甘さは人の為ならず   作:ネコ削ぎ

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相変わらずキャラが分からないので勝手なオリジナルです。



友情は甘く煮てもよいではないか

 孤独は人を死に至らしめる。独りで生きることは自分たちの命を短く終わらせる行為に他ならない。

 人間は一人一人違いがあり、その違いがあるからこそ個人として認識されるものである。

 全てが同じであればそれは鏡合わせでしかなく、自分と他人を分ける境界線もなにもありはしない。

 その結果は個人の消滅だ。同じものしかなければ他人を認識することもできないのだから。

 みんな違ってみんないい。素敵な言葉だと思う。

 全てに違いがある個人は集団でしか生きられない。

 個人の反対は社会。

 そして人間の生きる土台は社会である。

 社会は人間が必ず築き上げるもので、私たちはその中でしか生きることができない存在でしかない。日々の生活を振り返ってみれば分かることだ。

 たとえば私が超が付くほどの孤独で友達一人いない奴だと仮定してみよう。仮定だ。決して事実じゃないから。

 そんな孤独(事実ではない)な私がテキトーに料理作って食べるとする。

 料理……はできないこともないけど得意じゃない。一度本気で作ってみたことあるけど、千冬からは酷評され、一夏からは全て分かっていると言わんばかりの苦笑いをもらって二度と作るものかとこの前誓ったばかりだったり。というか千冬の奴もできないくせにさ、なにあの勝ち誇った顔。

 料理を作ろうとすれば食材が必要になるし、調理には調理器具が欠かせない。

 それらは店で買うなりすると思うけど、誰かから購入することに繋がることになるわけであって、自然発生しているものを自力で取ってきているわけじゃない。

 誰かの何かをもらっている。

 この時点で私の孤独は成立しなくなる。だって他人との繋がりで生きているのだから。

 孤独に生きることの難易度の高さ。全てを自給自足でなければならないのだから今のご時世ではできるわけもない。

 極論なんだけど。

 世間一般的な孤独はボッチのこと。

 苦楽を分かち合う仲間がいない人生なんて甘くないお菓子とおんなじだ。誰かと楽しむことができれば自分の感じた喜びは何倍にも増幅するし、誰かと苦しむことができれば互いに助け合って辛さも半減させられる。

 孤独はそんな人生何千と経験するような苦楽に対して何にも変えられない辛い生き方だ。

 だから孤独でいることは避けるべきだ。

 天才とも天災とも言われる篠ノ之束だって千冬という友達がいる。あの誰にも理解されないような束にもね。

 私にも友達はいる。いるよ。心友とも言っていい。

 ISの世界に入り込んで以来の付き合いを持っている友達。私という存在を明かしても態度変えずに笑いあえる。初めて友達っていいなと思ったほど。

 お菓子作りを始めた時なんて、真っ先に味見させてくれなきゃ絶交してやるんだなんて脅してきたけど、束のつまみ食いのせいで友達の知らないところで実は絶交されていたりする。バレなきゃいいけど。

 今日はケーキを作ってみた。当然ながら味見は友達にお願いする。

 というわけで、はいどうぞ。

 

「おお。美味しそうじゃん。くひひ、涎が止まらんぜー」

 

 作ったものが喜ばれる。一夏が料理作りを楽しんでいる理由が分かる。喜ばれると私も嬉しいね。

 

「じゃあじゃあお茶でも用意しなきゃね。残りの今日もこれで頑張れそうだよ」

 

 篝火ヒカルノ。甘い物を前にして子供みたいにはしゃいでいるけど、お願いだからケーキ落とさないでね。せっかくヒカルノの為に作ったっていうのもあるんだから。

 

「まはにゃんのケーキなら落っことしても食べれちゃうぜー。舐めんな私」

 

 舐めてない舐めてない。舐めてないけど、落ちたケーキも食べられると思わなかったからちょっと舐めてたかも。すげーな。

 ケーキを手にいつまでもピョンピョンはしゃいでいる。

 

「んふふ。せっかくだからケーキの前にひと仕事終わらせようかにゃあ。まはにゃんが来てくれたしね」

 

 私関係なくない。

 

「あるある。実は新型機が完成してね。テストパイロットが必要なの。まぁ、それだけならうちの人間使えばいいんだけど。データ取りの為に模擬戦を考えてたらフランスの企業が同じく新型機を開発したとかで、せっかくだから模擬戦しないかと申し込んできて」

 

 なんでフランスなの?

 

「企業スパイが入り込んでるからじゃないの。どーでもいいけど」

 

 どうでもいいんだ。

 

「まはにゃん以外のことはどうでもいいと思いまーす」

 

 よくないと思いまーす。

 

「相手方のテストパイロットが元代表なわけ。ズルくない。どうみてもこっちの新型潰しにきてるよね」

 

 潰しにきてるね。で、私がテストパイロットとして戦えばいいわけ。道理であちこち忙しいと思ったら。グットタイミングというわけだ。

 

「うん。そんなことで頼むにゃあ」

 

 ヒカルノはひらひら手を振って気軽に押し付けてくる。何も準備していなかったけど、友達の頼みとあらば引き受けない選択肢はなかった。

 ISスーツを借り受け、新型ISのデータを見せてもらう。

 それが済めば早速模擬戦へと移ることになるけど、私を見るなり相手は驚きながらも不敵な笑みを浮かべて親指を下に向けて挑発してきた。嫌われることしたか。

 なんでも第二回モンド・グロッソで五位の選手らしい。

 なんでも世界最強を倒して自分こそが最強だと証明したかったらしい。

 なんでも浮足立ってミスをしてしまい五位で終わったが、本当ならアリーシャなどに決勝戦を譲るはずではなかったらしい。

 なんでも今回は徹底的にぶっ潰してやるとのことらしい。

 

「……なに喋ってんのあの人。五位でしょ。最強からほど遠くないかにゃあ?」

 

 ヒカルノ辛辣。

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