今回はクレアに焦点をあてた話です。
では、どうぞー。
「そういえばクレアちゃん」
「?」
「クレアちゃんの昔って、どうだったの?」
「うっ‥‥‥どうしてそれを聞こうと思ったの?」
「いやぁ、あまり自分の事話さないから気になっちゃってさ」
「うーん‥‥‥あまりいい話じゃない、よ?」
「いいよいいよ!それで、どうなのかな?」
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私が塞ぎ込んで、立ち直るまでには、話がちょっと長くなる。
あれは、私がまだ幼かった頃にさかのぼる。
当時12歳だった私は、アカデミーではそこそこの成績を修め、そこそこの友達とよく遊んでいたと思う。
私には親友と呼べる男の子が一人いた。
ロウ。
それが彼の名前。
彼には随分とお世話になった。
彼とはとても良い思い出を作れたと思う。
そんな事を考えながら市街地へ買い物に繰り出していたある日のこと。
私にとって、自らを殻に閉じ込めるきっかけの一つである事件が起きた。
‥‥‥"ダーカー襲撃"。
それまで何ら辺哲のない日常を送っていた人々が、非日常に叩き込まれるという最悪な事件だった事を鮮明に覚えている。
そして、彼がそれで傷ついてしまったという事実も、覚えている。
『ロウ、早く!』
『わ、わかってる!お前も早く行け!』
『でも‥‥‥!』
『ほら、早く行けって!』
私たちは今すぐにでもこの非日常から逃れるために、必死に走った。
だけど‥‥‥。
『こ、ここまで来れば‥‥‥ロウ‥‥‥?ロウ、何処に行ったの‥‥‥?』
彼がいない。
焦った私は慌てて引き返し、ある程度戻った所に彼はいた。
『ロウ!何を‥‥‥』
『クレアか!ちょっと手ぇ貸してくれ!』
『ど、どういう‥‥‥』
『ここ、瓦礫で女の子が動けねぇみたいなんだ。急がねぇとここもヤバくなる‥‥‥そうなる前に頼む!』
『わかった‥‥‥行くよ?』
私が支え、ロウが瓦礫を少しずつどかしていく。
十分も経たないうちに女の子を助ける事ができた。
『やった‥‥‥もう大丈夫だからね。ロウ、私がこの子を運んでいくよ』
『わかった、とにかく何とかなったな───』
瞬間、女の子の顔が青ざめていく。
私は突発的に女の子を抱え、彼に"逃げて!"と叫んだ。
だけど、遅かった。
だって彼には‥‥‥もうすぐそこまでダーカーが近づいていて、今にも攻撃しようとしていたのだから。
『─っ、オイマジかよ』
そう言った矢先、彼は吹っ飛ばされた。
私は逃げた。
いや、逃げて"しまった"。
私は偶然とはいえ、彼を見捨ててしまったのだから。
『ハッ、ハッ、ハァッ‥‥‥嫌、嫌だぁ‥‥‥来ないでよぉ‥‥‥!』
『おねーちゃん‥‥‥こわいよ‥‥‥』
『大丈夫、大丈夫だから‥‥‥私が、いるからね‥‥‥?』
『うん‥‥‥あのおにーちゃんは‥‥‥?』
『ロウなら‥‥‥大丈夫よ。きっと‥‥‥戻ってくる』
こうして事件は終わり、住民に身体的にも、精神的にも大きな傷が負わされてしまった。
‥‥‥当然例外無く、私にも。
『あの、ロウは‥‥‥』
『一応一命はとりとめたよ。後遺症もなく回復できそうなんだが‥‥‥しばらく面会はできないかもな』
『そう、ですか‥‥‥』
私の、せいだ。
私のせいで、彼は傷ついた。
私がもっと早く気づいて教えることができてさえいれば、こうはならなかったはずなのに。
そうして私の心にぽっかりと穴が開いたまま、虚無感を覚えたまま‥‥‥私はアークスになった。
当時の私は、傷つくことが怖くて、他人の目を見るのが怖くて、重く硬い装甲に身を包み、髪を長く伸ばして目元を隠した。
だからこそなのか、同期からは"役立たず"とよく言われた。
元来私がなったガンナーというのは、敵に接近して一撃を叩き込む射撃職。
だけど私はあの時を思い出してしまい、敵に近づく事を恐れた。
だから、"敵に近づけないガンナーはいらない""いつもビクビクオドオドして見ていて腹が立つ""お前はいなくても誰も困らない"なんてよく言われたものだ。
そうしてアークスになってから一年が経ち、私たち新米アークスにも本格的な任務を任されるようになった頃。
そして、私にとって大きな事件の一つが起きた時期でもあった。
『やっと俺達に任務が降りたのか。ったく上は何考えてんだか』
『そうだな。俺達はもうやれる実力まで来たのだからさっさと寄越しても遅くはなかったはずなんだがな』
『でもこうして任務にありつけるだけいいんじゃないの?それに今回の任務は楽勝な奴でしょ?』
『まぁな。だが‥‥‥』
