・・・・・・見慣れない天井だ・・・・。
俺が『冷泉麻子』として生を受けてしまった時のことを思い出す・・・。
周りを見るとたまたま点滴の入れ替えをしていた看護師と目があった。
その看護師は俺が目が覚めたのを確認すると忙しない様子で誰かの名前、ーーおそらく主治医だろうーーを呼びながら部屋を出て行った。
どうやら、峠は越えていたようだな。
「まったく!!心配したんだからね!!」
「それは・・・本当にすまなかったと思っている・・・。」
目が覚めた俺に最初に降りかかったのは祖母からの怒声であった。
目が覚めたとはいえ、手術をした時の麻酔が残っているのか意識がはっきりしておらず、しばらくボーッとしていると病室のドアを勢いよく開けながら祖母が飛び込んできた。
「はぁ・・・。アンタが重傷で倒れたってときは肝が冷えたよ・・・。」
「・・・それは本当にすまなかったと言っているだろう・・・。それで、主治医はなにか言っていたか?」
「そうだねぇ・・・。ひとまず内臓の縫合手術も問題なく済んだらしいし、比較的快方へと向かっているそうだね。ただ、傷跡は残るそうだけどね。」
祖母にそう言われ、患者用の服をめくると破断したハッチが刺さっていた箇所には縫合の後が痛々しく残った皮膚が見えた。
まぁ、このくらいで済めばいいほうか。
「それと、西住ちゃんたちにはもう麻子が起きたことは伝えてあるからね。
そろそろ来るんじゃないかい?」
「ふむ・・・。そうか・・・・。」
そう言われて、何故か妙に嫌な予感がするのは気のせいだろうか・・・?
しばらく祖母と話し込んでいると何やら気配を感じた。
見知ったものだったため多分、西住たちだとは思うのだがーー
数が多い。20どころか、30近くいないか?
待てよ、大洗の戦車道履修者は何人だった?確か、30くらいだったはずだから・・・。まさか、ほぼ全員で来ているのか?
そして、俺の病室のドアが開かれた。俺の予想通りに扉の先には私服姿でそれぞれ思い思いの見舞いの品を持ってきたのか果物や花束など様々なものを手に持っていた。
俺は引っつらの笑みを浮かべながら、とりあえずーー
「よく来たな。」
手を挙げて元気であることを示した。先頭にいた西住は俺のその様子を見るや否や涙をくずらせ、その目を擦りながらーー
「グスっ・・・!!冷泉さーん!!」
飛びついてきた。それも思い切り病院のベッドにダイブしてくるような形でだ。
俺は驚きながらもその西住の体をなんとか腕だけで支える。
「お、おい西住!!危ないじゃないか!!」
「だってぇぇぇぇ!!だってぇぇぇ!!!」
いきなり病人にとんでもないことをさせてきた西住を咎めるが、当の本人は嗚咽を零しながら、俺の胸に顔を埋める。
困った顔をしながら、他の駆けつけてくれたみんなの方を向くと、これまた揃ってみな目に涙を浮かべていた。
・・・うん、まぁ、これでは俺が悪かったと言わざるを得んな・・・。
俺はワンワンと大泣きをしている西住の頭を撫でながら柔らかな笑みを浮かべる。
「一番心配していたのみぽりんなんだからね。麻子が病院に送られた後、気が気でなかったみたいで、表彰式でも常に忙しなかったんだから。」
沙織の言葉に俺は目の前の西住に申し訳なさが出てきてしまった。
だが、同時にほかのみんなにも迷惑をかけてしまっていたことに関して謝らなければならないな。
「みんな、心配をかけてすまなかった。私はこの通り、生きている。」
その言葉を皮切りに堰を切ったように俺のベッドの周りに駆け込んできた。
ちょ、ちょっと待て。頼むから一気に来るのだけはやめてくれ・・・。
「それはそれとして、西住。私の祖母が目の前にいることは忘れないでほしいのだが・・・。」
そういうと西住は顔を真っ赤にしながら飛び起き、そそくさとベッドから降りた。
