授業開始日も波乱の一日だったけど、ヒーロー科の科目は凄く面白かったし、特訓も楽しかったし、母さんに心配されるくらい家に帰るのが遅くなったけど、同じ立場の人たちが集まる雄英の生活は、凄くワクワクする!
それから数日、日に日に特訓への参加メンバーが増えたり(飯田君からは「どうして誘ってくれなかったんだ!?」って言われちゃったし。瀬呂君や上鳴君からは「がっぽいイベント良いじゃん!俺たちもやらしてくれよ!」って参加してくれたし。峰田君の「いいところ見せて女子の好感度ゲット!させてくれよ!」は動機はともかく、訓練するのは良いことだし)、最初は僕が学級委員長に選ばれたんだけど、その後の対処で飯田君が満場一致で委員長に選ばれたり、もう1ヶ月は学校に通ったんじゃないかってくらい濃いイベントが目白押しだった。
そして、今日のヒーロー科の訓練は……
「災害水難なんでもござれ。人命救助訓練だ!!」
それを聞いて、ざわつくみんな。これも、雄英の中にある施設で行われる。学校の中なのにバスで移動しなきゃならないなんて、本当にこの学校は広いや。飯田君の熱血委員長ぶりがちょっと空回りしちゃったけど、みんなでバスの中へ。
ちょっとした待ち時間、そんな時はやっぱりみんなが何かしら話をしちゃうもので、早速蛙吹さんが話しかけてきた。
「私思ったことを何でも言っちゃうの緑谷ちゃん」
「ん? 何? 蛙吹さん?」 「梅雨ちゃんと呼んで」
急にどうしたんだろう?
「あなたの"個性"、オールマイトに似てる」
うわわわわっ!?
「そそそそ、そうかな!? いや、でも僕はそのえー」
「そうだな、すげーパワーとコントロール、超オールマイトっぽい!」 と上鳴君が
「でも、スタイルは全然違うよな。オールマイトは身体一つで戦うけど、緑谷はガジェット使いまくりだぜ」と、冷静に見ていた瀬呂君が
「俺もパワータイプだけど、あれは参考になるわ……」と砂藤君。
良かった、オールマイトとの関連性から話題が移ったみたい……。
「しかし、派手さで言ったら夜嵐と轟がスゲーよな。風と氷、すっげー派手で強い。プロに行っても人気が出そうだ」
「……ウッス! ありがとうッス!」 「……そうか?」
あれ、夜嵐君、やっぱり轟君の話題が出るとちょっと顔が曇る……。
「みんな人気が出そうね、ケロケロ」
でも、そんなちょっとした違和感もすぐに流されて。
「賑やかな会話ですわね」
「こういうの好きだ私」
八百万さんはニコニコと、麗日さんはあははと笑っていた。うん、この空気、好きだ!
そして着いたのが、ウソの災害や事故ルーム、通称USJ! 何処かに怒られそうな名前だけど、その規模がものすごい!
スペースヒーロー13号の監修で作られたこの災害ルームは、あらゆる事故や災害の状況が詰まっていて、見ただけでワクワク感と怖さの2つが襲ってくる。
「私の力は簡単に人を殺せます。皆の中にもそういう"個性"がいるでしょう。ですが、私の力も皆さんの力も有効に使えば、人を救うことが出来ます。この授業では……心機一転! 人命のために"個性"をどう活用するかを学んでいきましょう! 君たちの力は人を傷つけるために有るのではない。救ける為に有るのだと心得て帰ってくださいな!」
そして、13号の訓示。僕たちに心構えを説いてくれて、すごくカッコイイ!
でも、そんな授業が始まる前。昔感じたことが有る感情。これは……途方もない……悪意!
「ひとかたまりになって動くな! 13号!! 生徒を守れ!」
八百万さんの側に移動して……!トリモチ弾! 狙いは、ゴーグルやマスクを付けている奴!
「連撃……シュートッ!」
「うわっ!? ぐえっ!? な、何だっ!?」
『緑谷ぁ!?』
「こいつら、ヴィランだ!」
間違いだったら謝ればいい、でも、間違いじゃない! この禍々しさ、前に感じた奴より弱いけど、ヴィランだ!そして、トリモチを当てた奴はマスクを外したっ! 次、激辛玉っ! フルカウル、10%で指で弾いて……!
「ショット! ショット! ショット!」
「グワッ!?」 「ぎゃあああああああ!?」 「辛っ!?」 「いてえええええええええっ!?」
敵の目や口に、放り込むっ!
