Summer Pockets #2   作:トミー@サマポケ

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第四十一話 8月25日

 

 

 

 

 

「羽依里さーん! 朝ですよー!」

 

 今日も夏海ちゃんの声で起こされる。

 

 ……けど、今日はやけに眠かった。

 

「ごめん夏海ちゃん、あと5分……」

 

「え、ダメですよ! 起きてくださーい!」

 

 頭から布団を被りなおすと、ゆさゆさと身体を揺すられる。地震、だおー。

 

「……羽依里、相変わらず夏海ちゃんに起こしてもらってるんだ」

 

「え?」

 

 透き通った声に、思わず布団から顔を出す。目の前の布団を掴む夏海ちゃんの隣に、しろはが立っていて、ジト目で俺を見ていた。

 

 ……そうだった。昨日からしろはもこの家で暮らすことになったんだった。

 

「えーっと、二人とも、おはよう」

 

「おはようございます」

 

「おはよう。それにしても、羽依里も寝起き悪いんだ。これじゃ夏海ちゃん、いつも苦労してるんだね」

 

「きょ、今日はたまたまだよ。いつもは、もっとすんなり起きるから」

 

 そう言いながら立ち上がって、いそいそと布団をたたむ。昨夜はしろはのじーさんの寝言で何度も目が覚めてしまったし、眠くてたまらない。

 

 『げんげん!』とか『甘いわ小僧!』とか言ってた気がする。どんな夢を見てたんだろう。

 

 そんなことを考えながら、隣のじーさんの寝床を見ると、すでに布団は畳まれていて、本人の姿はなかった。

 

「あれ、じーさんはもう起きてるんだ?」

 

「それが、こばとさんは朝の4時くらいから漁に行ってるみたいです」

 

「え、漁に!?」

 

「うん。昨日まで海が荒れてたから、まずは軽く潮の様子を見て来るんだって。朝ごはんまでには帰るって言ってたよ」

 

 二人がそう教えてくれた。昨日あんなことがあったっていうのに、本当に元気な人だ。

 

「それより、今日からラジオ体操が再開されるらしいし、早く準備しないと遅れるよ?」

 

「あ、そうなのか」

 

 しろはに言われて窓の外を見てみると、快晴だった。耳をすましてみれば、久しぶりに蝉の声も聞こえる。ようやくいつもの鳥白島が戻ってきた気がした。

 

「じゃあ、準備するから二人は玄関で待ってて」

 

「うん」

 

「はい! 急いでくださいね!」

 

 二人はそう言いながら、ゆっくりとふすまを閉めて、俺の部屋から出て行った。

 

 

「……そう言えば夏海ちゃん、いつも朝ごはんってどうしてるの? 準備をしようと思って冷蔵庫を見たら、梅干ししか入ってないんだけど」

 

「いつもはですね、ラジオ体操でもらったログボでチャーハンを作るんです」

 

「もしかしてって思ってたけど、やっぱり朝からチャーハンなんだね」

 

「はい! チャーハンは万能ですから!」

 

「そこは否定しないけど……」

 

 

 そんなやりとりをしながら、二人の声が遠ざかっていった。夏海ちゃんのチャーハン万能説を否定しないところが、実にしろはらしい。

 

「さて、俺も準備しないと」

 

 久々のラジオ体操に遅刻するわけにはいかない。俺も手早く準備に取り掛かることにした。

 

 

 

 

 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 

 

 

 

 身支度を整えた後、玄関先で二人と合流して神社へと向かった。

 

 それにしても、しろはがラジオ体操に参加するなんて珍しいな……とか思っていたら、すぐにその理由がわかった。

 

「おお、鳴瀬さんとこの。この度は災難だったねぇ」

 

「しろはちゃん、元気だしなよ」

 

「できることがあったら、何でも言ってね」

 

「家の片づけ、手伝いに行くからな!」

 

 神社へと向かう道すがら、会う人会う人全員がしろはを心配して声をかけてくれていた。皆、昨日の土砂崩れの件を知っていて、励ましてくれているみたいだ。

 

「……うん。うん。そこまでひどいことにはなってないから、大丈夫」

 

 そしてしろははその都度、丁寧に説明をしていた。どうやら、島の皆に余計な心配をかけないために、きちんと話をしておきたかったんだと思う。

 

 その中で、食堂の話も出ていた。それによると、家の方がある程度落ち着くまで食堂はお休みらしい。こればっかりはしょうがないと思う。

 

「こんなので悪いけど、お見舞いだよ」

 

「うちのスイカでも食べて、元気出しておくれ」

 

 また、しろはを心配してくれる人の中には、お見舞いの品として大量の野菜や果物をくれる人もいた。気がつけば、俺はすっかり荷物持ちになっていた。

 

 

 

 

「しろは、大変だったわねー」

 

「困っていることはないですか? なんでも手伝いますよ」

 

「そうだぞ。なんでも言ってくれ」

 

 その状況は神社に到着しても変わらず、境内に着くや否や、しろはは空門姉妹や天善といった島の仲間たちに取り囲まれていた。

 

 島内放送で詳細が報じられただけあって、本当に島の隅々まで土砂崩れの話が知れ渡っているみたいだ。

 

「お前たち、心配なのはわかるが、そんな一度に話しかけるんじゃない。しろはも困っているだろう」

 

 その時、のみきが石段を登って神社にやってきた。

 

「しろは、すでに鳴瀬翁には話を通してあるんだが、役所が中心となって、今日の9時から鳴瀬家の片付けを始めようと思うんだ」

 

「わかった。9時からだね」

 

 のみきがそうスケジュールを伝えていた。やっぱりこういう作業って、役所が中心になってやってくれるのか。

 

「のみき、その作業、俺たちも手伝わせてもらえないか?」

 

 それに合わせて、俺と夏海ちゃんも参加を申し出る。

 

「それは助かる。手伝ってくれる人数は、多ければ多いほどいいからな」

 

 のみきはそう言いながら、うんうんと頷いてくれていた。

 

「二人とも、ありがとう」

 

 しろははそんな俺たちにお礼を言いながら、柔らかい笑顔を向けてくれる。手伝うのは当然なんだけど、面と向かってお礼を言われると、なんだか小恥ずかしい。

 

「そうよねー。しろはも羽依里が傍で手伝ってくれた方が、嬉しいもんねー?」

 

「全くです。しろはちゃんはこんな時まで羽依里さんといちゃらぶしたいんですね」

 

「「そ、そんなんじゃないし!」」

 

 そんな空気を悟ってか、空門姉妹がすかさず茶化しを入れてきた。俺としろはも声がハモってしまって、恥ずかしさが増す。

 

「茶化すのも良いが、少年団も全員手伝いに来るようにな」

 

「もちろんですよ」

 

「任せといてー」

 

「おう!」

 

 続くのみきの言葉を、少年団の皆も快諾していた。こういう時の皆は本当に頼もしい。

 

 そして今この場にはいないけど、紬や静久、鴎も声をかけたらきっと手伝ってくれるはずだ。後で連絡しておこう。

 

「よーしお前ら―! 数日振りだなー! 今日もラジオ体操を始めるぞー!」

 

 その時、ラジオ体操大好きさんがやってきた。今日もラジオ体操が始まる。

 

 

 

 

「第四の体操! 三半規管の鍛錬だ! ぐるぐるぐる~~!」

 

「ぐるぐるぐる~!」

 

「うう、久しぶりにやると身体が感覚を忘れているのか、気持ち悪くなりますね……」

 

 藍が頭を押さえていた。俺と夏海ちゃんは昨日も自主練をしたはずなのに、気持ちが悪い。身体の感覚云々の問題じゃない気がする。

 

 

 

 

「よーし、今日のラジオ体操はここまでー!」

 

「「ありがとうございました---!」」

 

 やがて久しぶりのラジオ体操が終了し、スタンプとログボを受け取る。

 

「そうだ。今日は台風で中止になった二日分のログボも一緒に配るからなー!」

 

 ラジオ体操大好きさんはそう言って、複数の段ボールから次々とログボを取り出す。

 

 そして渡されたログボは、軍手、スポーツドリンク、塩飴だった。あれっ、この三点セットってもしかして。

 

「皆、今日は宿題が終わったら、鳴瀬さんところに手伝いに行くんだぞー!」

 

「「はーい!」」

 

 ラジオ体操大好きさんがそう呼びかけると、その場にいた子供たち全員が元気に返事をしてくれていた。すごい結束力だった。

 

 

 

 

「ねぇ……しろは。ちょっと聞きたいことがあるんだけど」

 

「え、なに?」

 

 少し時間が経ち、境内の人が掃けてきた頃、蒼が小声でしろはに質問していた。

 

「こんな時になんだけど……今、しろはって羽依里のところに居候してるの……よ、ね?」

 

「そ、そうだけど」

 

「へー。噂には聞いてたけど、本当だったのか」

 

「ほう。正式な混合ダブルス結成前の事前合宿というわけか」

 

 しろはの肯定を受けて、良一や天善たちも寄ってきた。なんて地獄耳だ。

 

「うんうん。やっぱり、彼氏さんと一緒にいると心も休まるでしょう。いいと思いますよ」

 

 藍が何か悟ったように頷いていた。なんだろう、藍にそう言われると、素直に喜べない。

 

「そ、そうよね。止むない事情があるとは言え、彼氏と一つ屋根の下。これってやっぱり、夜の営みとか……」

 

 その隣で、蒼がマッハでピンクになっていた。ちょっと蒼、その表現やめて。

 

