豪華絢爛たる緑谷出久のヒーローアカデミア   作:両生金魚

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あとがきでも誤字をやってしまった……しかも何というミスを……。


混沌の森

「はぁっ……はぁっ……はぁっ……!!」

 

 疲労と激痛で、崩れ落ちそうになった身体を緑谷は気力だけで支えていた。今、倒れる訳にはいかないからだ。

 

「あっ、おい!」

 

 心配して駆け寄ってくる洸汰の声で、少し意識を戻す。

 

「大丈夫……! まだ、やらなきゃいけない事がある……」

 

「そんなボロボロで何をしなきゃいけねえんだよ……!」

 

 洸汰に説明する間に呼吸を整える。過剰なエンドルフィンとアドレナリン分泌が、痛みを無理やり忘れさせる。

 

「君を救ける前に戦ったヴィランも、こいつも、相当強い……! ラグドールも襲われてたし、1年の皆も! 皆だけで太刀打ちできるか分からない!」

 

 皆を救いたいと思う衝動が、緑谷を突き動かす。自惚れるつもりはない――が、冷静に考えて、脳無クラスの敵に太刀打ちできる味方があまりにも少ない。イレイザーヘッドの"個性"も、脳無には無力だ。だから、自分が動かなければならない。

 

「僕が動いて救けられるなら、動かなきゃいけないだろ。だからこそ、足を残した」

 

 自分を庇い、凄まじい戦いを繰り広げたのに、なおも動こうとする覚悟に、洸汰は圧倒される。これが――この覚悟が、ヒーロー。両親が、命を賭したもの。

 

「とりあえず、コイツは暫く動けないと思う――本気の本気を出したしね……。だから、まずは君を守らなきゃならない」

 

「え?」

 

「君にしか出来ないことが有る。森に火をつけられてる。あれじゃどの道閉じ込められちゃう。分かるかい? 君のその"個性"が必要だ。僕らを救けて――」

 

 ぼろぼろになりながらも、自分に笑顔を向けてくる緑谷に、頷く。

 

「さぁおぶさって! まず君を施設に預けなきゃ」

 

 両足は、無事だ。だから洸汰は頷くと、思い切りしがみついた。

 

「飛ばすよ!」

 

 速さに加減は出来ない。50%フルカウルで、緑谷は施設へと急いだ。

 

 

 

 イレイザーヘッドは、肝試しの場へと急いでいた。ヴィランの襲撃――兎に角、一人でも戦力に回らねば。だが、横から気配が。

 

「先生!!」

 

「緑……」

 

 そこで、緑谷の全身――特に両腕を見て、イレイザーヘッドは事態の深刻さを知る。あの超パワーの緑谷が両腕を壊すほどのヴィランに脳無。生半可なヒーローでは太刀打ちできない相手である可能性が高い。この山では轟も炎は出せないし、相性次第では夜嵐も危ない可能性がある。

 

「大変なんです……! 脳無と、それ以上のヴィランが居て……! とりあえず、皆を助けに行かないと……!」

 

「脳無は知っていたが、それ以上のヴィランだと……!」

 

 戦慄するイレイザーヘッドに、緑谷は更にまくしたてる。脳内物質がドバドバで、それを切らすわけにも行かない。テンションのままに叫ぶ。

 

「洸汰くんをお願いします。水の"個性"です。絶対に守って下さい!」

 

「分かった。だが、無理を――」

 

 するなと言おうとして、言えなかった。教師失格だが、あそこまでしなければならないヴィランが迫っているのだろう。

 

「……絶対に、生きて戻れ」

 

「はいっ!」

 

 相澤に出来ることは、今まで人を救けてきたヒーロー、ゴージャスグリーンを信じて送り出すことだけであった。

 

 

