩! 見ていてください!」

 

 天善はビシッとラケットを構えて、打席へ入っていった。ちょっと待って。せめてバットを持って。

 

 俺はその天善の後を、バットを持って慌てて追いかけた。

 

「……天善のやつ、打つ気満々だな」

 

「そりゃ、あこがれの人の前だしねー」

 

 良一や蒼が笑顔で天善を見ていた。彼は二回の守りでも多大な貢献をしてくれたし、ここは攻撃でも頑張ってほしい。

 

「いくぞっ、てりゃっ!」

 

「チョレーーーーイ!」

 

 そんな天善は鈴の初球を狙い打ったけど、力み過ぎたのか大きく打ち上げてしまった。

 

「し、しまった!」

 

「オーライ」

 

 そのボールはライトの恭介に難なく処理されてしまった。これでツーアウトだ。

 

 あの位置だと、二塁の鴎も走ることは無理そうだ。ランナーは一、二塁のままだった。

 

「くっ……水織先輩、申し訳ありません!」

 

 一球で打席が終わってしまった天善がベンチに戻ってきた。

 

「き、気にしないでいいわ、加納君。また次があるわよ」

 

 土下座でもしそうな勢いだったので、静久が慌てて取り繕う。

 

 

 

『この回、先頭から二者連続で安打を許した鈴さんですが、続く打者は抑えています。次は8番。紬さんですね』

 

 西園さんが淡々と試合状況を説明してくれる。ツーアウトにはなってしまったけど、おっぱい打法の使い手である紬なら、ライン際を狙って長打も十分あり得るし。期待したい。

 

「紬、頑張ってー!」

 

「紬さん、頑張ってくださーい!」

 

 静久や夏海ちゃんの声援が飛ぶ中、髪をポニーテールにして気合いを入れた紬が、打席へと向かう。

 

「むぎーーーーー!」

 

 打席に立った紬は、天善と同じように鈴の初球を狙い打った。

 

 弾かれたように飛んだボールは、ライト線ギリギリに飛び、一塁を守る謙吾の脇を抜け……。

 

「おっと!」

 

 ……るかと思われたけど、謙吾がとっさの判断で身体を張り、ボールを止める。

 

 そのままボールを拾い直して、一塁を踏む。紬はそこまで足が速くないし、アウトになってしまった。本当に惜しかった。

 

「スリーアウト! チェンジ!」

 

 

 

           1 2 3 4 5 R

 リトルバスターズ  0 3 -    3

 鳥白島チャーハンズ 0 0      0

 

 

 

『鳥白島チャーハンズ、初ヒットから続けざまにチャンスを作りましたが、無得点に終わりました』

 

『惜しかったんだがな……もう少し、天善が粘っていれば……紬の打球が抜けていれば……』

 

『野村さん、心の声がダダ漏れですよ? 落ち着いてください』

 

『あ、ああ。すまない……』

 

 のみきが悶々としているのが、痛いほど伝わってくる。自分は参加できずに見ているだけ、と言う状況に耐えられないようだ。

 

『それでは三回の表、リトルバスターズの攻撃です。バッターは2番、恭介さんからです』

 

 また上位打線との対戦だ。恭介には前の打席で打たれているし、ここは慎重に行かないと。

 

 俺は外角ギリギリのところにミットを構える。そこに投げ込まれた夏海ちゃんのナックルは、二球続けてボール判定となってしまった。

 

「むむむ……」

 

 夏海ちゃんはマウンド上で難しい顔をしていた。一球目はともかく、二球目は決まったと思ったんだけど。球審の手は上がらなかった。

 

「よし、もらった!」

 

 その次、ストライクを取りに行ったボールを見事にセンター前に弾き返された。これで前の回に続いて、先頭打者の出塁を許してしまった。

 

 続く3番、理樹は再びバントを決めて、俺が一塁へ送球する間に恭介が二塁へ進塁。これでワンアウト二塁となった。それにしても、このタイミングでのバントは定石とはいえ、理樹の自己犠牲の精神はすごい。

 

 

 

『リトルバスターズ、チャンスが広がりました。ここで4番バッターの登場です』

 

 この状況で謙吾に打席が回ってきた。初回こそ鴎のスーツケースに助けられたけど、あれは本当に運が良かっただけだし。要注意人物であることに変わりはない。

 

「(夏海ちゃん、ここは最悪歩かせてもいいから、めいっぱい外を狙おう)」

 

 俺はその意思を込めて、外側にミットを構える。夏海ちゃんも頷いてくれた。

 

「いきます……えい!」

 

 初球はギリギリのところに決まり、ストライク。

 

 ……続く二球目。

 

「よし、今だ!」

 

 中途半端に入ったフォークを上手く打たれてしまった。ショート方向にライナー性の打球が飛ぶ。これはまずい。

 

「チョレーーーイ!」

 

 しかし、天善がその打球をダイビングキャッチしていた。超ファインプレーだった。

 

「おお、天善、助かったぞ!」

 

「天善さん、ありがとうございます!」

 

「ふっ、日々のトレーニングの成果が出たようだな」

 

 ショートはボールが行きやすいポジションとは聞いていたけど、天善に任せておいて本当に良かった。

 

「加納君、かっこいいわよ!」

 

「つ、次もお任せください!」

 

 静久に褒められて、真っ赤になっていた。なんにしても、天善は守備では本当に頼りになる。

 

 結局ランナーの恭介は動けず、ツーアウト二塁。よし、あと一人だ。

 

『加納さんのファインプレーが出ました。すごい運動能力ですね』

 