「……さあ、しろはに夏海ちゃん、そろそろ帰ろうか!」

 

 会話の雲行きが怪しくなってきたし、ここは逃げの一手に限る。

 

 俺は大量の荷物を急いで持つと、しろはたちに声をかけて、足早に神社を後にした。

 

 

 

 

 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 

 

 

 

「あ、三人とも、おかえりなさい」

 

「ただ今戻りました」

 

 加藤家に帰宅すると、出掛けの際には居なかったはずの鏡子さんとじーさんがいた。二人とも帰ってきていたみたいだ。

 

「鳴瀬さんがね、たくさんの魚を持って帰ってきてくれたから、冷蔵庫に入れておいたよ」

 

「そうなんですか。ありがとうございます」

 

「気にするな。どうせ市場に出せない、あまりものだ」

 

 お礼を言ってみるけど、しろはのじーさんはそつなく返して、すぐにテレビに視線を戻してしまった。

 

 つられてテレビを見ると、先日と同じように台風被害のニュースだった。どうやら、本土の方も大変そうだった。

 

「それにしても、羽依里君たちも荷物いっぱいだね」

 

「えっと、三日分のログボと……訳あって、近所の人からもらった野菜とかです」

 

 俺は鏡子さんに、そう内訳を説明する。一人一人からもらった量は少ないんだけど、まとめてみると結構な量だった。

 

「これだけあれば、しばらく野菜には困らなそう」

 

「そうだよな」

 

 袋の一つを覗き込みながら、しろはが笑顔で言っていた。こういう時の善意は本当にありがたい。

 

「それじゃ羽依里、その袋持って台所まで来て。冷蔵庫にしまっておかなきゃ」

 

「ああ、わかった」

 

 直後、しろはにそう言われて、俺は袋を持って台所へと向かう。

 

 台所につくと、しろはは慣れた手つきで野菜を選別して、冷蔵庫へとしまう。

 

 ものの数分で、冷蔵庫の中は食材でいっぱいになった。俺は未だかつて、これだけ中身の詰まった加藤家の冷蔵庫を見たことがない。

 

「それじゃ、朝ごはん作るね。羽依里も居間で待ってていいよ」

 

 いつもは夏海ちゃんが着けているフリフリなエプロンを着けながら、しろはがそう言う。

 

 料理となると、俺の出る幕は全くないので、大人しく居間に戻ることにした。

 

 

 

 

 その後、しろはのじーさん、鏡子さん、俺、夏海ちゃんの四人で居間に座って、しろはの料理ができるのを待っていた。

 

 普段なら俺と夏海ちゃんだけで使っている座卓も、これだけの人数が座ると狭く感じる。特に、しろはのじーさんの威圧感がすごい。

 

「こばとさん、今日は何の魚が釣れたんですか?」

 

「……いつもと変わらん。カマスに、アジ、タイだな」

 

 そんな中、夏海ちゃんはじーさんの向かいに座って、色々と質問をしていた。こういう時、夏海ちゃんの人懐っこい性格は本当に助かる。俺や鏡子さんだけじゃ、絶対に場が持たなかったと思うし。

 

 

 

 

「……おまちどうさま」

 

 しばらくして、しろはがお盆に朝ごはん乗せて、居間にやってきた。

 

「おお……」

 

 今朝の献立は炊きたてのごはんに、ジャガイモとシイタケの入った味噌汁、そして焼き魚だった。至ってポピュラーな朝食だけど、普段からチャーハンばかり食べている俺にしてみれば、どれも魅力的だった。

 

「……ほう。カマスは塩焼きにしたか」

 

 じーさんはというと、出された焼き魚を感心した風で見ていた。

 

「カマスですか?」

 

「ああ。本来、カマスは秋に獲れるが、これは別名アオカマスと言ってな。少し時期が早い」

 

「そうなんですね」

 

「この辺りの海で獲れるのは珍しいが、今は大して脂も乗っていないからな。こういう風に、塩焼きにするのがいい」

 

 興味津々の夏海ちゃんに対し、じーさんは少し嬉しそうに説明をしていた。さすが漁師の知識だった。しろはが持っている魚の知識は、やっぱりじーさん譲りらしい。

 

「それじゃあ、冷めないうちにめしあがれ」

 

「はい! いただきまーす!」

 

 しろはが食卓についたところで、皆で挨拶をして、朝食を食べ始める。

 

 俺はまず、味噌汁を一口すすってみた。

 

 ……うん。ジャガイモの甘味が出ていて美味しい。しっかりと旨味を吸ったシイタケも絶品だ。

 

「こばとさん、このカマス、美味しいです!」

 

「……そうか」

 

 一方の夏海ちゃんは、さっそくカマスの塩焼きを口にして、満面の笑みだった。

 

 そしてやっぱり、じーさんもどこか嬉しそうだ。

 

 せっかくだし、俺もカマスを食べてみよう。

 

「うん、美味しい」

 

 身もホクホクだし、塩加減もちょうど良い。これは、ごはんがいくらでも食べられるやつだった。

 

 

 

 

 朝食を済ませた後、俺たちは片付け作業へ向けて準備を始めた。

 

 ログボでもらったスポーツドリンクだけだと不安があるので、水を入れた水筒も用意して、軍手、タオルで装備を固める。

 

「夏海ちゃん、頑張ろうね」

 

「はい! 頑張りましょう!」

 

 夏海ちゃんは頭にタオルをバンダナみたいに巻いて、気合い十分だった。

 

「夏海、タオルでなく、帽子を被れ。その方が日避けになる」

 

「は、はい!」

 

 直後、じーさんにそう言われ、夏海ちゃんは慌てて部屋に帽子を取りに走る。

 

「鏡子さん、スコップとか、土を入れる砂袋は向こうに用意されてるんですか?」

 

「あると思うよ。その辺りも青年団が用意してくれてるはずだし」

 

 朝から役所に行っていたらしい鏡子さんに質問すると、そう答えが返ってきた。

 

「……羽依里、お前達がいちいちそんなことを気にする必要はない」

 

「え?」

 

「こういう時、あれやこれや考えるのは、大人の仕事だ」

 

 じーさんがそう言いながら、俺にも帽子を投げて寄こした。これを被れという意味だろうか。

 

「お前達は、できることを手伝ってくれるだけで良い。それだけで、十分助かる」

 

「そうそう。羽依里君たちが色々と考える必要はないんだよ」

 

 鏡子さんが笑顔でそう続けてくれる。大人二人が凄く頼もしく見えた。

 

「お待たせしましたー」

 

「おまたせ」

 

 その時、夏海ちゃんと一緒にしろはもやってきた。着替えを終えたらしいしろはは、髪を上の方に纏めて、夏海ちゃんとお揃いの麦わら帽子を被っていた。

 

「これなら、いくら汚れてもまた洗えばいいから」

 

「はい!」

 

 全員の準備が終わったのを確認して、俺たちは鳴瀬家へと向かった。

 

 

 

 

 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 

 

 

 

 鳴瀬家に到着し、改めて状況を見てみる。土砂が流れ込んでいたのは本当に鳴瀬家の一部だけだった。土砂崩れの規模としては、かなり小さいもののように思う。

 

 昨日は暗かったし、気が動転していたこともあって、凄い被害が出ていると思ったんだけど。

 

 そしてその場所には、役所の職員や青年団の人、少年団の皆、港でよく見る漁師さんたちに、ラジオ体操に来ていた子供たち……本当にたくさんの島民が手伝いに来てくれていた。

 

「おお、時間通りだな」

 

 その人数に圧倒されていると、その中からのみきがこっちにやってきた。つられて、他の人たちも俺たちの周囲に集まってくる。

 

「その……皆、すまんな」

 

 直後、じーさんがそう言って頭を下げていた。よもや、ここまで多くの人が集まってくれているとは思っていなかったんだろう。

 

「皆さん、今日はよろしくお願いします」

 

 同じようにしろはも頭を下げていた。俺や夏海ちゃんも、つられるように一緒に頭を下げる。

 

「なーに、こういう時はお互い様ですよ。鳴瀬翁」

 

「そうそう。皆でやれば、すぐに終わるさ」

 

「早く安心してもらって、しろはちゃんにはまた食堂を開けてもらわないとねー」

 

 頭の上から、そんな温かい言葉が次々と聞こえてきた。

 

「……うん。だいじょうぶい」

 

 その時、頭を下げたまま、しろはが俺にしか聞こえないような小さな声でそう言っていた。

 

「しろは、なにそれ」

 

「小さいころ、おかーさんがよく言ってた言葉。言うとね。元気が出るの」

 

「そっか。なら、だいじょうぶいだ」

 

「……うん」

 

 いくら被害が小さいからって、自分の育ってきた家が土砂に埋もれてショックを受けない人はいない。思い出の品とか、たくさんあるだろうし。俺がしろはを支えてあげないと。

 

 

 

 

「少年団の皆、それから子供たち、ちょっと集まってくれ。作業を始める前に話がある」

 

 各々準備をしていると、のみきからそう招集がかかった。言われた通り、皆で彼女の周りに集まる。

 

「役所の職員と、青年団による話し合いが持たれた結果、私たちの仕事は比較的危険の少ない、庭の土砂の片付けとなった。危険が残る裏山付近での作業は、青年団が担当する」

 

 のみきが真剣な表情で、そう説明していた。恐らく、これが大人が決めた役割配分なんだろう。

 

「なぁのみき、裏山はまだそんなに危険なのか?」

 

 聞きにくい所を、良一が一番に聞いていた。こういう時の彼はすごく頼もしい。

 

