豪華絢爛たる緑谷出久のヒーローアカデミア   作:両生金魚

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筆が乗りに乗って1日3話も投稿してしまいました……
そして、感想のミッドナイトの人気具合は一体……!?


夜嵐イナサ:オリジン

 緑谷の試合が終わった後も、順調に進行していた。

 

『おおっと、夜嵐! 上空から吹き飛ばしを狙うも切島が全く吹き飛ばない――――!!』

 

『緑谷と一緒でセメントに腕を突き刺してるな』

 

「どうした夜嵐ぃ! 上に居ちゃおれは吹き飛ばせねぇぞ!」

 

「そうらしいなぁ! なら、殴り合うぜぇええええええええ!」

 

 遠距離戦が出来ないと見るや、夜嵐は地上に降りて接近戦を挑む。殴り合いは切島に分がありそうだが、夜嵐には突風での加速が有った。そして何より大きいのが……。

 

「うらぁ!」「っ!くそっ!」

 

 体格の差である。切島も決して体格は小さくないのだが、兎に角夜嵐のガタイがいいのだ。殴り合いではどうしてもクリーンヒットの数は夜嵐が多くなる。だが、クリーンヒットしても、切島の硬い体には中々攻撃が通らない。

 

「っ! 当たらねぇ!?」「硬ぇ!」

 

 そして、殴り蹴る夜嵐の四肢も、硬い身体を殴ることでダメージが蓄積していく。

 

「はははっ! 殴りじゃ絶対に倒れねぇぞ俺は!」「らしいなぁ!! 熱いぜ切島ぁ!」

 

 殴り合いでは、埒が明かない。そう判断した夜嵐は、捨て身の策に出る。切島に突っ込んだのだ。だが、それに合わせてカウンターが腹に突き刺さる。

 

「入った……!」

 

「一発くらい良いのは……くれてやるっ!」

 

 だが、夜嵐は身体がよろけつつも、そのまま腕にしがみついて、烈風で自分ごと、切島を外に押し出す。

 

「うわ、やべぇ!?」

 

 一瞬で意図を察する切島だったが、やはり近距離でのもみ合いはタッパが大きいほうが有利だった。もみくちゃになりながら、二人共場外に。だが、先に落ちたのは切島の方だった。

 

「判定の結果、勝者、夜嵐!!」

 

『勝ったのは夜嵐!! だが、負けた切島もいい線行ってたぜ! 何より熱いいいいいいいいっ!!』

 

 プレゼントマイクの実況に合わせ、スタジアムが湧き、拍手が二人に降り注ぐ。

 

「いい勝負だったぜ!」 「おう、お互いにな!」

 

 これもまた、倒れた切島を夜嵐が引き起こす、熱い光景だ。そこかしこでこんな光景が起きるので、ミッドナイトの身体は悦びで満ち溢れていてとてもお茶の間には放映できない有様だ。

 

 

 そして、次は準決勝。

 

「緑谷君……勝たせてもらうぞ!」

 

「……うんっ!」

 

『準決! サクサク行くぜ! ヒーロー家出身、飯田天哉 VS 突然現れた彗星、緑谷出久!! START!』

 

 スタートと同時に、エンジンを吹かせ緑谷に突撃する飯田。迎撃しようとする緑谷を、レシプロバーストで狙う。

 

「速いっ! でも、その動きは予測できるっ!」

 

 かつて見た、あの人のように。相手の能力から、できる行動を予測し、先読みする。横、縦の動きを躱すと、デラウェアスマッシュで反撃に出る。遠距離攻撃だが、指を弾くだけでできるこの攻撃は、接近戦でも相当に有効である。

 

「くっ、がはっ!?」

 

 空中へと吹き飛ばされ、何とか体勢をエンジンで立て直すも、そこにさらに追撃が……

 

「デラウェア・ショットガン!」

 

 10本の指を同時に開くようにして、精密さを犠牲に面で攻撃する。空中では為す術もなく、そのまま場外へと弾き出される飯田。

 

「勝負有り! 勝者、緑谷!! 決勝進出!」

 

『勝者は緑谷出久! オープニングで一位を取ると言った男は、この時点で既に暫定3位! さあ、このまま優勝へと駆け上がれるのか!?』

 

「くっ、届かなかったか……! 兄さんっ……」

 

「飯田君……」

 

 友達の、悔しそうな顔に手を伸ばせない緑谷。

 

「…………ありがとう、緑谷君。いい勝負だった……」

 

「……うん!」

 

 それでも、委員長として自分を律し頭を下げる飯田に、緑谷は最大限の敬意を払うのだった。

 

