即堕ちストラトス   作:しが

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死んだわアイツ


オイオイオイ

早期に解決してしまったシャルロット問題、そもそも立て突かなかった俺、ラウラの問題。これがインフィニット・ストラトス二巻の主な内容になるわけだが…今この場に二つの問題はない。ならばあとに残るものは何か?

 

 

タッグマッチだ。

 

 

俺としては正直無難な人と組んで適当なところまで勝ち進んで適当で敗退すれば個人的には満足であるが…体は許さないようだ。いい加減一夏を前にすると乗っ取られることも増えて来たので慣れて来た。でも自重せよ、本能。

 

 

「それで、伴侶よ、お前は誰と組むのだ?」

 

「え?俺?…俺はまあシャルルとになるかな。」

 

まあそうなるよな、と俺は納得する。今、彼はシャルロットの真の性別を知っているため彼女の性別が露見することを恐れて隠蔽に全力なはずだ。だから彼女と組むことになると、俺は納得している、だが納得してるのはあくまでも理性の李靖さんだけである。本能の奔嚢さんは納得が出来ないようだ。

 

 

「でも一夏、別に男同士だからってわざわざ組む必要もないのよ。」

 

「うむ、鳳の言うとおりだ、伴侶は伴侶の望む相手と組むのが最善だ。」

 

往生際が悪いぞ、奔嚢さん。どうせ変えっこないって一夏は頑固だからな。だから俺は適当に溢れたところに入れればそれで満足なのだか…。

 

 

「…そうだよ、一夏。ボクもキミが義務のように組むのは正直お勧めしないよ…ボクは本当に誰とでもいいから。」

 

おっとこれは予想外、シャルが自分から辞退した。これによって一夏のパートナーというポジションは空いたわけであり…奔嚢さんは見逃さなかった。

 

 

「そうか…シャルルがそれでいいなら俺も…ってなったけど正直こう言うのは失礼だと思うけど俺も誰でもいいかな。特に進んで組みたい、という人がいるわけでもないし誘われるまで気長に待つよ。」

 

 

「だったら!」

 

「ならば!」

 

「でしたら!」

 

 

「あたしと!」

 

「私と!」

 

「わたくしと!」

 

 

「組まない!?」

 

「組まないか!?」

 

「組みませんこと!?」

 

三馬鹿の言動が完全一致する。やっぱりお前ら仲いいだろ。謎の連携を生み出す三人を制止しようやく俺に発言権が戻って来た。そしてこの場を収めるべく提案をする。

 

 

「まあ落ち着くがいい。聞けば日本には古来より決め事のために最適な方法があると聞いたぞ。」

 

 

「…最適な方法?」

 

 

「そう…単純明快なことだが…『JAN-KEN』だ。そこの英国女向けに言えば、『ロックシザーズペーパー』だ。」

 

「わたくしだってそのくらい分かりますわ!」

 

セシリアの言を無視して話を続ける。早く終われ。

 

 

「簡単な話だ、じゃんけんをして勝ち残ったものが伴侶もとい一夏のタッグを申し込むという権利を手に入れる。あくまで申し込むであって伴侶が断るのならば大人しく退くことが条件になるが。」

 

「いや、断るつもりはないよ。このままずっと引きずっててもいい加減いつまでも決まらないだろうからこの場で決めた方がすっきりすると思う。」

 

「…とのことだ、じゃんけんで勝ち抜いたものが一夏のパートナーとなる。以上だ。」

 

 

「いいじゃない、シンプルなのは。あたしは好きよ。」

 

「単純明快だな、だがそれがいい。すぐに決まりそうだ。」

 

「わたくしは天運を信じていますわ。」

 

各三人やる気満々だ。で、帰っていいですか。あ、身体が動かない。というかじゃんけんお前もする気満々かよ奔嚢。

 

 

「あのー…。」

 

それまで控えめだったシャルが声を上げた。珍しい。

 

 

「ボクも、参加していいかな?」

 

 

 

————————————————

 

 