「ああ、どうも裏山は二次被害の危険があるらしくてな。専門の業者に来てもらって、防護柵を設置する必要があるそうだ」

 

 それってつまり、また大雨が降ったりしたら崩れる可能性があるってことだよな。

 

「だが、先の台風で本土の方にもあちこち被害が出ているらしくてな。業者としても、なかなか島までは手が回らないそうだ。防護柵の設置は、早くても数日先になるだろうな」

 

 なるほど、そういう理由もあるのか。なんだかんだで、鳥白島は僻地にあるし。こればかりは致し方ない。

 

「後、この土砂についてだが……」

 

 更にのみきから、土砂が流れ込んだ経緯も説明がされた。

 

 それによると、崩れた土砂は裏山に面した窓を破って屋内に侵入し、じーさんの寝室を中心に建物の中を通り抜け、庭に達したらしい。

 

「つまり、土砂には割れたガラスが混ざっているかもしれない。土砂を触るときは、軍手をしていても必ずスコップを使うようにな」

 

 のみきはそう続けた。全員スコップや移植ごてを持っているし、土砂を直接触ることはないとは思うけど、頭の隅に置いておこう。

 

「だが、中には良い話もあるぞ。色々と調べてもらった結果、幸いなことに鳴瀬家の電気や水道、電話といったライフラインは問題なく使えるらしい」

 

「おお、そうなのか」

 

 確かに、これは不幸中の幸いだ。汚れを洗い流したりするのに近くの水道を使えるというのは、本当にありがたい話だし。

 

「また、役所の方で無料の給水所を用意してある。喉が渇いたら、好きなだけ利用してくれ」

 

 のみきが指差す方を見ると、鳴瀬家の母屋から少し離れた場所に白いテントが立てられていて、そこにやかんや大きめのピッチャーが用意されていた。

 

 スポーツドリンクに加えて自前の水筒も持ってきたけど、どうやら水分に関してはそこまで神経質になる必要はなさそうだ。

 

「それでもなお、暑さにやられそうな者がいたら言え。必要と判断すれば、ハイドログラディエーター改による水弾をお見舞いしてやるぞ」

 

 最後に、のみきがそう笑顔で言って締めくくっていた。最低限の注意は必要だが、余計なことは考えずに作業に集中しよう、という意味が込められているのかもしれない。

 

 

 

 

「よし皆、それじゃあ始めようぜ!」

 

「「おーーー!」」

 

 良一がスコップを片手にそう号令をかける。それを合図に、皆一斉に作業に取り掛かる。

 

 全員で一列に並び、庭に溢れる土砂をローラー作戦で砂袋に詰めていく。できるだけ列を乱さないように、一番作業速度の遅い人に合わせながら、ゆっくりと前進する。

 

 満杯になった砂袋は口を結んで後ろに置いておき、ある程度数が貯まったら皆で一斉に下の道まで運ぶ。

 

 下の道にはトラックが何台も待機してくれていて、そこからはピストン輸送でどんどん港の方へ砂袋を運び出してくれる手はずになっている。

 

 そして土砂を見た感じ、先に青年団の方で大きながれきは取り除いておいてくれたらしい。おかげで俺たちは土砂の除去だけに集中することができる。

 

「よいしょ、よいしょ」

 

 夏海ちゃんとしろはは俺の隣で、移植ごてを手にして砂袋に土砂を詰めていた。そしてその袋を一輪車に積むと、せっせと下に運んでいく。

 

 俺も負けじと土砂をスコップで砂袋にすくい入れ、頃合いを見ては良一や天善たちと一緒に下のトラックへと運ぶ。

 

 そんな作業を一時間半ほど繰り返していると、さすがに腰が痛くなってきた。

 

「……羽依里、少し休んだら? 頑張りすぎても身体に悪いよ?」

 

「いや、まだまだいけるよ」

 

 滴る汗をタオルで拭きながら、水筒の水を飲む。体力には自信があるし、まだ大丈夫だ。

 

「うむ。しろはちゃんの言う通り、そんなに急いては身がもたんぞ。ペース配分が重要じゃ」

 

「ぷひぷひ!」

 

 その時、背後から声がした。

 

「え、沢田さん!?」

 

 振り返ってみると、作業着姿の沢田さんがウリボウを連れて手伝いに来てくれていた。

 

「白虎よ、一人だけ抜け駆けは許さんぞ!」

 

「玄武の危機とあれば、我ら、推参せん!」

 

 その沢田さんに続いて、見るからに逞しいじーさんが二人やってきた。すでに一人はスコップを持ち、もう一人もぱんぱんに膨れ上がった砂袋を担いでいる。

 

「……ふん。お前達の助力など必要ないわ」

 

 その三人を見て、しろはのじーさんはにやりと笑みを浮かべていた。そして触発されたのか、土砂の入った砂袋を二つ同時に担ぐ。あのパワー、どこから出てくるんだろう。

 

「ぷっひ、ぷっひ」

 

 ちなみに、ウリボウは鼻先を器用に使って土砂を砂袋に入れたり、その袋を引っ張って運んでいた。さすが、小さくても野生動物だった。

 

 

 

 

 その後も皆で交代で休みを取りながら、少しずつ作業を進めていく。

 

「大変そうだから、手伝いに来てやったぞ。これは差し入れだ」

 

 別の声がしたと思ったら、スポーツドリンクの入った段ボールを持った徳田が立っていた。どうやら、彼も手伝いに来てくれたらしい。

 

「よーし、ガーディアンに続けー!」

 

「「よーいしょ! よーいしょ!」」

 

「きっとこの庭のどこかに、お宝が埋まってるぞー!」

 

「……おいおい」

 

 向こうの方では、子供たちが協力して土砂を砂袋に入れてくれたり、一輪車を押してくれていた。男の子がほとんどだけど、中には堀田ちゃんの姿もあった。

 

「おーい、どんな感じだ―?」

 

「手伝いに来たぞー!」

 

 子供たち以外にも、沢山の大人が入れ代わり立ち代わり手伝いに来てくれた。重機が使えない分、本当に人海戦術だ。鳥白島の島民の団結力、侮っていたかもしれない。

 

 

 

 

「ふー」

 

 さらに三十分ほど作業をした後、給水所で冷えた麦茶をもらって小休止する。

 

 ログボのスポーツドリンクや水筒の水は、この暑さのせいで早々になくなってしまったけど、給水所のおかげでこまめに水分補給することができる。

 

「……羽依里さん、頑張りすぎてへばってないですか?」

 

「少し遅くなったけど、手伝いに来たわよー!」

 

 その時、空門姉妹がやってきた。二人とも長い髪をシニヨンにまとめて、頭にはタオルを巻いていた。

 

「はいこれ。駄菓子屋のおばーちゃんからの差し入れ」

 

 重い音と共に俺の近くの地面に置かれた箱には、タカのマークの栄養ドリンクが詰まっていた。

 

「一応40本はあるはずなんだけど、足りそうにないわねー」

 

 蒼が周囲を見渡しながら苦笑する。確かに、ぱっと見ただけで50人以上の人間がいると思う。

 

「さーて、遅れた分を取り戻すわよー」

 

「しろはちゃん、砂袋を運ぶの手伝いますよ」

 

 着いて早々作業に参加する双子姉妹に続くように、俺も作業に戻る。よし、もうひと踏ん張りしよう。

 

 

 

 

 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 

 

 

 

「皆さーん、そろそろ一休みしましょー」

 

 そろそろお昼時……という頃になって、たくさんの女性たちがやってきた。

 

 どうやら島の婦人会の皆さんらしく、作業をしている皆のために、わざわざお昼ごはんを用意してきてくれたらしい。

 

「おにぎりはたくさんあるから、いっぱい食べてね!」

 

「飲み物は麦茶のほかに、冷たい牛乳もあるわよ!」

 

 ……さっきから聞いた事のある声がしていると思ったら、その女性陣の中に紬や静久、鴎の姿があった。あの三人はどうやら、炊き出しの手伝いをしてくれていたらしい。

 

「……ちょうどお昼だし、皆さん、少し休憩にしませんか」

 

 青年団の誰かがそう言い、そのままお昼休憩となる。各々が軍手を外し、水道で手や顔を洗う。

 

「鷹原さん、お疲れ様です。どうぞ」

 

「え? ああ、ありがとう」

 

 俺も水道で顔を洗っていると、一人の女の子がタオルを差し出してくれた。

 

「いつも兄がお世話になっています」

 

 その子はそう言って一礼すると、すぐに去って行ってしまった。誰だっけ。どこかで見たことあるような。

 

「よう羽依里、おつかれ」

 

「……ああ、おつかれ」

 

 そんなことを考えていると、良一がやってきて、特大のおにぎりを手渡してくれた。

 

 俺はそれを受け取って、良一と一緒に適当な場所で腰を下ろす。

 

「……あ」

 

 その時、ようやく思い出した。さっきのあの子、良一の妹だ。

 

「羽依里、どうした?」

 

「いや、何でもないよ」

 

 色々と今更だった。それより、いつの間にか上半身裸になっている良一の方が気になった。

 

「良一、裸でいると、またのみきに撃たれるぞ」

 

「いや、今日は大丈夫みたいだぜ。俺以外にも裸になっているじーさんとかいるしな」

 

 言われてみれば、上半身裸の島民も何人かいた。まぁ、今日の良一の働きっぷりは際立っているし、のみきも見逃してくれている感じだ。

 

「それにしても、庭の土砂はだいぶ減ったんじゃないか?」

 