その間祖母もニヤニヤと妙にいい笑顔でいたのだがな・・・・。
というか、河嶋と小山の姿はあるのにシャアと自動車部の面々の姿がないな・・・・。
「すまんな、せっかく麻子が目を覚ましたというのに、付き合ってもらって。」
「まぁ・・・行きたいっていう気持ちは山々ですけどね。」
「それで、いきなりどうしたんですか?こんな学園艦の底に連れてきて。」
現在、私と自動車部は大洗女子学園艦の艦底部に来ていた。具体的に言うと武部君と一年生達が迷子になった場所より、さらに深い場所だ。
「目的は、そうだな・・・。戦力の増強といったところか。」
「来年の全国大会に向けてですか?」
スズキが疑問符をあげながらそう尋ねてくる。まぁ、間違いではないがーー
「いや、確かにそれもある、が。これは私の所感なのだが、まだ戦いは終わっていないように感じる。」
「まさか・・・!!まだ廃校の話があるんですかっ!?」
ナカジマの声が学園艦の中で反響する。その表情は心なしか沈んでいる。
「せっかく、せっかく冷泉さんが命を張って守ったっていうのに・・・!!まだ何かあるんですかっ!?」
「・・・すまん、君にとっては辛いものだと思う。だが、文科省の奴ら、役人がそう簡単に廃校の話をなしにしてくれるとは思えんのだ。」
「・・・理由を聞かせてもらってもいいですか?」
面倒くさそうに髪の毛を掻き分けながらホシノがそう聞いてくる。
「これは、戦車道を復帰させる前の話だ。会長に就任し、三年になった時、私は廃校の話を理事長から聞いた。当然、抗議する意向を伝えたのだが、向こうはこれと言った反応を示してはくれなかった。だが、ある条件を達成すれば考えてくれるという約束だった。それが、戦車道の全国大会で優勝することだった。」
「え・・・。でもそれだと一応条件は達成してますよね?」
「・・・・いい機会だから君たちに教えておこう。役人などポストに就いている奴らの『考えておく』というフレーズはほとんどの場合、反故にされる可能性が大きい。」
「それってズルくないですか?約束は約束ですよね?」
不服といった様子でナカジマが不満げな表情をする。
君のいうことももっともだが、大人というのはそう都合よくは動いてはくれんのだよ。
「・・・実はというと、その約束事は正式な書面上でなされていないのだ。つまり、向こうが所詮は口約束としらばっくれてしまえば、まかり通ってしまうのが現状だ。」
「そんな・・・!!私たちの戦いは無駄だって言うことなんですかっ!?」
「無駄にはならんさ。いや、無駄にはさせないといった方が適切か。何も優勝校を廃校にさせるなどという暴挙を行おうとするのだ。必ずどこかしらに綻びが生じる。そこを搦め手でやらせてもらう。」
ある程度進んでいくと目的の代物がある区画へとたどり着く。
暗くてしっかりと目を凝らさなければ見えづらいが、そこにあるのはもはや見慣れてしまったものであった。
「これ、戦車・・・ですか?」
「ああ。そうだ。君たちにはコレのレストアを頼みたい。役人どもがいつ手を下してくるか分からんからなるべく迅速にやってほしい。できるか?」
「・・・・一つだけ、約束してください。」
「・・・・なにかね?」
「絶対に廃校を取り消し、もしくは何かしらの条件付の約束を取り付けて来てください。」
「・・・そちらは任せておけ。ああいうタイプには慣れている。ああ、それと、これは余談なのだが、この前戦車道の規定を熟読したのだがモーターに改造を施してはいけないなどというルールは明記されていなかったな。」
それを言うと自動車部の面々が目を輝かせながらこちらを振り向いた。
「あの、それ、ポルシェティーガーにやっていいですか?」
「ああ。存分にやるといい。できればこちらの戦車のエンジン周りもいじってほしいものだが、流石にそれは禁止されているからな・・・。まぁ、ヤツならなんでも乗り回すか。」
