東方摩耗録 作:力尽きた奴
(´・ω・`)短すぎるやろ
三度目の改訂ドーン
三度目の正直。もうこれはいじらないです。
正直なところ設定が結構あるので連載したい気持ちもあるのですが、時間との相談が必要という……
もう何度目だろうか。幾度経験しようとも慣れることの無い喪失感。そして無力感。
護らなければならない。
失わせてはならない。
彼女はまだ死ぬべきではない。
俺はまだやれる。回数も十分ある。何も問題は無い。
「大丈夫、今度はやれるはずだ。だから、待っててくれ」
抱えていた冷たくなってしまった小さな体を地面に優しく横たえさせ、懐からナイフを取り出す。
「何をするつもりなの」
普段の胡散臭さは感じられない、弱々しい女性の声が聞こえる。
「助けに行く」
俺でなければ助けられないのなら、俺はやる。
「もう、無理よ……」
絶望を含んだその声を無視してナイフを喉に押し当て、力を込める――――
「貴方何をしているの!?」
血が吹き出る。意志も精神も十分だ。これなら問題なく戻れる。
「貴方まで死んだら、あの子たちに何て言えば良いの!?こんな……こんな失い方なんて……!」
安心して、また会えるから。またみんなで笑い会える日がくるから。
「能力が使えないっ、血が……どうすればっ……!」
世界が歪んでいく。全てが溶けて混ざりあう。
「お願い、死なないで……」
――大丈夫、泣かないで。
世界が黒に染まる。沫が昇って弾けて消える。体の傷が消えていく。
全てが泡に覆われ、徐々に光で満たされていく。
急速に意識が浮上する。
――今度はうまくやるから。
――待っていてくれ、橙。
「この肉達磨がぁああああ!!」
短剣片手に悪霊に向かって駆け出す。
その悪霊は非常に醜悪で、何千もの人間や妖怪の死体が圧縮された赤黒い弾力のあるモノで直径百メートル程の丸い体を造り、腕や脚を連ねたような触手を複数操っていた。
体のいたるところから骨が突き出ており、目が現れては消え、多数の歯茎が剥き出しの口は体中を動き回っている。
触手は骨や腐敗した腕等が多く、所々で腕や脚の途中からも枝のように生えている。
攻撃方法はあまり多く無かった。しかし、どの攻撃も生半可な威力ではなかった。
メインの攻撃は触手による鞭のような凪ぎ払いや叩き潰しだが、不規則に生える腕や視認できるほど濃密な怨念によって回避し辛い強烈な一撃となっていた。
射出される骨は霊夢の障壁をも破り、時折放たれる呪いや怨嗟の声は妖怪にとって必殺の一撃となる。
そして、厄介なことに複数の能力を操ってくる。その中には能力無効化空間を作る程度の能力等、強力なものもいくつかあり、霊夢や紫の絶対的な優位性を消していた。
「下がりなさいっ、死にたいの!?」
紫の制止の声を無視して悪霊に近づいていく。
攻撃方法を探さないと、橙は助けられない。俺が一人で生き残れるようなっても、誰かを救うことはできない。弱い人間一人に出来ることは、誰かに次の一手を渡すことだけだ。
活路を見出だすため、肉達磨の猛攻の中、攻撃を見極めただひたすら悪霊に向かって突き進んでいく。――――
最初は戻った直後に全身をバラバラに引きちぎられていた。
次も、その次も何も出来ずにねじ切られた。
最初に戻った時点では既に霊夢が死んでおり、渡されていた夢想天生を封じ込めた札も壊れてしまっていたのだ。霊夢のフォローが無ければ何も出来ず、能力が遮断されてしまう位置に居ると紫の援護も間に合わない。
いくら敵の攻撃を見極められるようになっても、俺が生きていることは邪魔にしかならなかった。
