物語を始めるにあたって、皆様に注意していただきたい事がございます。
————皆さま。
この度は当作『儚い夢想、ココロに届け』を読みに足を運んでいただいた事、感謝申し上げます。
こちらの作品は、作者とそのご友人によって書き起こすになってしまった、本来暫く——或いはいつまでも日の目をみることが無いはずだった、所謂ネタだけ、の作品にございました。
まあ、書き起こすと言った以上はやらなくてはならない、とは作者の言にございます。
さて。こちらの作品を読んでいただくにあたっての、今回はご注意、この作品のあらすじなどを皆さまにご説明いたします。
……え? 私、でございますか?
……そうですね。わかりやすく申すならば、
私は語り手、皆さまが読んでこられた作品の大半に倣っていうならば地の文。
ああ、そうだ。一番しっくり来るのならば、ナレーターなんていかがでしょうか。
そうですそうです、ドラマの明らかに作品から離れた神の目線、或いはバラエティ番組の天の声なんかです。
ああ、もちろん、お気になさらなくても俺は一切物語に干渉致すことはありません。
バラエティの天の声は出演者と話すことはあっても、私は会話はおろか少したりとも物語に影響は及ぼしません。
そもそも、私めがこれから皆さまにお話する物語は既に終わったお話でございます。
過去にあったお話を、リアルタイムにまで遡り、皆さまにお送りするまででございます。
……え、私の呼び方でございますか。
そうですね、私も一個人としてある以上、もしかしたら皆さまに名を呼んでいただくことがあるやもしれませんね。
そうですね……では、私のことは、バ烏、とでもお呼びください。
覚えていただかなくても結構。
今後、私は地の文になります故。
僕の事など気にせず、物語を楽しんでいただければ——それは、作者としても本望。
——さて、余計なお話が過ぎましたね。
まずはこの作品をお読みにいただくにあたって、皆さまに留意していただいて欲しい点が、幾つかございます。
まず、この作品は小説としては異質な立ち位置にございます。
地の文は登場人物の意識でもなく、或いは神の視点でもない。
このお話は実際起こった事であり、あればこそ、私が彼ら彼女らの思考を説明することはございません。
彼ら彼女らの考えは、皆さまが想い、想像することでそれが彼ら彼女らの考えとなります。
ちょっとワクワクする言い方に直しましょうか?
物語を作るのは——皆さま読者自身です。
同じシーン、台詞でも、もしかしたら皆さまの捉え方、心情の想像次第では全く毛色の違うシーンになりうるかもしれません。
私がご説明するのは状況まで。
そこから先にあるのは、皆さま自身の物語であります。
私どもが提供致しますのは、その物語の始まり、下地でございます。
皆さまもしたことはありませんか?
最終回を終えた物語を手に、その先その物語がどうなっていくのかなんて妄想を。
作者が書き起こさなかったところに何があったか——それを決めるのは貴方自身です。
願わくば、それが皆さまの望む展開であることを。
次に、この作品は、報われぬ恋の行方を綴った悲恋の物語であります。
引っ張る事など致しません、ここでハッキリ申し上げます。
この作品は、この作品の主人公、ヒロインの恋は一切叶うことはありません。
……もっとも、何をもって叶うというのかによりますが。
二人の心が通じ合ったというならば、それは叶ったになるでしょう。
では、二人がともに歩むことができたかというならばそれは否であります。
……そうですね、先程言ったばかりですし、皆さまにお任せするとしましょうか。恋は、叶ったのか否か。
私が申すことではありませんでした。
次に、この作品は、作者の書き起こす速さによっては、長い間更新ができない可能性があります。
ですので、長い間期間が空く可能性がありますが、ご了承ください。
注意事項はこの程度でしょうか。
——では。
物語の概要へと参りましょう。
これより皆さまにお見せ致しますのは、決して叶わぬ恋に落ち、決して叶わぬ夢を持ち、されどその恋を、夢を、追い続けた、一人の少年。何者よりも人の喜を望み、何者よりも世界の幸福を考え、果てにはそれを成し遂げた少女。その、儚き青春の一ページ。
皆さま、どうぞ物語の世界へ……。