「これからどうしましょう? 緑谷ちゃん」
ケロケロと、冷静なあs……梅雨ちゃんが次の行動を聞いてくる。実力が一番高いのは3人の内で客観的に見て自分……か。
「僕は急いで助けを呼びに行きたいかな」
「じゃあ、私と峰田ちゃんは水辺に沿ってこっそり出入り口をめざしましょう。囮にしちゃうみたいだけど……」
「覚悟の上だよ」
力強く、頷く。不安にさせちゃいけない。
「み、緑谷……お、お前だってほんのちょっと前までは中学生だったんだから無理するなよ……?」
峰田君は怯えながらも僕を心配してくれるのだろう。でも……
「できればそうしたいけど、ヴィランは待ってくれない。なら、誰かが動かないと」
「う、うぅ……緑谷ぁ……」「緑谷ちゃん……」
不安そうな二人の顔。だからこそ、笑顔で。
「大丈夫、僕はそう簡単に負けないから!」
そう宣言して、35%で、出入り口に!
駆けつけると、相澤先生がヴィラン達に囲まれて苦戦していた。あの、変なマスクをした奴が、手強いっぽい! なら、まず雑魚に奇襲をかけて……!
「35%、フルカウル……! アラバマスマッシュ!」
こっちをむいてない雑魚を一気に片付ける!
「緑谷っ!!?」 「あのチート野郎かっ!?」
変なマスクのヴィランは、他のやつより反応が早い! でも、それでも
「遅過ぎるっ! デトロイトスマッシュ!」
思い切り、殴りつけるっ!
「げはあああああっ!?」「死柄木弔っ!?」
これで大体のヴィランは片付いた筈……向こうでは、13号がやられたけど、飯田君が抜けたっ!
「緑谷っ! 無茶をする……! だが、助かったぞ」「は、はいっ!」
だけど、この程度でオールマイトを殺せるなんて思わないはず! だから、まだきっと切り札が有る!
「オールマイトのフォロワーか……このチート野郎……」
粘着質で、我儘な子供の様な顔つき……でも、それを補って余りある、悪意が僕に来る。
「なら、チートにはチートをぶつけないとなぁ。脳無、行け」
後ろに控えてた、黒い筋肉の塊。見ただけで、それと分かる異形型のパワータイプ!
「ダメだ、緑谷、こいつのは"消せない!"」
「分かりました!」
出し惜しみなんてできる相手じゃない! 初っ端から……! 顔面に!
「100%!!!デラウェア!デトロイト!スマアアアアアアアアッシュ!」
決まった……のに!?
「!!!?」「そ、そんなっ……」
フルガントレットのお陰で腕へのダメージは無いけど、ヴィランへのダメージも、無い……!?
「おいおいおい、本当にオールマイトに匹敵するようなチートダメージじゃないか。でもま、残念。そいつはオールマイトに勝てるよう作られたんだ。じゃ、ゲームオーバーってことで」
どろりと、粘着質な声が響く。そして、迫るヴィラン……って、速い!?
「くっ、このっ!?」
動きは単純、でも速い! オールマイトに匹敵するかもっ!? まずは時間を稼がないと……!
「フルカウル……40%ぉ!」
痛みは無視しろ! 相手の動きを全部読み尽くせ! 幸い、ワープ個性は相澤先生が消してくれている!
腕の振りは大振り――これは躱す! 踵落とし――にはカウンター!タックル――にはスウェイで!
「なっ!? んでだよっ!? なんで捕まんねえんだよてめぇは!」
まるで、チートをしても勝てなかった子供みたいな癇癪! あいつは、あり方が脅威じゃない! かつての、研究所の研究員達みたいな、"狂気"が無い!
「遅いからだよっ!」
思考は子供並――なら、とにかく煽る! でも、稼ぎきれるかっ!?
そう思った時、入り口からけたたましい轟音。そして、やってきたのは、僕らの――最高のヒーロー……
「もう大丈夫……」
『オールマイト!!!!!』
「私が来た!」
何時もと違う、オールマイトが、笑ってない……!
「待ったよヒーロー。社会のごみめ」
そんな事を言うヴィランを無視し、僕と黒いヴィランの前に割って入るオールマイト。やっぱり、疾い!