 

 そしてもう一方、常闇と夜嵐の試合は千日手の様相を呈していた。ダークシャドウの防御を剥がすのは夜嵐でも厳しいが、飛んでいる夜嵐への攻撃手段もまた常闇は乏しい。

 そんな均衡を破ったのは、夜嵐の新技だった。

 

「(緑谷は、指や腕や足の動きで衝撃波を打ち分けてる……!なら、似たような事は俺もできるはずだ……!)」

 

 風の動きを収束し、収束し……一点へと集中する。

 

「雄風!!!」

 

 狭い範囲に収束された風、それは多大な衝撃となって、ダークシャドウに吹き荒ぶ。ダークシャドウで防御するも、緑谷と違い長い長い衝撃波に、とうとう耐えきれず吹き飛ばされる。

 

「っ!!?」

 

「常闇、場外! よって、決勝進出は、夜嵐!!!」

 

「うっしゃあああああああああああああああ!!」

 

「くっ、哮き暴風に破れたかっ……!」

 

 降りてきてガッツポーズをする夜嵐に、悔しがる常闇。ここでも明暗が、はっきりと別れた。

 

「(大空を飛翔する敵には無力……! 方策を探らねば……!)」

 

 だが、敗れた者も、敗れたままで終わるつもりは一切なかった。

 

 

 

 そして、とうとう決勝戦だ。

 

「緑谷、お前本当にすげぇよ」

 

「夜嵐君だって「いや、違う。個性とか、戦闘力とか、そういうんじゃなくてこう、"在り方"って言うか心構えって奴がよ」

 

「"在り方"?」

 

「ああ。実は推薦入試ん時、轟と出会ってたんだよ。その時、いい勝負が出来て良いライバルになれると思ったんだけど、返されたのは、エンデヴァーと同じ、こっちを何も見てない目だった。……それであいつのことが大嫌いになっちまったんだけどよ。お前は、それでも真っ向からぶち当たって、お節介焼いて、あいつの本気の本気を出させちまった」

 

 深呼吸すると、緑谷の目を見る。

 

「お前はいい友達だと思ってるし、出会った時から熱いやつだと思ってる。――そして、今は本当にすげー奴だと思ってる。だからこそ――」

 

 瞳に映るは、緑谷の身体。燃えるのは熱い意志。

 

「お前に、勝ちたい。お前みたいに、お節介で熱いヒーローになって、そしてお前を超えたい! 初めてだ、こんな気持になったのは!」

 

「僕もだよ。君に勝ちたい。君に勝って、一番になりたい!」

 

「おう、負けねえぞ!」

 

「僕だって!」

 

 そうやって、拳を合わせてから、離れる二人。

 

『さあ、お互い拳を合わせたところでいよいよスタートだ! 片や、推薦入試1位、夜嵐! 片や、一般入試ぶっちぎりの一位、緑谷! 奇しくもと言うのか、必然と言うのか!? とんでもない対決だぜえええええっ!』

 

『泣いても笑ってもこれで最後だ!!! 3! 2! 1! START!!!』

 

「「うおおおおおおおおおっ!!!」」

 

 スタートと同時に、お互いが個性を使い暴風をぶつけ合う。あまりの風に、緑谷は足をセメントの中に埋め、夜嵐は個性で必死で宙に浮く。だが、夜嵐は先程考案した技がある。

 

「行くぞ緑谷ぁ! 何処まで耐えられるっ!」

 

 収束した風は、長期間緑谷を晒し続ける。だが、緑谷も負けていない。

 

「20%! ラアアアアアッシュ!!!!」

 

 あえてパーセンテージを落とし、地に足をめり込ませ、ひたすらラッシュで対抗する。

 

『うおおおおおおっ!? とんでもない暴風圏だあああああああっ!? 観客の皆さん、物を飛ばされないように気をつけろっ!』

 

 しかし、このままでは勝負がつかないのは自明の理。そして、緑谷は守りに入るつもりはない。夜嵐に疲れが見え、少し風が弱まった辺りで足を引き抜き、力を貯め始める。

 

「っ、来るか、緑谷ぁ!」

 

 本来なら真っ向勝負がしたい。しかし、目的は勝つことだ。だからこそ、避ける決心をする夜嵐。

 

「いくよ、夜嵐君! 30%……フルカウル!」

 

 風の切れ目を狙い、勢いよく飛び出す緑谷。そして、思い切り横殴りの風を自分にぶつけ、すんでの所で避ける夜嵐。

 

「貰った、緑谷ぁ……!」「それはこっちの……!」」

 