 一方、ピクシーボブは森中に魔獣を張り巡らせていた。だが、襲撃してきたヴィランは少数精鋭らしく、あちこちで戦闘が起こっているが、どれも手強い。生徒の力を借りつつ時間を粘っているが特に脳無とかいうやつは、様々な個性持ちに超パワーで、たやすく魔獣を撃破している。更には、ラグドールが見えないことにも焦りに拍車をかけていた。

 

 だが、この場の要の一人はピクシーボブであると理解しているヴィラン連合は、更に脳無を投入する。

 

「なっ、も、もう1体!?」

 

「あら~ん♡ ミドルレンジねん、さあ、あなた方は勝てるかしらん?」「ヒャハハッ! てめぇらもう終わりだぜぇ!」

 

 マンダレイと虎は、ヴィランと互角にやりあっている。そこにこれ以上来たら、戦闘の流れが完全に向こうに行く。

 

「くっ、援軍は……!」

 

 少数での隠密が仇となった。この場に駆けつけて来られそうなヒーローは、イレイザーヘッドとブラドキングのみ。このままでは、ジリ貧だ。――だが、そこに駆けつけてくるものが居た。

 

「50%!ジョージアスマアアアアアアアアッシュ!」

 

 駆けつけてきた緑谷が、衝撃波でヴィラン二人を吹き飛ばすと、そのまま着地。地面を砕きつつ、脳無に迫る。

 

「セントルイス、スマアアアアアアアッシュ!」

 

 大声を上げてテンションを無理やり維持し、脳無を蹴りで地面に叩きつける。瞬間、割れる大地。大穴が空き、脳無が地面へ沈み込んだ。

 

「緑谷っ!」「緑谷君!」「ちょっ、その腕!?」

 

 救けられた3人だが、緑谷の腕を見て驚く。もう、動けるような身体ではないのに――。

 

「皆さん、洸汰君は無事です! それと、脳無以上のヴィランを一人撃破しました! それとこいつは……!」

 

 起きてこない所を見ると、ミドルレンジなのだろう。もし、それ以上だったら今度は足を犠牲にしなければならないところだた。

 

「大丈夫か……。そうだ、マンダレイ! 施設の皆にテレパスをお願いします!」

 

「えっ、わ、分かったわ!」

 

 そう言うと、緑谷の言うままにマンダレイはテレパスを送った。

 

 

 

 施設では、状況の分からぬまま、8人の生徒がブラドキングに護衛をされていた。万が一突入されるかもしれないし、慌てて自分たちの持ってきたヒーロースーツを着込む。

 

「一体状況はどうなってんだ……」「そ、外の連中は大丈夫なのか……?」

 

「分からん! だが、お前らは俺が必ず守る!」

 

 不安そうな生徒たちに、ブラドキングはそう宣言して励ます。だが、それでも内心は不安であった。

 

 そこへ再びマンダレイのテレパスが流れる。全員が喋るのを止め、身じろぎもせず、一言一句を聞き逃さないようにする。

 

『施設のみんな、聞こえてる!? 緑谷からの伝言よ! 緑谷のヒーロースーツのスーツケースの中に、ガジェットが有るわ! ドローンや小型無線機とか、便利なものが色々! 説明書も入っているから、見ながらドローンを飛ばして! 緊急用パスワードは、"ゴージャスブルー"よ!』

 

「聞こえたな!」

 

『はいっ!』

 

 ブラドキングは周辺警戒だ。だから、生徒達が、緑谷のスーツケースを開ける。

 

「うわ、重っ!?」「あいつ本当に色々と持ち込んでるからな……!」「せ、説明書は何処だ!? って、コレ英語じゃん!」「日本語の、有った!」「今回ばかりは協力するよA組!」

 

 緑谷のスーツケースを総ざらいするかのようにひっくり返し、説明書を大きく広げ、ああでも無いこうでも無いと、目当てのものを探し当てる。

 

「小型無線機、有った!」

 

「ドローンはこれか……どうやって使うんだ?」

 

 と、説明書を読み進めていく。

 

