即堕ちストラトス   作:しが

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とりあえず余計なことを考えず今回はリエル+αの回です


戦装束に身を包め

「水着?」

 

「うん、そろそろ買いに行かなきゃすぐにでも出発しちゃうよ?」

 

「さすがにそんなに早くはないだろう…。」

 

ルームメイトになったシャルロットに誘われ、俺は近日行われるであろうイベントを思い出した。そういえばそろそろ海に行く季節か…としみじみと思う。この一月ほどが閃光のように駆け巡っていったため時間の流れの早さに改めて思い知らされた気分だ。

 

 

「別に水着に拘りはないが…。」

 

「学校指定の水着なんてボクはつまらないかな。ラウラは今まで軍の外に出たことはないっていう話だったし水着も持ってないよね?」

 

「確かに持ってはないな。水中作戦のものならばあるがあれは一般的な娯楽用の水着には程遠いな。…大衆に見せる格好ではないな。」

 

「だよね?だから、明日買いに行こう?」

 

「まあそれは構わないが言っておくがそういったセンスは壊滅的だぞ?」

 

元男の感性+世間知らずが合わさるとこんなポンコツが出来上がる。正直服なんてあまり拘りがないといったらおしまいだ。女として終わりなのだろうか。

 

 

「大丈夫、ボクも手伝うから。それに一夏ももう誘ってるから、三人寄れば、だよ。」

 

「果たしてそうなるか…三本の矢がまとめてへし折られる可能性は考えてないのか…。」

 

まあ大丈夫だろう、なんだかんだで目の前のシャルロットは流行やファッションなどには詳しそうだ、偏見だが。というか…

 

「一夏も来るのか。」

 

「うん、元々は一夏に買い物に付き合ってほしい、って頼んだことが発端だよ。」

 

「良いのか?デートなのに。」

 

「ラウラも一夏に選んでもらいたいでしょ?」

 

「…否定も肯定もしない。」

 

それは事実なのかもしれない、アイツに褒められるのならば本当に何でもいいといったら盲目的すぎるだろうか。…目の前のチャンスを逃す理由はない、その分かりやすい挑発に乗るとしよう。

 

「…分かった、連絡はお前に任せるぞ。言っておくが私のセンスに期待するな。」

 

「普通にセンスいいと思うんだけどなぁ…。」

 

 

お前にとって「愛」シャツはセンスがいいものに入るのか。俺だってダサいと分かるぞ、だがクラリッサからの贈り物を無下にすることは出来ない、上官という立場上仕方ないが…何故これだったのだろうと俺は恨み言を言いたくてたまらない。

 

 

 

————————————————

 

 

 

「それじゃあ二人とも準備は大丈夫?」

 

「問題ない、三回は確認したからな。」

 

「俺も大丈夫…って言っても俺は特に何かやるわけでもないけどさ。」

 

本当にこいつは話をつけて来た。いや、この朴念仁のことだから大してデートとも考えてなかっただろう、ただ普通に集団で買い物に行くとかそういうような認識だろう。そこだぞ織斑。

 

 

「まあどうせ行くと言うのならばお前も水着を買ってしまえ、一夏。そちらの方が二度手間にはならないだろう。」

 

「ああ、そうする。水着買いに行く機会なんてめったにないし、一緒に買った方が手間もな。」

 

「どうせならばお前の物を選んでやろうか。」

 

「ラウラ!?」

 

「あまり大袈裟に取るなよ、ただのジョークだ。自分の水着は自分で決めろ、お前も男ならな。」

 

それに海パンなんて正直どれを選んでも大差はない…いや、待て。わたしはアイツに競泳水着を薦めてみようか。競泳水着は食い込む。あれも良く見える。サポーターを履くらしいが。よし決めたそうしよう、いや待て ただの変態だろ、いい加減にしろ奔嚢。最近来ていないからって油断してたわ。んなセクシーさはあまり求めてないから。ぬぅ…李靖のいけずめ。

 

 

 

「さて…まずはラウラはどれを着たい?」

 

