もしもおお振りの三橋くんがTestosteroneの『筋トレが最強のソリューションである』を読んだら   作:ふぁもにか

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Testosterone氏の御言葉③
○1時間で解決! 筋トレカウンセラー
患者「会社が辛くて…」
先生「まず腹筋から」
(20分後)
患者「恋人に振られて…」
先生「次ベンチプレス」
(40分後)
患者「友人に裏切られて…」
先生「最後スクワット」
(60分後)
患者「ジム最高! ダンベルは恋人! バーベルは裏切らない!」
先生「プロテイン」

 どうも、ふぁもにかです。ここの三橋くんが普段はクソザコメンタルなのに凄まじく実力があるってノリは、恋姫†無双にて普段ははわわと言いながらもいざって時は頭のキレを見せる朱里さんに通ずるものがあるような気がする今日この頃。ということは、朱里さんも実は凄く着やせする体質で、服の内側には隆々の筋肉を持っている……?

P.S.本作にて、私は誰が喋ってるか、心の中で呟いているか、をわかりにくそうな時に台本形式を採用しているのですが、これって読者の皆さん的にどうですかね? 特に問題なければ今のままで一部台本形式でいくので、何か意見がありましたら感想なりメッセージなりで指摘してくださると助かります。



3.理想の投手

 

 

「くぅぅ! 負けたぁ! 悔しいいいい!」

(あ、あわわわ……)

 

 西浦高校のグラウンドにて。三橋との3打席勝負に負けてしまったことを田島は心から悔しがる。バットを手放し、悔しさのあまりに叫ぶ田島を目の当たりにして、三橋は内心でガクブルしていた。三橋にとって、誰かに嫌われることは凄まじくトラウマだったからだ。

 

 

「三橋! あの球どうなってんの!? あんな浮く変化球、初めて見たぞ!」

「球が浮くぅ? んなわけないじゃん。あっははは」

「本当だってば!」

「え、えと……?」

「あれは三橋のまっすぐだよ」

 

 ひとしきり感情を爆発し終えた田島は勢いよく三橋に駆け寄り、三橋のくせ球:まっすぐについて問いただす。そんな田島の発言をからかいにかかる水谷に田島が反論し、三橋がただただうろたえている中、テクテクと三橋の元へと歩み寄っていた阿部が助け舟を出した。

 

 

「ストレート? いや、んなわけないって。ストレートはあんな軌道じゃねぇよ!」

「今から説明するから少し落ち着け、田島」

 

 未だ興奮冷めやらぬ様子な田島を嗜めつつ、阿部は説明する。ストレートは球に綺麗なバックスピンをかけて投げる変化球であること。投球指導を受けていない三橋はストレートの投げ方を教わっておらず、それゆえにストレートの代わりに、ストレートほどは落ちない球:まっすぐを投げられるということを。

 

 

阿部「三橋、お前のまっすぐは切り札になるよ」

三橋「俺の、切り札……」

泉「でも、そいつ。中学の時は打たれまくって、負け続けてたんだろ?」

泉(正直、あの球速見てたら負けばっかだったとか信じられないんだけどな。どんだけヤバい強豪校と試合し続けてきたんだよ…)

阿部「ま、所詮はくせ球だからな。中学の時の三橋はもうちょい球速遅かっただろうし、慣れさえすれば打てないことはないんだよ」

田島「じゃあなんで俺は慣れなかったんだよ! 目には結構自信あったのに!」

 

 己の球の特異性を知った三橋が阿部の主張を脳内で反芻する中。阿部の説明に耳を傾けていた泉が率直にぶつけてきた疑問に阿部が対応していると、田島が不満そうに声を荒らげる。

 

 

「三橋が慣れさせない投球をできるからだよ」

 

 そんな田島に解答を示すために、阿部が三橋に投球時にストライクゾーンを何分割しているかを尋ねると、三橋はしばし思案した後に9分割と返答した。その三橋の発言に誰もが驚いた。ストライクゾーンを9分割して正確に投げ分けるなど、プロの投手でもそうできることではないからだ。