 おにぎりをかじりながら、良一がそう言う。改めて庭を見渡してみると、庭の土砂は半分ほどに減っていた。まさに、皆の努力の賜物だった。

 

「問題は裏山だな。業者が来ないことにはどうにもなんねーし」

 

「そうだよな……」

 

 俺もおにぎりをかじりながら、考えを巡らせる。

 

 一度、休憩を兼ねて裏山の様子を見に行ってみたけど、あれは確かに専門の人に見てもらわないと、どうにもできなさそうだった。

 

 ついでに土砂が侵入した家の中の様子も見てみたけど、畳や家具がある関係で、庭とは別の意味で片づけが大変そうだった。

 

「業者、いつになったら来れるのかな」

 

 欠片になったおにぎりを口の中に放り込みながら、ため息交じりに言う。

 

 何にしても、防護柵を設置するなりして安全を確保しないことには、しろはたちは家に戻れない。思った以上に、状況は深刻かもしれない。

 

「え? 業者がどうしたの?」

 

 その時、やかんに入った麦茶を配りながら、鴎が俺たちの方にやってきた。

 

「ああ……鴎、実はさ」

 

 やってきた鴎に、業者が来なくて裏山に手が付けられないことを伝える。正直、彼女に言ったところで、愚痴以外のなにものでもないんだけど。

 

「そうなんだ……それは、大変だね」

 

 俺の話を聞いた鴎はそう答えた後、手を口元に当てて、何か考えるようなしぐさをしていた。

 

「……そうだ! しろしろ、ちょっと電話貸して!」

 

 そしてすぐに、何かを思い立ったかのように立ち上がって、しろはに電話を借りに行った。なんなんだろう。

 

「……パイリ君に三谷君、まだお腹に余裕はあるかしら?」

 

「わたしたちのおにぎりも食べませんか?」

 

 そんな鴎を不思議に思っていると、入れ替わりに紬と静久がやってきた。

 

「それじゃ、ひとつもらおうかな」

 

「はい! どうぞ!」

 

 紬が笑顔で差し出してきた箱には、丁寧にラップで包まれたおにぎりがたくさん入っていた。

 

「もしかしてこれ、全部紬が握ったの?」

 

「いえ、シズクと半分ずつ作りました!」

 

「向かって右側が私、左側が紬よ」

 

 静久がそう付け加えていた。見た目に違いはなく、海苔が巻いてある普通のおにぎりだった。

 

「パイリ君へのおすすめは、当然紬のおにぎりよ。ちょっと小ぶりだけど、美味しいの」

 

 言われてみれば、左側のおにぎりは心なしか小さい気がする。握った紬の手が小さいからだろうか。

 

「それじゃ、紬のをもらうよ」

 

 俺は左側のおにぎりを選び取って、ラップをはがしてから、口に運ぶ。うん。美味しい。

 

「紬、美味しいよ」

 

「それは良かったです! あいじょーをむぎゅっと詰め込んだ甲斐がありました!」

 

「むぐっ!?」

 

 ちょっと紬、食べてる時に変な冗談言わないで。おにぎりが変なところに入りかけた。

 

「おお、水織先輩のおにぎりもうまいっす」

 

 俺が慌てて麦茶を飲んでいるのを尻目に、良一は静久のおにぎりを選んだみたいだ。ご満悦と言った様子でかじりついている。

 

「……水織先輩のおにぎりがもらえるというのはここか!?」

 

 その時、何の前触れもなく天善が現れた。

 

「加納君もどうぞ。乳酸菌たっぷりよ」

 

「ありがとうございます! いただきます!」

 

 その天善はひざまずきながら、静久からおにぎりを受け取っていた。ところで、聞き違えかな。乳酸菌ってなんだろう。

 

 

 

 

「羽依里さーん、そろそろ作業を再開するそうですよー!」

 

 食後も身体を休めながら紬たちと話をしていると、しろはや空門姉妹と一緒に休んでいたらしい夏海ちゃんが声をかけに来た。

 

「うん、すぐに行くよ!」

 

 そう返事をして、軍手をつけながら立ち上がる。お昼からも頑張ろう。

 

 

 

 

 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 

 

 

 

「皆、もうひと頑張りだよー!」

 

「オッケー、船長ー!」

 

 無心で土をすくっていると、少し離れたところから元気な声が聞こえてきた。

 

 見ると、鴎が子供たちに指示を出しながら、一緒に作業していた。

 

 宝探しイベントを主催して以来、鴎は島の子供たちから『船長』とか『キャプテン』とか呼ばれて慕われているらしい。

 

 子供たちのほとんどが頭にタオルを巻いているせいか、本当に船長とその子分みたいに思えてくる。

 

「そこの子、疲れたなら休んでいいよ!」

 

「うん! ありがとう!」

 

「その代わりに、体力のありそうなキミ、ほっちゃんの荷物を一緒に持ってあげて! ほら、かっこいい所を見せるチャンスだよ!」

 

「あいあいさー!」

 

 つまるところ、鴎は子供たちの見守り係を買って出てくれているらしい。

 

 この状況だと、大人もせわしなく動き回るし、どうしても子供たちへの見守りが疎かになる。こんな時、鴎のような存在はありがたかった。

 

「この袋を運んだら少し休憩にしよう! いくよー! よーいしょー!」

 

 見事に子供たちをまとめ上げている様子を見ると、鴎ってやっぱり、リーダーシップが必要な仕事とか向いてるんじゃないだろうか。

 

 

 

 

 その後も、時折休憩をはさみながら、地道に作業を続ける。

 

 皆で頑張ったおかげで、日が傾く頃には庭を埋め尽くしていた土砂の大部分が取り除かれ、見違えるほど綺麗になった。

 

「皆さん、日も落ちてきましたし、今日の所はこの辺で終わりにしませんか?」

 

 朝と同じ青年団の人がそう言い、作業をしていた皆が集合する。

 

 本日の成果や、また明日も同じ時間に作業を始めること等、簡単な打ち合わせがされ、その日は解散となった。

 

「それじゃーなー」

 

「また明日も来るわねー」

 

「皆、ありがとうな」

 

 俺と夏海ちゃんも使っていた道具を片付けた後は、しろはやじーさんと一緒になって、帰路に就く皆を見送っていた。

 

 ちなみに鏡子さんは青年団の人と打ち合わせをしていたかと思うと、トラックに乗って、役所の方へ行ってしまった。どうやら、給水所で使った道具の片づけを手伝うらしい。

 

 俺たちは最後の一人まで見送った後、四人一緒に加藤家へと帰宅することにした。

 

 

 

 

 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 

 

 

 

 その帰り道。しろはのじーさんが手に何か持ってるのに気がついた。

 

「じーさん、それは?」

 

「これか。晩飯用だ」

 

 ……晩飯? 俺は不思議に思いながらも、じーさんの手元をよく見てみる。

 

「……ひっ!?」

 

 日も落ちて、周囲が薄暗くなっていたので最初は分からなかったけど、それは絞められたニワトリだった。首が変な方向に曲がってる。

 

「ひえぇぇ……」

 

 俺と同じくそれに気づいた夏海ちゃんも、俺の陰に隠れるようにして、できるだけニワトリを見ないようにしていた。

 

「それってもしかして、あの鶏小屋の?」

 

 しろはの方はニワトリの状態を気にする様子もなく、そう質問をしていた。

 

「ああ、鶏小屋も土砂崩れの影響か、金網が壊れていてな。鶏のほとんどが逃げてしまっていた」

 

 あの鶏小屋は裏手の方にあったし、多少なりとも被害に遭ってしまったらしい。

 

「今日、気になって覗いてみれば、この一羽だけが残っていた。だから捕まえて、食べることにしたんだ」

 

「……なんだか、かわいそうです」

 

 その時、夏海ちゃんが何とも言えない顔でニワトリを見ながら、そう呟いていた。

 

「……こいつは、元々弱っていた。他の鶏のように逃げ出さなかったのも、逃げる力が残っていなかったのだろうな」

 

 じーさんがその手に持った鶏をちらりと見やり、夏海ちゃんに向かってそう言う。

 

「それに、今の家の状況では、家畜になど構っていられん。満足に世話ができなければ、こいつもそのうち飢え死にしていた。そうなる前に、楽にしてやったんだ」

 

「そうかもしれないですけど……」

 

 夏海ちゃんはそこで言葉を飲み込んで、唇を噛んでいた。夏海ちゃんの気持ちもわかるけど、じーさんの考えも理解できる。こんな時、なんて声をかけてあげればいいだろうか。

 

「……夏海ちゃん、残酷な話に聞こえるかもしれないけど、命をいただくっていうのは、そういうことなんだよ」

 

 そこで、しろはがそう言葉を紡ぐ。どうやら、しろはもじーさんの意見に賛同しているみたいだ。

 

「この鶏、私も心を込めて料理するから、夏海ちゃんも残さず食べてあげてね。それが礼儀だから」

 

「……わ、わかりました。頑張って食べます」

 

 夏海ちゃんはうん、うん、と何度も頷いていた。自分の中で、何かを納得させているみたいだった。

 

 

 

 

 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 

 

 

 

「あ、おかえり」

 

 俺たちが加藤家に帰宅すると、役所に向かった鏡子さんが先に帰ってきていて、お風呂を沸かしてくれていた。確かに皆泥だらけだし、食事の前に汚れを落とさないと。

 

「俺たちは後で良いんで、鏡子さんたちから入ってください」

 

