今回だと
ジョージア:蹴り
バージニア:ワンツー
デラウェア:デコピン
デトロイト:ストレート
こんな感じになっております。セントルイスはかかと落としみたいに上から下への蹴りをイメージ
「全く、随分と腫れ上がったもんだね」
「あ、あはは……」
リカバリーガールに治癒をされながら、小言を言われるかと思ったけど、笑ってくれていたしそれは貰わなくて済みそうだ。
「心操少年は嬉しそうだったね……。彼もこれからどんどん伸びていくだろう」
「はい! また一人、強力なライバルができると思います!」
「……全く、オールマイトが弟子をとって教師になると聞いた時はどうなるかと思ったけど、弟子はちゃんと育っているようだね。……あんまりあいつのお陰とも思えないけど」
「そ、そんな事ないですよ!? 今の僕があるのはオールマイトのお陰ですし!?」
オ、オールマイトにまでダメ出しできるリカバリーガールは凄いなほんと。
「さて、治癒は終わったよ。さ、とっとと次の試合を見てきな」
「は、はい、ありがとうございました!」
疲れたけど、痛みはすっかり引いた! これで、もう次は大丈夫だ!
「おっ、おつかれ出久君~!」「緑谷君、もう大丈夫かい!?」「おっす緑谷!また熱かったなぁ!」
A組の席に戻ると、もう次の試合が始まるところだった。最初の試合は瀬呂君と轟君だ。皆の予想では轟君有利、僕もそう思っていたけど試合が始まると不意打ちと早業の速攻で、瀬呂君は最善の選択をしたと思う。だけど、轟君はその上を行った。
「悪いな」
途端、フィールドを凍らせ、その氷はドームすらも超えて、僕らの目の前を通る超巨大な氷壁を作り出した。こ、これが轟君の本気……!
「や、やべぇ……」「これがガチンコ戦闘のあいつの実力……」「轟ぃ……」
横にいる皆もびっくりだ。
「や……やりすぎだろ……」
瀬呂君の呟きも尤もだ。
「どーんまい」「どーんまい」「どーんまい」
自然と、会場からも「どーんまい」コールが湧き起こる。正直、これは仕方がない……けど。
自身の出した氷を、左手で溶かしていく轟君の姿が、酷く悲しく見える。……どうにか、しなきゃ。
その後、塩崎さんと上鳴君の試合は塩崎さんの速攻で決まり。飯田君と発目さんの試合は、発目さんがサポートアイテムの効果を日本中に見せつけてから降参。……発目さん、逞しいなあ……。
芦戸さんと青山君は、青山くんのサポートアイテムを故障させてからのアッパーカットで芦戸さんの勝ち。常闇君と八百万さんの試合は、常闇くんが圧倒していた。切島君と鉄哲君は、お互い殴り合いの千日手で、とうとう引き分けからの腕相撲勝負に。そして最後。僕のアドバイスを断り、独り戦うことを選んだ麗日さんは……やはり、みんなの予想通り夜嵐君に圧倒された。
様子を見に行くと、気丈に振る舞っていたけどやっぱり震えていて……下手な慰めも出来なかった。これが、勝負の世界なんだ。
そして、いよいよ2回戦、轟君との勝負だ。この通路が、凄く長く感じr「おっ」
「エ、エンデヴァーっ!?」
「おォ、いたいた」
「エンデヴァー……何でこんな所に……」
その体格。近くで見ると凄い威圧感だ……。
「君の活躍を見させてもらった。素晴らしい"個性"と判断力だね。指で弾くだけでアレ程の風圧、パンチ一つで巻き起こる暴風、そしてその時々に使い分ける判断力……まるで、小さな"オールマイト"だ」
っ!?
「な、何をっ……!?僕、もう行かないと……!」
知っているのか!?知らないのか!? とりあえず、この人にだけは悟られちゃ……!
「ウチの焦凍には、オールマイトを超える義務がある。だが、本気の君には勝てるかどうかは怪しい。だからこそ、"左"を使わざるをえない程に追い込まれるはずだ」
っ! この人は……それを期待して!
