ガノンの奇妙な旅路   作:ぬぶぬぶ

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とおいとおい未来の世界で

彼は夢を持って歩き続ける


英傑達

目を開いたときにはこれが夢であることがわかった。

 

目の前には幼い時によく見た、封印されゆく哀れな自分の光景。

 

復活して封印、復活して封印、復活して封印と繰り返される夢の出来事をまた私はかつてのように見ていた。

 

もはや人としての体をなくし、怨念と化した自分自身をみて少し吐き気が沸いたものの、ただ私は夢に身をまかせていた。

そして今、また夢の中の自分が復活した。黒い瘴気をまき散らしながらハイラル城の頂上から出現する。

 

すると私の目の前は白い光で包まれた。

 

 

夢の中の私が激痛でうめく中、私は周りをよく見渡した。

 

 

一番最初に見えたのは大きな大きな象のような何かだった。視線を動かすと次に鳥、ラクダ、トカゲ。

 

そのどれもが白い光線を夢の中の私に当てている。

私は視線を地上へと移した。そこには先ほどの動物たちと同じようなカラクリじみた見た目をした多くの何かが夢の中の私に光線を当てている。

 

 

すると地表の一角で黄金に輝く光があふれた。

三つの三角形、トライフォースが空中に浮かぶ。

夢の中の私は大きな唸り声をあげてトライフォースの力に抵抗する。

呪詛と怨念でできた体は完全なるトライフォースの力によって悲鳴を上げる。弱まったところをさらに獣たちの光が貫く。

私は無残にも光の中へと飲み込まれていって消失した。

 

封印が成功したと知るや、城や城下町から盛大な祝福の声が響く。

 

私はトライフォースを持つ女とそばに立つ退魔の剣を持つ男が笑顔で喜び合うのを見て、ゆっくりと瞼を閉じる。

 

 

夢から覚めるときである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目が覚めたとき、私の目にはまぶしい太陽の光が入ってきた。

そのまぶしさに一瞬目がくらむ。

視界が回復してから私は周りの状況を確かめる。

古ぼけた家のベッドに私は眠っていたようだ。ふと太陽光が入ってきていた窓から外をのぞくと、自分の愛馬が見えた。あちらもこちらに気づいたようで、こちらへとゆっくり歩いてきた。

私は窓を開け、手を愛馬の頬へやりなでる。すると気持ちよさそうに愛馬は鳴いた。

 

ここはどこだろうか。

 

夢を見る前の光景を思い出す。

自分は時の神殿で何者かによって気絶させられたはずである。

体を確認しても特に目立った外傷もないことから何もされていないのだろう。

 

 

さてどうするべきか。

 

ベッドに腰かけながらそう考える。

体が拘束されていないことから、悪者につかまったということはないようだ。

とりあえずこの家の住人に会うことにしよう。

ベッドのそばに置いてあった靴を履き、立ち上がる。

 

そして部屋の扉を開けた。

 

「あっ...」 「....!」

 

部屋の外で一人のゾーラ族がいた。

その片手にはタオルが握られており、その様子から私の看病でもしていたのだろうかと考えた。

 

「わわわ...みんな~!彼が起きたよ~!」

 

そのゾーラは起きている私を見るやいなや、廊下を駆け抜けていった。

どうやら知人のもとへ行ったらしい。

置いてけぼりにされた私は苦笑しながらも走っていった彼女のあとをついていった。

 

彼女が入っていった大きな部屋に私も続いて入る。

 

「良かった!起きたのですね!」

 

一人のハイリア人の女が私の目の前へとやってくる。その奥にはこの女の仲間だろうか、色々な人種の人たちがいた。

 

「私を介抱していただき、感謝する」

 

「! はいっ!」

 

私の感謝の言葉に女は笑顔でうなずいた。

 

 

 

 

 

「なるほど...()()()()さんは国外からいらしたのですね。そして疲れから時の神殿の内部で倒れてしまったと」

 

 

そのあとしばらくして私は自分自身の自己紹介とここに来る経緯を話したのだが私はその一部を秘密にすることにした。

その一部とは私自身の本名や、時の神殿で何者かにどこかへと飛ばされたということ。

 

 

なぜ私が本名を秘密にしたのかは、女の仲間の内の剣士が持つある剣を見たからだ。

 

「さきほどから気になっていたのだが、そちらの剣士が持つその剣はもしや...」

 