 じーさんは帰り着くが早いか、鶏と包丁を持って裏庭の方に行ってしまった。ついていく勇気もないし、俺は玄関先で立ったまま、そう伝える。やっぱりこういう時、入浴は女性が先だろう。

 

「そう? それじゃ、お言葉に甘えちゃおうかな。夏海ちゃん、せっかくだし、一緒に入ろう?」

 

「はい!」

 

 そんな感じで、鏡子さんと夏海ちゃんが先にお風呂に入り、少し間をあけて、今度はしろはが入浴する。

 

 その頃になると、鶏の下準備を終えたじーさんが戻ってきた。

 

「しろは、さばいた鶏は台所に置いておくからな!」

 

 ……直後、風呂場からしろはの叫び声が聞こえた。

 

 どうやら、じーさんは鶏を台所に置いた後、浴室の扉を開けて、直接しろはに伝えたらしい。

 

「おじーちゃん! 勝手に開けないでって、いつも言ってるのに!」

 

 何か聞こえる。気にしない気にしない。妙な想像をするな、俺。

 

 

 

 

 やがて入浴を済ませたしろはが調理に取りかかってくれ、その間にじーさんに続いて、俺も入浴を済ませる。湯船にニワトリの羽が浮いていたのは、きっと何かの見間違いだと思いたい。

 

「ふう……」

 

 身も心もさっぱりして居間に行くと、食卓には鶏を一匹丸ごと使った、鳥料理のフルコースが並んでいた。

 

「……これはすごいね」

 

 鳥の炊き込みご飯、鶏のから揚げ、鳥ガラスープ、色々な種類の焼き鳥。朝、島民からもらった野菜も随所に彩を添えていた。

 

「……すごくおいしそうです」

 

 先程とは打って変わって、夏海ちゃんは目を輝かせていた。どうやら料理を前にして、色々と吹っ切れたみたいだ。思いっきりお腹も鳴ってるし。

 

「ほら、羽依里も早く座って。冷める前にめしあがれ」

 

 しろはにそう促されて、俺も食卓につく。

 

「それじゃ、いただきましょう」

 

 家主の鏡子さんの一言で、夕飯が始まる。

 

 俺は最初に、鳥の炊き込みご飯を食べてみる。

 

「……うん、美味しい」

 

 鶏の出汁に、ニンジンやゴボウといった根菜の旨味も加わって美味しい。具材も主張しすぎない、優しい味だった。

 

「んー、美味しいです!」

 

 夏海ちゃんも唐揚げを口いっぱいにほおばって、笑顔だった。

 

「じゃあ、次は焼き鳥にしようかな」

 

 俺はそう言いながら焼き鳥に手を伸ばしかけて……固まる。

 

「なぁしろは、この焼き鳥、見たことない部位ばっかりなんだけど」

 

「きちんと処理をすれば、焼き鳥はたくさんの臓物を処理できるの。どれも美味しいから、食べてみて」

 

「えっと、食べてみてと言われても……」

 

 パッと見、鶏皮やレバーくらいしかわからない。

 

「右から、レバー、ハツ、鶏皮、軟骨、砂肝、ぼんじり、ふりそで、チョウチン、ベラ、さえずり、トサカだよ。数は用意できなかったけど」

 

「あの、しろはさん。トサカって、あのトサカですか?」

 

「うん。夏海ちゃんの想像してる通りのトサカだよ」

 

「えええ」

 

「カリカリに焼いてあるから、コラーゲンたっぷりでおいしいよ」

 

「そうなんですね……礼儀ですし、食べてみます!」

 

 そう言って、一口かじりつく。同時に、カリっといい音がした。

 

「ふぉいしいです。あちち……」

 

 一口食べた後は、熱いのか冷ましながら、夢中で食べていた。どうやら、口に合ったみたいだ。

 

「ところで、ふりそでって何?」

 

「手羽元と胸肉の間の肉だよ。肉汁たっぷりで、私は好きだけど」

 

「しろはが好きなら、食べてみるよ」

 

 そう言って、手にしたふりそでかじりついてみる。直後に旨味たっぷりの肉汁が口の中に広がって、癖になりそうな美味しさだった。

 

「それにしても、これだけたくさんの種類の焼き鳥があると、まるで居酒屋さんみたいだね。鳴瀬さん、一杯やりませんか?」

 

 笑顔でそう言う鏡子さんは、どこからか一升瓶を取り出していた。この人がお酒を飲むイメージはないんだけど。

 

「……ほう。お前さん、若いくせにいける口か」

 

「ええ、少しですけどね。お付き合いしますよ?」

 

 向かいに座る大人二人が晩酌を始めたので、未成年の俺たちは、食べる方に集中することにした。

 

「うん。唐揚げも美味しい」

 

 揚げたての唐揚げもしっかり下味がついていて、一口かじると中から肉汁があふれ出てきた。あの短い間にどうやってここまでしっかり下味をつけたんだろう。やっぱり食堂を経営しているだけあって、他人には教えられないマル秘テクニックとかあるんだろうか。

 

「……ちなみにしろは、このニワトリって名前があったりするの?」

 

「え、急にどうしたの?」

 

「なんとなくさ。以前のキャサリンを思い出して」

 

「キャサリン? よくわからないけど、ついてた名札に書かれてたのは……確か、ともこだよ」

 

「ともこぉぉぉぉ!」

 

「ともこさん、美味しくいただいてます」

 

 名前を聞いたら、何故か急に愛おしく感じてしまった。

 

 こうして俺たちはこの日、命をいただいた。鶏ガラスープも美味しかったし、文字通り、骨の髄まで味わい尽くした感じだった。

 

 

 

 

 晩ごはんを終えると、俺は急激な眠気に襲われた。昼間の作業の疲れに加え、お風呂にも入って、お腹も膨れている。これは眠くならないはずがない。

 

「ほら羽依里、居間で寝ちゃわないで。布団で寝ないと」

 

「……そのやり取りを聞いていると、しろはちゃん、まるで奥さんみたいだね」

 

「ふん。羽依里、お前のような若造に、まだまだしろははやらんぞ。10年早いわ」

 

 お酒が入っているせいか、二人とも饒舌だった。でもじーさん、10年は長いから、せめて5年くらいにしてもらえないかな。

 

「ほらほら、夏海ちゃんも起きて」

 

「はぅー」

 

 見ると、夏海ちゃんも座ったまま舟をこいでいた。慣れない片付け作業を頑張っていたし、本当に眠そうだ。

 

「ほらほら、しっかりして。二人とも、布団はこっちだよ」

 

 二人してしろはに導かれるように、必死に意識を保ちながら部屋に向かい、そのまま倒れるように眠ってしまった。

 

 

 

 

 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 

 

 

 

「……あれ?」

 

 目が覚めると、部屋は真っ暗だった。

 

 僅かに差し込んでくる月明かりに照らされた時計を見ると、午前2時を示している。

 

 隣では、しろはのじーさんがいびきをかいて寝ていた。中途半端な時間に布団に入ったせいか、なんとも微妙な時間に目が覚めてしまった。

 

「うう、トイレトイレ」

 

 そして、俺は無性にトイレに行きたかった。たぶん、夕飯の時に麦茶をたくさん飲んでしまったのが原因だろう。

 

 俺は急ぎ足で寝床を抜け出して、トイレへと向かった。

 

 

 

 

「……ふう、すっきりした」

 

 無事用を足し終え、ペタペタと廊下を歩く。何の気なしに中庭を見ると、蔵から明かりが漏れていた。

 

「ああ、鏡子さんはこの時間まで蔵の整理をしているのか。大変だな……」

 

 半分眠った頭でそう考えて……すぐに違和感に気づいた。

 

 ……待て。蔵は去年、俺が整理し終えたはずだ。現にこの夏、あの蔵に明かりが灯っていたことなんて一度もない。何か変だ。

 

 正体のわからない不安に駆られた俺は、玄関からこっそりと庭に出て、蔵へと向かった。

 

 

 

 

 蔵に近づいてみると、僅かに扉が開いていた。そこから一筋の光と共に、小さな声が聞こえてくる。

 

「……どうでしょうか」

 

「うん……やっぱり、変わってないね。あのバイク事故から、もう二週間は経ってるはずだけど」

 

「やっぱりこれ、もうどうにもならないんでしょうか」

 

「今のところ、包帯で塞いでおくしかないね」

 

 耳を澄まして聞いていると、確かに鏡子さんと夏海ちゃんの声だった。

 

 それにしても鏡子さん、お酒を飲んでいたはずなんだけど。今の口調からは、酒気は微塵も感じられない。

 

「……こんな夜中に、何を話してるんだろう」

 

 中にいるのが鏡子さんだけなら、調べものでもしてるのかと思うところだけど、夏海ちゃんまでいるのは妙だ。

 

 俺は蔵の扉に近づき、その僅かな隙間から中を覗いてみた。

 

 

 

 

 蔵の中には、広い空間が広がっていた。去年俺が整理したんだから、整然としているのは当然だった。

 

 その真ん中に、鏡子さんと夏海ちゃんが向かい合って座っていて、近くの床には長めの包帯が乱雑に転がっていた。

 

 いつの間にか気にしなくなっていたけど、夏海ちゃんは最近、ずっと左手に包帯を巻いていた。確か、本人は火傷したと言っていたけど。

 

 そう思いながら、夏海ちゃんの左手を見てみる。鏡子さんへ向けて、軽く広げられたその手のひらは淡い光を放っていて、そこから光る蝶が飛び出した。

 

「……!?」

 

