とあるアークス達の(非)日常   作:アインスト

15 / 18
今回は趣向を変えてリュー編です()

ではほんへ、どぞー(´・ω・`)


エピソード"リュー" ~憧れのあの人へ~

 

数年前。

 

テミスの災害を覚えているだろうか。

 

あの忌まわしき事件を。

 

その際に、もう一人の守護輝士の卵が生まれた事は誰も知らないだろう。

 

これは、一人の少女の、憧れと恨事の物語である。

 

 

 

──────────────────────

 

 

 

走る。

 

ただひたすらに走る。

 

なんでこんな事になったのか、私にはわからない。

 

けれど、これだけはわかる。

 

ダーカーが、私たちを殺しに来たんだ。

 

こんな所で死ねない。

 

逃げなきゃ。

 

逃げなきゃ──────殺される。

 

そう思っていた矢先に、一匹のダーカーが立ち塞がる。

 

大きい。

 

アークスの人が言ってたっけ‥‥‥確かあれは"ダークラグネ"とかだったはず。

 

ダメだ、これじゃあ逃げられない。

 

────死ぬ?私が?

 

 

 

 

「いや、だ」

 

 

 

キチキチと牙を鳴らすダークラグネに恐れを抱き、うずくまってしまった。

 

 

 

 

「死にたく、ない───誰か、助けて───!」

 

 

 

 

一抹の希望にすがり、私は目をつむった。

 

だけど、何時まで経っても痛みが来ない。

 

ふと目を開くと、そこには─────。

 

 

 

「──無事のようだな。立てるか?」

 

「え、あ‥‥‥」

 

「心配するな、救援に来た。マトイ、奴を抑えてくれ」

 

「任せてブレイド。さぁ、早く逃げて!」

 

「は、はい‥‥‥!」

 

 

 

後に守護輝士と謳われる、英雄が立っていた。

 

紅く染まったボディにバイザーに隠されたツインアイ。

 

彼の名は‥‥‥ブレイド。

 

この時、私は彼に憧れを抱いた。

 

いつか彼のように、彼と同じように、戦えたら‥‥‥。

 

そう思っていた時には、既に入隊申請を終えていた。

 

それからは少しでも追いつきたくて、色々調べた。

 

あの人は抜剣を使っている。

 

ならば私も使おう。

 

あの人はブレイバーだ。

 

ならば私もブレイバーになろう。

 

そう考えて、気づけば彼を模倣していたと思う。

 

彼と同じくらい強くなりたかった。

 

それが、実を結んだのだろう。

 

いつかのハルコタン調査の際、私は彼に次ぐ実力者として称えられた。

 

 

 

 

───でも、私が求めているのはこれじゃない。

 

 

 

私は彼の二番目というレッテルを貼られてしまったのだ。

 

彼の模倣をしたがために、比べられた。

 

"ブレイドが出来ているのに何故出来ない"

 

"ただの偽物じゃないか、実力があるだけで"

 

‥‥‥悔しかった。

 

彼と同じくらい強くなりたかったはずなのに、今は彼と比べられて貶められている。

 

何より、二番目というレッテルが一番悔しかった。

 

それからだろうか。

 

私は貪欲に強くなろうとしたのは。

 

一番に、なろうとしたのは。

 

 

 

───────────────────

 

 

 

「───は?私が、ですか?」

 

「ええ。今回の【双子】殲滅戦でブレイドとアーク、そしてもう一名と同行していただきます」

 

「だけどカスラさん、私が同行していいんですか?」

 

「ええ、問題ありません。貴女ほどの実力者ならそう判断されていますから」

 

「‥‥‥わかりました」

 

「どこか、腑に落ちない事でも?」

 

「‥‥‥いえ、何でもないです。失礼します」

 

 

 

 

そそくさと退室し、私は近くにあった壁を力任せに殴り付けた。

 

また、あの人と比べられる。

 

‥‥‥ふざけるな。

 

 

 

 

 

「ふざけんじゃないよ‥‥‥クソッ」

 

 

 

 

 

苛立ちを覚えながら、召集がかかった。

 

向かった先で、見覚えのある人物がいた。

 

───ブレイドだ。

 

 

 

「お前か。世話になる」

 

「まぁ、あまり期待しないでくださいね」

 

「ははは、何を謙遜している。その実力は誇ってもいいのだぞ?」

 

「そう、ですかね」

 

「そうだぜ。今回は頼りにしてるぜ、ヒーロー」

 

「‥‥‥まぁ、頑張ります」

 

「さてブレイド、戦術はどうするかね?」

 

「できれば各個撃破が望ましいが‥‥‥状況が状況だ、厳しいだろうな」

 

「では、確実に一つずつだな」

 

「ああ‥‥‥行くぞ」

 

 

 

そうして始まった殲滅戦。

 

うようよと【双子】が蔓延っていた。

 

始まって数分、数十分が経っただろうか。

 

ブレイドとアークと呼ばれた純白のキャストは次々と撃破しているが、もう一人の疲労が見て取れる。

 

限界が近い。

 

かくいう私も、正直限界が近かった。

 

そして、その時は訪れてしまった。

 

 

 

「ぐわっ!」

 

「ハンクさん!大丈夫!?」

 

「わ、悪い‥‥‥ドジっちまった‥‥‥」

 

「ブレイド!もう限界よ、撤退しないと!」

 

「‥‥‥いや、殲滅は続行する」

 

「なんで!負傷者がいるんだよ!?」

 