 

 

「プロでもできないようなコントロール技術に、あの球速、切り札のまっすぐまで持ってるんだ。……三橋、お前は投手として凄く魅力的だと思う。今だってあの田島との3打席勝負に勝てたんだ、もっと自分の力を誇っていいんじゃないか?」

「お、俺は……田島くんを抑えられたのは、阿部くんのリードのおかげ、だと思う。阿部くんが凄いから、こんな俺でも、田島くんにも勝てたんだと思う!」

(いや、こいつの実力なら少し配球を考える頭さえあれば、捕手の力がなくたって田島を十分抑えられるんだが……あれだけ並外れた実力があるくせにここまで弱気で、捕手に従順な投手なんて希少だ。三橋にはこのまま勘違いしてもらって、俺の理想の投手でいてもらう。……それにこの方が、まるで榛名を従えてるみたいで気分が良いからな)

「……まぁ、今はそれでいいさ」

 

 阿部は三橋に自信を持たせるために優しく三橋に語りかけるも、当の三橋は阿部がサインを出してくれたからこそ、ヘボPの自分が3打席勝負を制することができたと主張する。明らかに三橋の力があってこその勝利なのに、当の本人がその事実を一向に認めない。阿部は三橋の認識を訂正しようとして、やめた。阿部にとって三橋はまさに、自分が思い描いていた理想の投手(どうぐ)そのものだったからだ。

 

 

「高校1年の時点でこの実力だ。三橋はこれから、どんな打者にも勝てる投手になるよ。後は打たせた球を取ってくれる野手と1点入れてくれる打者がいれば――甲子園に行ける」

 

 阿部は確信を持って断言した。三橋の持つ球速、まっすぐ、変化球、コントロール。そして己の1試合を通した配球を組み上げる力。この2つを融合させれば、甲子園出場は難しくない。何なら甲子園優勝だって夢じゃない。そのように阿部は考えていた。

 

 

「無理です……」

「「「「はぁ!?」」」」

「えー! 行けるって、甲子園! 行こうぜ、三橋!」

「む、無理ですぅ……!」

巣山(……えっと。無理って、さすがに冗談だよな?)

花井(おいおい。あれだけの球速と制球力でなんでそんなに後ろ向きなんだよ)

沖(ここまで自信がないって、三星学園はどんだけ強豪校なのさ……)

水谷(ひ、ひぃ!? 何か監督が凄い形相でこっちに来てるんだけど!?)

 

 そんな阿部の発言を真っ先に否定したのは、三橋だった。瞬間、この場にいた誰もが困惑する。『え、よりにもよってお前が否定するの?』といった心境だ。田島が三橋に詰め寄って三橋の発言を撤回させようとするも、三橋は頑なに首を左右に振るばかりだ。

 

 

「野球を本当に楽しめるのは、本気で勝とうとする人間だけよ。私は勝ちたいの。やる前から無理無理言って、チームの士気を下げる人間に、エースナンバー:1番はあげない!」

「ッ!?」

 

 と、ここで。場のなりゆきを静観していた百枝が三橋へ近づき、三橋の態度に対する苛立ちを表出させる。百枝は自ら稼いだバイト代を惜しまず西浦高校野球部のために注ぎ込むほどに、西浦高校野球部に強い思い入れを持っている女性である。ゆえに、三橋の性格のせいで、自らの並々ならぬ思いを、西浦高校野球部を台無しにされたくはなかったのだ。

 

 

(本当なら頭を下げてでも三橋くんにエースになってほしいってお願いしたい所なんだけど……いくら投手としての実力がずば抜けていても、こうもネガティブな性格だとチームの士気を下げてしまう。勝てる試合にだってむざむざ負けてしまいかねない。ここは三橋くんに発破をかけて、精神的に成長してもらうのが最良でしょうね。そして、今の三橋くんに手っ取り早く精神的に成長してもらうには、やっぱり――)