「是非とも、ウチの焦凍を覚醒させてくれたまえ」
……これが、轟君の毎日受けてきた圧力……決意の根源……。
「いいたいのはそれだけだ。直前に失礼した」
「……僕は、オールマイトじゃありません……」
「そんなものは当たりま「当たり前のことですよね。轟君も、あなたじゃない……!」!」
「そして、僕は……あなたも超えて、オールマイトも超えて、No.1ヒーローになる……!」
「!!!」
『今回の体育祭両者、三つ巴の内の二人!! まさしく両雄並び立ち今!! 緑谷 VS 轟!! START!』
「っ!!」 「40%! ジョージアスマッシュ!」
開始早々、轟は全力で氷を出し、また緑谷は威力の強い蹴りを、直接氷に叩き込み、衝撃波で諸共破壊する。
『おおおおおっ!! 相殺されたあっ!! 今体育祭、何度も見た光景だあっ!』
『このままじゃ千日手だな』
「っ!!」 「30%……バージニアスマッシュ!!」
今度は規模を小さくし、スピードの乗った氷が飛んでくるが、次は緑谷は威力を落とし、ワンツーで弾き飛ばす。お互い消耗戦のようだが、その消耗スピードには差がある。緑谷が四肢を、指まで使え疲労を分散させられ、また回復も望めるのに対し轟はただ消耗していくだけだからだ。故に、緑谷は焦らない。
「デラウェアラッシュ!」
騎馬戦でも見せた、両手のデコピン――デラウェアスマッシュの連打だ。
「っ~~~!」
氷壁を出して防ぐが、すぐに割られる。一発の威力は弱くとも、同じ箇所に的確に当てられれば砕けてしまう。
『お互い遠距離戦に終止している――!! 見た目派手だが進展がなあああああいっ!!』
『よく見ろ。進展有るだろ』
少しずつ、轟の動きが鈍ってきた。冷気は、轟の動きも制限する諸刃の剣だ。少しずつ、緑谷の攻撃に対し反応が鈍ってくる。
「震えてるよ、轟君」
「っ! うるせえっ!」
鈍っているのは自分でもわかっている。故に、短期決着をつけようと焦って大きな氷壁を出すが、また蹴りで壊され、防ぎきれなかった衝撃でフィールド端まで弾き飛ばされる。ギリギリ、また氷を出して踏みとどまるがこのままではただ負けるだけだ。
「"個性"だって身体機能の一つだ。君自身、冷気に耐えられる限度があるんだろう? で、それって左側の熱を使えば解決できるものなんじゃないのか……?」
冷静に指摘する緑谷。少なくとも、自分よりはるかに消耗していないように見える。
「皆、本気でやってる! 勝って……目標に近づくために…っ! 一番になるために!
緑谷の、おせっかいな叫び。だが、まだそれを轟は受け止めきれない。
「(いいのよ、おまえは―――……)」 いつの間にか忘れた言葉。
「………何のつもりだ。全力…? クソ親父に金でも握らされたか……?」
寒さに震えながら、緑谷に突撃する轟。だが、近距離戦では更に分が悪い。右足が地面から離れた瞬間、突進し腹に一発、殴りつける。
『モロだぁ―――! 生々しいの入ったぁ!!」
「やっぱり、緑谷すげぇ……」「轟も強いが、問題になってねぇ……」
周囲の声が聞こえる。自分ではなく、皆が緑谷を見ている。やぶれかぶれの氷も、また軽く避けられデラウェアスマッシュのカウンターを食らう。
「がはっ!?」
いいのを貰い、寒さに震え、かなり消耗してしまった。
「君の想いは、その程度か!?」
「何をっ……!? 何も知らねえくせに……!」
「確かに知らないけど! 君も、救けたい! 囚われている、君を!」
「っ!? 余計なお世話「余計なお世話は、ヒーローの本質だ!」」
更に一発、蹴りの衝撃波で吹き飛ばされる轟。何とか氷で踏みとどまったが、もう寒さでまともに動けない。
「なりたいんだ! あの日、救けられた! 笑って僕たちを導いてくれる! 最高の、カッコイイヒーローに! なりたいんだ!」
「焦凍……」 脳裏に響く、母の言葉。
「だから全力で! やってんだ! 皆! 君の境遇も君の決心も、僕なんかに計り知れるもんじゃない……でも……! それでも! 全力を出せるのに出さないなんて、それは間違ってる!」
「緑谷……」
