豪華絢爛たる緑谷出久のヒーローアカデミア   作:両生金魚

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オリ展開入れまくりでこの先どうなることやら……。なお、ステイン戦が終わったら小説版などのエピソードも入れてみようと思います


突然の訪問者

「ふぅ、疲れた……」

 

 職業体験は1日目から実践実践また実践、帰ってきてからは解決した事件の書類作成にと、休む暇も殆どなかったけど、それでもはじめてのヒーロー活動に、凄く満足できた。いつの間にかSNSとかにも投稿されてるし、あれ、ひょっとして僕ってもう有名人……?って、駄目だ駄目だ、僕が目指すのはオールマイトを超えること。まだ道の途中だし……

 

「でも嬉しいいいいいいいいっ!」

 

 枕を抱きしめてゴロゴロするけど、まだ衝動が抑えられない!

 

「うへっ、うへへへへへへへへへ……」

 

 皆からの連絡もたくさん来るし! 新聞にも乗ったし! 無個性だった僕が初めて公的に認められたようで、とても嬉しい! と、そんな時に電話が。……母さんだ!

 

「もしもし、どうしたの?」

 

「どうしたのじゃないよ、凄いじゃない出久! あんたの事、新聞の一面に出てるんだよ!」

 

「う、うん! 僕でも、オールマイトみたいに……憧れのヒーローみたいに、人助けができたんだ!」

 

 母さんも、凄く嬉しそうだ。声色だけでその様子が伝わってくる。

 

「母さんあんまり嬉しくてね、今日の夕刊全部買っちゃったよ。大事にとっておくからね」

 

「うわ、そんなに?」

 

 ぜ、全部取ってあるとなるとなんだか恥ずかしい……け、けど、いい記念になるかも!

 

「それじゃあ、帰ってくるのを楽しみに待っているからね。怪我しないように気をつけるんだよ」

 

「うん、うん! それじゃあ、明日も早いからもう寝るね!」

 

 グラントリノの事務所の、ギシギシ言うボロボロのベッドだけど、今日はとてもよく眠れそうだ。

 

 そして次の日。朝の6時に起きて、ストレッチをしつつ準備体操。知らない街を軽くジョギングして足を痛めた人を家に送ってから、事務所へ戻る。グラントリノの分まで朝ご飯を用意して――と。

 

「ん? いい香りがするのう坊主。料理できんのか」

 

「あ、はい。母さんと二人暮らしなんで、よく手伝うんですよ」

 

 ご飯に味噌汁、おひたしに焼鮭の簡単な朝食だ。二人分を用意して、と。

 

「それじゃ、いただきます」「うむ、いただきます」

 

 グラントリにも食べてくれて、「中々美味いじゃないの」と言ってくれた。良かった……。

 

「さて、今日は軽く朝にパトロールしたら、昼からたっぷり寝ろ。今日は、夜を中心にパトロールする」

 

「夜ですか。仮眠をとるってことは早朝にまで?」

 

「ああ。やっぱり夜は犯罪が起きやすくなるし、寝静まった頃に活動するヴィランも多い。だから集中力を保つためにもちゃんと寝ておくんだぞ」

 

「は、はい! 了解です!」

 

 今日は夜か。色々と実戦形式で教えてくれるグラントリノには感謝しかないや。ご飯を食べて、ちょっと休憩してさあパトロールだ!って時に、チャイムが鳴った。……え?こんな事務所に訪ねてくる人がいるの?い、いや、郵便とかかも知れないし……。

 

「んお? 珍しいな?」

 

 って、グラントリノも珍しがってた! そのまま入り口へ行き、ドアを開けるグラントリノ。

 

「な、お、お前はっ!?」

 

 そして、凄くびっくりした声。え?え?誰だ?

 

「どうしました、グラントリノ……って、なあっ!?」

 

 僕も同じ様にびっくりした声を上げてしまった。だ、だってそこにいるのは……

 

「サー・ナイトアイ!?」

 

 ど、どどどどうしてここにっ!?

 

「二人共失礼な。人の顔を見るなり声を荒げて全く」

 

「だ、だって、あまりにも意外すぎるでしょう!? こんな所に居るなんて!?」

 

 事務所は東京の筈なのに、何でここに!?