「ヤツって・・・。えっ、まさか?」
「そのまさかだ。というより、こんな無茶苦茶な話を聞いて、ヤツが動かんはずがない。」
「・・・・あの人って結構自分のこと、省みないんですか?」
「・・・どうだかな・・・。まぁ、割とあるかもしれんな。多少の無茶など気にも留めんヤツだからな。」
私が微妙な顔をすると自動車部のメンバーも揃って困った顔をしていた。
「・・・・疲れた。」
疲労感から思わずベッドに埋もれるように体重を預ける。
その俺の様子に祖母は表情を柔らかいものに変えている。
「まぁ、いいんじゃないのかい?麻子が好かれているという何よりの証拠じゃないか。」
「それは有り難いものなのだが・・・。」
俺は、西住が飛びついてきたあと、みんなから色々と言いたいことがあったのかそれぞれのチームからお説教のようなものをしこたま受けてしまった。
一番長かったのは西住達あんこうチームで次点でそど子達カモさんチームだった。
説教に次ぐ説教で俺の精神はノックアウト寸前だ。特に梓達ウサギさんチームに泣きながら色々言われたのもかなり堪えるものがあった。
しばらくベッドに寄りかかっていると病室のドアを開く音が響いた。
なんだ・・・?まだ何かあるのか・・・。できることなら勘弁してほしいのだが・・・。
そう思いながら扉に目を向けるとそこに立っていたのは予想とは全く異なる人物達であった。
「冷泉さん?具合の様子はいかがですか?」
「ん?ダージリンか。わざわざ来てくれたのか。」
「友人が入院したと聞いて、見舞いに来ない訳がないですわ。」
やってきたのはダージリン、オレンジペコと・・・アッサムだったか?とりあえず、聖グロの面々であった。ただ、オレンジペコとアッサムが死んだ顔をしているのが妙に気になったが。
彼女らの代名詞である紅茶の入ったカップは流石に病院で飲むわけにも行かないのか、手にはしていなかったが。
ダージリンは俺の祖母を見かけるとお嬢様らしく一礼してから自己紹介を始めた。
「お初にお目にかかります。わたくし、聖グロリアーナ女学院の隊長を務めさせておりますダージリンですわ。」
「・・・麻子が世話になっているね。しっかし、麻子や。いつのまにお嬢様と仲良くなったのやら・・・。」
「まぁ・・・向こうから交流を持ってきたというのが正しいがな。」
「ふふっ。それはそれとして、見舞いの品ですわ。」
ダージリンは俺に箱に詰められた何かを手渡してきた。
「これは?」
「わたくしが腕によりをかけてつくったスターゲイジーパイですわ。」
・・・・・ちょっと待て。スターゲイジーパイってあの魚の頭が突き刺さった見るからに地雷のイギリスの伝統的な汚料理か?
俺は唾を飲み込みながらその箱を開けると、パイ生地に突き刺さった魚の頭が開けた蓋の隙間から覗かせた。
俺はそれが見えた瞬間そっと蓋を閉じ、誇らしげに胸を張っているダージリンーーをスルーして背後に立っているオレンジペコとアッサムに無言で視線を向ける。
(・・・・すみません・・・。止めたんですけど・・・。)
(力及ばす、と言った具合です・・・。本当に申し訳ないです・・・。)
(・・・・そうか。君たちは悪くない・・・。悪いのは、よりによってこれをチョイスしたダージリンだからな。)
今、二人と通じ合えた気がする。アイコンタクトだけで彼女らが何を言っているのかわかった気がする。
「まぁ・・・ありがとう。後で食べておくよ・・・。」
「そう。お気に召したようで何よりですわ。それではわたくし達はこれで。後続がつかえていますので。それでは。」
うん。お気に召したとは一言も言っていないのだが・・・。
どう考えても今の俺は死んだ目をしている気がするのだが・・・。
ん?待て、後続がいる・・・だと?