「ビキニだろうとワンピースだろうと最低スクール水着だろうと何でもいい。恥ずかしくないと言えば嘘ではあるが別に他人に見せられないような肉体をしているわけでもないからな。」

 

羞恥心が皆無というわけではないが肌を出すことへの抵抗はあまりない。女ばかりということもあるし元々それなりに度胸も持ってるつもりだ。

 

「まあ、生憎わたしは身長が低い。背伸びし過ぎても笑われるだけだろう。」

 

主にあの金髪ドリルに。あの胸は羨ましいが逆に鬱陶しそうだ。箒?ありゃメロンだろ。胸は鈴ほどではないがやはりそれなりにコンプレックスになるというものだ…あまたに並ぶ水着の中から三着ほど手に取り一夏に質問をしてみる。

 

「どれが良いと思う?」

 

フリルタイプの黒ビキニと、同じくフリルタイプの白ワンピース、銀のノーマルビキニだ。

 

 

「………………それ、かな?」

 

 

真剣に悩んでいた一夏は数十秒の沈黙の後一番右側の水着を指した。これは予想外だった、うん。

 

 

「ほう、ノーマルビキニか。理由を聞いても?」

 

「多分黒でも白でも似合うとは思う…けど、やっぱりラウラ…リエルには銀が似合ってると思う。」

 

「…反則だぞ、一夏。分かった実際に見て判断してくれ。」

 

シャルロットは今はいないとはいえ、唐突なあの呼び方は正直不意打ちだ。何故そんなにも粋なのか、鈍いくせに。スカートを落とし、下着を脱ぎ捨てそして水着…まあ一夏の選んだものだが、それを着て、外の一夏に声をかける。

 

「一夏、ファッションショーをするつもりはない。少し近くに来てくれ。」

 

「分かった。」

 

いくら躊躇いはなくとも俺の裸体は安くない、あまり他人に見せる物でもないため一夏を近くに呼ぶ。アイツの足が見えた。そのままカーテン越しに一夏の手を引っ張り中に招き入れた。

 

 

「お、おいラウラ!?」

 

「静かに。さっさと終わらせよう。落ち着かなくてな。」

 

「わ、分かった。」

 

お前は本当に度量が深いな、短気な時もあるけど。

 

 

「どうだ?貧相な体型を見て笑うか?」

 

一夏はこの至近距離でまじまじと俺を見る。感想のための言葉を選んでいるようだ。迂闊なことを言って不興を買いたくはないんだろう。

 

「まあ色々褒め言葉ってあると思うけど俺はそんなに語彙力も持ってないし思ったことを言う。…綺麗だ、そして可愛い。これは俺の紛れもない本心だよ、リエル。」

 

…そういうのは反則っていうんだぜ、一夏。

 

 

「そ、そ…そうか。そうか…ならいい。」

 

ああ、もう…口が勝手ににやけてしまう。この朴念仁の言動にはだんだんと慣れてきたはずなのだが時々予想も効かない特大の不意打ちをかましてくる。それを子宮から喜ぶ自分がいる。ていうか今だわ。…いつまでもこのままだと面倒になるな、と理性がブレーキをかけた…が

 

 

「一夏、わたしは着替えるから、すまないな。こんなことに巻き込んで。」

 

「いや、別に全然かまわない。リエルの意図もちゃんとわかったし、そのぐらいの甲斐性くらいは持たせてくれ。」

 

「…もはや何も言うまい、だな。一夏。」

 

「ん?」

 

背伸びをし、唇を奪っていく。もうこの作業にも手慣れたものだ。一夏もあまり驚かなくなっている。

 

「手間賃だ、受け取っておけ。」

 

そしてわたしはカーテンを閉めた。

 

 

 

 

————————————————————————————————

 

 

 

「むぅぅ…」

 

ラウラと一夏のやり取りをボクは意図せず見てしまった。正直あの大胆さは羨ましい、あれのおかげでボクは周回差をつけられてる気分だ。…悩んでいても仕方ないか。

 