 

「……グラントリノ、先日連絡を入れた筈ですが」

 

 そう言われ、携帯を確認するグラントリノ。

 

「……誰だ君は!?」「逃げないで下さい」

 

 グラントリノのボケも一瞬で封殺するサー・ナイトアイ。元サイドキックだし、用事はオールマイト絡みだろうか?と思っていたら、僕をじっと見つめてきた――という事は、用事は、僕にか。

 

「ゴージャスグリーン……いや、緑谷出久。君が、ワン・フォー・オールを受け継いだんだな」

 

「はい!」

 

 真っ直ぐ見上げて、頷く。この力は僕の誇り。事情を知っている人に、気後れする姿なんか見せられない。

 

「雄英体育祭、スタジアムで余すこと無く見させてもらった。そして、昨日の記事やネットの書き込みも」

 

「あ、は、はい。ありがとうございます」

 

 オールマイトの元サイドキックで事情を知っている……なら、当然僕のことは見るに決まってる。そして、僕を見るサー・ナイトアイの表情はとても複雑だった。……今まで、何があったんだろう?

 

「――確かに、オールマイトの見る目は正しかった。"無個性"である時から君の有り様を見抜いていたんだね、彼は」

 

「そんなに前から知っていたんですか?」

 

「ああ。君が後継者に選ばれたその日、彼は私に連絡をとってきてね。"無個性"の中学生を後継者に選んだと聞かされた時は、正直正気を疑ったよ」

 

 苦笑するサー・ナイトアイ。だが、気持ちは分かってしまうのが……ちょっと悲しい。"無個性"とは、それだけハンデが有るからだ。

 

「私はそれに反発し、独自に後継者にふさわしい人間を育てたんだ。――彼は後継者にふさわしいと私は確信しているが……君もまた、後継者足り得る人間のようだ」

 

 そう笑いかけてくるサー・ナイトアイは、少し寂しそうだった。

 

「……なら、君に話さねばならないことが有る」

 

 決死、というよりは悲壮な覚悟が見えるサー・ナイトアイ。個性は"予知"だとすると、一体何を話されるんだ……。

 

「私はオールマイトを"見た"。そして、その結果は……オールマイトは、今年か来年に、死ぬ。言い表せないような凄惨な有様となって。私の、予知通りならば」

 

 心臓が、止まったかと思った。手足が震えて、視界が定まらない。

 

「そ、んな…………」

 

 サー・ナイトアイの"予知"。信じられない、信じたくない。そして、グラントリノも顔を伏せている。

 

「オールマイトは、そんな事、言って……」

 

「言えるわけ、無いだろう。そんな事を言ったら、ヒーロー(後継者)が笑えなくなってしまう」

 

 足がふらついて、地面が無いみたいだ。でも、考えることは止めちゃいけない。

 

「……私が今日。ここに来たのは、君を"見る"ためだ。そうすれば、何か未来を変える手立てが思いつくかも知れない……」

 

「はい! すぐに、すぐにどうぞ!」

 

 もし、ほんの少しでも助かる確率が上がるなら、僕は何だってやる! どんなことだって!

 

 僕の言葉に、深呼吸してサー・ナイトアイは近づいてくる。震える足で、普段のヒーローとしての凛々しさは何処にもなくて、重い足取りで。そして、震えているのは僕も同じだ。今までの人生で一番、不安になったかもしれない。グラントリノですら、その表情は険しい。

 

 サー・ナイトアイが、僕の頬に手を当て、まっすぐ目が合う。そして――表情が、困惑に変わる。

 

「こ、これは……!? い、一体!?」 「どうした、ナイトアイ!?」「い、一体何が……!?」

 

 サー・ナイトアイにしか分からないから、僕もグラントリノも凄く不安だ。

 

「み、見えない……何も。――彼の未来が、見通せない……」

 

「……へ?」「……何?」

 

 "予知"で、見れない?それって……

 

「今まで、こんな事は無かった。そ、そう言えば……オールマイトを"見た"時も、君の事は一切見えなかった……。つ、つまり……」

 

 サー・ナイトアイの声が、掠れる。信じられないように、でも、信じたいように。

 

「わ、私の予知が……初めて、外れる……?」

 

 呆然と、呟いていた。そして、グラントリノもこっちを見る。

 

「……鍵は、こいつか。"ゴージャスグリーン"……緑谷出久」

 

 神妙な顔で。わずかに、希望を見せて、こっちを見る。

 

「僕には、運命が、無い……?」

 

 それを聞いて思い出す。かつて、あの人が話してくれたHEROの話。決められたくだらない運命――それに、"経済"さえも破壊する、HERO。ひょっとして、それに、僕が……?

