豪華絢爛たる緑谷出久のヒーローアカデミア   作:両生金魚

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遅くなって申し訳ございませんでした……。
そして沢山のお気に入り及び感想に感謝です。


訪問! I・アイランド!

 すっかり暗くなってから家に帰ると、今日も台所からリズムの良い包丁で何かを切る音と、鍋で何かを煮込んでいる音が聞こえた。

 

「あ、出久、お帰りなさい」

 

「ただいま~!」

 

 今日も洗面所で汚れた服を全部脱いで、着替えて手を洗ってからリビングへ戻る。匂いからすると、今日はカツカレーみたいだ。僕がオールマイトの下で訓練をするようになってから、お母さんはより体を作るためのメニューを考えてくれている。

 

「訓練は順調に進んでる?」

 

「勿論だよ! オールマイトが僕の修行を見てくれてるんだ!」

 

 僕がオールマイトからワン・フォー・オールを受け継いだその日、お母さんにはやっと個性が発現したって嘘をついちゃったけど、それでも泣きながら喜んでくれた。

 ようやく、胸のつかえが取れたんだと思う。泣きながら、僕のことをぎゅ~と抱きしめて、何度も「良かったね、出久、良かったね……」って呟いてた。

 

 そして、お母さんが落ち着いてからオールマイトに弟子入りしたことを話すと、今度はものすごく驚いていた。まあそれは当然だよね……なんてったって世界的に有名な日本ナンバーワンヒーローだし。次の日には慌てて菓子折りと僕をお願いする旨の手紙を持たされて送り出されて、またお母さんの生活も変わったんだと思う。リビングに真新しいトレーニング器具や、運動用のBDが置かれてた。そして、少しずつ痩せてきてる。この調子だと、昔のほっそりしたお母さんに戻るのも近いかも知れない。

 

 福神漬を用意したり、お皿を運んだり手伝いながら、一息をつく。帰る時も重りを付けたマラソンだったし、今日も疲れた。

 

「それで出久、海岸は片付いてる?」

 

「うん、トラック1台じゃ足りなくて、何台もオールマイトの伝手で来てもらってる」

 

 もう半分以上は綺麗になったかな?もう少しすれば本格的な訓練に移れそう。

 

「あ、そうだお母さん、今度の休みの日、パスポート取りに行きたいんだ」

 

「え? どこに行くの?」

 

「オールマイトが、僕の装備を作るためにI・アイランドへ連れてってくれるって」

 

「そ、そこまでしていただけるなんて……本当に良かったわねぇ、出久」

 

 ホロリと涙を流しながら、カレーにルーを投入してる。僕が涙もろいのって、絶対お母さんの遺伝だ。

 

 お母さんに愛されて、オールマイトからは個性を託されて、僕は本当に幸せものだ。だからこそ――どんな事をしても、オールマイトを超えるヒーローにならなくちゃ。

 

 

 

「うわぁ……凄い」

 

 長い間飛行機の上で時間を過ごして、ようやくI・アイランドの中に入ると、その規模に圧倒されちゃう。人工島なのに広々とした道や、個性的な建物達。今はエキスポの期間じゃないから、人は多くないけど、その分オールマイトの長身長は凄い目立つ。

 

「あ、あれは、オールマイト!」 「ほ、本当だ!」 「な、ナンバーワンヒーローだ!」 「サインプリーズ!」

 

 うわっ!? あっという間に人が群がってきた!?

 

「HAHAHA! みんな、何時も応援ありがとう!」

 

 それに全く動じること無く、目にも止まらない速さでサインを書いて写真を撮っていく。さ、流石NO1ヒーロー……しばらくすると人の波が収まり、ようやく静かになった。

 

「いやあ、今日は人が少なくて助かったよ! さて、そろそろ来ると思うのだが……」

 

「迎えの人ですか?」

 

「ああ。日時は教えてあるからね。……それと、ワン・フォー・オールの事は話してないからそのつもりで」

 

 えっ、デヴィット博士と言えばオールマイトのアメリカ時代の相棒なのに……

 

「親友にも言ってないんですか?」

 

「ワン・フォー・オールの秘密を知るものには危険がつきまとうからね」

 

「はい。それは分かります。でも……」

 

「緑谷少年、私からワン・フォー・オールを受け継いだものは……いつか巨悪と……オール・フォー・ワンと対決する運命を背負っている」

 

「……はい」

 

 そうだ。それが僕も背負うことになる運命。だからこそ、どんな手を使っても、オールマイトを超えるようなヒーローにならないと。

 そんな考えが表に出てたのか、僕の表情を見たオールマイトもちょっと笑顔が曇った。お互いちょっと微妙な空気が流れる中、遠くから変な音が聞こえる。そっちを向いたら……ホッピング? に乗った女性がやって、オールマイトに抱きついた!?