"ヴィラン"に真っ先に気がついたのは自分だ、と思ったが、イレイザーヘッドより先に動いた者が居た。緑谷出久である。階段下へと飛び下りる前に、イレイザーヘッドの横を幾つもの飛翔物が追い抜いていった。
緑谷の、ガジェットの数々である。昔、緑谷出久には"個性"がなかった。故に、"個性"以外の何かでヴィランに立ち向かうしか無かった。その一つが、"投擲"である。人類最古の武器であるこの手段を、緑谷は幼い頃から徹底的に磨いてきた。そして、個性を得た今、投げられる距離も重さも劇的に向上した。だが、今緑谷の投擲の正確さを支えているのは技術。10年以上、磨きに磨き抜いてきた努力の結晶そのものであった。
「勝手なことをするな!」と本来は言うべきであったが、その投擲の正確さにイレイザーヘッドは舌を巻く。
「何だよあいつ、学生なのにいきなりチートのお出ましかよ!野郎かよ!」
後ろに居た、ひときわ異形のマスクをしたヴィランが叫んだ。既に敵地であるというのに、子供のように癇癪を爆発させている。故に、緑谷の優先目標からやや遅れてしまったのだろう。
「八百万さん、トリモチ弾、補充できる!?」
「お任せ下さい!」
自分の持っている弾を投げ尽くした緑谷に、八百万がマトリョーシカを次々と補充する。ただ、その中身は人形ではない。トリモチだ。脆いマトリョーシカがヴィランの顔や足にぶつかると、その部分がくっつき動きが鈍る。そして――
「遅い」
動きが鈍ったヴィランは、イレイザーヘッドの敵ではなかった。格闘と捕縛布で、次々と戦闘不能になっていくヴィラン。だが、座して見ているだけの者だけでもなかった。
「厄介ですね。あなた方には、散ってもらいます」
突如緑谷、そしてクラスメイト達の前に現れた黒い霧。それは、それぞれを、各災害ゾーンの各地へと散らしていったのだ。
「っ!? ワープ個性!? しかも水難ゾーンっ!? しまった!?」
このスーツは、防弾防刃防爆の性能を備えているけど、その分重いっ!
「来た来た!!」
「(ヴィラン!)」
「おめーに恨みはないけど、サイナぎゃぼあっ!?」
とりあえず牙を砕きながらカウンターを仕掛けたけど、他にもヴィランが居るしどうするか……って
「緑谷ちゃん、こっちよ」
蛙吹さんの舌っ!?
「ありがとう蛙吹さん」
「梅雨ちゃんと呼んで。しかし大変なことになったわね」
船の上に峰田君と一緒に登ると、回りは水が得意そうなヴィランに囲まれていた。
「んのやろおおおおお!殺してやる!」
ヴィランは下だけど弾は無い……それじゃあ船の壁をフルカウルでむしり取って団子状にして……
「シュート!」「ぎゃっ!?」「ふぎゃっ!?」「ぎえっ!?」
とりあえず3人に当ててと。これでひとまず迂闊に水面には顔を出さないはず。
「み、緑谷ぁ……」 「顔に似合わず、凄い事するのね緑谷ちゃん」
あっ、峰田君からちょっと引かれてる……。でも、ちょっと安心したのか周りを見てふたりとも状況を把握している。
「た、大漁だぜ緑谷ぁ……ど、どうする?」
縋るように見てくる峰田君。
「大丈夫、いざとなったらどうにかするから」
それを笑って安心させる。ヒーローは、まず笑顔じゃないと。
「でも、ここを襲ったってことはオールマイトもどうにかする算段が有るって事よね。時間を稼いでどうにかなるかしら?」
と、蛙吹さんの冷静な考察だ。それを聞いて、また峰田君が顔を青くする。
「み、みみみ緑谷ぁ!? な、なんだよあいつ!?」
「落ち着いて峰田君。状況をちゃんと把握するのは大事なことだよ。それに、僕らに有利な面も有る」
「ゆ、有利な面?」
少しでもいい材料にすがろうと、僕の袖を握ってくる峰田君。安心させないと。
「ここは水難ゾーンなのに、蛙……梅雨ちゃんが飛ばされた。つまり、敵は僕たちの"個性" までは把握しきれてない。奇襲ができるはず。それに、コイツラ自体はそんなに強くないし」
「そうね。私の蹴りでもどうにかなったわ」
「うん、3人の個性をあわせてどうにかしよう。一網打尽にするには……」
と、僕と梅雨ちゃんの目が峰田君に向く。
「う、ううっ! わ、わかったよ! ただ、二人共ちゃんと助けてくれよ、な、な!」
「もちろんだよ!」 「ええ、協力して助かりましょう!」
「う、うわああああああああ!!!」
峰田君が、パニックを起こしたふりをして、そのもぎもぎを船の周りに投げまくる! 頭から血を流して辛そうだけど、その分沢山のもぎもぎが水に浮かんでる!
「"フルガントレット"装着!」
ここで、メリッサさんから貰ったフルガントレットを装着!
「くたばれええええええええっ!」
こっちも自棄っぽく演技をして!
「やっぱりガキだな」 「調子に乗ってやがる」
「70% デトロイトスマッシュ!」
水に、衝撃波を撃ち込むっ!
「う、うわわわっ!?」 「引きずり込まれるっ!?」
「いっけえええええええええ!」
そこにさらにもぎもぎがはいりこんで、梅雨ちゃんが僕と峰田君を持ち上げて。
「とりあえず、第一関門突破って感じね。すごいわ二人共」
3人無事で、水難ゾーン突破! そして、70%だしフルガントレットはまだ大丈夫そうだ。そして、多分……これからが本番だ!
主人公最強を際立たせるのって、やっぱり他からの視点や称賛が大事だなって思って三人称を入れてみました。他の人の一人称や、三人称は好評だったり望まれてるようだったらこれからもちょくちょくと入れてみようかな?
Q:どうしてデラウェアスマッシュじゃないの?
A:フルガントレットが有ったし、腕全体を使うことでダメージを分散させました