『伊達に毎夜のように秘密基地に籠っていないみたいだな』

 

「加納のせがれ、いいぞー!」

 

 天善の気迫のプレーに、観客席からも歓声が飛ぶ。天善はビシッとラケットを構えて、その声援に応えていた。

 

 ……うん。ツッコみたいのは山々だけど、今は何も言わないでおいてあげよう。

 

 

 

『さて、ツーアウトにはなりましたが、強打者が続きます。続くバッターは5番、二木さんです』

 

 西園さんに呼ばれて、佳奈多が打席に立つ。彼女にも前の打席で長打を許しているし、ここは敬遠したほうがいいかもしれない。ちょうど一塁も空いていることだし。

 

「(夏海ちゃん、一塁空いてるし、敬遠しよう?)」

 

 俺はそうサインを送るけど、夏海ちゃんは首を横に振る。

 

 ……もしかして、今度こそ抑えようと思ってるんだろうか。

 

 考えてみたら、仮に佳奈多を歩かせても、その次はパワーが服着てるような真人が相手になるわけだしな。

 

「(……わかった。勝負しよう。夏海ちゃん)」

 

 そう決めて、俺はできるだけ内側にミットを構える。

 

「……佳奈多さん、行きますよ!」

 

 一球目は内角ギリギリに入って、ストライク。

 

「えい!」

 

 二球目はバットの先に当てられたけど、ファールになった。これで追い込んだ。

 

 続く三球目は僅かに外れて、ボール判定。

 

 今までの球は全部がナックルボール。特に三球目は夏海ちゃんも打ち取りにいったらしく、渾身の一球だったのに、見切られてしまった。佳奈多はすごい選球眼がある。

 

「……見切ったわ。ここね」

 

 ……続く四球目。僅かに浮いたボールを狙い打たれた。

 

「あ……!」

 

 佳奈多の打球は綺麗な放物線を描いて、観客席を高々と超えていった。やられた。ツーランホームランだ。

 

 夏海ちゃんはボールの行く先を見届けた後、がっくりと肩を落としていた。

 

「おねーちゃん、ナイスバッティングー!」

 

「すごいのですー!」

 

「かなちゃんすごいー!」

 

 ダイヤモンドを回ってベンチに戻る恭介と佳奈多を、リトルバスターズの皆が出迎えていた。

 

『二木さんのツーランホームランが飛び出しました。これでリトルバスターズの5点リードに変わります』

 

『……』

 

『……あの、野村さん、大丈夫ですか?』

 

『あ、ああ。すまない。少し意識が飛んでいたみたいだ』

 

 ……どうやら、のみきも一瞬気絶するくらいのショックを受けていたらしい。

 

 でも、それ以上に夏海ちゃんは大丈夫だろうか。ホームランはピッチャーへの精神的ダメージが大きいって言うし。

 

「あ! ごめんなさい!」

 

 やっぱり心配が的中した。夏海ちゃんは動揺したのか、続く真人にまたデッドボールを与えてしまっていた。

 

「うおおーーー! 上腕二頭筋がー!」

 

 大袈裟に叫んでいたけど、別に大丈夫そうだった。さすが頑丈な筋肉だ。

 

 それより、夏海ちゃんが心配だ。かなり浮足立ってるし。

 

「ヘイヘイなっちゃん、カモーン!」

 

 次に打席に立ったのは、葉留佳だった。良かった。助かった。

 

「姉御直伝! おさげ打法―! ありゃー!?」

 

 そう言いながらバットを豪快に振り回す葉留佳をセカンドゴロに抑え、なんとかその回の守りを終えることができた。

 

 

 

           1 2 3 4 5 R

 リトルバスターズ  0 3 2    5

 鳥白島チャーハンズ 0 0 -    0

 

 

 

 ホームランを打たれた後、どうにか後続は抑えたけど……ますます点差が広がってしまった。

 

 これから試合は後半へと向かっていくけど、このままじゃまずい。なんとか反撃しないと。

 

 

第三十六話・完




第三十六話・あとがき

おはこんばんちわ。トミー@サマポケです。
今回は野球の試合の前に、祭りも終わって静けさを取り戻した鳥白島の日常も少し書かせていただきました。

お気に入りのシーンは、前日の紬の演舞を撮影したビデオを、藍や来ヶ谷さんが見ている所と、バーベキューセットの関係で羽依里がしろはに電話をかけた時、小鳩おじーさんが出ちゃう場面ですw

ちなみに、食堂から小学校へ向かう間、羽依里君としろははしれっとタンデムしてるんですよ。まぁ恋人同士だから別にいいんですけど、なんとも羨ましい!(え

そして本日のメイン、野球の試合ですが、序盤から一方的な展開になってしまっています。
もちろんこのまま終わりません。圧倒的な実力を持つリトルバスターズを相手に、鳥白島チャーハンズが後半でどう巻き返すのか、期待していてください。


■今回の紛れ込みネタ

・ケロケロ便……リトバスでクドが荷物を運ぶのに使っていた運送会社です。某黒猫のように、島内の自宅まで追加料金なしで運んでくれる優良企業です(ぇ

・審判団の斉藤さんたち……鍵作品をやったことがある方なら、一度は耳にした事があるであろう斉藤さんです。ジェット斉藤、フィッシュ斉藤、スカイハイ斉藤、マスクド斉藤……様々な斉藤がいますが、どの斉藤が審判をしているかは、ご想像にお任せしますw


以上になります。いくつお気づきになられたでしょうか。
今回も、最後まで読んでいただいてありがとうございました!
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