最後に一つ礼をしてダージリン達が病室を後にすると、次に入ってきたのはーー
「HI!!マコー!!元気してるーっ!?」
勢いよくダージリン達が出て行った扉から入ってきたのはアメリカ風のジャケットを羽織ったケイ達サンダース組であった。
変わらずのハイテンションぶりだな・・・・。
「貴方がたも来ていたのか・・・。」
「まぁ・・・成り行きと行った具合かな。君たちが今まで戦ってきた相手校の隊長格がみんな来ているからね。」
ケイのそばにいたベリーショートでボーイッシュな印象を持っていた女性、ナオミの言葉に俺は目を見開く。
「全員・・・?プラウダや黒森峰からもか?」
「ええ、来ているわよ。なんなら全員呼んでくる?」
「あ、ああ。」
なし崩しのように答えてしまうと、ケイは病室の外に一旦出て行った。
程なくして再び病室に戻ってくるとプラウダのカチューシャとその彼女を肩車しているノンナ。
そして、黒森峰の西住 まほと逸見 エリカが入ってきた。
「ちゃんと生きてるのね。」
「開口一番にそれか・・・。まぁ、とりあえず、だな。」
病室に入るなりそんなことを言ってきた逸見に対して、俺は笑顔を向ける。
悪態はつかれてしまっているが、彼女の言葉に刺々しいものは感じず、朗らかなものを感じる。
ただ、そんな逸見のそばにいるまほからは妙に暗いオーラがにじみ出ていた。
「・・・その、傷跡はどうなんだ?」
「どう、と言われても、な。私には専門的な医療知識がない以上、みてもらった方が早いと思うのだが・・・。」
まほからそう言われるが俺は言葉を濁しながらカチューシャとノンナの方を見る。視線を向けられたカチューシャは疑問げな表情を挙げていたが。
「その、ノンナ。カチューシャに見せても大丈夫か?」
親代わりであるノンナに聞こうとしたが、カチューシャに俺が子供扱いしているのを悟られたようで、不満げな顔をされてしまう。
「もう!!カチューシャを子供扱いしないでよね!!普通だったら25ルーブルくらいシベリアへ飛ばすけど、カチューシャは大人だから今回は見逃してあげるわ!!」
「カチューシャがそう言っているので、気にしないでください。仮に気分を悪くしたのであれば、私が勝手に退室させておきますので。」
「・・・わかった。とはいえ、あまり見せびらかすものではないがな・・・。」
そういいながら、カチューシャからの承諾を得た俺は患者服を捲り上げて、傷跡を見せる。
縫合として縫った糸が傷の痛ましさを助長してしまっているだろうな。
「Oh・・・・。何にも言葉が出ないわ・・・。」
「これは・・それなりに深く行ってないか?」
「何針刺してんのよ・・・これ。」
「う・・・中々エグいわね・・・!!」
「カチューシャ、大丈夫ですか?」
「大丈夫・・・。だけど、特殊カーボンに覆われているのにこんな風になったの?」
カチューシャからの疑問に俺は困った顔をしてしまう。これには込み入った事情があるため、できれば話したくはないのだが・・・。
「まぁ、こちらの整備不良だな。元々ハッチが破損していてな。そこに運悪くティーガーⅠの砲弾が当たり、あとはお察しだ。」
「ちょっと待って!!貴方、そのケガをした時すぐにはミホーシャには伝えてなかったってことっ!?」
「ええ、そうよ。だから私はコイツのことを筋金入りのバカだって行ったのよ。この馬鹿は私がみほと仲直りするまで乗員にも告げずに刺さったハッチをそのままにしていたのよ。」
俺が答えようとしたが、逸見に先に言われてしまう。
おい、俺が馬鹿なのは認めるが、乗員には言っていたぞ。沙織にだけだがな。
「まぁ・・・麻子が元々そういう子だと言うのはわかっていたけどねぇ・・・。」
「えっ!?おばぁさん。マコーシャって元からそういうことばかりしていたの?」
祖母の呟きにカチューシャが驚きの表情をしながら尋ねた。
というか、その○○ーシャという呼び方、俺にも付いていたのか。
「昔から自分のことは割と二の次な子だったよ。十七年この子を見続けたけど、一度たりとも自分を優先する、なんてことはなかったねぇ・・。」
祖母の言っていることは最もだ。まぁ、何というか、中身が大人なわけだからな・・・。自然と年下に関しては見守らなければならないみたいな、一種の責任感のようなものを覚えてしまう。
「つまり、マコは自分を一切省みないってわけね。流石にそれは少し反省が必要らしいわね・・・。」
ケイのその言葉を聞いた瞬間、他の面々、正確にいうとまほ以外の人たちの雰囲気が変わった。
具体的に言うと西住達に受けた説教と同じような感じの気配だ。
「・・・・・・。」
俺は嫌な汗をかきながら、せめてもの抵抗で医療用ベッドの布団を頭まですっぽりと被る。我ながら情けない姿だ・・・。
「逃すかぁ!!」
「お、おい!!説教はもうこりごりなのだがっ!?」
「みほを悲しませたから言語道断よっ!!潔く説教を受けなさいっ!!」
逸見に布団を剥ぎ取られ、身を隠すものがなくなってしまう。
その後はお察しで再び説教を受けてしまった。勘弁してくれ・・・。
「あの・・・・。」
「ん?なんだい?」
彼女が各校の隊長格の人物やエリカに怒られている間に私は彼女の祖母に話しかけた。
彼女がいくら怒っている様子がないとはいえ、家族であるこの人が怒っていないとは限らない。
「その、私は彼女を怪我させたティーガーⅠの車長の西住 まほといいます。」
「西住・・・?西住ちゃんと姉妹かい?」
「そう・・ですね。一応、私が姉です。その・・・彼女を怪我させたのは私の所為でもあります。だから、その。申し訳ありません。」
私は彼女の祖母に対して、頭を下げた。
許されなくても構わないが、最低限、謝っておかねば、私の気が済まない。
最悪、どんな罵声でも甘んじて受けるつもりだったがー!