「考えてみろ。今俺たちが退けばその後はどうなる。【深遠なる闇】に一撃を与えることなくナベリウスが消えるんだぞ?」

 

「でも!」

 

「ブレイド、俺はいい‥‥‥行ってくれ」

 

「どうするね、このまま進むか?」

 

「進みましょう。今の俺たちにできることをするまでです」

 

「見捨てるの!?」

 

「いずれ救援が来る。それに今がチャンスだ」

 

「そうさな。【深遠なる闇】の反応が近い‥‥‥つまり、これを逃せばナベリウスは消えてしまう」

 

「でも、私は見捨てるなんて‥‥‥!」

 

「出来ない、か。勝手にしろ、来るも来ないもお前の判断だ。アークさん、行きましょう」

 

「承知した。悪く思わんでくれ、リュー」

 

 

 

そう言って彼らは先へ行ってしまった。

 

私は、やっぱり見捨てる事が出来ずそのまま残ることにした。

 

 

 

「嬢ちゃん、お前‥‥‥」

 

「大丈夫。絶対守るから」

 

「だけどよ」

 

「‥‥‥信じて」

 

「‥‥‥わかった。無理はすんなよ」

 

「わかってるよ、そんなの」

 

 

 

‥‥‥来た。

 

【双子】がまた、来た。

 

絶対に、守り通してみせる。

 

だけど、決定的な戦力差は埋められず、不利な戦いになっていた。

 

そして。

 

 

 

────パキンッ!

 

 

「──ッ!?折れ、た──!?」

 

「嬢ちゃん、前!」

 

「っは!」

 

 

 

ズン、と重い一撃が入る。

 

あまりにも衝撃が強く、軽々と吹っ飛ばされてしまった。

 

なんとか立ち上がるも、抜剣が折れてしまって使い物にならなくなっていた。

 

これじゃ、戦えない‥‥‥!

 

もう、ダメなの‥‥‥?

 

 

 

「ッラァ!!」

 

「ハンクさん!?」

 

「諦めんな嬢ちゃん!先に諦めねぇって言ったのは嬢ちゃんだろ!それ使え!」

 

「レイソード‥‥‥ハンクさん、ありがとうっ!!」

 

 

 

 

投げ込まれたレイソードを手に取る。

 

クラス適応外のためか、かなり重く感じる。

 

だが、そんな事は言ってられない。

 

何より、私を信じている人のために。

 

戦う。

 

守るために。

 

 

 

 

「絶対‥‥‥守るんだぁぁぁぁぁ!!」

 

 

 

 

それから数十分が経ったのだろう。

 

突然【双子】が形象崩壊を始めた。

 

それはつまり、【深遠なる闇】の撃退を意味していた。

 

 

 

 

「はーっ‥‥‥はーっ‥‥‥はーっ‥‥‥終わっ、た‥‥‥?」

 

「は、はは‥‥‥すげーよ嬢ちゃん‥‥‥」

 

「帰れる‥‥‥んだね、私たち‥‥‥」

 

 

 

そこから先は、直ぐ様メディカルセンターに担ぎ込まれたせいで覚えていない。

 

けれど、これでハッキリした。

 

私は、ブレイドのように非情になれない。

 

でも、それでもこんな私でも守ることは出来た。

 

それだけわかれば、もう何でも良かった。

 

それから少しして、因子浄化のためにコールドスリープする事になった。

 

それは彼も例外ではなかった。

 

 

 

──────────────────────

 

 

 

それから二年が経とうとしたある日。

 

私は叩き起こされた。

 

シエラさんのおかげで。

 

二年の月日でかなり変わったようだった。

 

あの人にも会ったけど‥‥‥やっぱり素直になれなかった。

 

わかってはいる。

 

でも、以前の私がそうさせてくれない。

 

‥‥‥歯がゆいなぁ。

 

そうして裏方で任務を遂行していたある日の事。

 

どうやら新しいクラスの話が持ち上がっていたみたいだ。

 

そこで、私もクラス創設のために協力することになった。

 

そのクラスの名は────"ヒーロー"。

 

私が、目指したかったものだった。

 

でも、私は忘れてはいない。

 

今の私があるのは、彼が私を助けてくれたからだ。

 

だから、今度は私が助けになる番。

 

いつか、隣に立って戦いたいな‥‥‥。

 

 

 

 

 

「先輩!準備できましたよ!」

 

「ん、ありがとね。じゃあ行こっか、スっちゃん」

 

「はい!気合い入れて頑張りましょう!」

 

「───もっと、強くならなきゃね」

 

「先輩?どうしたんですか?」

 

「あ、ううん何でもないよ!じゃ、行こう!」

 

「はい!」

 

 

 

 

待っててブレイド。

 

私は必ずアンタの隣に立って、助けになってみせる。

 

その日まで、待っててくれるかな?

 

 

 

 

 

Episode Ryu...END.




という訳でリュー編でした。

これを見ているであろうフレンドに捧ぐ‥‥‥!

気に入ってくれるといいなぁ‥‥‥。

では、また次回にて。

その時はまたよろしくお願いします(´・ω・`)

ではでは(´・ω・`)ノシ



(おまけ)

リューってこんな子(フレンド)。

同じチームに入ってきた時一番衝撃を受けたね。

めちゃ可愛いんですもの。

そのキャラクリを見習いたいですぞ‥‥‥!

コーデの合わせ方とかもホントすこ。

とりあえず一枚PON☆と置いときます
(´・ω・`)


【挿絵表示】

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。