そんなものは書けません。
誰の人生にも必ず訪れる転機がある。岐路とも言い換えてもよい。
選択を求められる場面でどのような行動を取るかは人それぞれであって、誰かに決められることじゃないのだから慎重に選ばなければならない。
では立ち塞がる障害も人生の転機の一つなのかもしれない。
スポーツなんかではよくある話でスランプだったりする。それを打破して更なる高みへと向かうか停滞して諦めるか。
どちらを選ぶかは根性との相談。いつ打破できるかも分からないことに挑み続けるのは勇気がいるかもね。でももしかしたらの可能性を捨てて違う道に進むのもまた勇気が必要だ。
どちらを選んでも悔いが残るかもしれないけど、どちらも選べずに悶々とするよりかはいい。
うん。人生なんてきっとそんな大きな選択があったりするものだ。
五位の人との模擬戦は私の勝ちで幕を下ろした。
当たり前だ。私はこれでも世界最強なんだ。ブリュンヒルデ様なんだぞ、舐めんじゃねえよ。
実際はそんな理由で勝てたわけじゃないけど、勝つこと自体は自然の流れだ。
あっちこっちの実力差がそうさせた。運と万が一とか曖昧な現象が口を挟む余地なんてない。
たとえ使用したISが専用機に劣るだけでなく、相手のISにも劣るものだとしてもだ。
だけど、ちょっと驚いたのは対戦相手のレアヴェール・エムロードが模擬戦中に苦難を乗り越えてセカンド・シフトしたことだろうか。もはや新型機の性能をチェックする模擬戦は無茶苦茶だ。
デュノア社の職員が頭を抱えていたけど、私は気にせずに戦い勝利した。
座右の銘は「勝ち負けのある戦いならば絶対に勝つ」だ。
試合が終わった後はデザートタイムということで、作ってきたケーキをヒカルノと一緒に食べる。
「くっ、セカンドシフトしたのは嬉しいけど負けた」
涙目になりながら同じテーブルでケーキを食べるレアヴェールはケーキを美味しい美味しいと呟きながらも負けたことに意気消沈していた。
持ってきたケーキは二切れだけなんだけど、甘くて美味しいものは共有するべきなのだから私の分を半分こにしてあげたわけなんだけど、感想をもらえたので食べる分が少なくなってしまったことは大して気にならない。
「ま、スペック的にはラファールの方が上なんだけどにゃあ。残念なことに乗り手の差は断崖絶壁」
ヒカルノの攻撃。
レアヴェールは悔し涙を流しながらケーキを美味しそうに食べた。
「ぐぐぐ。認めざるを得ないわけってこと。私が負けたの認めなきゃいけないってことなの。私は最強なんじゃないの」
「知らない知らない。最強なんて自分で言っちゃう奴に最強なんていないのさ」
「んんぅ。しかーし、私はほんの短い時間でセカンドシフトしたの。これってつまり才能ありってことじゃない。今までいたかしら。こんな短い時間でセカンドシフトできた才女が」
セルフ持ち直しレアヴェール。さっきまでの涙はどこへ引っ込んだのやら。自信に満ち溢れたしたり顔を見せつける。誰にか分からないけど。
でも確かに言うことはもっともだ。
あんな短い時間でセカンドシフトした人は聞いたことないよ。
「あらーん。声が小さすぎて聞こえないわ。織斑さん、もっとおーっきな声で私の偉大さを認めてくださらないかしら」
あれ。すごくウザい。おかしい。ケーキにアッパー系のへんな奴入れた覚えないんだけど。
残った一口を堪能したレアヴェールは腕輪状の待機状態となったラファール・リヴァイブをうっとりと眺める。
ISが経験を積み装着者と心を通わせることで起きるセカンド・シフトはたとえ国家代表であっても到達する人間は少ない。さらにセカンドシフト後に使えるようになると言われているワンオフアビリティーの発現までいく人間はもっと少ない。
前回の大会でもセカンドシフトまで到達していた代表は私を含めて五人もいなかった気がするし、ワンオフの発現に至っては私とアリーシャしかいなかった。
それほど難しい領域の一端に触れたレアヴェールが自画自賛に走ってしまうのは仕方がない。ウザいけどね。ウザいのはいけないな。
「まだまだ。セカンドシフトに至っただけでワンオフは得られていないけど、私の才能ならばすぐに習得することができるに決まっているわ。そうなれば最強の座は私のもの。残念残念ざんねーん。短い王座でした」
見下してくるレアヴェールにイラっときたのは内緒にする必要のないので、あからさまにイラついて舌打ちしてみる。
「ふふん。ははははははは反抗的じゃないの」
「虚勢もはれてないにゃあ。それにしてもイラついているまはにゃんも可愛いにゃあん」
抱きついてくるヒカルノを受け止めて、イラっとさせられる度に舌打ちしてレアヴェールをビビらせて一日が終わった。
家に帰って家族でご飯食べて、お風呂も入り終わっていざ寝ようとしたときに気が付いた。
私、選手引退したから無職だ。
オリキャラの説明(雑)
レアヴェール・エムロード
フランスの代表で自称最強のモンド・グロッソ五位。弱いわけじゃないけど相手を侮る悪癖とそのわりに精神的な弱さがあるので実力を発揮できないタイプ。緊張してしまうので、相手を侮ることで自分の精神力の弱さをごまかしているけど、それがなければかなり強い。アリーシャともそこそこ善戦できる。
専用機はラファール・リヴァイブ・レアヴェールカスタム。
サラッとセカンドシフトしたので才能はあるが精神的に難しい。