冷泉麻子、行きまーす!!   作:わんたんめん

52 / 65
はい、九割方みたいと言う方がほとんどでしたので書きました^_^

まぁ、まずは導入みたいなものなので要素はほとんどありませんが、やはり書いている以上最終章ネタバレ注意です。

そこら辺は留意して読んでいってください^_^


最終章  ネタバレ注意!!
最終章  第一話


「シャア!!あとどのチームが残っていた!?」

「……………あんこうチーム、ウサギさんチームか。それ以外は撃破を確認している。」

「あと二チームですが、案の定西住達のチームは残りましたね。」

「西住達が残るのは目に見えていたが、澤達のM3リーが残っているのか、これなら将来は安泰かもな!」

「まぁ、お前がいればしばらくは安泰だと思うがな。」

 

シャアのそんな大洗についての未来を話しながら、俺はコメットのアクセルを蒸かし、森の中を疾走する。

 

さて久しぶりだな。すまない、唐突だが、何故だかこのような言葉を言わなければならないと感じた。

で、今の状況だが、俺、シャア、河嶋の三人が乗っているコメットは現在森の中を疾走している。

森と言っても場所は大洗女子学園艦の敷地内にある森だがな。そして何故このような状況になっているかと言うと、ある日の沙織の一言が原因だった。

 

『ねぇねぇ華ー、今みんなのレベルが麻子や前会長くらいまでに上がったら、絶対この先の全国大会でも結果を残せるよね?』

 

俺はその時生徒会室にいなかったから聞くよしもなかった。が、はっきり言ってその時は妙な悪寒は感じ取っていた。

嫌な予感がするとは思っていたが、その予感は予想通り現実のものになった。

 

その沙織の言葉を聞いた現生徒会長である華が、『なるほど、確かに沙織さんの言う通りですね。』と彼女の言葉を真に受けてしまったのだ。そこはなんでもいいから否定して欲しかった…………!!

 

『チーム全体のレベルが麻子さんクラスまで上がったらもれなく全国の並みいる才能あふれる人たちがこの大洗に押し寄せてきますよ!!そしたら今度こそ廃校なんていうことはなくなると、この不肖秋山優香里は進言致します!!』

 

そして、そこに秋山の援護射撃だ。はっきり言って生徒が増えれば廃校になることはなくなる。彼女の言うことになんら間違いはないのだが、手法は何か別なものはなかったのか?

俺なんかの力一つで生徒が押し寄せてくるわけないだろう。シャアならともかく。

 

で、広告担当の沙織と副会長の秋山、そして会長の華の賛同をもらってしまった我らが戦車隊隊長のみほはーーー

 

 

『あ、あははー・・・・まぁ、みんなの実力が上がることに越したことはないから・・・・じゃあ、こんなのはどうかな?』

 

苦笑いを浮かべながらもみほが立案したのが、一言で言えば、俺たちVS大洗女子学園だ。

一輌で8輌近く相手にするのか………まぁ、今に始まったことではないため別に構わないのだが。

 

そんなこんなで始まった試合形式の演習だが、今の状況はみほ達が乗っているⅣ号戦車と澤達一年生グループが乗っているM3リーの二輌だけだ。

みほ達は残ると思っていたが、澤達が残っていたのは驚いた。教えた甲斐があるというものなのかはわからないが、少し鼻が高くなる感覚だった。

 

まぁ、手当たり次第シャアが目についた奴を片っ端から一撃で沈めていたから運良く残った、というのが正確な言い方なのかもしれないが、運も大事な実力の内だ。後で操縦手の桂利奈を褒めるとしよう。

 

そんなこんな考えながらコメット飛ばしていると、不意に操縦席の覗き窓に写っていた視界が白くなっていく。

 

「ん………霧か?」

「そのようだが…………。」

「海上での霧は珍しい訳ではありませんが………何しろ危険が伴うことでもあります。いくら学園艦が大きいとはいえ、船舶科の生徒がそのようなことをしますかね?」

 

突然霧がかってきた視界に俺やシャアはともかく河嶋も疑問視しているようだ。

確かに霧の中での操縦は危険だ。しかもこの霧…………かなり濃いな………。

一度学校の方へ戻った方が懸命か。

 

そう思い操縦桿を校舎の方へ向けようとした時ーーーー

 

「っーーーーー!?」

 

突然視界がぐにゃりと曲がったのだ。外は霧の白でよくわからないが、少なくとも視界に入っているコメットの内装が歪に歪み始めたのだ。

思わず不快感から表情を険しくする。

 

「何………だ………一体、何が………!?」

「アムロ!!気をしっかり持て!!意識が持っていかれるぞ!!」

 

シャアの声に咄嗟に操縦桿やペダルから手と足を外し、コメットを止めるとシャアの方に視線を向ける。視界にはなにやらぐったりとした様子の河嶋と彼女を苦しげな表情を浮かべながら抱えているシャアの姿があった。

 

「一体何が起こっているんだ………!?」

「私にも分からん………西住君達にも通信が届かん有様だ………!!」

「くそ………不味い………意識が…………!!」

 

俺は咄嗟に操縦席のハッチから脱出しようとしたが、それより先に意識が落ちてしまう。

意識が完全に闇に落ちる寸前、見えたのはみほを始めとしたあんこうチームの面々だった。

 

(みほ………すまない………!!)