『なんで俺達のパーティにこんな役立たずを入れなきゃなんねぇのかねぇ‥‥‥』
『‥‥‥っ』
『仕方ないだろ。一応これが上にとっては卒業試験みたいなもんなんだから』
『そうそう。こんなのさっさと終わらせて、そこの役立たずからおさらばしましょ』
『だな。おいお前』
『‥‥‥は、はい』
『こんな任務に連れて行ってもらえるだけありがたいと思えよ。お前は動かなくて良いから』
『わかった‥‥‥』
そう言い捨てられ、私たちはテレプールへと飛び込んだ。
それからと言うものの、順調に進んでいるように見えた。
私も自分が役立たずな事がわかってるから、そこそこ撃って、後ろに下がっていた。
そんな時だった。
周囲から音が消えた事に気づいた私たちはすぐに身構えた。
『んだよ‥‥‥静か過ぎんぞ』
『妙だ‥‥‥ここまで静かな事が今までにあったか?』
『か、考えすぎよ。それだけ敵を倒せてることなんだから、ほら、行きましょ!』
『お、おう』
『まさか───おい待てっ、進むな!』
『え───』
長銃を持った男が警告した瞬間、彼女の身体に無数の両刃剣が突き刺さる。
『あ、が‥‥‥』
『お、おい‥‥‥マジかよ‥‥‥!』
『た、たす‥‥‥けて‥‥‥』
『ま、待ってろ、今助けてやる!』
『畜生、何が起きたんだよ!』
長銃で群がる鳥型ダーカーを追い払い、傷ついた彼女を助けに向かっていった。
だけど‥‥‥。
『なっ‥‥‥数が多すぎる!さ、捌ききれん!う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!?』
『レナードォォォ!!畜生ォォォ、どけぇぇぇぇぇ!』
あっという間にダーカーの波に呑み込まれ、助けに飛び込んだ彼が追い払ったが遅かった。
目の前で、いとも簡単に刈り取られた。
『クソッ‥‥‥なんで‥‥‥なんでこんな‥‥‥!』
『ね、ねぇ‥‥‥ここから早く離れた方が‥‥‥』
『うるせぇ!俺に指図するんじゃねぇ!』
『で、でも‥‥‥』
『とにかく何がなんでも突破するぞ‥‥‥文句言うんじゃねぇぞ』
『うん‥‥‥』
そう言って、歩みを止めることはなかった。
進まなければ。
そうして進んだ先で、後に"ブリュー・リンガーダ"と呼ばれる新型と遭遇した。
恐らくそれが元凶。
私が作戦を聞く前に、彼は突撃していってしまった。
『テメェが親玉かぁ!!ぶち殺してやるぁぁぁぁぁ!!』
『ま、待って!今までの敵とは違う‥‥‥!ここは連携を‥‥‥!』
『るせぇ!ガタガタ言ってんじゃねぇ!俺は一人でもやれるんだ!』
仕方なく私は援護に徹することにした。
だけど、一向に有効打が与えられているような印象がない。
まさかそのリング状の物体が関係している‥‥‥?
『クソッ、クソッ、クソッ!!いい加減くたばりやがれよぉ!!テメェみたいなのがいるから!レナードは!タリアは!必ずここでぇぇぇぇぇぇ!!───え?』
『───あ』
彼の背後には、小型の鳥型ダーカーが両刃剣を構えて今にも刺し殺さん勢いで突撃していた。
そうなれば空中で攻撃していた彼は格好の的であって‥‥‥。
"ドシュッ"
刃が身体に突き刺さる音が響き、彼は叫んでのたうちまわる。
『グァァァァァァァァァァ!!イテェぇぇぇぇぇぇ!!』
『そんな‥‥‥!うぅっ、近づけない‥‥‥!』
『クソがぁぁぁぁ!早く俺を助けろよぉぉぉぉぉ!!』
私が助けに飛び込もうにも、取り巻きがそうはさせてくれない。
そうして、あっという間に彼の周りにダーカーが群がり‥‥‥。
『ああクソッ‥‥‥早く、助け──ギィアアアアアアアアア!!!!』
ダーカーに群がられ、次々に剣を突き立てられ、遂に命を落としてしまった。
そうなると残った私が狙われる訳で‥‥‥。
そこからは早かった。
私は一目散にその場を離れる事を決め、すぐさま行動に移した。
あらかじめ持ち込んでいた無用の長物に成り果てかけていたスタングレネードを投げ、少しでも時間を稼ぐ。
そうして命からがら逃げ切った私は、教官から同情の言葉を受け取ったが、そんな事はどうでも良かった。
私は、役立たずなんだ。
私なんていなくても、いいんだ。
そう決めて私はしばらく自分の部屋から出ることができなかった。
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それからしばらくして、気晴らしにショップエリアを散策していた時の事。
私は、アカデミー以来の友人に出会ってしまった。
彼が生きていたことには喜べたとしても、私が見捨てて逃げてしまった事には変わりない。