 俺は思わず二度見してしまうけど、目の錯覚なんかじゃない。蝶だった。間違いなく夏海ちゃんの手のひらから蝶が飛び出して、ひらひらと周囲を舞っている。

 

 ……その時、力を入れ過ぎたのか、手をかけていた扉ががたんと大きな音を立てた。

 

 ……しまった。

 

「「……っ!?」」

 

 その音で、二人は俺の存在に気がついたみたいだ。俺は覚悟を決め、扉を開けて蔵の中へと足を踏み入れる。

 

「は、羽依里さん……」

 

「羽依里君……」

 

 俺の姿を確認した二人は、揃って驚いたような、困惑したような表情をして、顔を見合わせる。

 

「……ごめん。覗くつもりはなかったんだけど」

 

「い、いえ……どうしたんですか。こんな時間に」

 

 夏海ちゃんは俺の方に向き直って、努めて笑顔でそう言う。それ、俺のセリフなんだけど。

 

 そして、素早く左手を身体の後ろに隠していた。その拍子に、またもう一匹、小さな蝶が飛び出してきた。

 

「……夏海ちゃん、その左手は……どうしたの?」

 

 できるだけ気持ちを落ち着かせて、そう聞いてみる。それでも、自分の声が震えているのがわかった。

 

「こ、これは……その、今度、役所で隠し芸大会があってですね! そ、その練習です!」

 

 夏海ちゃんはそう言うけど、動揺しているのは明らかだった。うん。普段嘘をつかない子が嘘をつくと、すぐにわかってしまう。

 

「それでですね、その、あの……」

 

 やがて、救いを求めるような目で鏡子さんを見つめる。やっぱり、鏡子さんは何か知っているみたいだ。

 

「……鏡子さん、何か知ってるんですか?」

 

「……」

 

 俺も鏡子さんにそう問いかけてみる。でも、鏡子さんは口元に手を当てたまま、無言だった。

 

「……先日、夏海ちゃんのおかーさんから電話があったんですよ」

 

 そこで俺は、先日かかってきた電話の話をすることにした。

 

「俺も最初は様子伺いの電話かと思って、夏海ちゃんに代わろうとしたんです。そうしたら、ものすごく動揺されて『娘がそこにいるわけない』って、そう言われたんです」

 

「……そう。羽依里君、知っちゃったんだね」

 

 鏡子さんは少し困ったような顔をしながら、そう言葉を発する。一方の夏海ちゃんはというと、がっくりと肩を落とし、うつむいてしまっていた。

 

「その電話を受けたんなら、薄々感づいてはいるかもしれないけど……その、夏海ちゃんは本来、ここにはいないはずの子なの。傍人(そばびと)なんだよ」

 

 少しためらった後、鏡子さんはゆっくりとそう言葉を紡いでいた。

 

 ……そばびと? 初めて聞く言葉だった。

 

「その傍人と、その手のひらから出てくる蝶に、どんな関係があるんですか?」

 

「そうだね……羽依里君、七影蝶って知ってる?」

 

 その時、鏡子さんから唐突に質問された。

 

「え? ええ。蒼やのみきから聞いて、少しですけど」

 

「ああ……空門さんの家は山の祭事を取り仕切ってるから、詳しいかもね」

 

「それで確か、七影蝶は死んだ人の想いの残滓だって言われました」

 

「……うん。大体あってるよ。でも、その七影蝶、今は見えない人がほとんどなの。のみきちゃんや蒼ちゃん、羽依里君は見えるみたいだけど」

 

 人によって、見える人と見えない人がいるのか。そういえば、朋也さんや汐ちゃんも光る蝶を見たって言ってたような気がする。

 

「蔵にあった文献によると、人によって見える蝶も違ったりするみたい」

 

 よくわからないけど、いわゆる霊感が強いとか弱いとか、そんな感じだろうか。本当に幽霊みたいだ。

 

「それでね。夏海ちゃんの左手から出てる光る蝶、それが七影蝶なの」

 

 言われて、改めて夏海ちゃんの左手を見る。今はもう隠されることなく下げられたその左手から、また一匹の蝶が飛び出していた。

 

「……これが、七影蝶」

 

 ひらひらと舞うそれを目で追う。その七影蝶はあっという間に手の届かない高さまで舞い上がり、そのまま蔵の天窓から外へと消えていった。確かに俺は、今まで島のあちこちでこの蝶を見た記憶がある。

 

「でも、どうしてその七影蝶が夏海ちゃんの手のひらから出てくるんです? それも、何匹も」

 

「……そこから先は私が話します」

 

 俺の言葉に、夏海ちゃんがそう言って顔を上げる。何か、決意を秘めたような目をしていた。

 

「羽依里さん、私がいじめられてたって話、しましたよね?」

 

「……うん。覚えてるよ」

 

 学校でいじめられた結果、友達もいなくて、夏休みは学校から逃げるためのものになってしまった……という話だ。

 

 夏休みの初めに、夏海ちゃんが勇気を出して話してくれたんだ。忘れるわけがない。

 

「……ちょうど一年前。私、そのいじめっ子たちに学校の階段から突き落とされたんです。夏休みを翌日に控えた、終業式の日でした」

 

「え?」

 

「向こうはいたずら半分だとは思うんですけど……頭がすごく痛くて、すごく熱かったのを覚えてます」

 

 なにそれ。そこまで来ると、いたずらじゃ済まされない。俺はふつふつと怒りが沸きあがってくるのを感じた。

 

「でも、覚えてるのはそこまでで、次に気がついたら、私は一匹の蝶になって、どこかのお花畑を飛んでいました」

 

「花畑って……もしかして夏海ちゃん……」

 

「……たぶん、死んじゃったんじゃないですかね。死にかけた人がお花畑を見たって、よく聞く話じゃないですか」

 

 あっけらかんと言っていた。でも、それが一年前の出来事なら、彼女の母親が言っていたことの意味が全て繋がる。

 

「その花畑、たぶん『トキアミ』っていう場所だと思うよ。手紙にも書いていたし」

 

 鏡子さんがそう補足してくれていた。トキアミ? よくわからない。

 

「それでそのお花畑を彷徨っていたら、急に声がしたんですよ」

 

「声?」

 

「初めて聞く声だったんですけど、なんだか懐かしいような、安心する声でした。その声に耳を傾けていると、私と同じような蝶が周りにどんどん集まってきて」

 

 夏海ちゃんが思い出すように話をしてくれる。彼女にとっても夢のような、うろ覚えの出来事なのかもしれない。

 

「やがて目も開けられないくらいの強い光に包まれて、気がついたらこの島に来ていたんです。島の神域に、一人で立っていました」

 

「夏海ちゃんがやってくることも、手紙に書いてあったの。傍人(そばひと)が来るって」

 

「さっきも言ってましたけど、傍人ってなんです?」

 

「そうだね……少し違うけど、協力者みたいなものかな」

 

 協力者? 夏海ちゃんが何に協力するんだろう。まだ話が見えてこない。

 

「じゃあその、手紙っていうのは?」

 

「私の親友……瞳からの手紙だよ。羽依里君も、瞳のことは知ってるんじゃないかな?」

 

「それは……もちろん知ってますけど」

 

 これまた、唐突に名前が出てきた。確か瞳さんは、しろはの母親だ。でも10年以上前にいなくなってしまったと、しろはからは聞いている。

 

「この手紙にはね。羽依里君が島にやってきて、しろはちゃんと恋に落ちる去年の夏の出来事から、夏海ちゃんがやってくる今年の夏の出来事まで、色々なことが書いてあるの」

 

「……ちょっと待ってください。その手紙は瞳さんが書いたものなんですよね? どうして10年以上前の手紙に、俺や夏海ちゃんのことが書いてあるんです?」

 

「うん。私も最初は半信半疑だったんだけどね。ここまで当たっちゃうと、信じるしかなくてね」

 

 そう言って夏海ちゃんや俺を見る。手紙という形式を取ってはいるけど、それって未来予知ってやつなんじゃないだろうか。

 

 正直、にわかには信じられない話だ。でも、俺がこの島にやって来て、しろはと恋人同士になっているという事実が、全ての証明になっている気がする。

 

「それで、夏海ちゃんが傍人としてこの島に来た理由なんだけど……どう説明したらわかりやすいと思う?」

 

「そうですね……」

 

 二人は同じように口元に手を当てて、ああでもないこうでもないと悩んでいる。俺はその間に、少しでも頭を整理する。話について行くだけで精いっぱいだ。

 

「……そうだ。羽依里君、オカルト好きだよね。だったら、並行世界ってわかる?」

 

 やがて、鏡子さんが口を開く。並行世界。確か、パラレルワールドというやつだっけ。

 

「えっと、一応、知ってますけど」

 

「あれね、本当にあるみたいだよ」

 

「え、何を言ってるんですか?」

 

 話の理解がついて行かないうちに、話題が変わった。未来予知の次は、並行世界だ。

 

「たとえば羽依里君、初めて来た場所なのに見覚えがあったり、懐かしかったりすることってあるよね」

 

「それはへじゃぷ……いえ、デジャヴですよね。その原因について、色々議論はされてはいますけど」

 

「そうだね。脳の錯覚だとか、前世の記憶だとか言われたりもするけど、それは並行世界の、もう一人の自分の記憶の断片だったりするんだって」

 

「……すみません。よくわからないです」

 

 なんで突然そんな話に? それが夏海ちゃんが島にやってきた理由と、何か関係があるんだろうか。

 

「瞳の手紙によると、10年くらい前を起点にして、この世界とは『別の世界』が存在したらしいよ」

 

