「出久、忘れ物はない?」
「うん、バッチリだよ母さん! もう10回は確認した!」
オールマイトとの特訓の日々も過ぎ去り、いよいよ受験の日だ。
「出久ならきっと受かるわ。だから頑張って来てね」
「勿論だよ! じゃ、行ってきます!」
母さんに見送られて家を出る。目指すは雄英だ。倍率300を超えるのは伊達じゃないのか、電車の中にも似たような雄英受験生だって思えるような人たちが沢山居る。彼らみんながライバルと思うと、自然と気が引き締まる。
雄英の前につくと、大きな門の前は人でごった返していた。一度マラソンでここに来たとはいえ、人が多いと随分と景色が変わって見える。でも、知り合いは居ないし、やることは一人でだし。後はやることをやるだけだ!
「今日は俺のライヴにようこそー!!! エヴィバディセイヘイ!!!」
うわっ、声が凄い……! 筆記試験は何とか終わった。多分点はかなり取れていたと思うし大丈夫。なら、後は実技試験だ。プレゼントマイクの凄い大きい声をした説明によると、仮想敵を狩っていく試験らしい。10分間は短く感じるけど、まだプロになってない受験生のスタミナだとこれくらいの長さがちょうどいいのかな?
案内されるままにやってきたのは市街地を模したフィールドだけど凄く広い。雄英って本当にお金かかってるんだ。
『ハイスタートー!』
えっ!?カウントなしにいきなりスタート!? とりあえず体が勝手に動き出しちゃったけど!! 仮想ヴィランを見つけて!
「標的捕捉! ブッ殺す!」
「邪魔っ!スマアアアアッシュ!」
脆い! どうせ壊しちゃったし、この残骸を使って!
「ショット! ショット! ショット!」
3、1、2。仮想敵は沢山居るし、手当たり次第だ!
「うわ、すげえ……」 「何だ、あのパワーとスピード」
この辺りの敵は一通り倒したかな? なら次は……
「20%……ジャンプ!」
近くのそれなりなビルの上で索敵する。ただ、初めての実戦もどきにビビっちゃう人も多いのか、苦戦している姿があちこちに見られる。ほっとくわけにもいかないし、飛び降りて……
「スタンプ!」 思い切り踏みつける!
「あっ、ありがとうございます!」
「うん、気をつけて!」
わわっ!? 露出が凄かったけど体から何かを出す個性かな?
「あの、素手や素足で大丈夫ですか? 服がボロボロになってる様ですが……」
「あはは……まだ僕の個性に耐えられる服が無くて……」
いつの間にかジャージは破け、靴なんて跡形も無くなっている。
「そうでしたか……では、せめてこれをどうぞ」
そう言うと、胸の間から靴を出してってうわわっ!?
「超硬合金のブーツですわ。素足だと何を踏むか分かりませんし……」
「あっ、ありがとうございます!」
つい受け取ってブーツを履いてみたけど、大きさがぴったりで、凄い! 目分量でこんなにきっちり合わせられるのか!
「それでは、お気をつけて!」
「はいっ!」
その後も、雑魚を蹴散らしながら危ない人を助けていくと、急に地響きが。音のする方を見ると、市街地を壊しながら超大型の仮想敵、しかも0点の奴がやってきてる。これがお邪魔キャラか!
得点にもならないしさっさと逃げようと思うけど、足元には女の子が!
そう思うと、無意識の内に駆け出していた。点にはならないけど、この力は救ける為に!
「30%……デトロイトスマッシュ!」
そう叫んで殴りかかると、装甲がひしゃげてかなり傾いたっ!でもまだ浅い!
「そこの人、早く逃げて!」
「は、はいっ!」
ふわふわと瓦礫を浮かせて逃げようと――あれが彼女の個性かな。なら、僕はできることを! 狙うは関節とか、脆そうな部分! 左手で装甲に指を突き入れて掴んで、右手で……
「30%……ラアアアアアアアアアッシュ!」
連打っ! この大きさだ、四肢の一本でも壊せば、動けなくなるっ!
「なっ……」 「うわ、凄い……」 「ヤベえぞあのパワー……」
ゴゴゴゴゴゴと大きな音を立てて崩れていくお邪魔ギミックから離れると、さっきの女の子のところへ。
「えっと、大丈夫ですか?」
「は、はいっ! あ、ありがとうございます!」
「うん、無事だったら良かった……」
「終了~!」
「あっ、丁度終わったみたい」
服はボロボロになっちゃったけど、何とかポイントは稼ぐことができた。後は結果を待つだけと。その前にお礼が言いたくて、ブーツを作ってくれた人を探してお礼を言っておこう。特徴的な見た目をしていたからちらっと見えれば……と。
ジャンプして無事な建物の上に着地してと、あ、居た!
側に降りると、びっくりした顔をされた。
「あっ、貴方は……」
「どうも、ブーツありがとうございました! お陰で試験終了時まで足が無事で居られました」
い、いざ女の人と面と向かって話すのは恥ずかしいけど、ちゃんとお礼は言わなきゃ。顔が赤くなるけど、我慢我慢……。
「いえ、お役に立てたなら何よりです。もしお互い合格していたら、よろしくおねがいしますわね」
「はい、こちらこそ!」
え、えーと、もしみんなが受かってたらだけど、これで更に知り合いの人が増えたかな?
そして一週間後。
筆記試験は自己採点の結果合格ラインは楽々超えていた。そしてポイントも自分で数えたら大体84ポイント位で、多分合格域だろう。そう話したら、母さんは心配してないのか何時もと同じくゆったりした表情だ。
「あっ、出久、雄英から手紙来てるわよ~」
「ほんと!?」
大丈夫だと思うけど、ドキドキするのは仕方ないし、部屋で早速開けると、オールマイトの姿がっ!?
『私が投影された!!!』
「オールマイト!!?」
雄英からの手紙だよね!?
『諸々、手続きに時間がかかって連絡が取れなくてね いやすまない!! 実は、来年度から雄英で教師をすることになってね!』
ええっ、雄英で教師!? だ、大丈夫かなオールマイト……。
『おおっと、心配そうな表情とかは止めてくれよ少年! そして結果だが、撃破ポイント86ポイント、レスキューポイント84ポイントで、ぶっちぎりの一位! 主席合格さ!」
「やった、やったあああああああっ!」
「う、受かったのかい、出久!?」
「うん、受かったよ! 主席合格だって!」
「ほ、本当に!? 良かったわね、出久……」
部屋で思わず叫ぶと、部屋の外から母さんが声をかけてきた! 本当に受かったんだ!
『来いよ、緑谷少年!』
『雄英が君のヒーローアカデミアだ!』
「っっはい!!!」
一時期は諦めていた夢。でも、それが今は現実になった。これから、始まるんだ! 僕の夢の高校生活が!
Q:どうして八百万が一般入試に?
A:イサナが推薦で入ったから弾かれて一般入試に来たと思います