 

「マイトおじさま!」

 

「OH! メリッサ!」

 

 おじさま……って事はオールマイトの知り合いの人の娘さん……かな? メリッサって呼ばれた人は凄く嬉しそうだ。今は16歳みたいだから、僕より年上だ。それにしても、身長高いなぁ。

 

「おお、そうだ紹介が遅れたね緑谷少年。彼女は私の親友の娘で……」

 

「メリッサ・シールドです。はじめまして」

 

 テクテクと近寄られて、人懐っこい笑顔で手を差し出された。な、何か凄いドキドキする……そ、そう言えば僕、お母さん以外の女の人とそんなに話したこと無い!?

 

「は、はじめまして。緑谷出久と言います。今は中学3年で、来年ヒーロー科のある高校に受験予定です」

 

 挨拶しながら握手……って、うわっ!? 手が凄い柔らかい!? 

 

「来年に受験予定……じゃあまだヒーロー科に在籍してないのね? でも、手、凄いゴツゴツしてる……」

 

 メ、メリッサさんも何か僕の手を興味深げにしてるし何だか気恥ずかしい……! そんな事を考えて、顔に血が集まるのを感じると、メリッサさんが慌てて手を引っ込めた。

 

「あ、あら、ごめんなさい。えーと、じゃあイズク君はどうしてここに?」

 

「実は、デイヴに彼の装備を作って貰おうと思ってここに来たんだ」

 

 オールマイトが説明すると、メリッサさんの顔が凄くびっくりした表情に変わった。

 

「えっ、ま、まだヒーロー科にも通ってない人の為におじさまが……?」

 

 オールマイトはナンバーワンヒーローだ。なのに、そのヒーロー活動を削ってまでここに来た理由は、まだヒーロー候補生でさえ無い僕の為なんだ。それはびっくりするだろう。

 

「ああ……実は、彼は私の弟子なのだ」

 

「おじさまの弟子……じゃあ個性はパワー系かしら……?」

 

 女の子の顔から真剣な顔に変わり、僕の身体を眺めるメリッサさん。半袖だからか、腕の筋肉をじ~と見つめられる。……な、何だか凄い恥ずかしいかも。だけど、そんな時オールマイトから「コホン!」と咳払いの助け船が入った。

 

「メリッサ、そろそろ……」

 

「あっ、ご、ごめんなさい!」

 

 ペコリとお辞儀をして、自立していたホッピングのボタンを押すと紐状になって、ポケットサイズまで巻き取られた。す、すごい技術だ!

 

「あはっ? 興味有るのね? それじゃ、これから行く研究室もきっと気にいるわ! ガジェットたくさん有るのよ!」

 

 そう笑顔になったメリッサさんは歩き出す。僕とオールマイトも顔を見合わせて笑顔になった後、メリッサさんの後を追いかけた。

 

 

 

「私がぁぁぁぁ! 感動の再会に震えながら来た!」

 

「オールマイト……いや、トシ!」

 

 研究室についた途端、ポーズを決めながら叫ぶオールマイトと、満面の笑みでオールマイトの側に行って抱きつくおそらくデヴィット博士。あ、オールマイトが抱きしめたまま一回転……こ、これは物凄くレアなシーンなのでは!? しゃ、写真に撮っておきたい……!

 

「しかし、何年ぶりだ?」

 

「よしてくれ、お互い歳の事は考えたくないだろう」

 

「HAHAHA! その通りだな!」

 

 オールマイトはナンバーワンヒーローとして日本中を駆けずり回っていたし、デヴィット博士は高名な研究者だからずっと研究室だろうし、親友なのにずっと会えなかったのか……すごく大変だなあ……

 

「ところでトシ、そちらの子が……」

 

 あ、博士がこっちを見た!

