即堕ちストラトス   作:しが

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ないです


平穏には生きられ

説得力のない話に聞こえるであろうが、俺は別にトラブルを起こしたいわけでもその場を引っ掻き回したいとも思わない。ごく平穏にIS学園で過ごせればそれでいいと思っている。実際にトラブルが起きた時は面倒だ、そんな煩わしい事に首を突っ込むほど馬鹿ではない。だから、基本的に俺は原作組には無関心…でいたいが、そもそも一夏を貶めたいと願ってたくせに無関心も何もないものだった。

 

 

だが、俺としては原作イベントなぞに興味はなく、織斑一夏をどうやって潰したかったか、ということにしか興味がなかった。だから、他の人物など眼中にはあまりなかったのだ。勿論織斑教官は特別だ。あの人は俺を救ってくれたのだからな。…だからあいつを貶める必要もなくなった今、俺は原作組に関わる必要などないので、さっさと無関心になろうと思ったが、身体がそうは言ってられなかった。

 

軍人の朝は早い。黒兎隊の隊長という身分であってもそれは誰にでも同じ条件であり、早朝起きというのはあまたにあった。だからこそ俺の生活パターンもそれに染み付いており、こうやって夜明け前に目が覚めてしまったのだ。

 

 

「…4時か。」

 

 

正直やることが自主鍛錬か夜這いくらいしかない。いや待て、なぜナチュラルに夜這いが侵食してる。何故カウントされてる。違うだろ!?体は落ちても心までは屈しねえからな!?…話を戻そう、碌にやることもないので自主鍛錬をしよう。幸いにも防音のためいくらか物音を立てても苦情を言われることはない。今は一人部屋のため特に同じく寝てる人もいないため遠慮はいらない。

 

そうと決まればと、身体が行動を開始する。まずはベッドから這い出る。そしてそのまま玄関に向かい、いやだから待て、外に出るのはまだあとの話だろう、分かったぞ、身体…お前一夏に夜這いしに行こうとしてるな!クソ、勝手に動くな!おいこら制御を返しやがれ!

 

 

理性(俺)と本能(体)が喧嘩すること十分。いまだ膠着状態が続いていた。ええい!夜這いはやめやがれ!いや、待て。今は四時過ぎだ。確かに朝とは言いづらいが真夜中でも、夜でもない。早朝だ。…だからな、身体、お前が夜這いに行っても無駄なんだよ…それは夜這いでもなんでもないのだからな。

 

もし夜這いをやりたいなら夜のうちに動かなければ、それは夜這いじゃないんだ…。

 

 

あ、身体が止まった。自分の浅ましさを理解したようだ…おいまた何故動く。何…?夜這いではなくとも男は朝の前後にアレが勃つだろう。ならば不足はなし、さあ行くぞ。…だと?

 

 

行くかよぼけぇ!?そもそも大切な純潔をえいさほいさの要領で捨てるんじゃねえ!必死にドアを開けようとする右腕と必死にそれを抑える左腕。基本的に同じ体、同じ力なのでかかる力もほぼ同じで、ドアに近づいたり離れたりを繰り返している。

 

 

節操なしかよと突っ込んでも構わん。…ああ部屋の外に出た。完全に制御が奪われてしまった。そのまま歩をどんどんと進め遂に織斑一夏の部屋の前まで着いてしまった。まだ戻れる、早く帰るぞ!うるせえそんなことよりセッ〇スだ!オブラートに包め!一人の中で二人が喧嘩していると、扉が内側から開いた。そこに居たのは、半目をこすりまだ眠そうな寝間着の織斑一夏だった。固まった。

 

 

「んー…そこにいるのはラウラか…?」

 

まだ眠そうな声音、今の一夏は夢うつつという状態だろう、まだ半分寝てる。もっとも時間が時間なので分からなくもないが寝ぼけている状態で出歩くのは危険だ。

 

 

「おはよう。」

 

