彼女ができなかったから、物語の女の子連れてきてハーレム作る 作:大賢者こんすけ
今回から新物語編スタートでございます。
では、お楽しみください。
行き遅れ姫は年下旦那の夢を見る
ザザーン……ザザーン……
微睡む意識の中でふと、耳が小波を捉える。
「ん………?砂……は……ま…?」
目を開けると、白い砂浜と青い海のコントラストが視界を埋める。
「何処だ…ここ?」
未だに回らない脳で記憶を辿る。
確か、家に帰って来て、シーナが作ってくれたグラタンを食べようとしたら……あっ!そうだ!あのときに宅配便が来て、出たらイテンだったんだ!!
それで、イテンが持っていた本の世界に来たってことで良いのかな……?
「ハハハッ………ここどこ?」
やばいわ、やばすぎてなんか笑いが込み上げてきたよ。俺、どこに転移するとか全く聞いてねぇからな?只単に本の世界に引きずり込まれただけだからな?
「海がモチーフの童話ってどんなのだっけ…?」
俺の記憶する限りでは、『人魚姫』、『かちかち山』あと、名前しか聞いたことが無いが『赤い蝋燭と人魚』ってのもあったはずだ。
「俺の知ってる童話だったら良いんだけど……」
どうすることもできないので、とりあえず砂浜を歩くことにした…
それからどれくらい歩いただろうか……いつまでも景色が変わらないからこの景色に飽きてきたなと思ったときに、目の前で……
「なんだこの娘っ子!襲っちまえ!」
「や、やめてくださいっ!!」
目の前で……これ、強姦か?なんかよくわからないが、男が4人が女の子(見た感じ、10歳くらい)を追いかけ回していた。
「そんなでっけぇ鎧なんて背負ってたら逃げられねぇぜぇ?」
「イヒヒッ!待てよぉ!」
追いかけられてる女の子は背中にでっかい甲羅?のようなものを背負っていた………いや、これ甲羅じゃね?ん?なに?あの娘カッパ?
俺が見ている目の前で男共は女の子を追いかけ回し、遂に女の子に手をかける。
「ほらぁ、捕まえたぞぉ!」
男の一人がニタァと下卑た笑みを顔に浮かべる。
「ッ!?や、やめてください………!」
「大丈夫だよぉ、すーぐ気持ちよくなるからねぇ?」
あれ……だよな?あれが今回の物語のイベントだよな…?特殊性癖AVの撮影とかじゃないよな?
周りを見回して、カメラとかが無いのを確認すると、とりあえず止めにかかる。
「おい、おっさん…?なにしてんの?」
声を聞いて、驚いたように男共が振り向く。
「あ?なんだよ、ガキはあっち行ってろ!」
あれ?これ、シーナの時にも聞いたぞ?
「何やってるのか聞いてるんだよ。完全に強姦してんだろ…」
男共は酒でも飲んでいたのか、顔が少し赤くなっていた。
「う、うるせぇー!!おいっ、とりあえずこいつを黙らせるぞ!」
うわぁ…多勢に無勢って知ってる?あんた達大の大人だろ?
しかし、戦うつもりなどこちら側にはまったくない。
「おっさん!あそこっ!!空から岩がっ!!」
何もない虚空の青空を指差す。
「あぁ?なにを……」
いきなりの一言だったのか、男共は指差す方向に顔を向ける。
(今だっ!!)
男共の気がそれているうちに、立ちすくんでいる女の子の手を引く。
「逃げるよっ!!」
「ッ!?は、はいっ!」
「なぁっ!?おいっ!てめぇらっ!!」
俺に騙されたのに気がついた男共は逃げ出した俺と女の子に気づき、追いかけてくる。
逃げてはいるものの、女の子はどんどん足取りが重くなって足の回転率も下がってきている。
「君っ!もうちょっと早く走れないっ?ってか、その甲羅なんなのっ?」
「ハァッ…ハァッ……む、無理です……この甲羅は我々
宙亀だかなんだか知らねぇけど、このままじゃ追いつかれちまう、くそっ!こうするしかないっ!
「ちょっと失礼っ!」
「ひゃっ!?なっ!?」
亀娘ちゃんを抱き上げた。いわゆるお姫様抱っこってやつだ。
ちょっと(甲羅が)重いが、持てないほどでもない。今更だが、俺は昔、剣道をやっていた。少しだがな……ん?なんで剣道かって?あぁ、それはかの有名な黒の剣士さんに憧れたからだ。…ってもすぐやめちまったけどな。だから、いまでも多少は素振りとかするから筋力はそれなりにあるのだ。(今更感ハンパないな)
「ちょっ///」
「ん?仕方ないだろ?逃げるにはこれしかないんだから」
「ッ!///」
なんでこの子照れてんの?いまはそんな状況じゃないでしょ……
気がつくと、諦めたのか男共は見えなくなっていた。
「ここまで来れば大丈夫かな……?」
海沿いの岩陰に隠れる。
「あ、あの……///」
「ん?」
あ、これ、告白とかされるやつだわ。この子ぜったいちょろインじゃん。
「………///」
「どうかしたの?」
ってことはこの子が今回の嫁なのだろうか……と考えていると、亀娘ちゃんは真っ赤な顔でこう言った
「乙姫様の旦那様になってください!!」
あるぇー?乙姫ー?どゆこと?
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜〜
遠い遠い
「んー、なんかこの人たちは好みじゃないのよね…」
「し、しかしっ!姫様はもうそろそろ旦那様を見つけなくてはいけません!」
「えー?だからって好きでもない男に抱かれろって言うの?」
「……そ、それは………」
姫だって好きで行き遅れているわけでは無いのだ。ただ、今まで自分のお眼鏡にかなう男が見つからなかっただけ………大事なことだからもう一度、男が見つからなかっただけなのだ。
「んー、どこかに草食系の年下男子とか居ないかなぁ…」
彼女は年下好きの28歳。しかし、彼女に近寄ってくる男は大体年上だった。
「あの時、浦島様を追い出さなければ……」
「えぇー、あのクソガキ、私のこと穴としか見てなかったんだもの」
この発言に従者は肩を落とす。
「んー、そろそろ地球に行ったそらちゃんが帰ってくる頃じゃないの?」
彼女は、浦島が現れてから6年経った今、同じシュチュエーションならどうなるのかと、地球に宙亀を送り出していたのだ。結果は知っての通りだろうが……
「ねぇ、従者?そらちゃんに連絡とれる?」
「連絡しますね……」
そう言って従者は懐からトランシーバーのようなものを取り出し、呼びかける
「おい、宙亀よ。聞こえるか?」
すると、トランシーバーから声が帰ってきた。
「は、はいっ、こちら宙亀ですっ。姫様のお眼鏡にかないそうな男を見つけましたっ!今からそちらに連れ帰りますっ!」
それを聞いた姫は、
「やった!よっし、今から精力剤調合しよ!」
と、その妖艶な風貌からとんでもない発言をし、また、従者を困らせるのであった。