 

「はじめまして、緑谷出久です! よろしくおねがいします!」

 

 両手を伸ばして90度礼! 上げ!

 

「はっはっは。礼儀正しい子だね。私はデヴィット・シールド。トシ……いや、オールマイトの装備の開発者だ」

 

「は、はい! お噂は常々聞いてます! オールマイトのヒーローコスチュームを、ヤングエイジから始まりブロンズエイジ・シルバーエイジ……」

 

 興奮して思わず夢中になって話してると、オールマイトに途中で遮られてしまった。

 

「HAHAHA! ほら、デイヴ、君の紹介の必要は無かっただろう?」

 

「そうだね。僕もすっかり有名人だ」

 

 あっ、み、みんなから生暖かい目で見られてるっ!?

 

「さて、ゆっくり話でもしたいところだが、私はともかくトシの時間はとても貴重だ。では、早速データ採取に移ろうか。ここはヒーロー関連のガジェットの研究もやっているから、テスト場も沢山有るんだよ」

 

「あ、は、はい! 是非お願いします!」

 

 世界中のプロヒーローが憧れるような研究所の施設が借りられる。その特別性と僕にかけられているオールマイトの期待に、喜びやプレッシャーなどがごちゃまぜになった感情が、心の中で渦巻いた。

 

 

 

 こうして移動することになったのが、研究所の訓練・実験区画だ。ここはその一角で、人口的に岩場が再現されている。訓練所に入る前に着替えて……と。タンクトップのシャツと短パン、そして足は素足だ。け、結構恥ずかしいけど仕方ないよね……

 

 そして、オールマイトとデヴィットさんは高所にあるモニタールームに二人で入って、メリッサさんは訓練所の外側で待機している。これはデヴィットさんがメリッサさんに「間近で見てみないか?」と提案したせいだ。多分、オールマイトをなるべく長くトゥルーフォームで過ごさせるためだろう。

 

 更衣室から訓練場へ向かうと、メリッサさんがしげしげと僕の身体を見つめてきた。け、結構どころか凄い恥ずかしい……!

 

「イズク君、随分と身軽な格好ね……ああそうか、イズク君の個性に耐えられる服が無いのね?」

 

「ええ、全力で動いちゃうと服は破れちゃうし靴はボロボロになっちゃうしで……」

 

 気恥ずかしくて顔を合わせないようにして、ストレッチを始めるとデヴィット博士の声が響き渡った。

 

「さて、イズク君。まずは君にヴィラン・チャレンジを試してもらおう。これは来年のエキスポでもパビリオンの一つに選ばれた訓練でね、ロボットを複数体出すのでこれを戦闘不能にしてもらいたい」

 

「え、えっと、本格的な戦闘初めてだからかなり派手に壊しちゃうかもですけど!?」

 

 こ、こういうのって凄い高いんじゃないかな!?

 

「ははっ、心配いらないよ。このロボット達もどのみちテストしなければならないし、良いデータ収集になる。遠慮なくやってくれ」

 

「頑張ってね、イズク君!」 「緑谷少年、ファイトだ!」

 

「は、はい!」

 

「では行くよ……スタート!」

 

 うわっ!? カウントダウン無し!? いや、ヒーローは不測の事態に対処できて当然! 11%のフルカウルで一気に加速するっ!

 

「えっ、速いっ!?」

 

 ロボットは岩山の頂上に向けて順に配置、敵はほぼ近接型。ならこっちも接近戦でだ。振るってきた腕を躱してまずは「スマッシュ!」 1体目! 2体目の尻尾を伸ばした攻撃はそのまま掴んで3体目に「シュート!」 そのまま岩山を駆け上って、体ごと突っ込む! 連携は無しの個別対応、ならこのままスピードを維持してスマッシュ!スマッシュ!もひとつスマッシュ!そして頂上の最後の敵には、高く飛んで、空中で回転して、踵落とし! ……って、あ、岩山のてっぺんにおもいっきりヒビが!?

