なお予防線になりますが冒頭の文は作者の主張でもなく、どこかのアンチスレを参考にした結果です。本意ではないことをご理解ください
一夏を貶めよう
——————————俺はアイツが許せない。
俺には世界で何よりも憎い相手がいる。アイツをこの手で殺しても飽き足らないほどにだ、俺はそれほどアイツが許せない。
そいつの名前は織斑一夏。世界最強のブリュンヒルデ、織斑千冬の血骨を分けた実の弟。…そして世界でただ一人のインフィニット・ストラトスの男性操縦者。その実態は稀代の偽善者だ。
俺は、俺である前に、こいつを知っていた。こいつは、とある小説の、物語の主人公なのだ。俺はそれを知っていた。俺は遠い前世(むかし)その物語を読んだことがあった。インフィニット・ストラトスという名前のライトノベルの主人公だ…だが、こいつはラノベ主人公最大のクズであり、偽善者なのだ。あまたの好意を寄せられているというのにお前は何故気づかない、というレベルでの鈍感であり振って来た数は数知れず…そこまでならただの鈍感主人公で済むが、それだけじゃない。こいつは口先だけの男だから一番許せないのだ。
こいつは何よりも守るということに拘りそれを理想としているが、何も一人では守ることすらできないレベルなのだ。言動と行動が釣り合わない未熟者のくせに後先考えず行動しもっと事態を悪化させる筋金入りのクソ野郎に過ぎないのだ。ああ、なんとも考えただけでムカつく。
お前がその物語で主役を張るには見合わない、お前にそのヒロインたちはもったいなさすぎる。織斑一夏、お前は何もかもが足りなさすぎる、能無しの役立たずなのに口先だけは立派な偽善者だ、お前はそこら辺の悪党よりもよっぽど質が悪い…お前は淘汰されるべきであるのにのうのうと生きていることすら罪深い。
お前がいたから、あの人は覇者になれなかった。お前はあの人の足手まといでしかない、この世界の足手まといでしかないというのに、必要とされていることが気に入らない。
だから俺がお前の全てをぶっ壊してやる。…この俺が、ラウラ・ボーデヴィッヒが、お前の全てをくじいてやる。待っていろ、最低の男め。
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「それでは、今日は転入生を紹介します。」
ホームルームが始まる。クラスの副担任、山田真耶が、号令をかけて挨拶を終えた後転入生の紹介に移る。そして扉が開き、二人の生徒が入室してくる。眼帯をした銀髪の小さい女生徒とズボンをはいた中性的な生徒が入ってくる…そう、俺とシャルル・デュノアだ。ついにこの日が来た…まずは俺はあの男をぶん殴る。調理をするのはそこからでも十分だ。
「それではデュノアくんから自己紹介をお願いします。」
副担任が指示をする。どちらにせよ今の俺には関係ないことだ。俺はアイツをどれだけの威力で、痛みを与えてやろうかとシミュレーションしてるのだからな。
「はい…初めまして、ボクはシャルル・デュノアです。フランスから来ました。こちらにはボクと同じ境遇の人がいると聞いて楽しみにやってきました。」
隣で自己紹介がされる。ふん、さすがは猫のかぶり方が上手い。これじゃあただのさわやかな貴公子という風体だろう。案の定…
「…男子…生徒?」
誰かが呟く。一斉に教室が爆発の渦に包み込まれる。
「きゃぁぁぁぁぁっぁぁぁぁぁああああああああああ!!!」
黄色い歓声に包まれる。知ってはいたがうっとおしい。なぜこうも群れるとうるさくなるのだ。爆発的な歓声は続く。
「二人目の男性操縦者よ!」
「しかも金髪の美形の王子様!イケメンの織斑君とも違う守ってあげたくなる系の!」
「すっごい綺麗!」
物珍しさ、そして興奮から教室はもはや熱狂の渦に包まれていた。うるさい。全てを知っている身からすればこれも滑稽な三文芝居にしか見えない。識っているということは罪深いことだ、と我ながら思う。それに何の面白みもない。それよりも俺の出番はまだか。
「やかましいぞ、貴様等!静かにしろ!」
織斑教官…もとい織斑先生の怒声でようやく教室が静かになる。よかったこれで俺は悔いなくアイツを殴れる。さすが織斑教官、織斑一夏とは比べるのが烏滸がましいほどに優れている、感謝してもしきれない。
「…やっと静かになりましたか…えっと、じゃあボーデヴィッヒさん、自己紹介をお願いします。」
来た、この瞬間を待ちわびていた。織斑一夏の席は既に把握している。まずは奴の席の前まで行かなければ話は進まない、行くとしよう。アイツの顔を見るのはついてからでも十分だ。進んで眼中に映したいものでもない。クラスからざわめき声が漏れる…転入生が、自己紹介をするはずが勝手に歩き始めたのだから困惑するだろう。だがどんな目で見られようとも構わない、俺はすべてを犠牲にしてやっても構わない。織斑一夏の席まであと数歩、アイツの足も見えて来た。…あと五、四、三、二、一…ついた。
そして俺はついに顔を上げる。憎きその面と対面する時が来た。 日本人の標準的な黒髪黒目。だがそれでいて、やけに整っている憎々しい顔立ち…その顔には困惑の表情が浮かんでおり、机の横に立つ俺と、目が合う…。
キュン
そんな音が体からなった。主にへその下、というか子宮あたりから。…は?