 

特にみほの笑顔がちらついた俺は彼女に届くはずのない謝罪の言葉を思い浮かべながら、意識を闇に落とした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ…………んん…………?」

 

時間にしてどれほどたったかは知らないが、徐々に意識がはっきりしてくると体を起こし、周囲の状況を確認する。ひとまず、意識が落ちる寸前までいたコメットの中にいるのはわかった。視線を動かすと砲手の席にもシャアと河嶋が項垂れていたから俺たちはとりあえず安堵のため息を吐いた。

 

まずは二人を起こすか。まずは顔を引っ叩きながら起こすとしよう。奴の頭をべしべしと叩くとなかなかいい音が車内に響く。

 

「おい、シャア。生きているんだろう。さっさと起きろ。」

「っ…………ぐぅ………。アムロ、か?」

「ああそうだよ。」

 

少ししない内にシャアが魘されるような声を上げながら目を覚ました。

 

「…………ツインテールに髪を結んでいる妙に幼いハマーンが川の先で手招いていた…………。」

 

よし、どうやらもう一発殴った方が良さそうだ。相当妙な夢でも見ていたんだな。あんなアクシズの女傑と呼ばれたハマーン・カーンがそんな髪型をする訳ないだろう。

 

「待てアムロ、さすがに冗談だ。だから無言の笑みのまま拳を構えるのはやめてほしい。」

「そうか。お前が正気を保っているようで安心したよ。で、河嶋はどうなんだ?」

 

シャアの冗談を置いておいて、俺は奴の隣にはで気絶している河嶋に視線を移す。隣にいたシャアが河嶋の体を揺さぶってみると程なくして彼女も目を覚ました。

 

「ん、んん…………私は、一体………?」

「会長………?すみません、何か霧が立ち込めてきた辺りからの記憶がないんですが………。」

「今の今まで気絶していたんだ。」

「き、気絶っ!?一体どうして………!!」

「それはこっちが聞きたい気分だ………。」

 

驚いている河嶋に俺は両腕を上げながら肩を竦める。さながら見当もつかない状況だ。

 

「…………ひとまず周囲の確認をしよう。」

 

シャアがコメットのキューポラを開けて、周囲の確認を行う。程なくして戻ってきたシャアの表情に特に焦っているようなものは見られなかった。

 

「…………先ほどと同じ森だな。それ以上はわからない、が。」

「が?何かあるのか?」

「……………アムロ、少し耳をかせ。」

 

突然のシャアの言葉に疑問を抱きながら俺はシャアに近づいて耳を向ける。

 

(…………ここをさっきまでいた大洗女子学園だと仮定した時になんだが、ちょうど校舎のある方角に妙な感覚がするのだ。)

(妙な感覚だと………?)

(ああ、さながら自分と全く同じ人間と相対しているかのような………そのような不快感だ。もっともそれは軽いもので済んではいるが………)

(…………ひとまず、そちらに向かった方がいいだろう。現状、手がかりがそれしかないのだからな。気分はあまりよくはないだろうが、)

(…………いや、気にするな。お前の言う通り、それしか手がかりがないのだからな。)

 

シャアが納得したとみると俺は操縦席に戻り、操縦桿を握った。アクセルや走行に関係するレバーを操作し、コメットを前進させる。

 

「あ、あの…………どうするんですか?我々がなんらかの異常事態に巻き込まれたことは察せるのですが………」

「…………それは正直、わからないのが正直なところだ。だが、それなりの覚悟をしておいた方が良いのかもしれない。」

「か、覚悟、ですか………!?」

 

不安そうだった河嶋の表情がシャアの言葉で青ざめたものに変わる。まぁ、仕方がないだろう。急に覚悟などと言われてしまえば、あのように狼狽してしまうのは致し方ない。

 

しばらく森の中を走らせていると森をぬけて開けた場所に出た。まず始めに目がついたのは、見慣れた大洗女子学園の校舎だった。見慣れているはず、なんだが……………。

 

「…………大洗女子学園、ですよね?」

「ああ、そのはずだ………。」

 

河嶋がどこか不安が込められたような声を上げる。まぁ、先程の超常的な現象を目の当たりにしていたとはいえ、こういう今の状況に彼女が不安を持てるのは正直言って驚いた。

 

「…………ヘッツァーがあるな。」

「何…………ヘッツァーだと?」

 

シャアの言葉に思わず操縦席の覗き窓から確認すると、グラウンドには大洗の戦車が整列していた。その理由はわからないが、少なくともⅣ号やポルシェティーガーといった今まで同じ仲間として戦ってきた戦車はあった。

