もしかしたら続くかもしれないし、続かないかもしれません。
ちなみに私、わんたんめんはガルパンはアニメ未視聴です。ニコニコ百科事典など駆使していますが、齟齬が生じる可能性があります。
ご了承ください。
「離れろっ!!ガンダムの力はっ!!」
自身の乗っているモビルスーツ、『νガンダム』の装甲のあらゆる隙間から緑色の光が溢れ出る。
普通であれは異常を疑うが、その光に触れているとむしろ暖かさ、一種の安心感を感じる。
『こ、これは・・・サイコ・フレームの共振・・!?』
通信機越しに奴の声が聞こえてくる。奴自身、この現象には驚いているようだ。
だが、この優しい光を感じながらも奴はこの優しさこそが人を滅ぼすのだと言ってきた。
「だから人の心の光を見せなければならないんだろ!?」
シャア、お前は急ぎすぎたんだ。人は、人の智慧はどんなものだって乗り越えられるんだ。だから――
そこでサイコ・フレームの光に包まれて俺の意識は暗転した。
次に目が覚めたのは見知らぬ天井だった。
だが、雰囲気からなんとなくだったが、ここが病院であることは察することができた。できたのだが――
(何か妙だな・・・。体の感覚が違いすぎる。さながら赤ん坊のような――)
そこまで考えたところで視界に女性が入った。ピンク色の看護服を着ていたため、看護師か何かの病院の関係者なのだろう。
とりあえずここがどこか聞いておこう。・・・何か目の前の看護師が妙に大きく見えるのが一抹の不安を抱かせるがな。
「・・・・・ぅ。」
・・・・・声が出ないんだが。俺の体はどうなっているっ!?
看護師に訴えるように体をジタバタさせていると看護師が表情を緩ませながらこちらを見つめた。
「マコちゃんは元気だね〜。将来は活発的な女の子になりそうですね〜」
といっておどけた表情をしながら手を振ってきた。
待て、今『マコちゃん』といったか?それに、女の子、だとっ?
俺は男だ!!そう思うがやはり声が出ない。
どうしたものかと思っていると、自分が入っているショーケースの中にラベルが貼ってあった。
そこには人の名前らしきものが書かれてあった。字が反対になっていたから読みにくかったがそのラベルには『冷泉麻子』と書かれてあった。
(ど、どういうことなんだ・・・?)
そう思いながらあたりを回してみると自分と同じようにショーケースがいくつもあった。そしてその中にはどれにも赤ん坊が入っていた。ここから考えられるのは自分もそのショーケースの中に入れられているため例外ではないこと。
つまり――
(俺は、赤ん坊になっているのか?それも女の子に・・・?)
俺は・・・どうなってしまうんだ・・・。
・・・・あれからはやくも7、8年経って、この体にも慣れてきた。ここはどうやら俺のいた宇宙世紀とは大きく時代が異なるらしい。自分が今いるこの『大洗女子学園艦』がその異常な点の一つだ。何せ高さが500メートル近くもある船だからな。・・・まぁ、町が丸々一つ乗っかっているんだ。これほどの巨体になるのもしょうがあるまい。
話が逸れたな。私は家族にも恵まれていた。ずっとガンダムを作っていた向こうの父さんとは大違いだった。
この体が成長して立てるようになった時は父さんと母さんにはとても喜んでもらえた。二人ともとても優しく、まさに理想の両親だった。・・・申し訳ない思いもあったがな。
そんな二人だったが、ついさっき突然二人とも亡くなってしまった。本当に突然だった。
訃報の一報を聞いたとき本当に呆気にとられてしまった。
だが湧いてくるのは悲しみというより申し訳なさだった。結局俺自身のことは何も言えずじまいになってしまった。二人には申し開きのしようがない。
体はたしかにあなた方の娘だ。だが、心の方はどういうわけか俺が入ってしまった。
「これはせめてもの罪滅ぼしだが・・・。もし天国があるのなら・・」
そういい、空を見ながら敬礼をする。船の淵に立っているためか吹き流れる海からの風が特徴的な黒髪をたなびかせる。
「そこで見ていてほしい。俺はあなたがたの娘として精一杯生きようと思う。」
天国へと逝った両親に別れを告げ、祖母がいる家へと帰ろうとした時。
「駄目ッーーーー!!!!」
「な、なんだっ!?」
突然背後から制止の声がかけられ、思わず後ろを振り返る。
そこには茶色の髪をセミロングくらいまで伸ばした可憐な女の子がいた。
その少女は麻子に悲痛な表情を向けながら引き止めるように言った。
「貴方、確か冷泉麻子さんだよね!?今すぐに考え直して!!」
「か、考え直す?状況があまり見えてこないのだが・・・?」
これには思わず困惑した表情を上げざるを得ない。何か盛大な誤解を受けているのは分かるのだが・・。一体なんなんだ・・・?
・・・・まさか。
「まさかとは思うが、私が飛び降り自殺を図っていると思ったのか?」
「えっ!?そ、そうじゃないの!?」
案の定、彼女はどうやら勘違いをしていたようだ。ふぅ、と少しため息を吐くと彼女を安心させるために軽く笑顔を浮かべながら説明を行う。
「な、なんだぁ・・・。」
説明を終えると彼女、武部沙織は緊張の糸が切れたのか脱力するようにへなへなと地面に座り込んだ。
「ところで、君はどうして私のところに来たんだ?あまり接点などなかったはずだが・・・。」
「クラスメートだからに決まってるでしょ!!その、両親が死んじゃったのは先生からちらっと聞いただけだったけど。学園艦の淵に立っている冷泉さんを見てまさか、って思って・・・。」
「・・・・武部さんは優しいんだな。」
麻子にそう言われると沙織は顔を真っ赤にしながら狼狽した様子で首を横に降る。
「いやいやっ!!そんなことないよ!!」
「そうか・・・。とりあえず、心配してくれたことには感謝する。ありがとう。」
武部に手を差し伸べ、立たせると私は祖母の待つ家へと歩を進める。
「あ、ねぇねぇ。冷泉さん!!」
背後から再度武部さんの声がする。
何事かと思い、振り向くと彼女は笑みを浮かべた様子で手を振っていた。
「私のこと、沙織って呼んでね!!私も冷泉さんのこと麻子って呼ぶから!!」
「ああ。わかった。さっきも言ったが、今日は感謝する。沙織。」
麻子の姿が見えなくなった後、沙織はポツリと呟いた。
「なんか、すごく大人びた子だったなぁ・・。麻子って。」
そりゃあ見た目は子供でも中身は30超えた軍人ですからね。
「・・・そうか。俺はもう精神年齢は三十路を超えているのか・・・。」
そう思うとなんとなく気分がうなだれる麻子であった。
最終章、見たいですか?(モモチャンズリポートのあとがき要参照)
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見たいです
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見たくないです