 

「変わるのか……? 変えられるのか?運命は……」

 

 呆然としているサー・ナイトアイ。そういう人に、ヒーローがすることは一つ。

 

「はい! そんなくだらない運命、僕がぶち壊します!」

 

 根拠なんて無い。でも、そうしなきゃいけない! だから、安心させるように、笑って答えるんだ!

 

「「―――」」

 

 と、二人共ちょっとポケーッとしてるけど、す、滑ってないよね……?

 

「そうか、これが……」「オールマイトが見つけた輝き、か」

 

 そ、そう言われるとちょっと照れるな……。

 

「……御老体、職業体験ですが、私も付き合っていいでしょうか?」

 

「おう、この爺を楽させてくれ」

 

「御冗談を、隠居から復帰したんでしょう?」

 

「えっ、サー・ナイトアイも一緒に!? す、すすす凄いや!」

 

 元オールマイトのサイドキック! きっと、色々な事が学べるに違いない。思わず笑っちゃう!

 

「――いい顔をしているな。ミリオと、同じ顔。眩しい笑顔だ」

 

「さて、それじゃ行くとするか!」

 

 サー・ナイトアイとグラントリノ。格上二人との職業体験は、こうして始まった!

 

 僕とグラントリノは、機動力が圧倒的に上だから、素早い相手は僕が相手をして、主に戦ったり救助した後の手続きなどをサー・ナイトアイは丁重に教えてくれた。サイドキックだった頃はほぼ全ての書類を処理していたから、本当にあっという間に書類を作ってしまう。

 

 

「しかし、そこそこ平和なのは喜ばしいことですが、実習としては些か物足りませんな」

 

「ああ。だから今日は夜、明日は渋谷の夜パトロールしようと思っとる」

 

「なるほど。段階を踏むのですね。分かりました。では、もう軽く切り上げましょう――」

 

「か、火事だー!? 火事が起きたぞー!?」

 

「ゴージャスグリーン」

 

「はい!」

 

 休憩の時間でも、何かが起きたら即参上! だって、それが絶望を覆すヒーローだから!

 

 

 

 




【以下、どうでもいい裏設定。緑谷が聞かされたHEROのお話】

 緑谷が話された、HEROの一人のお話。銀河に、100年の平和をもたらした、一人と一隻と、夢を見る一プログラムのお話。

 太陽系の人類と、外宇宙の宇宙人との戦いは、人類の勝利に終わりました。でも、皆がその勝利を後悔し始めていました。戦争で湧いた好景気は戦争が終わると一気に萎み、燃料である重水素の輸出で食べていた火星は、一気に極貧へと追い込まれました。そう、避けられない戦争の運命とは、不平等な"経済"の事だったのです。

 一人のHEROは火星で思いました。このままではいけないと。そこで、彼は一隻の海賊船から、運命を破壊しだしました。地球の強欲な軍を撃破し、都市と都市を繋いで経済を循環させ、新たな経済を構築し外交で他の星や国に物資を売り、独立を画策しました。それを抑えようとする地球軍との戦力差は、1:2299。しかし、彼らは送られてくる鎮圧軍の全てを撃破し、銀河中の勢力と手を結び、条約をガチガチに固め、戦争が何処までも不経済であると、銀河中に知らしめました。

 HEROに導かれ、銀河中の種族を集めて暴れに暴れた一隻の海賊船は、こうして運命――"経済"を変えました。運命検算プログラムによると、もたらされたのは銀河中に100年の、戦争のない平和な時代。

 そうして、HEROは、ひっそりと消えました。100年後の事を、次代にたくして。朝が来れば、闇夜を照らす月の光は用済みになるのが道理。平和をもたらすHEROは、平和な世界では存在意義が無い。こうして己の存在意義を消したHEROは、また必要とされる場所へひっそりと旅立っていったのです。

――と、絢爛舞踏祭というゲームの、緑谷君が聞いた英雄のお話でした。つまりは、決まった運命をぶっ壊せるHEROに片足突っ込んでるってことです(前置きが長い
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