しかし、ヘッツァーだけは別だ。確かに使ってはいたが、全国大会が終わった後はコメットのせいで完全にお蔵入りになっていたはずだ。

 

「………………一応、近づくか?お前の言う不快感もあそこにあるのだろう?私もここに来てようやくだ。」

「仕方あるまい。進ませてくれ。」

 

シャアの言う通り、その戦車の隊列に向けてコメットを進ませる。徐々に近づけていくと並んでいる戦車の前にこちらを驚いたような様子で見つめている集団があった。

 

「………………これが不快感の正体か。」

「そのようだな。」

「え、ええっ!?!?」

 

俺とシャアが険しい顔をし、河嶋は訳がわからないといった様子で狼狽しながらコメットの中で喚き立てる。

まぁ、無理もないだろう。あの集団には河嶋と瓜二つ、いや、おそらく同一人物と言っても過言ではないほどよく似ている河嶋の姿がこちらを見つめている集団の中にあった。

 

そして、その集団には、似ても似つかないが俺とシャアは直感的に察した。みほ達あんこうチームの中にいる妙に眠たそうにウトウトとしている黒髪ロングにカチューシャのようなものをつけた少女と、先程の河嶋と小山の間に立っている赤みがかった茶髪をツインテールに結んだ少女。

 

彼女らは『冷泉 麻子』と『角谷 杏』だ。

 

まさか、中身は違うが、こうして自分と同じ存在の人物が目の前にいることに、俺は冷や汗のようなものを流さざるを得なかった。

 

「おいシャア…………。」

「分かっている。彼女らは厳密に言えば違うが、我々だ。」

「………………私にはお二人より背が小さいように見えるのであくまで似ているだけのようにも思えますけど………。」

「…………まぁ、それはおいておこう。それでどうするのだ?向こうもこちらを視認しているが、このまま何もしないのは流石に気味悪がられるぞ。」

「出るにしても河嶋を出すのは不味いだろう。確実に混乱を引き起こす。」

「だろうな。知らない戦車から突然知り合いと瓜二つの人間が現れれば、混乱まったなしだ。」

「となると私かお前が出るのが一番安全だ。」

「……………じゃあ俺が行くか。」

 

 

シャアの言葉に俺は一つため息をつくと、操縦席のハッチから身を乗り出し、コメットの車体に立ち上がる。知らない戦車から知らない人間が出てきたことに大洗の面々と思われる集団は困惑顔を隠せないでいた。

 

「ねぇねぇみぽりん。誰か出てきたけど…………。」

「一体どこの学校の制服なのでしょうか………見たこともありません。」

 

おそらく沙織と秋山だろう。突然出てきた俺に不安と興味のようなものを向けているようだ。少しばかり辛いが今は我慢するとしよう。

 

「一つ、確認したい。ここは大洗女子学園の校舎で間違いはないのか?」

「んん…………?この声、誰かと似ているような…………?」

 

俺がそう聞いてみると沙織が訝しげな表情を浮かべ、唸るような声を上げ始めた。答えはきみの隣にいる寝ぼけている奴だが、今は何も言わないとしよう。

 

「えっと、はい。そうですけど…………あの、どちら様でしょうか?」

 

そう答えてくれたのは少々表情が強張っているみほだった。

………中々知り合いから素性を尋ねられるのは中々心に来るものがあるな。

まぁ、厳密に言えば別人だと分かっているから割り切れるが…………。

 

「…………アムロ、別に言っても構わんよ、むしろここで隠してもどうしようもない。」

「…………わかった。」

 

コメットの中からそう言ってきたシャアに理解したことをだけを返すと俺は大洗の面々に視線を向ける。

 

「大洗女子学園所属の二年生。クラスは二のEだったか?まぁいい。ひとまず、このコメットの操縦手をやっている冷泉麻子だ。」

「………………はい?」

 

俺が名乗った名前に素っ頓狂な声を上げたみほを筆頭にその大洗の面々は沙織の隣でウトウトを船を漕いでいる少女と俺を何回か視線で行き来するとーーーー

 

 

『えええーーーーー!?!?!?!??』

 

出された驚きの声は校舎のグラウンドで反響するように辺りに響いた。思わず耳を塞いでしまう喧しさだった。

 

…………この反応をされるのはわかっていた。思わずため息を吐いてしまうがな。

 

で、彼女らの反応とか色々見てわかった。ここは俺たちの知っている大洗女子学園ではない。

よくある平行世界とか言う奴の類だろうな。

 

全く、面倒なことになった…………。




原作トリップにした理由その1

作者の戦術脳が無さすぎてBC自由学園とかの対戦校がアムロとシャアにどのようなメタ張ってくるか戦術を組み立てられないこと。

理由その2

仮にたてたとしてもアムロとシャアなら普通に真っ向勝負で叩き潰せるだろうから。

最終章、見たいですか?(モモチャンズリポートのあとがき要参照)

  • 見たいです
  • 見たくないです

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。