「顔を、上げてくれないかい?」
彼女の祖母からそう言われ、私はゆっくりと顔を上げた。
怒りの表情をしていると思っていたその表情には彼女と同じように怒りの表情は見られなかった。むしろ優しそうな表情をしていた。
「まぁ・・・普通であれば、孫を傷つけられたから怒るべきなんだろうけどね。
ここでアンタを怒ることは何より怪我を負った麻子自身が望んでいないことなんだと思うのよ。アンタ、麻子にはしっかり謝ったんだろうね?」
「う・・・。すみません。その時は気が動転していて、正直に言ってしまうと、まだです・・・。」
「ハァ・・・。状況が状況だったと言ってしまえばそれまでだけどね。とりあえず、怪我を負った時、アンタに麻子は怒っていたかい?」
「い、いえ。むしろ、こちらに気を遣ってくれていました・・・。」
私がそういうと彼女の祖母は再度、ため息を吐いた。だが、その表情には呆れのようなものもあったが、微笑んでいるように見えた。
「まぁ、さっきも言ったけど、そういう子なんだよ。あの子は。いくら自分が怪我を負わされたとしても絶対にその怪我を負わせた相手を怒ったりしないのさ。
無論、当時は私だってそりゃあ怒りはしたさ。唯一の家族だからね。でも、そんなあの子を見ている間に変わっちゃったのさ。」
「変わった、ですか?」
「そう。あの子が人を咎めはしても絶対に怒ったりしないのは、憎しみとか、そう言った感情を下らないって思っているからさ。まぁ、そもそもかなり大人びているっていうのもあるかもしれないけどね。全く、どこでそんな風になっちまったのかねぇ・・・。」
困り顔の彼女の祖母を置いて、私は視線をまだ説教を受けている彼女に向ける。
憎しみといった感情は下らない・・か。これでは、思いつめた表情でここにきた私が馬鹿みたいじゃないか。
「だから、アンタもそんなしけた顔なんかしないで笑顔を見せなさいな。どんな性格なのかは知らないけど、西住ちゃんと同じくらい顔はいいんだからね。」
「・・・はいっ!!」
「あ、でも、しっかりと麻子にガツンと言ってやっても構わないからね。相手に怒りを撒き散らさないのはいいとして、周りの心配を無下にしたのは頂けないからね。」
「お、おばあさん・・・。ものすごく悪い顔してますけど・・・。」
「孫の今後を心配して何が悪いんだい?ほら、アンタも言いたいことがあるなら加わってきな。」
「ほ、ほどほどにしておきますね・・・。」
「麻子はあれくらいで潰れたりはしないよ!」
彼女の祖母からの後押しを受けて、私も彼女の説教の列に加わった。
まぁ、私も色々と後になってから言いたいことがあったからな。
だが、まずは謝らなければならないな。
とりあえず、色々な意見もありましたが、頑張っていきたいと思います。
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自分が戦車についての知識ロールが致命的失敗してたのでシャアと自動車部の辺りを大幅修正しました(白目)
最終章、見たいですか?(モモチャンズリポートのあとがき要参照)
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