「イレイザーヘッド、皆を頼んだ……」
「了解です、オールマイト。おい、緑谷、よくやってくれたぞ」
皆がオールマイトの登場で安心している。けど、ダメだ!
「オールマイトォ! 僕の、100%が通じなくて! そいつ、強いです!」
不安がる僕の叫びに、でもオールマイトは笑顔で返してくれて。
「大丈夫だ少年」
根拠も何も無い笑顔。でも、それは今までのオールマイトの信頼が有って、何より安心させてくれるもので。でも、ダメだ。あれに勝てるとしても、活動時間を、何より命を削る羽目になるだろう。そんなのは……嫌だ!
「しょ、少年!?」
ファイティングポーズを取る僕に、驚くみんな。
「オールマイト。僕も一緒に、戦います!」
「だが、しかし!?」
「手を抜いて、勝てる相手じゃないです! 相澤先生は、他のヴィランの牽制を!」
「っ!? 馬鹿野郎、後で説教だ!」
オールマイトをずっと見続けてきたからこそ分かる。全盛期に届いてない今の力じゃ、『限界を超えないと』倒せない!
「くっ! 仕方ない! 行くぞ少年!」 「はいっ!」
「CAROLINA…SMASH!」
クロスチョップからの続けてのスマッシュ! でも……
「マジで全っ然…効いてないな!」
凄い風圧のオールマイトのパワーが、全部吸収されてる!
「効かないのは"ショック吸収"だからさ。脳無にダメージを与えたいなら、ゆうっくりと肉をえぐり取るとかが効果的だね……それをさせてくれるかは別として」
こいつ、余裕なのかわざわざベラベラと情報を!
「なるほど、そういうことならやりやすい! 少年!」「はいっ!」
バックドロップに合わせて……地面にぶつかる頭を踏みつける!
『DOUBLE SMASH(スマッシュ)!!!』
響く轟音、上がる衝撃波。
「すげえ!! オールマイトもすげえが緑谷も凄すぎるぜ!!」
「み、緑谷君大丈夫!?」
だけど、それでも――
「へぇ、二人共やるじゃん。まあ……
それでも、ゆっくり起き上がってくる! 顔が歪んでるのに、元に戻っていく……!まさか!?
「複数の、"個性"……」
「おっ、大当たりだよ。そいつは"超再生"も持ってる。複数個性持ちの対オールマイト用のサンドバッグって訳なんだが……二人以上に通用するなんていい計算外だ」
っ! そこまで強力な"個性"が作られていたのか! あの研究所と、同類の物が! 勝ち誇る口調が、無性に腹立たしく感じる。
「……少年、下がっていなさい!」
「いえ、でも!」
「少年!」
既に限界ギリギリ、もう血も口から吐いてるのが見えるのに。それでも皆のために戦う。それが平和の象徴……!
オールマイトが突進した。そして、目にも留まらぬパンチの連撃。
「真正面からの殴り合い!?」
血を吐きながら、皮が剥がれながら、1発1発を100%以上でなんて……!オールマイトの身体が、持たない!
――待てよ。オールマイトに合わせて作られたヴィラン。なら、もし。
「フルカウル……!」
イメージするのは、オールマイトすら超える、最強の自分。
「120%」
フルカウルで暴風を切り裂き、ヴィランに接近する!
一発で、一発でいい! ただ、限界を超えて!誰も居ない、上へと吹き飛ばす!
「デラウェア・デトロイト・スマアアアアアアアアアアッシュ!!!!!!!」
USJの、壁を壊し天井を壊し、周りのものすべてを吹き飛ばして、ただ上へ!空の、遥か彼方まで飛ぶヴィラン。でも、その代償は絶大で。
「あ、あぁあああああああああああああああっ!?」
腕が、折れたっ!? フルガントレットも一撃で壊れてっ!? 100%以上の力を使ったからかっ!? で、でもっ!
「しょ、少年っ!?」
僕を守るように立ちふさがるオールマイト。だけど、多分、勝った……
ヴィランへと撃ち込まれる狙撃。それは……
「スナイプ君!」
「1-Aクラス委員長飯田天哉!! ただいま戻りました!!」
良かった……。そう思うと、僕の意識は、段々と、遠く…………
戦闘シーンは一人称視点ばかりだと難しい……。と、途中からだけど小説を三人称視点も使うように切り替えても大丈夫かな……?