橙を護りきるためには橙を守る余裕がなくてはならない。もっと前に戻って態勢を整える必要があった。
戻る時点を設定する。体の奥からなにか大切なものが抜け落ちる感覚があった。それを確認して、自害した。
戻った場面は、先ほどまでと何も変わらず全てを失っている状況だった。戻そうとした時間の中で起こった現象を修正するために必要な力が、能力強度を越えてしまったことで不発になってしまった。
自らを奮い立たせ、落ち着いて設定を行う。今度は成功し、札が壊れた直後に戻って来た。それを確認してから再設定を行う。
霊夢が骨に貫かれていた。これでは駄目だ。
次は悪霊が霊夢に集中攻撃を始めた。ここでも挽回は不可能だろう。
次は霊夢が呪いから俺を庇って動きが鈍る。まだだ。
橙を掴んだ紫が触手を避けるために離れていく。既に藍さんがいない、駄目だ。
周囲に張られている結界が狭まり、逃げ場が少なくなる。失敗が増えてきた、焦りは禁物だ。
霊夢のお払い棒が触手に折られる。心は折れない。
藍さんが呪いから俺と橙を庇う。もう死なせたくない。
橙が俺の手を引いて俺に狙いを定めた悪霊から逃げようとした。次は俺が護るから。
霊夢が紫と合流し、藍さんが近づいてくる。あと、少しっ。
悪霊の呪いと骨を避けて霊夢と分断された。
――さぁ、仕切り直しだ。
目の前に触手が迫っていた。
「何やってんの、っんのバカ!」
霊夢が俺の首根っこを掴んで飛ぶ。直後に目の前を頭蓋骨が横切り、地面に衝突して爆ぜた。
「死にたくなかったら相手をちゃんと見なさい!」
そう言いながら、爆ぜたのを確認した霊夢はその後の攻撃を大きく避けていく。
やっと戻って来れた、あの悪霊が突如出現した時に。
戻って、来れたんだ。
「なによ、ずいぶん余裕あるじゃない、っと」
「そうでもないさ」
「じゃあなんで笑ってんの、っよ!」
襲いかかる触手を避けながらも喋る霊夢を見る。
「霊夢」
「何よ。あいにく今忙しいから、手短にしてもらえる?」
「相手の攻撃パターンが少し分かったよ」
反撃を開始しよう。
――――死んでも動きを分析し、有効な攻撃方法を模索する。
誰かが負傷すれば自害し、自らが致命傷を負っても最後まで結末を見届ける。
段々皆が悪霊の動きを捉えられるようになる。
――――そして、ついに隙が見えた。
霊夢が触手を全て消し飛ばし、紫が呪いを受け流し、骨を飛ばそうとしたところを藍さんに爆撃されて、悪霊の動きが少しだけ止まる。
「橙、今だ!」
橙に投げ飛ばされた俺は、妖夢に贈られた霊を払う短剣を悪霊に深々と突き刺す。
――オオオオオオオォォォォォォ!!!!
剣を通して悪霊が溢れる。どす黒い憎しみ、怨嗟の声、深い哀しみ、悲痛な呻き、歪んだ欲望、渇望の叫び、様々な感情や声が周囲を覆い尽くす。
即座に霊夢が空中に複数の札を投げ、お祓い棒を短剣と同じ場所に突き刺した。
「観念しなさい。夢想封印!」
肉達磨の内部から光が溢れ、破裂する。
やっと助けられた。
そう気を抜いた瞬間、衝撃が体を貫いた。
下を見てみると腹部に風穴があるのが見え、橙の方を見ると――
――上下に別たれていた。
「ちぇえええええええん!!」
手を伸ばしても届かない
ごめんね
もう油断しないから
待っててくれ、また会えるから
お前、タイムリープしてね?
連載の予定だったのですが、お試しがこの様だったのでとりやめです。
万が一要望があれば、設定等追加します。
(ちなみに私はゆうかりんが好きです。実は親切だったりする設定のゆうかりんが大好きです。でも花を踏みにじるような蛮行に怒髪天なゆうかりんも好きです。ちょっとSっ気見せられたら昇天します)