 

「ラウラ、次一夏借りて良い?」

 

「問題ない、こっちは十分に満足した。」

 

試着室の向こう側からラウラの声が聞こえてくる。許可も下りたことだしさっさと行こう。

 

 

「それじゃあ一夏、こっちに来て、ボクの方も選んだから見て欲しいんだ。」

 

ただし売り場はここじゃなくてレジを挟んだところだからそっち方面の試着室に一夏を連れて行く。

 

「ラウラの水着はどうだった?」

 

「ん?…まあよく似合ってたよ。髪色とマッチしてたと思う。」

 

彼は飾らない性格だ。その褒め言葉も本心だから来るものだ。つまり心の底から似合っていると思っている…そう考えると少し妬ましいかも。ううん、それよりも今は…。

 

「それじゃあ、ちょっと待っててね…。」

 

試着室の前に到着し一夏に声をかけるが…一夏は明後日の方向を見ていた。つられてボクもそっちを見ると…

 

「鷹月さんに布仏さんに相川さん…!」

 

 

クラスメイト三人組だ。さすがに見られたくはない。ボクは一夏を素早く試着室に引っ張ると慌ててカーテンを引いた。…そして目の前を三人組が通り過ぎて行った……どうやら暫く隠れてなければいけないみたいだ。

 

「シャル?どうしたんだ、急に…別に隠れる必要なんか…。」

 

「ごめん正直条件反射だった。…後ろ向かないでね。」

 

一夏は慌てて後ろを見ないようにカーテンを見詰める。奇しくもあの時と同じような構図だ…もう少し大胆に攻めてもいいんだよね。と何をやろうかと考えているとすぐに着替え終わってしまった。情けない。…まあ今は感想を求めよう。

 

 

「一夏、もういいよ。」

 

 

ボクが選んだ水着は黄色のビキニ。大した特徴もないけれど、それでも悪くはないはずだ。

 

 

「……………」

 

言葉を失くしたかのように呆然とする一夏だけど何かあったのかな?

 

「どうかしたの?一夏。」

 

「すまん、見とれてた…その、あんまりにも似合ってたから。」

 

よしっと心の中でガッツポーズをする。掴みは十分だ、ここからやっていこう。

 

「色とかは大丈夫かな?一応無難な配色を選んだつもりだけど。」

 

「…いや、むしろ良く合っていると思う。シャルの金髪と少し濃いくらいの黄色は色の性質も似てるし、統一性も合って…不思議と落ち着く雰囲気だな、なんか。」

 

一夏が言葉を振り絞って答えている。こういうことには不慣れなんだろう。最も鈍感で朴念仁で唐変木なせいで女の子と関わる機会もあまりなかったからだろうが。でも最近の一夏はなんだか鋭くなってきてる。やっぱりラウラの影響だろうか。

 

「…そっか、良かった。とりあえずこれを買うことにするよ。ありがとね、意見とか。ボクは一夏に見てもらって良かった、って思ってるよ。」

 

「役に立てたなら良かった。正直シャルもラウラも何を着ても似合うとは思うけど、やっぱり色合いが近いともっときれいになるんだな…。」

 

感慨深そうな一夏。そんなに世紀の発見というわけでもないだろうに…まあそれはそれとして、ボクにはまだラウラのような度胸はないけど。

 

 

「一夏。」

 

「ん?どうしたシャル…。」

 

一夏に顔を近づけて彼の頬にキスをする。欧米なら普通のあいさつのようなキスだけれど…これはボクが特別な気持ちを込めてやったもののつもり。

 

 

「いつか自信をもって堂々と一夏の唇にキスを出来るようにボクも頑張るからね、待ってて。」

 

 

 

 

次なる戦場は海へ…!

 




皆良く残ってくれた。そりが合わなかった奴がいることも承知している!

だが今さら俺は道を変えるつもりはない!気に入らない展開が一つでもあったなら降りな!だれも止めない!

だがそれでも来るという物好きな奴はしがみついてでもついてきなッ!
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