「えーと、これだ! サポートAI! この超重量コンピューターってのを起動して……後、こっちのヘルメットについてるマイクも!」

 

『声紋認証を行って下さい』

 

 コンピューターのスイッチを探り起動すると、AIの声が響く。

 

「えっと、何を言やぁ良いんだ!?」

 

 あたふた慌てる面子に、物間が突っ込む。

 

「緊急用パスワードって奴だろう! パスワード、ゴージャスブルー! これで良いのか!?」

 

 縋るように、パスワードを言うとHALが起動する。

 

『緊急用パスワードを認証。マスターの声紋確認できず。緊急事態と認定』

 

 すると、ドローンが勝手に起動し、幾つか小型無線機を取ると、仕込まれたカメラが周辺を確認する。

 

『状況確認、屋内と判断。状況を説明して下さい』

 

 超高度なAIであるHALが、説明を求める。そこに、ブラドキングが間髪入れずに説明する。

 

「ヴィランの襲撃中で、要救助者が散り散りになっている! 北の方角、火事の現場付近だ!」

 

『了解しました。ドローンを射出します。窓を開けて下さい』

 

「は、はいっ!」

 

 言われるがままに窓を開けると、複数のドローンが一斉に飛び立っていく。そのまま航空から、多数のセンサーを使い分け、居場所を確認していく。

 

「状況はどうなっているか……」

 

『立体映像投射装置の使用を提案します』

 

「えっ、どれだ……!?」「あ、有った!」

 

 起動すると、GPSから判断した位置情報により周辺地域の地図が表示され、飛んでいるドローンの場所などがリアルタイムで更新される。

 

「うおおおおおおっ!?」「すっげえええええええ!?」

 

 I・アイランド製未来感溢れるガジェットがもたらす情報に、テンションが上がる。これなら、色々とサポートできるかもしれない。

 

『ヒーロー:イレイザーヘッド及び民間人と思わしき少年発見』

 

 地図を見れば、施設の直ぐ側のドローンがイレイザーヘッドと洸汰を捉えていた。そのままドローンが降り立ち、マイクに音声が届く位置に近づく。

 

 "イレイザー! 無事か!"

 

「ブラド!? それは、緑谷のガジェットか……! ああ、少なくともこの子は保護した! 預けたら、すぐにまた向かう!」

 

 手短に状況を説明するイレイザーヘッド。今は一刻を争うので、合流してから状況を説明する手間が減るのさえありがたい。

 

 "そっちは任せた! こちらからもできるだけサポートはする!"

 

 I・アイランドから持ってきた多数のガジェット……その技術は今、確かに沢山の人を救おうとしていた。

 

 

 

 同時刻、夜嵐・拳藤・庄田・鉄哲は脳無と対峙していた。ガスをばら撒く個性のヴィランは、夜嵐が来ることでガスが吹き飛ばされ瞬殺されたが、狙いはその夜嵐だった。ガスをばら撒けばかならず来るだろうという読みの元に、飛行型脳無が投入されていたのだ。

 

「くっそ! 速ぇ!」

 

 空を飛ぶ脳無が相手のため、対抗できているのは夜嵐一人。だが、複数個性を使い分けるので遠距離戦も出来る上、風では脳無に対しては破壊力が足りない。だが、他にやれば空を飛べるこの脳無の独壇場になりかねない。だから、夜嵐は幾度も攻撃を受け、ボロボロになりながらも必死で足止めをしていた。――最も、脳無の狙いも夜嵐だったのだが。

 

 そして、それがどうにも我慢ならない男が居た。鉄哲である。

 

「畜生! 夜嵐が戦ってるってのによぉ!」

 

 夜嵐の風は、自分をコントロールしヴィランを相手取るのに精一杯のようだ。何か、出来ることは――と周りを見渡して。

 

「あった! 庄田! 俺を思い切りぶん殴れ! 拳藤! その後アイツに向かって俺をぶん殴れ!」

 