観客席、夜嵐も呆然とそれを見ていた。入学試験の時、嫌な目をしていた。エンデヴァーと同じく。だから嫌いになった。でも、自分はただそこで終わってしまった。でも、あいつは、緑谷は――
「うるせえ!」
反射的に否定する。心の中はぐちゃぐちゃだ。
「親父を――……「君の! 力じゃないか!!」
緑谷の言葉に、過去がフラッシュバックする。母さんがまだ家に居た頃。優しい言葉をかけてくれていた――。「いいのよ、おまえは。血に囚われることなんかない。なりたい自分に、なっていいんだよ」 いつの間にか忘れてしまっていた、言葉。
瞬間、辺りが熱気で沸騰する。
『これは――……!!?」
大量の蒸気の中、ゆっくりと立ち上がる。震えはもう止まっていた。
「勝ちてえくせに……ちくしょう……敵に塩送るなんて、どっちがふざけてるって話だ……」
ゆらりと立ち上がる、身に纏うは炎と、氷。
「俺だって、ヒーローに・・・・・・!」
「…………上等っ!」
涙が溢れるも、笑みも止まらない。父親を忘れて、全てから解放されて。見るのは、目の前の唯一人。
「焦凍ォオオオ!!!」
そして、喜ぶ者。エンデヴァー。やっと、やっと自慢の息子が炎を使うようになった。その事に、歓喜が止まらない。
「やっと己を受け入れたか!! そうだ!! いいぞ!! これからがお前の始まり!! 俺の血を以て俺を超えて行き……俺の野望をお前が果たせ!!」
「エンデヴァー……」
そして、それを見やるオールマイト。
「……そうか、君も、託せる相手が居たんだね」
「トシ……」
貴賓席の中、デヴィットと一緒に見ているオールマイトの心中もまた、複雑だ。
「凄いな、彼は」
「ああ、自慢の弟子だ」
戦いの中、ライバルたちでさえも救おうとする。そして、本気を出し、頂点を目指す。その眩しさに、その輝きに、デヴィットは確かにオールマイトと同じものを感じていた。
「凄……」
「何笑ってんだよ。もう、負けねえぞ俺は」
「僕だって、同じさ!」
笑い合う二人、そして、思い切り構える。
「ちょっと、コレ以上は持たなそうだ……!」 セメントスが、フィールドの中央に防壁を張る。だが、そんなもの、もう二人は物ともしない。
お互いが、ありったけを、全力で。
「50%……ジョージア……スマアアアアアアアアアアアアアッシュ!」
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」
そしてぶつかる2つの力。轟音――瓦礫――衝撃波――すべてを吹き飛ばすような嵐の後、蒸気が上がる。
『うおおおおおおっと、どうなった、どうなった!?何も見えないぞ!?』
審判も吹き飛ばされ、様子が見えない。だが、徐々に晴れていく蒸気の中、ぎりぎり、フィールドに残っていたのは――
「轟くん、場外――緑谷君は、ぎりぎり、フィールドの中に」
見れば、セメントの中に両腕を突き刺し、ギリギリ踏みとどまっていた。
「緑谷くん――……三回戦進出!!!」
とたん、爆発する大歓声。
「うおおおおおおおっ! すげええよ二人共!」「エンデヴァーの息子はさすがだけど、緑谷は本当になんなんだぁ!?」
万雷の拍手が、二人に降り注ぐ。そんな中、緑谷はセメントから腕を引き抜き、ゆっくり立ち上がると轟の方へと歩いていく。
「……いい勝負だったよ」「……ああ」
手を伸ばす緑谷と、その手を取る轟。瞬間フラッシュが焚かれ、隣ではミッドナイトが悶える。
「その、なんだ……緑谷」
「えっと、何?」
頬をかきつつ、言い淀む轟。だが、少しすると
「その、ありがとな」
素直に、お礼が出た。
「どういたしまして!」
お節介なやつだった。全力で、ぶつかってきて、暑苦しくて。でも――本当に、凄いやつだった。貴賓席へとサムズアップしている緑谷を見て、そう思う。そして、だからこそ……
「次は、負けねぇぞ」「僕だって!」
心の底から、勝ちたいと思った。
ミッドナイト「ああああああああああ~~~~~~!いいっ!いいわあっ!凄くいいっ!青い春、良すぎるのおおおおおおおおおおおおおおおっ!」
画面外はこんなのが(
しかし、お茶子ちゃんはどうしても苦戦させられるイメージが見えなくて夜嵐のストレート勝ちにしてしまいました。ごめんよ……