 

「テスト終了、お疲れ様。記録は……14秒。まさか、初挑戦でここまで速いとは……」

 

「HAHAHA! 流石だね、緑谷少年!」

 

「あ、ありがとうございます!」

 

 良かった、褒められた! スタート地点に戻って……と、あ、メリッサさんが近づいてきて……

 

「凄いのねイズク君! まるでおじさまみたい!」

 

「は、はい! オールマイトの弟子ですから!」

 

「なるほど、こんなパワーなら確かに普通の服や靴じゃ破れちゃうだけね……早く装備を作ってあげないと……流石はおじさま! 弟子の育成も上手なのね!」

 

「え? は、hahaha! 勿論さ!」

 

 あ、多分今微妙に顔が引き攣ってる気がする。

 

「さて、ひとまず身体能力のデータは取れた。では、君の手作りガジェットを見せてもらおうかな? 次は遠距離攻撃訓練場へ行ってくれ」

 

「は、はいっ!」

 

「えっ、イズク君、ガジェットも手作りしてるの?」

 

「あっ、い、いえ、中学生だから大したものも作れなくて……」

 

 訓練場を移動しつつ、ごそごそとカバンを開くと、出てくるのは昔から使ってた手作りガジェットたち。それをメリッサさんは一つ一つ手に取り、しげしげと眺められちゃってる。

 

「これは……銅のコインをぴったりくっつけてるのね。こっちは、丸いクッキー? でも軽い……あ、空洞なんだ。 こっちはボーラね! アメリカでも使ってたヒーローは居たわ! それにこっちは……」

 

「あ、あはは……本職の人達が作るガジェットに比べると本当に粗末なんですけど……」

 

「そんな事無いわ、ヒーローの装備はアイディアとカスタマイズよ。 一人一人の個性に合った装備を、どれだけそのヒーローの理想に近づけられるか。イズク君も、コインの重さや玉の大きさを自分に合わせて作ったんでしょ? その努力が、ヒーローの装備を作る第一歩なの」

 

 優しい笑顔でそう諭されると、認められたようで胸が熱くなる。

 

「あ、ありがとうございます!」

 

 そんな事を話しながら目的地に着くと、目の前には映画なんかで見たような射撃場の光景が広がっている。300メートル位の奥行きは有るんじゃないかな……?

 

「ではイズク君、まずは近距離から試してみよう。的を出すから、それに当てていってくれ」

 

 ポケットにありったけ玉を突っ込んで、腰には5円玉の束をぶら下げてと。

 

「はいっ!」

 

「では、スタート!」

 

 流れてくるのは人型の的。でも、一つ一つ姿が違う。海岸での的撃ちとはまた違う感覚だ。とりあえず銃持ちにはトリガーに指をかけている方の手を狙って……

 

「ショット!」

 

 親指で10円玉を弾いて、命中!

 

「これは、かなりの威力だね……」 マイクからデヴィット博士の呟きが聞こえる。

 

 次々に的が流れてくるから、両手を使って交互にショット! 初速が速くなるほど、偏差を気にしなくて撃てるのは良いけど、強すぎると大怪我をさせてしまう。そのバランスが凄い難しい。それにせっかく動いてる的だし、いろいろと試さないと!

 

 2%、8%、6%、10%、1%……って、あ、少しズレた。

 

「凄い、こんなに強力な個性で微調整も出来るのね」

 

 メリッサさんは少し後ろでタブレットと僕を交互に見ている。

 

「わ、わかります?」

 

「ええ、的が受けた衝撃も数値として出てるの」

 

「流石I・アイランドの施設、凄いハイテクだ……」

 

 感心しつつ、次は5円玉投げ。手首だけ、腕全体、体全体を使った投げを試して、投擲へと変更。野球ボールやハンドボールやテニスボールなど、様々な大きさのボールを持って、50m位先の的にシュート、シュート、シュート! ボーラも投げてみたけど、これも命中っと!

 

「いやはや、パワーが強いというのはそれだけで脅威だね。物を投げる、ただそれだけでこれだけの威力が出るとは。銃のように火薬の衝撃で撃ち出す必要も無いしこれは幅が広そうだ。トシはほぼガジェットに頼らなかったからこれは新鮮な仕事になりそうだね」

 

「HAHAHA! 私はこの肉体が最高のガジェットだからね!」

 

 マッスルフォームのオールマイト、身長も体重も物凄いからなあ。そのかわり、屋内での小回りは僕のほうが利く……はずだよね?