「む、無理、じゃない……甲子園、行ける、行く……」

「あんまりイライラさせないでよね。何を言おうと、今の弱気なあなたにエースの資格はないわ。エースになりたいのなら、性格くらい変えてみせてよ。――というわけで、皆聞いて。今日から2週間は受験でなまった体を鍛え直すとして、ゴールデンウィークは合宿します。その総仕上げに、三星学園と練習試合しましょう!」

 

 もはや三橋の中には野球を辞めるという選択肢は完全に消え去っていて。それゆえにエースへの執着心ばかりが先行している三橋は監督にエースを認めてもらうために口先だけでも甲子園への意気込みを語る。が、三橋の発言が言葉だけだとわかりきっている百枝は変わらず三橋をエースと認めない旨を伝える。その上で、百枝は三橋にエースにふさわしい性格へと成長してもらうために、ついさっき思いついた練習スケジュールを皆に告げた。

 

 

「ぇ、あ!?」

 

 サディスティックな良い笑顔で百枝から絶望通知を叩きつけられた三橋は、まさかの展開に驚愕と絶望の入り混じった悲鳴染みた声を上げることしかできない。今の三橋の心境はまるで死刑宣告をされた受刑者の気分だった。この瞬間、三星学園との練習試合の時まで、恐怖に怯える三橋の日々が確定したのだった。

 

 




○主な登場人物
三橋廉:自分をヘボPだと心から信じている西浦高校投手。三星学園の皆と会わずに済むようにせっかく頑張って受験して県外の西浦高校に入ったのに早速三星学園の面々と会わなければならない展開になってしまったため、ただいま絶賛絶望中である。
阿部隆也:西浦高校捕手。中学時代に榛名とバッテリーを組んでいた影響により、理想の投手(道具)を求めていたため、三橋を上手く操ろうと画策中。……何だか阿部くんが原作より遥かに黒い性格になっているような気がしますが、まぁギャグですからね、この作品(万能免罪符ワード)
百枝まりあ:西浦高校野球部の監督。バイト代を野球部のために注ぎ込むという、20代前半の女性にしては非常に異質な行動を取っている。……ところで、ふと思ったんですが、百枝さんってTestosterone氏の好みの女性像に中々合致してませんかね? だって彼女、鍛えている影響か締まる所は締まって、出る所は出る、って体型してますし……これはつまり、おおきく振りかぶってとTestosterone氏との相性は抜群だった?

 というわけで、3話は終了です。本当は今回で三橋くんの全力投球のシーンまで行くつもりだったんですが、そこにたどり着くまでに結構文字数を使っちゃいそうだったので、今回は短めに終わりました。文字数の調整って難しいですよねぇ。


~おまけ(もしも三橋くんだけじゃなくて百枝さんもTestosteroneの『筋トレが最強のソリューションである』を読んでいたら)~

 ビルの窓を外から清掃するアルバイトを行う最中にて。
百枝(やっぱりバーベルはなるべく良い物を買おう。ダンベルとレッグプレスも新調しよう。部費の20万はプロテインに充てて、後はサプリメントとサラダチキンと全員分のTestosteroneさんの著書と……うん、去年溜めた200万円で何とかなるかな。野球部のために溜めたお金を野球部のために使える幸せ! 待望のマネージャーも入ったし、そんでもって明日から合宿! んー、楽しみぃ!)

 時は流れ、合宿中の筋トレ後にて。野球部員の心境を代表した、花井くんの感想。
花井(……あっれぇ? 俺、筋トレ部じゃなくて野球部に入ったはずだよな? なんでずっと筋トレばっかりしてるんだ?)

 そして夏の大会にて。当然のようにホームランを打つ、ムキムキの西浦ナインの姿が!


※ちなみに、百枝さんの心境の原文はこちらです。
百枝(やっぱりピッチングマシンはなるべく良い物を買おう。スプリンクラーをケチって、バットとメットを新調しよう。部費の20万はボールに充てて、後は車の維持とサプリメント。去年溜めた200万円で何とかなるな。野球部のために溜めたお金を野球部のために使える幸せ! 待望のマネージャーも入ったし、そんでもって明日から合宿! んー、楽しみぃ!)
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