ただまだ夢の延長と思っているのか、一夏は無邪気な笑顔で挨拶をした。

 

 

ズッキューン という音が響いた。勿論現実には出てなどいないが、わたしの中で響き渡った音でしかないが…一夏は若干であるが中性的な顔立ちだ。だからこそ美丈夫になるだろうと表現したのだが…15歳というのは少年と青年の転換期だ。それは目の前の彼ですら例外ではなく…その下品な話だが、先ほどの一夏の無邪気な笑顔の中に少年のころの一夏を見出し、瞬時に脳内で再現された。そのショタ一夏と目の前の一夏が重なり、体中が熱くなってきな。ま、待て。何故発情してる。

 

あ、だめだこれは…まだ落ちてない俺(大本営発表)ですらときめいてしまったのだ。元より自重なしの体がそれを見れば一瞬で高ぶって来た。全てが高揚している久々にいい気分だ。そして体中が子宮中心に全て指先すら熱くなっていく。理性はこのままだと食いつぶされる。何とかしなければ…焦る俺が下に目を向ける。一夏はパジャマが少し寝乱れており腹のあたりが捲れていた。そこから除くほど良い腹筋と臍が更に俺をどんどんと体を火照らせていく。自爆した!?まだ間に合う…そうだ、この男の顔をしっかりと見ればいい。そうすれば邪念はなくなるはずだ。目が合う。まだ寝ぼけているのか年相応に彼ははにかんだ。かわいい。

 

理性が吹っ飛んだ。もう駄目であると思う俺がいるが、そんなことより今すぐ嫁をベッドに連れ込み、スプリングをギシギシならそう。そうだな、それがいい。それが最適解だろう。いまは余計なことを考える必要なんてない。

 

「嫁よ、そんなところにいると風邪をひくぞ。寝なおせないのならば寝かしつけてやろう。」

 

「お…ありがとなぁ…。」

 

そして俺はそのままベッドまで一夏を引きずり込み、服を脱ぎ、記憶することを脳が拒否したのでそこで記録は途切れている。目の前には半裸の一夏がいて、俺は服を何もつけてない状態で発見された。

 

 

 

 

————————————————

 

 

 

冒頭の通り、俺はもめごとは望まない。最も今は、という話であり、あの嫌悪感むき出しのころはどんなもめごとだろうと気にせずに突っ込んでいただろう。だが正気に返った以上自分から面倒ごとに突っ込む必要はない。そうだからか、原作組、特にヒロインたちに関わる必要はない…第一暴力沙汰ばかりはごめんだからな。俺は彼女たちを避けるように行動…出来なかった。

 

 

まあ、ですよね。

 

 

 

「さて、ここならば誰にも邪魔されずにお話しできますわね、ラウラ・ボーデヴィッヒさん。」

 

「私を呼びつけるほどの用なのか、セシリア・オルコット。篠ノ之箒、鳳鈴音。」

 

「へぇ、あたしたちのことはリサーチ済みってわけね。」

 

今俺はこのように目の前を一巻ヒロイン組に包囲されている。呼び出しを受けたらこうなった。何となく予想はしていたが兎にも角にも今はこの場を丸く収めねばならない。碌なことにならないからな!

 

 

「時間はとらせん。ただ一つ、答えてもらえればいいだけだからな。…ラウラ・ボーデヴィッヒ、お前は一夏をどうするつもりだ。」

 

 

やはりそう来たか…俺の答えはもちろん決まっている。良き友人として付き合えていけばいいが…それが理性さんの答えでありたびたび体を乗っ取る本能さんの答えは…

 

「何度も言わせるな。私は一夏を、伴侶に貰いに来た者だ。やがての未来形にもなるが子供を産み落とすつもりでもあるぞ。」

 

「なっ…!」

 

 