訳が分からないという表情でこちらを見詰めるその表情が、ムカつく…その間抜け面が…ムカつくほど可愛らしい。やや童顔なのは初耳だ。
困惑と動揺に揺れるその瞳が…腹ただしい…その虚弱な瞳が…腹ただしいほど愛おしい。…小動物か?小動物なのか…?なんだその可愛らしい瞳は、俺はうさぎだが、草食やめて肉食ウサギ始めていいのか!?
落ち着け…落ち着け 今の俺はおかしい、何か熱に冒されているクールにいけ、ブラックラビット。お前は特殊部隊の隊長だろう…よし深呼吸も出来た、思考もクリアだ、今の俺は正常だ…さあこのまま織斑一夏を引っぱたくぞ…!いける、行ける…。
「…あ、あの…?」
何とも気の抜けた声だ、覇気などありはしない。織斑教官ならば一言一句が、覇気に満ち溢れているというのにこの男からその覇気は全く感じられない…なんという腑抜けた声だ…それは俺をイラつかせる…イラつかせるほど、庇護欲をそそる!シャルル・デュノアよりよっぽど目の前のこの怯える男の方が守りたくなるぞ!
いや待て平静に、冷静になれ、ラウラ・ボーデヴィッヒ。お前はそんなキャラじゃないだろうというかオレのキャラじゃないだろう、これは織斑一夏の仕掛けた罠に違いない…もう一度見てみろこんな男なんて…
ふむ、似ていないと思ったら織斑教官にもよく似ているさすが姉弟というべきか。あと五歳、歳をとればさらに美形に成長するだろう、身長もそのころにはまた伸び美丈夫と呼ばれるには十分だな、さすが俺の嫁、いや待て何を言ってるんだ、今はそんなこと関係ないだろう。そうだ、俺はこいつの頬を引っぱたかなければならない。というかいい加減周りが何もしないのでしびれを切らしてきてることだろう、だから俺、早くこいつを引っぱたけ。あ、警戒した目つきになった。可愛さが少し抜け凛々しさが増えた、かっこいい。俺の不穏な動きに気付いたのか、凄い察知能力だ、これは期待以上の兵士にもなれそうだ、ただの男子校高校生になりたての男がそこまで勘が鋭ければ将来が楽しみだ、いっそ鍛えてみるのもいいな…違う、そうじゃない 早く俺はこいつを殴るんだろう、迷うんじゃない、日和るな、俺。
俺は…俺は…俺は…俺は…俺は…
わたしは…
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瞬間、空気が凍り付いた。あれほど騒がしかった一組の喧騒は一瞬で静まり返った。元凶は織斑一夏の前にへと立った転入生の銀髪の少女である。…彼女は一夏のネクタイを掴み、彼の顔を自分に近づけさせ、そして自身も顔を近づけ、唇を合わせた。
キスである。
キスである。
おおよそ20秒ほど一夏を放さなかった彼女は十分それを堪能した後、彼のネクタイを解放し、そのままぺろりと彼の唾液を舐めた。
「…なっなっなっなっ!?」
一夏から漏れたのはひどく狼狽した声、当たり前だが初対面で唇を奪われたのだ、困惑しないはずがない。困惑したのは彼だけではない。クラスメイトもだ、先ほどのシャルルとは違った有様で、クラスが爆発的な音量を上げる。クラスの女子が一斉に悲鳴を上げた。そしてなぜか怒る人が二人。
「一夏、貴様!」
「一夏さん、あなたという方は!」
篠ノ之箒と、セシリア・オルコットである。何故怒ってるかの理由はお察しだ。だがしかし、その銀髪の少女は箒やセシリア…クラスメイトに見せつけるように彼の首を引いた。
「織斑一夏、覚えておけ、私は『ラウラ・ボーデヴィッヒ』。お前を嫁に貰いに来たものだ!!」
しばらく阿鼻叫喚は止まらない
これはこういう小説です
まあ、チョロいTS転生者を書きたかったから反対に憎悪を燃やさせたような形です