恨み言を言われるんじゃないかと思ってしまった私は、その場から逃げ出した。
でも、彼は追いかけてきた。
何処まで行っても追いかけてくる事に私は諦め、逃げることをやめた。
そして彼は私に問いただした。
『はぁ‥‥‥はぁ‥‥‥はぁ‥‥‥な、なんで逃げたんだよ‥‥‥』
『だって‥‥‥私は、貴方を見捨てて逃げたんだよ‥‥‥?』
『見捨てて逃げたって‥‥‥いつの話だよ?医者さんから聞いてないのか?俺は気にしてないって』
『それでも!私は、気にする‥‥‥!』
『はぁ‥‥‥まぁ、いいさ。それでなクレア』
『何‥‥‥?』
『いや、せっかくまた会えたんだしさ。近況報告って事でちょっと話しないか?』
『‥‥‥わかった』
立ち話も何だから、と言われてカフェに場所を移してお互いの近況を話し合った。
私はアークスになった事を。
彼はあれから普通の民間人として復帰できた事を。
『へぇー、アークスになれたのか!大躍進じゃねぇか!』
『そんな事ないよ‥‥‥私なんて役立たずだし‥‥‥』
『役立たずってお前なぁ‥‥‥気づいてないかもしれないけどな、お前結構いい奴だよ。周りに気配りできてるしさ、皆に優しいしよ』
『でも‥‥‥私は、何も守れてない!』
『‥‥‥』
『‥‥‥ごめん』
『んや、いい。それよりクレア』
『何?』
『単刀直入に聞くぞ』
『───え?』
"お前、何のためにアークスになったんだ?"
その一言で、私は初めて自分が何のためにアークスなったのか改めて考える事ができた。
私は、何のために‥‥‥。
最初は、先輩アークスたちへの憧れから。
段々養成施設で訓練していくうちに、"誰かを守るために"と考えるようになっていったと思う。
『誰かを守りたくて、アークスになったんじゃないのか?傷つく奴が見たくないから、なったんじゃないのか?』
『‥‥‥そうだ。私は‥‥‥』
『‥‥‥よし、良い顔になったな。クレア』
『え───?』
『ここんとこずっと抱え込んでたんだろ。顔に出てたぜ?』
『うそっ‥‥‥』
『ホント。お前昔と変わんねぇなぁ‥‥‥そうやって自分一人で抱え込む癖も、さ』
『う‥‥‥』
『だけど、良い顔になった。すっとした良い顔してるよ、今のお前の顔』
『そ、そんな事言って‥‥‥もう』
『悪い悪い。でも、悩みはもうなくなったんじゃないか?』
『───うん。ありがとう‥‥‥』
『良いって事よ。俺達友達だろ?』
この時、久しぶりに笑えたような気がする。
ずっと何かを抱え込んで、一人で無理をしていたのかもしれない。
彼のおかげで、少しはスッキリしたのかもしれない。
そうだ。私がアークスになったのは、誰かを守るために‥‥‥かけがえのない人を助けるために、なったんだ。
今までどうして忘れていたんだろう‥‥‥。
もうよそう。
私は、今を生きているんだ。
昔は確かに辛いことはあった。
でも、それは過去なんだ。
それを糧にして、今を生きていく事が大事なんだ。
『‥‥‥ふふ』
『どうした?』
『ううん‥‥‥なんでもないよ。ねぇロウ』
『ん?』
『いつもありがとう』
『な、なんだよ‥‥‥照れるじゃねぇか』
『言いたかっただけだよ。気にしないで』
この日から私は心から笑えた。
これからも、きっと大丈夫。
私は、アークスなのだから。
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「───ここまでが、私の話。つまらなかったでしょ?」
そうリューに問うと、彼女は涙を流して鼻水をかみながら答えた‥‥‥ってリューちゃんそれ女の子がしていい顔じゃないよ‥‥‥(汗)
「ぜんっぜん!ズビックレアちゃん健気すぎぃ!」
「えぇ‥‥‥」
「そして君の友達は神様か!優しい友達で良かったじゃん!ズズッチーンッ‼」
「リューちゃん‥‥‥きたない‥‥‥」
「はー‥‥‥スッキリした‥‥‥でもさ、それだけ辛い思いしたんだからこれからだよ。これからしっかりと良い思い出作っていこ?」
「そうだね‥‥‥あ、あれもしかしてロウかな‥‥‥ちょっと行ってくるね」
「ん、いってらっしゃい!」
そして私は彼の元へ走る。
あの時のように無邪気に語らう。
私は、笑えるんだ。
Episode Clare ...END
という訳で、クレア編でした。
いやー、長かった()
これ読む人いるのか‥‥‥?(汗)
まぁ大丈夫でしょう、うん。
では、次回の更新でまたお会いしましょう。
ではでは(*´∀`)ノシ
(おまけ)
クレアちゃんはこんな人。
今ではこういう衣装着てるよ()
コンバットシリーズ高かった‥‥‥(白目)
【挿絵表示】