 

「やはり、天はこの私を望んでいるのだ。」

 

 

最後に笑っていたのは誰でもない、俺でもない奔嚢さんだった。じゃんけん強すぎだろ。

 

 

「う、嘘…じゃないわね…確かにあたしはこの正々堂々な勝負で負けたわけ…ならまあ仕方ないわね…今回は運がなかった…ってことよね。」

 

ダメージを受けながらも現実を受け止め立ち上がる鈴。強い娘だと思います。ちょっと現実逃避気味だけど。

 

 

「全力を尽くし敗北したのだ、悔いはないさ…」

 

そしてそこのブシドーガールはちょっと大袈裟すぎやしませんかね、大丈夫?死なない?シナナァイ。

 

 

「こうしてはいられませんわ!早くわたくしのパートナーとなっていただける方を探しませんと!」

 

セシリア嬢は一番現実的な意見ですね、感心感心。きっぱりと諦められる諦めの良さも彼女の芯の強さ一つなのかもしれない。

 

 

「あたしも決めなきゃ…じゃあもう行くけど…一夏!あんたと当たった時はコテンパンにしてあげるからね!」

 

いつもの勢いを取り戻した鈴。やはりそれこそが彼女らしいというのは俺の勝手な印象ではあるが好感を持てる人だと思う。

 

 

「ではごきげんよう、一夏さん。わたくしも試合では本気を出させていただきます、どうかご容赦くださいませ。」

 

 

さすが英国淑女。やると決めた時は本気だ。いっそすがすがしいと思う。本気になった彼女はさぞかしやりごたえのある相手だろう。腐っても代表候補生だから。

 

 

「さて、私も行くか。元より断られるのならばきっぱりと諦めていたところだ。むしろ燻っていた自分を吹き飛ばす良い一手となった。では相方を探してこなければな。一夏!ボーデヴィッヒ!互いに当たった時は手加減なしの真剣勝負で頼むぞ!」

 

さすがというかなんというかよい潔さだ。確かに多少は短絡的なことがあろうとも、彼女は接していて好感を持てる人物だ。暴力女と物騒な呼び方をされることもあるがそれでもやはり良い人だ。あくまでも俺の解釈は、だが。

 

 

「ちょっと残念だけど元からダメ元だったしこれでもいいかな…大丈夫だよ。一夏、ボクは上手くやって見せるから。じゃあまた後でね。ボーデヴィッヒさんも一夏をよろしく。」

 

あっさりと引き下がるシャルル。ここまで皆が皆潔いと逆に何か裏があると邪推してしまうが多分彼女たちの気づかいだと俺は推測する。それはそれとして俺は一夏と組むことは全然うれしくない。だって面倒事が待ってるのは目に見えてるし…まあ他の人と組むのも面倒だし妥協としてなら一夏はありかな。どうせ誰とやってもひと悶着はるんだろうし。

 

 

「というわけで、だが。伴侶よ、私と組むとなった以上後悔させる結果にはさせないぞ。安心して私にリードされるがいい。軍隊仕込みの連携術があるのでな、どんなパートナーであろうとも問題なく合わせられるぞ。」

 

「それはありがたいけど遠慮しておくよ。つまらない意地だけど、リードするのは男の役目であって女の子にそんなことをさせるのは少し気が引ける。」

 

 

時代錯誤な考えだ。女尊男卑が当たり前となったこの世界じゃ女性が男性を導くというのはよくある話だ。だが目の前の一夏は、女を導くのは男の役目だ、と本気で時代錯誤な考えを口にしている…だがその心もちは…

 

 

 

やだ…かっこいい…

 

またしても子宮がうずき始めた。最近お前暴走し過ぎじゃねえか?…よくよく考えろ、時代錯誤な考えなんだぞそれをこんな大真面目な顔で語って…語ってるのも良い!いつもより数倍凛々しいその顔も良い!出来ることなら写真に撮って観賞用、保存用、布教用で現写したい!…だからそうじゃない!