 だが、避けたと思った時、緑谷は体勢を変えていた。身体を夜嵐に向け、更に力をチャージする。

 

「セリフだああああっ!」

 

 足に50%の力を込め、空中を蹴り、方向転換。全力で、体の全てをぶつけに行く。

 

「!!?」

 

 とっさのことに、対応しきれない夜嵐。そのまま、体ごとの体当たりを、緑谷から受け地に落ちる。

 

「夜嵐君の先に場外!! よって―――緑谷君の勝ち!!」

 

『以上ですべての競技が終了!! 今年度雄英体育祭一年優勝は―……A組、緑谷出久!!!!!』

 

「勝った……勝ったあああああああああああっ!」

 

「っ、緑谷……やっぱ、お前って……すげぇわ……」

 

 仰向けになりながら、乗っかっている緑谷に対し呟く。その評定は、悔しそうで、涙すら浮かんで。でも、

 

「いや、本当にすげぇやつだわお前は!」

 

 すぐにまた暑苦しい笑顔になり、跳ね起きて逆に緑谷に手を伸ばす。

 

「うん、ありがとう! 君も、凄く強かった!」

 

 その手をがっしり取って、起き上がる。そして、響くのは今日一番の歓声。

 

「凄かったぞ二人共ー!」「緑谷、すげぇ……!」「是非うちのサイドキックに……!」「おい、抜け駆けはすんなよ!?」

 

 緑谷へふりかかるのは、頂点を取ったものこそが感じられる、栄光、注目、人気。

 

「(そうか、これが)」

 

 追われる時、感じていたのはプレッシャーだった。しかし、No.1に訪れるのはそれだけではない。

 

「(これが、一位の栄光!)」

 

 普段、オールマイトが浴びている栄光の1/100にも満たないだろう。しかし、今の緑谷は、初めて1位で有ることの素晴らしさを、肌で感じていた。

 手を上げ、回りに手を振ると、応えてくれる。こんなに気持ちのいいことも、初めてだった。そして、貴賓席を見る。そこでは、オールマイトとデヴィットが一緒にサムズアップをして、こちらを見ていた。家では、母親がこの姿を見て号泣していた。何処かのヴィランの基地では、新たな標的を、品定めしていた。

 

 この、注目こそが一位の特権なのだ。

 

 

「それではこれより!! 表彰式に移ります!!」

 

 3位には常闇、2位には夜嵐、そして1位には緑谷が立つ。飯田は、諸事情により早退となった。その事に、一時、みんなが無事を祈る。

 

「メダル授与よ!! 今年メダルを贈呈するのはもちろんこの人!!」

 

「私が! メダルを持って「我らがヒーロー! オールマイトォ!!」

「(かぶった)」「(カブったな)」「(かぶっちゃった……)」

 

 と、そんなアクシデントも有ったが、順調にメダルが渡されていく。

 

「常闇少年おめでとう! 強いな君は!」

 

「もったいなきお言葉!」

 

 3位の常闇に。

 

「夜嵐少年、おめでとう。最初から最後まで、素晴らしい勝負を見せてくれたね」

 

「うおおおおおおおっ! オールマイトにかけてもらえて感激ッス!」

 

 2位の夜嵐に。そしてーー

 

「緑谷少年、おめでとう」

 

 万感の思いを込めて、緑谷にメダルを掛けるオールマイト。

 

「一位を取る宣言、見事に達成したね」

 

「はい!」

 

 他の二人と同様に……しかし、心中はそれ以上に優しく、緑谷を抱きしめるオールマイト。緑谷は、思わず涙ぐむ。

 

「サァ!! 今回は彼らだった!! しかし皆さん! この場の誰にもここに立つ可能性は有った! 御覧頂いたとおりだ!! 競い! 高め合い! 更に先へと昇っていくその姿!! 次代のヒーローは確実にその芽を伸ばしている!! てな感じで最後に一言!! 皆さんご唱和下さい!! せーの お疲れ様でした!!!」

 

「そこはプルス・ウルトラでしょオールマイト!!」

 

 よりによって最後に外してしまい、ブーイングを受けるオールマイトであった。

 

 

 

 




な決勝戦の空気には流石に水を挿せなくてミッドナイトの反応を入れてませんでしたが、ぶっ倒れる寸前まで興奮していました

しかし、やっぱり緑谷がちょっと強くなりすぎて中々描写に困ってきました……40%くらいでぶん殴ったら大抵の敵は一撃ですしねえ……。よって、決勝戦の戦闘描写は割とあっさりとした感じに。ステイン戦は、どうなるか……
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