 

「さてイズク君、お疲れ様だ。今日はこの程度にしておこう。そうだ、メリッサ。よかったらイズク君を案内してあげたらどうだい? 私はトシと積もる話が有るからね。その間暇だろう」

 

「はーい、パパ。イズク君もそれでいい?」

 

「あっ、は、はい! 是非お願いします!」

 

 え、えっと、返事しちゃったけど女の人と出かけた事なんて無いからどうしよう!? あ、あんなシャツで大丈夫かな!?と、とりあえずまず早く着替えないと……! なんて、色々な思考がぐるぐる巡りつつ、僕は更衣室へと戻っていった。

 

 

 

 

 

 セントラルタワー内の診察室、そこをデヴィットは貸し切りにしてオールマイトの診察を行っていた。カプセルの中のオールマイトは、普段の彼を知るものなら彼とは気付け無い程に、弱々しかった。

 

「!?」

 

 検査が進み、モニターが映し出した数値にデイヴィットは愕然とする。数値が、あまりにも異常過ぎた。

 

「どういう事だ、トシ……個性数値が何故これほど急激に下がっているんだ!?」

 

 モニターに映し出された数値は今まで緩やかに下降していた物が、ここ数ヶ月で急激に落ち込んでいた。今は全盛期の6割程だろうか? 全盛期を知るものとしてはどうしたって危機感を覚えざるを得ない。

 

「オール・フォー・ワンとの戦いから数値が下降したのは臓器を摘出したから分かる。だが、この数ヶ月で何が有った!?」

 

 必死の形相でオールマイトに確認するデイヴィットだが、オールマイトは心配かけないように弱々しく笑って言葉をかける。

 

「ゴホッ……長年ヒーローを続けていれば、ガタも出るさ」

 

 言葉もなく俯くデヴィットに、同じくかける言葉が見つからないオールマイト。

 

(すまない、デイヴィット。君を、君たちを巻き込むわけには行かない……)

 

 だが、時に想いは言葉に出さなければ相手に伝わらない。それは、お互いに。

 

「このままでは、希望の象徴が失われてしまう。君のお陰で日本のヴィラン犯罪発生率は世界平均より遥かに低い……。何度、君がアメリカに残ってくれればと思ったことか……」

 

 親友が見せた不安に、改めてオールマイトは己の存在の大きさを確認させられる。しかし、今出来るのは親友に言葉をかけることだけだった。

 

「……それほど悲観する必要は無いさ。私以外にも優秀なプロヒーロー達や、君のようなサポートしてくれる人間も、そして今もヒーローを目指して研鑽を積んでいる有精卵達も居る。それに、私もまだ1日数時間はオールマイトとして活動を……」

 

「だが、オール・フォー・ワンの様な敵がまた現れる可能性も……」

 

「デイヴ」

 

 言葉を遮り更に不安を述べるデヴィットに、マッスルフォームに戻って力強く目を合わせるオールマイト。

 

「その時の為にも、私は平和の象徴を降りるつもりはないよ」

 

(それに、希望は在る……。私が見つけた、少しずつ輝き始めた希望が)

 

 心の中に浮かべたのは、まだ出会って数ヶ月の愛弟子。しかし、オールマイトには確信があった。彼ならば、きっと自分を継いで次代の希望になってくれると。

 

 

 だが、オールマイトの親友に有るのは、必死に希望を探そうとする足掻きだった。

 

(オールマイトの個性は日に日に低下し続けている……。彼を治すには多角的なアプローチが必要だ……。私の今の発明は、個性の潜在能力を人工的に強化すること……。だが、それだけではダメだ。オールマイトの個性が消えてしまえば、強化はできない。0にいくらかけても0から増えないように。なら、別の方向とは……彼に、新たな個性を入れること……。そういえば、4年前、オール・フォー・ワンも関わっていたという日本での研究所の事件……あの研究内容は、個性の人工的な移植……。これも、調べてみよう……)

 

 お互いがお互いを想い合っている。表面上は分かっていても、その想いの内までは、お互いに伝わることはまだ、無かった。

 

 

 

 

 




て、展開が何か似たような感じに……。必要なイベントだとは思うんだけど小説として中々悩ましいですね。いっそ個性把握テストはぱぱっと飛ばしても良かったかな?

そして最後、映画見ても「そこはちゃんと話そうよオールマイト!?」って思ってしまった場面です。
いや心配なのは分かるけど!お師匠様とかの事考えたら分かるけど!あなただって心配されてるんですよ!と……
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