 

とにかく今の彼を動かしてるのは男の子の意地というものだろう。分かるとも、俺もそんな矜持はまだ残ってるからな。無意味と知りつつも男としての意地を必死に張り続けようとするその姿は…滑稽でも何でもない!むしろかわいい!ほんの少しの意地を張り続ける男の子は可愛いというのは間違いなかった。まだ発展途上な少年がそれをやるのがなおさら良い。撫でまわしてこのまま部屋へ連れ込んで捕食して…だからそうじゃない!なぜか濡れている下着は無視し仕切りなおす。

 

 

「コホン…ならば私を導いてみてくれよ、婿よ。そうと決まれば練習と行こう。何、あまり時間は取らせないさ。」

 

 

「ああ。俺もすぐに合わせられるようになってみせるふぐぅ!?」

 

不敵に笑うその姿についに体が我慢が効かなくなった。背伸びし彼の顔を引っ張り自身の唇と彼の唇を重ねる。おい。

 

 

「ら、ラウラ…どうしたんだ?急に…。」

 

「可愛いと思ったから。それ以上の理由はいらん。」

 

 

馬鹿だろお前ぇぇぇぇぇぇぇえええええええええ!…いや、嫌では無いが…いつも唐突過ぎる。

 

 

 

 

————————————————

 

 

「いいか、一夏。各個撃破などという理想を語るつもりはないぞ。お互いの技量差もある、単体で撃破できる相手かも限らない。だからこそだが、やるべきことは狙い撃ちと短期決戦だ。…言っておくが戦いに卑怯も何もないぞ。あくまでルールには則っている。それとも狙い打ちは嫌いか?」

 

一夏は首を横に振った。

 

「戦略、だから俺もそれに従う。今は個人の気持ちいいだとか気持ち悪いだとかを言ってる時間じゃないしな。」

 

良い柔軟性だ。俺に合わせるということの意味をよく理解している。

 

「情けも容赦もない試合になるが、それでもいいのだな?」

 

「むしろ負けを狙いに行く試合というのは相手に失礼だと思う、だから俺は勝ちをどん欲に狙っていった方がちょうどいいくらいだと思ってる。」

 

確かに原作でも彼はやるからには勝ちに行くを実行している。正々堂々の勝負で。…そんな彼は俺に全部合わせるといってくれてる…果たして彼の心意気を踏みにじれるだろうか。

 

 

「…多少のプラン変更だ…いいか、伴侶よ、まず私と…」

 

 

心変わりした俺と一夏の戦術談義は日が沈むまで繰り広げられた。

 

 

 

 

 

————————————————

 

 

 

 

『やりましたね、隊長。これで一歩前進ですよ。』

 

「…いい加減そのやじ馬根性は何とかならないのか、クラリッサ。」

 

夜、俺は通話相手に呆れた声音で返した。相手は黒ウサギ隊副隊長のクラリッサ・ハルフォーフである。以前は狂犬めいていた俺と彼女たちの間にわだかまりもあったが今は特に何かを憎む必要もなくなったのでこうやって普通に接することがようやくできた。よく考えるとあの頃は異常だったのではないかと最近考えている。というか異常か。

 

 

『私としても嬉しいんですよ。ただただ狂戦士のように強さを追い求めたあの頃の隊長は実に近寄りがたい存在でしたけど、今の隊長はとても親しみを持てます。…それに私に相談して来てくれたのはとても嬉しかったんですよ。』

 

「いや、待てあれは私がやったのでは…いや、もういい。どちらにせよやったのは身体(わたし)か…。」

 

最近本能の行動が多すぎるような気もする。いい加減誰が主かという事を教えてやらなければいけないようだ。

 

『兎に角になりますが、隊長。いつでも相談は待っていますよ。黒ウサギ隊は隊長の味方です。これは隊員の総意でもあります。』

 

「…ふん、好きにしろ。」

 

なんだかんだで慕われるのは悪くはないな、と俺はどこかで考えていた。




二日放置して300件増えてるってどういうこと
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