 別の世界? まるで漫画か映画の話だ。でも、10年くらい前と言われると、妙に現実味がある。まして、俺や夏海ちゃんのことを予見した、瞳さんの手紙だ。

 

「別の世界が生まれた原因は、ある事象から抜け出すために、やり直した結果……らしいんだけど。私にもよくわからなくて。とにかく、こことは別の世界があったらしいよ」

 

「あったらしい……ってことは、今はないんですか?」

 

「どうだろうね。確かめようがないし。でも、手紙の中で瞳は、その世界のことを『消えた世界』って呼んでいたよ」

 

「消えた世界……」

 

 つまるところ、それが並行世界……パラレルワールドっていうことだろうか。

 

「その世界では、羽依里君は蒼ちゃんや鴎ちゃん、紬ちゃんともお付き合いをしていたらしいよ」

 

「いやいや、ありえないですよ。俺はずっと、しろは一筋ですから」

 

「今はそうだね。でも、そういう世界があったらしいの。ものすごく、強い想いが込められた世界がね」

 

 そう言われても、しろは以外の女の子と恋仲になる状況なんて、全く想像できな……。

 

「……いや、そういえば」

 

 

 ……バイクの後ろに座っていた蒼に、眠るなって変な声かけをしたり。

 

 ……一度だけ、紬に下の名前で呼ばれたり。

 

 ……七ヶ浜で、急に鴎が消えそうに感じて、思わず手を握ったり。

 

 ……断片的だけど、何かを覚えている気がする。

 

 

「……少しですけど、心当たりがあります」

 

 それはデジャヴと呼んで片付けるには、あまりに回数が多かった。それに、この夏に初めて体験した出来事ばかりのはずだ。

 

「でも、仮にその消えた世界があったとして、夏海ちゃんとどんな関係があるんです?」

 

「その消えた世界はね、想いが強すぎたの。それで、新しくできた今の世界を、引っ張っちゃってた」

 

「引っ張る?」

 

「そう。誰かの意思とかじゃなくて、ただただ、強い想いの力で。覚えてない? 夜釣りに行って海に落ちかけたこと」

 

「はい、覚えてます」

 

「他には、バイクでこけたりとか」

 

「……覚えてます」

 

「あの出来事は、全部消えた世界が関係してるみたいなの。羽依里君。この手紙を見て」

 

 鏡子さんはそう言いながら、ポケットから何枚かの手紙を取り出して、そのうちの一枚を俺に見せてくれた。恐らくこれが、瞳さんからの手紙なんだろう。

 

「え、これって……」

 

 ……それは手紙というよりは、箇条書きされたメモのようだった。

 

 

 

 ・7月25日

  この日から迷い橘が散るまでの間、傍人がやってくる。トキアミを通ってくるから、夜に神域で待っていてあげて。かわいい女の子よ。協力して、頑張ってね。

 

 ・8月6日

  羽依里君が夜釣りに行くから、海に落ちないように気をつけて。釣り場の端に杭があるから、そこに古い船をロープで結び付けて。あとは潮の流れに任せれば、きっとだいじょうぶい。

 

 ・8月11日

  夕立ちがあるから気を付けて。乗り物かな。ごめん。それくらいしかわかんない。

 

 ・8月16日

  この日、羽依里君が島の外に行くなら救命胴衣を着てもらって。たぶん大丈夫だとは思うけど、念のために。

 

 ・8月24日

  台風の翌日は鳴瀬の家が危ない。夕方にお父さんを港に連れ出して。放送があったら、もう安全だと思う。

 

 

 

 そこに記された文章はどれも、まるでこの夏の出来事を見て書いたかのようだった。でも、紙やインクの古ぼけた感じから、何年も前に書かれたもので間違いはなさそうだ。

 

「……信じられないです」

 

「やっぱりそうだよね。私も最初は信じられなかったよ」

 

 ある程度予想はしていたけど、まさか日付までしっかりと書かれているなんて。

 

「それでも、私だけじゃ手紙に書かれた出来事全てに対処するは無理だったから、傍人として来てくれた夏海ちゃんに手伝ってもらったの」

 

「あの、手伝いって、具体的にはどんな?」

 

「例えば夜釣りの日。手紙に羽依里君が海に落ちる場所が書いてあったから、夏海ちゃんに船を用意してもらったよ」

 

「……あの船って偶然じゃなかったんだ」

 

「偶然なわけないじゃないですか。遠くの船着場から船を引っ張ってくるの、すごく大変だったんですよ?」

 

 ……言われてみれば、落ちた真下に船があった気がする。あれのおかげで助かったんだけど、まさか、夏海ちゃんが用意してくれていたなんて。

 

「後は、記憶に新しいとは思うけど、昨日の土砂崩れもね」

 

「もしかして、あれも?」

 

 当日の食堂でのしろはとの会話を思い出す。もし、しろはのじーさんがいつもの時間通り寝ていたら、間違いなく生き埋めになっていたと、しろはは言っていた。

 

「それも、瞳からの手紙に具体的な日時や場所が書いてあったから対処できたの。夏海ちゃんに鳴瀬さんの船を係留していたロープを切ってもらって、それを理由に鳴瀬さんを家から連れ出してね」

 

「そんなことまで、夏海ちゃんがやってくれてたんですか?」

 

「船のロープを切るなんて、もし鏡子さんがやって、見つかったら後が大変じゃないですか。私ならもし見つかっても、子供のイタズラで済みますし」

 

 言われてみれば、島民である鏡子さんがそんなことをしている場面を見られたら大変なことになる。確かに、夏海ちゃんにしかできない内容だった。

 

「でも一つだけ例外だったのが、バイクの事故かな。あれは手紙の内容が抽象的で、すぐに対策できなかったの」

 

「だからやむを得ず、私の力を使ったんです」

 

「え、夏海ちゃんの力?」

 

「はい。手紙によると、私の身体はトキアミに存在する何千という七影蝶が集まって作られているらしいので。あ、七影蝶って、一匹だと大した力はないですけど、数が集まるとすごい奇跡を起こせるんですよ」

 

 自分の左手から抜け出てきた七影蝶を弄びながら、そう言う。さっき見た手紙にはその辺りの情報は書いてなかったし、別の紙に書いてあるのかもしれない。

 

 夏海ちゃんの話から推測するに、七影蝶になってトキアミを彷徨っていた彼女を、瞳さんが何らかの方法で鳥白島に呼び寄せたのは間違いないんだろうけど。

 

「それであの日、バイクでこけた羽依里さんを見た時、とっさに私の中の七影蝶にお願いをしたんです。羽依里さんを助けてあげてって」

 

「そうだったんだ……」

 

 そう言えば不思議な光に包まれた後、しろはと一緒に介抱してくれていた夏海ちゃんが『間に合って良かったです』と言っていた気がする。あれだけの事故で無傷だったのも、夏海ちゃんのおかげだったのか。

 

「でもその時、ちょっと力を使いすぎてしまいまして。その代償が、これなんです」

 

 夏海ちゃんはそう言いながら、俺に左手を見せてきた。変わらず、手のひらが淡い光を放っている。

 

「力を使ったことで、私の身体を編んでいた七影蝶の一部がほどけてしまって、穴が空いちゃってるんです」

 

「……これ、大丈夫なの?」

 

「平気ですよ。痛みもないですし」

 

「……触ってみてもいい?」

 

「どうぞ」

 

 夏海ちゃんの許可をもらって、その光っている部分にそっと触れてみる。別に熱を持っていたりするわけでもなく、触った感じは普通の肌と全く同じだった。

 

「ずっと見てたけど、ここから七影蝶が逃げてる感じだよね。その、数が減ったりしても大丈夫なものなの?」

 

「さっきも言った通り、私の中には何千という七影蝶がいますので、この穴から少しくらい逃げても何も変わりません。こうやって包帯で塞いでしまえば、多少は抜け出る数も減らせますし、穴も隠せますので」

 

 夏海ちゃんはそう言いながら、包帯で左手を覆う。思えば、夏海ちゃんが包帯を巻き始めたのはバイク事故の翌日からだった気がする。

 

「じゃあその左手、火傷じゃなかったんだね」

 

「あ、はい……隠しててごめんなさい」

 

「謝る必要なんてないよ。それより……二人とも、ありがとう」

 

 そこで俺は心からお礼を言って、頭を下げる。

 

 消えた世界とか、七影蝶の力とか。正直、わからないことだらけだけど……鏡子さんと夏海ちゃんの二人は、瞳さんの手紙を手掛かりにして、俺やしろはのじーさんを守るために人知れず頑張ってくれていたんだ。

 

「本当にありがとう」

 

 だから、難しいことは抜きにして、二人にお礼が言いたかった。もし、俺やじーさんに何かあったら、島の皆……とりわけ、しろはが悲しむだろう。そんなことにならなくて、本当に良かった。

 

「そんな、お礼なんて良いんだよ。私も瞳との長年の約束を、無事果たせたわけだし」

 

「そうですよ! これで私も傍人としての役目も終わりましたし!」

 

 俺の反応が予想外だったんだろうか。二人は一瞬キョトンとしてから、表情を綻ばせる。

 

「え、役目が終わった……ってどういうこと?」

 

「それなんだけど、羽依里君、瞳の手紙をよく見てみて。8月24日の土砂崩れまでしか書かれてないでしょう?」

 

 鏡子さんはそう言って、もう一度瞳さんの手紙を見せてくれる。確かに24日以後は、何も書かれていない。

 

「……じゃあ、これから先、もう危険なことは起こらないってことですか?」

 