 方法は単純明快。拳藤に殴られて空中へ飛び出し、庄田のツインインパクトで空中で更に加速する。単純明快だが、やるしか無い。

 

「鉄哲っ! 痛いぞ!」「2発目の衝撃は数倍だ! 絶対に硬化を解くんじゃないぞ!」

 

「あったりめぇよ……ダチが一人頑張ってるのに何も出来ねぇ方が痛ぇ! さあ、やれぇ!」

 

「応っ!」「行くよっ!」

 

 まず、庄田が渾身の力を込めて、鉄哲の背中をぶん殴る。その後、拳藤が拳をありったけ大きくして、下から思い切りアッパーカットで吹き飛ばす。

 

「アガガガッ!」

 

 クラスメイトの二発の衝撃を受け、空に打ち出される。ヴィランの方向に、身体を向けて――

 

「今だ、庄田ぁ!」

 

開放(ファイア)!!」

 

「いいいいいいくぅううううううぜぇえええええええええええええ!!!」

 

 途端、鉄哲の背中に来る本日最大の衝撃。そのまま加速して――脳無に避けられた。

 

 夜嵐と争っている最中だが、まるで隙が無い。

 

「うお、あぶねぇ!?」

 

 そして、地面に激突しそうになった鉄哲を、慌てて風で減速させた。

 

「っってえええええええ!」

 

「だ、大丈夫かっ!?」「大丈夫!?」

 

「平気だ! 今ので大分コツ、掴んだと思う! んじゃもう一発頼むぜぇ!!」

 

 痛みなど物ともしないとでも言うように、次を要求する鉄哲。そんな様子に、二人共うなずいて応える。

 

「もう一発行くぞ!」 「でりゃあああああああああああっ!」

 

 殴られ、殴られ射出される。また、体の正面で脳無を捉えて「今だぁ!」

 

開放(ファイア)!!」

 

 方位が修正され、先程よりも更に近づくが、また当たらない。

 

「ぐっ、がぁ……!」「くっ……!」「効く~~~っ……」

 

 殴られる鉄哲もダメージを受けるが、殴る二人もまた、手にダメージを受けている。ガチガチのものを、全力で殴っているからだ。

 

「ははっ! 熱いなぁお前ら! そうだよな、もっと熱くならなきゃなぁ……!」

 

 そう言うと、夜嵐は遠距離戦を諦め、脳無の放つ弾幕の中へと突っ込み殴りかかる。風にばかり目が行くが、夜嵐はその体もまた鍛え抜かれている。

 

「鉄哲ぅ! コイツの動きは俺が止めるっ! もう一度、来いやぁ!」

 

「応!!! 二人共!!!」

 

「ああ……」「もちろんっ!!」

 

 痛みがどうした。限界がどうした。ヒーローならピンチは当たり前。だからこそ――

 

「「行っけえええええええええええええええええ!!」」

 

「「うおおおおおおおおおおおおおお!!」」

 

 尋常じゃない気迫に何かを感じたのか、一時身を引こうとする脳無。だが、遅い。

 

「逃げんじゃねええええええ!」

 

 翼の根本に突っ込み、その剛力で無理やり締め付け、動きを阻害する。

 

「今だ庄田ぁ!!!!」

 

開放(ファイア)!!」

 

 三度目の、正直。そう言わんばかりに、本日最大の衝撃を背中に受け、鉄哲が突っ込む。渾身の一撃が脳無の顔面に突き刺さり、地面に叩き落とされた。

 夜嵐と同じくらいボロボロな身体が地面に激突する寸前、また夜嵐の風で、受け止められる。

 

「―――勝った!」「勝ったな!」

 

 うおっしゃあああああああ!と雄叫びを上げる二人。ボロボロになりながら笑いつつ、二人は拳を合わせた。

 

 

 




今より200年以上後の世界なら、これくらいの道具が有ってもおかしくないよね!(バットマンやらスパイダーマンのゲーム見つつ)
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