ド直球な本能さんの答えに箒が赤面する。セシリアも鈴も多少なりとも動揺しているようだ。そして鈴が突っかかってくる。一番気の強いであろう彼女が真っ向から来るだろうとは思ってはいたが…とにかく場を取り持たないといけない。このままじゃ三ヒロインから首を狙われる羽目になる。いくら学生とはいえ代表候補生が二人、望んで敵対したいわけでもない。

 

 

「ちょっと、ちょっと、ちょっと!横取りとかあたしが許さないわよ!一夏はあたしと添い遂げるんだから!」

 

「いや待て…誰にも譲るとは言ってないぞ、私にも退けぬ女としての矜持と意地がある。一夏は私のものだ。そして私は一夏のものだ。」

 

 

「ちょっとお二方!幼馴染だからといっていい気になっておりませんか!過ごした時間が全てではありませんのよ!わたくしだって端から諦めるつもりはありません。」

 

そろって俺を追及していたはずが、いつの間にか一時期の共闘ではあろうが仲間割れが起きていた。馬鹿なのか、俺を責めたかったんじゃないのか。

 

「甘いな。」

 

「何がよ!?」

 

「何がですの!?」

 

「何がだ!?」

 

仲いいだろお前ら。

 

「いくら内心で一夏のことが好きであろうと、それを口に出さなければお前たちは敗北者じゃないか。その点、私は勘違いのしようもないストレートな求婚だ。この勝負、既に見えたぞ。」

 

うぐっと三人纏めて黙りこくってしまった。箒と鈴は典型的なツンデレ。暴力関係はともかくとしても自分の気持ちを素直に表現するのが苦手だ。そしてセシリアもストレートに言葉に表すのは苦手なようだ。そういう意味では、言葉を誤らずダイレクトに好意を表現できる人物というのは何よりもの脅威となりうる。つまり俺だ。この勝負…もはや見えたわ…いや、待て 俺は一夏なんか欲しくないからな。絶対にだからな 嘘じゃないからな。だからどうでもいいんだからな。

 

 

 

「だが安心しろ。軍人というのは『高潔な精神』を持てとの事らしい。私は別にお前たちが嫁もしくは婿にアプローチすることは止めないぞ。略奪愛もまた愛だ。」

 

煽ると見せかけて案外フェアなんですね、本能さん。てっきりお前たちは近づくなとでも言いそうだと思ったよ。

 

 

「勝手に余裕ぶってろ、っての。ていうか一夏がだれのなんてまだ決まったわけじゃないんだから!最後に笑うのはこのあたしよ!」

 

時計を見て鈴はそのままピューと退却して行ってしまった。時間的に始業時間があと少しだ。

 

 

「…感謝いたしますわ、ボーデヴィッヒさん。あなたに礼を言うのは癪ですが、何が大切か見えてまいりましたわ。だからこそわたくしも英国の女として恋に関して退くわけにもありませんのよ。」

 

宣言するようにそのまま彼女も立ち去って行った。こうなると彼女は強いぞ。どうするんだ、本能さん。

 

 

「…自分の気持ちに素直に…か。確かに恥ずかしいからとて暴力に走るのは悪癖だな。…借りを作ったな。いつか万倍で返させてもらうぞ。」

 

あの目は覚悟が完了してる目だ。どいつもこいつも意外と話してみると一本筋の通った信念を持つまっすぐな人物という事は今朝の段階でよくわかった。だがそれを踏まえてでも身体さんは言いたいらしい。

 

 

「ふん、だが結局最後に笑うのは私だ。それまで精々争わせてもらうさ。勝ちの見えない戦いに挑む勇者たちに敬意を払ってな。私も同じ土俵に立とうじゃないか。」

 

 

慢心はいかんよー…慢心するとおのれおのれおのれおのれぇ!展開になっちゃうよー…ていうか損害を俺までこうむるのは勘弁してくれませんかねぇ…

 

 

「…ドイツに帰りたい。」

 

 

駄目だ。

 




なんでこんな評価が増えてるんですかねぇ…
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