「自分から危ない所に行ったりしない限りは、大丈夫だと思うよ」

 

「でもほら、予言にないことが起こるとか」

 

「……羽依里君、それはさすがにオカルト番組の見すぎじゃないかな」

 

 そこで何故か鏡子さんに引かれた。さっきまで並行世界について、流暢に語っていたはずなのに。

 

「羽依里さん、手紙に書かれていても、何も起こらなかった日だってあるんですよ? ほら、鴎さんとのデートの日についても、手紙には書いてます。私たちはあの日、散々救命胴衣をつけるように言いましたよね?」

 

「そういえば、言われたような気がする」

 

「でも、海には落ちなかったですよね? 手紙に書かれていても起こらない場合があるんですから、書かれていないことは起こらないんですよ!」

 

 確かに、夏海ちゃんの説明も一理あるけど……。

 

「うんうん。夏海ちゃんの言う通り、羽依里君はこれ以上、何も心配しなくていいよ。変に意識しないで、残りの夏休みを楽しんで」

 

「そうですよ!」

 

 二人はそう言って笑う。特に夏海ちゃんは吹っ切れたかのような笑顔だった。本当にもう何もないのなら、一安心だった。

 

「でも羽依里さん、私の正体を島の皆に話したりしたら、絶対にダメですよ?」

 

「わ、わかってるよ」

 

 第一、夏海ちゃんの正体は七影蝶です……なんて言ったところで、誰も信じてくれないと思うし。

 

「それじゃあ、そろそろ二人は寝なきゃ駄目だよ。明日も片づけがあるんだしね」

 

「え、私もですか?」

 

「もちろん夏海ちゃんも。私はもう少し調べ物しないといけないから。それじゃ二人とも、おやすみ」

 

 そう言う鏡子さんに背中を押されて、俺と夏海ちゃんは蔵から追い出されてしまった。

 

 

 

 

 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 

 

 

 

「……ところで羽依里さん、怖くないんですか?」

 

「え、何が?」

 

 鏡子さんに締め出された後、蔵の扉を前に二人で佇んでいると、夏海ちゃんがおもむろに口を開く。

 

「私がですよ。だって、私は七影蝶の集合体って言いましたよね? 言い換えれば、オバケみたいなものなんですよ?」

 

 そう言いながら両手を顔の所に持ってきて、お化けのポーズをしていた。

 

「ぷっ」

 

 それだと、まるでネコのポーズなんだけど。俺は思わず吹き出していた。

 

「夏海ちゃんみたいな可愛いオバケなら、いくらでも会いたいけど」

 

「えええ、なんですかそれ」

 

 俺は戸惑う夏海ちゃんの頭に手を置いて、優しく撫でる。

 

「……それに、夏海ちゃんは夏海ちゃんだよ。正体を知ったからって、何かが変わるわけじゃないし」

 

「……あ、ありがとうございます。でも、私の話、本当に信じてくれてるんですか?」

 

「うん。蔵に入った時もそうだったけど、夏海ちゃんは嘘をつくとすぐ顔に出るから。トキアミの話をしている間は、嘘をついていないってわかったよ。それなら、信じるしかないよね」

 

「そ、そうですか……ありがとうございます」

 

 夏海ちゃんはもう一度お礼を言いながら瞳を細め、安堵の表情を浮かべる。

 

「やっぱり、不安だったんです。本当のことを伝えたら、変な目で見られるんじゃないかって」

 

「今更だよ。ずっと一緒に夏休みを過ごしてきた仲じゃない」

 

 夏休みの初めにも感じたことだけど、夏海ちゃんはどこか、かつての俺と境遇が似ている気がする。

 

 それこそ、去年の俺が蔵整理に全てを費やさず、島の皆と打ち解けていたら。一足早く、今のような関係が築けていたかもしれない。

 

 今年鳥白島にやってきた夏海ちゃんは、早くにそれに気づいて、一番に島の皆と打ち解ける道を選んだ。

 

 結果、俺や島の皆とも仲良くなれたし、楽しい夏休みを過ごせていると思う。

 

「……あ。でも私がいると、しろはさんとの幸せな生活の邪魔になったりしません……?」

 

 そう言う夏海ちゃんの視線は、しろはが寝ているであろう自分の部屋に注がれていた。

 

「え、そんなことないよ。大丈夫」

 

 その辺りは……しろはのじーさんもいるし、幸せな生活にはまだほど遠いと思う。

 

「本当ですか? 羽依里さんはしろはさんと幸せになってもらわないと困ります。そうじゃないと、私がこの島に来て頑張った意味、なくなっちゃいますから!」

 

 俺の方をまっすぐに見て、悪戯っぽく笑う。なんだろう。ずっと隠していた秘密を共有できたからか、一層距離が近くなった感じがする。

 

「じゃあ夏海ちゃんも、傍人としてのお役目も終わったってことは、残りの夏休みはご褒美みたいなものなんだよね?」

 

「そ、そうですね! 少なくとも夏休みの間は、この島に居れると思います!」

 

 ……元気いっぱいに答えてくれていたけど、何故かその言い方に違和感を感じた。何か忘れているような。

 

「……じゃあ、明日もラジオ体操や片づけがあるし、今日はもう寝ようか」

 

 気になることはあったけど、そろそろ寝ないとまずい遅い時間だ。明日の作業に差し支えても悪いし。

 

「それじゃ羽依里さん、おやすみなさい!」

 

 夏海ちゃんはそう言うと、駆け足で家の中に入ってしまった。俺もその後を追うように部屋へと戻り、布団に潜り込む。

 

 

 

 

 ……布団に入った直後、違和感の正体に気づいた。

 

 鏡子さんに見せてもらった瞳さんの手紙、そこには確か『迷い橘が散るまでの間、傍人がやってくる』と書かれていたはずだ。

 

 迷い橘がなんなのか、俺にはわからないけど……つまり、夏海ちゃんには存在できる『期限』があるってことだ。

 

 さっきの口ぶりからして、夏休みの間は大丈夫らしいけど。

 

 ……じゃあ、夏休みが終わる時、夏海ちゃんはどうなるんだろう。

 

 本人は、自分はもう死んでいると言っていた。ということは、もしかして……。

 

「……いや、考えるのはやめよう」

 

 一度生まれてしまった不安は消えなかったけど、今はなるべく考えないようにしたかった。

 

 俺は布団を頭までかぶり、意識を無理矢理に眠りの中へと沈みこませていった。

 

 

 

第四十一話・完




第四十一話・あとがき


おはこんばんちわ。トミー@サマポケです。
今回は土砂崩れの後片付けからの、夏海ちゃんのネタばらし回でした。後半はかなり重い内容になりましたが、ここは避けて通れないシーンだったので、お付き合いいただいてありがとうございます。

瞳さんはサマポケ本編でも、未来の話を鏡子さんにしていた(未来の羽依里君やうみちゃんの話)というくだりがありましたので、今回はそれを手紙という形にしてみました。
結局は羽依里君や小鳩さんの身に何か起こると、悲しんだしろはが心を過去に戻す力を発動してしまい、本編でいうPocketルート以前の状況に戻ってしまうため、鏡子さんと夏海ちゃんは瞳さんからの手紙を元に、しろはの力を発動させないように水面下で動いていたんです。

過去掲載分を読み返していただけると、その辺りの伏線が無数に張ってあるのに気づいていただけると思います。

そして、しろはをはじめとした鳴瀬家の女性が持つ力については、羽依里君が混乱するので鏡子さんはあえて伝えないようにしています(Pocketルートの未来であるこの小説では、しろははあくまで普通の女の子なので)。

そして夏海ちゃんについてですが、彼女はいじめを発端とした事故の影響で七影蝶になった後、トキアミで瞳さんの七影蝶と出会い、鳥白島へ導かれました。
その際、同じようにトキアミに存在していた鳴瀬家の女性たち(この中にはしろはやうみちゃんも含まれる、との公式見解です)の七影蝶が集まって、夏海ちゃんの身体を編み上げました。

それこそ、七海の状態に近いのですが、夏海ちゃんの場合は元の人格をある程度保持したまま、鳥白島にやって来ています(夏海ちゃんの中にうみちゃんの七影蝶が混ざっているので、小鳩さんと何故か仲が良かったり、チャーハンに対する情熱が段違いだったりします)。

何故夏海ちゃんが選ばれたのかと言うと、その境遇から楽しい夏休みを過ごしたいという思いが特段強かったこと、鏡子さんの姪ということで、少なからず鳥白島と縁があったというのが理由です。


長々と書きましたが、鏡子さんと夏海ちゃんの頑張りにより、瞳さんが懸念した手紙の内容は全て回避されたことになり、これからはまたいつもの夏休みへと戻っていきます。
サマポケの世界観は素晴らしいのに、私の文章力が足らずわかりにくい内容になってしまってすみません。
まだ一部秘密が残っていますが、夏海ちゃんの正体がわかった分、多少はすっきりしていただけたのではないでしょうか。
質問などありましたら感想か、Twitterの方に容赦なく……いえ、遠慮なく送ってください。


■今回の紛れ込みネタ
・地震、だおー……kanonより、名雪を起こそうと祐一が必死に揺らしているときに名雪が発した言葉です。暢気なものですよね。

・美味しくいただいたニワトリの名前……元ネタはRewriteより、式神の名前です。ともこぉぉぉ!

以上になります。いくつお気づきになられたでしょうか。
今回も、最後まで読んでいただいてありがとうございました!
感想など頂けましたら、泣いて喜びます。
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