儚い夢想、ココロに届け。   作:バ烏@(°∀。)ノウェ

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終演。
この物語を聴き遂げて頂いた皆様へ。


 

 ——是を持ちまして、この物語は終演と相成ります。

 長い間に渡りこの物語を聞き遂げていただいた皆様には尽きぬ感謝と敬愛の念を。

 

 なにぶんこういった、語り手というものを演るのは初めての事でしたので、聞き苦しいところも多分にあったかと思います。

 それでもやはり終えることができたのは皆さまがいたからこそ。

 重ねて感謝申し上げます。

 

 さて、この物語は終わりましたが彼女らの物語というものは勿論、ここで途切れる事なく続いていきます。

 弦巻こころは、奥沢美咲は、『ハロー、ハッピーワールド!』は、そして、少年は。

 それを一から十まで語るのもまた一興かとも思えますがやはり無粋なもの。

 この物語を始める前に話したように、それが如何様な話になったかというものは、皆さまが作り上げる物語に任せるとしましょう。

 

 ……ああ、ただ、蛇足にはなりますが、一つだけ。

 

 少年の住んでいた家は、それからしばらくして空き家になったそうです。

 

 ……もう話すこともありませんかね。

 名残惜しくはありますが、これにてこの物語もお終いといたしましょう。

 

 くどいようですが、改めましてここまで私の語りをお聞きいただきありがとうございました。

 これからの皆様の旅路に数多くの幸があらんことをお祈りしています。

 では。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 手に持っていた本を閉じ、息をつく。

 目の前にあった拡声器のスイッチが落ちたのを入念に確認し椅子に崩れ落ちた。

 

 ()()に来てから大して時間も経っておらず状況も飲み込めないままに、人型のモノに呼ばれて告げられた「とりあえずその口調を元の通りに直すように」という指示。

 状況説明の一つくらいはと思ったものの結局、流されるままにその本を朗読する練習を始めた。

 

 有難いことに、()()身体は空腹やら睡眠やらとは無縁なようで、没頭というには辺りに娯楽用のあれやこれやが転がっていたためにダラダラと練習して、幾日かが経つ。

 

 口調を直すのに、大した手間はかからなかった。

 もとから母は標準語で、父は関西弁だったものの父が死ぬまでは標準語で喋っていたから、少しおかしな口調が混じったものの一般的な言葉遣いに直せた……と思う。

 

 そんなこんなしていたある日、あの人型がまた前に現れた。

 なんでも「この物語の朗読劇を開こうと思っていて、君にはその語り部になってほしい」そうだ。

 

 そうして渡された本に目を通して、引き攣った笑いを浮かべる他なかった。

 きっとこの目の前の人型は酷く性格が歪んでいるのだろうと察する。

 

 それからは有難いことに、この性格が歪んだ人型の指導のもといっぱしの語り部になるように指導を押し付けられた。

 最後の練習では満足げに頷いていたから、どうやらお眼鏡に叶ったらしい。

 ……ただ、あの人型の指導中に性格がうつったのか少々胡散臭い語りようになってしまった気はするが。

 

 朗読劇も無事乗り切れた。

 このあとなにをしようか。

 あちらが干渉してこないから何か次の仕事があるわけでもないらしい。

 この仕事を任されたのも気紛れだったのだろう。

 

 と、そこで足音を聞き届けた。

 あの人型は音も無く現れる。

 これまでの何日かで誰かが通った事もない。

 

 じゃあ、誰が……と振り向いて、そこには目を見開く()()がいた。

 きっと己の顔も同じようなものだろう。

 

 ああ————ほんとうに、あの人型は性格が歪みきっているようだ。

 

 まずは何を話そうか。

 気まずくて仕方ない。

 

 取り急いでは…………謝罪、かな。

 傍からあれの酷さも眺められた事だし、まあ。

 

 

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