「国外にも伝わっているのですね。そうです彼が持っている剣は退()()()()、かの厄災()()()を倒す重要なものです」

 

そうすると剣を持つ男が剣を抜き私に見せた。剣は青く光り輝いている。

「失礼だが君の名前を教えてくれないか?」

私は剣士にそう尋ねる。剣士はただリンクと呟いた。

 

厄災ガノンという言葉とマスターソードをもつリンクを名乗る男。これで私はここが私のいた世界から見て未来の世界なのだろうと気づいた。それもとおいとおい未来。

 

「そうすると君はかのゼルダ姫か?その名は国外にも伝わっている。厄災を封じこめる力があるとか」

私がそう尋ねると、彼女は顔を少し暗くした。

 

「はい...けど...いえなんでもありません」

「そんなことよりさぁ儀式はいつするんだい?僕はさっさと里に帰りたいんだけど」

 

少し悪くなった雰囲気を変えるかのようにリト族の男がそう言った。儀式とはなんだろうか。

 

「そっそうでした!今日中に時の神殿で行わなければ!」

 

少し焦った様子の彼女はふと気づいたかのように私を見た。

 

「ローガンさんも儀式を見ていきますか?何も面白くはないかもしれませんが..」

「いやせっかくだ。見せていただこう。」

「それなら早く行こうじゃないか、おひい様。」

「あっ!待ってくださいウルボザ!」

私と同じゲルド族のウルボザはゼルダを連れて部屋から出て行った。だが部屋から出た瞬間、私のほうをチラりと目で見ていた。

 

「フンッ」

 

リト族の男は不機嫌そうにリンクを横目で見ながら出て行った。

 

彼を見送っていると突然後ろから強烈な衝撃が襲った。

 

「ハッハッハ!元気そうで安心したぜ!最初見たときは死んでるんじゃねえかと焦ったからよ!あぁ俺っちの名前はダルケルだ!よろしくな!」

 

「よろしく頼む」

 

ゴロン族の男、ダルケルと名乗ったものは笑いながら部屋から出ていく。

 

その場に残ったリンクとおどおどとしたゾーラ族の女、聞いたところ名はミファーというらしい。

残った私たちは先に行った彼らを早足で追った。

 

 

この世界での時の神殿は私がもとにいた世界のそれとは違い少し古臭い雰囲気を出していた。

神殿は少し小高い丘の途中に建てられており、遠くにはハイラルの城下町が見える。

どうやら長い時を経て、時の神殿はその場所を移したらしい。なかなか感慨深いものがある。

 

「ローガンさん!こちらです!」

「あぁわかった」

 

神殿の内部に入った私は最前の椅子に座る。どうやら儀式とやらを始まるらしい。

 

ゼルダ姫を前にリンクが膝をつき、その後ろで他の4人が同じポーズをとる。

彼らの儀式を聴きながら私はこれからどうするかを考える。

 

なぜ私がこの世界に飛ばされたのか

 

元居た世界での最後の光景。私の前にいたあの女は誰なのか。私を未来に飛ばすような力の持ち主だとしたら、あの女は賢者なのか。それとももっと高位の何者なのか。

 

いずれにしてもあの女は私に何かをさせるためにこの世界に送ったのだろう。

まあだいたいの予想はつくが。

 

私はチラリと遠くにあるハイラル城を窓から見る。

 

感じる。あの城の地下深くから。

 

どうしようもなく野望に狂った『俺』の気配を。

 

「ローガンさん?」

 

ふと声をかけられたので前を向く。そこにはゼルダがいた。どうやら儀式は終わったようだ。

 

 

 

 

「ローガンさんはこれからどうするのですか?」

 

儀式を終え、それぞれが片付けをしてる中ゼルダは私にそう尋ねた。

 

「とりあえずは王都に向かう予定だ。そこで調べものをしたい」

 

「何を調べるんだい?」

 

ゼルダの後ろから話の内容が気になったゲルド族の女ウルボザが聞く。

 

「私の故郷は植物が生えぬ厳しい砂漠地帯でな。それを緑地化するための技術を探している」

「へぇ...なかなか立派なことじゃないかい」

 

ウルボザはそれに満足したのか帰りの準備に戻った。

 

「それなら私たちと一緒に王都に来ますか?これから王都に戻る予定なんです。それに道中には魔物もいますし」

「なるほど。ではお言葉に甘えるとしよう」

「はい!わかりました!」

 

ゼルダ姫は笑顔で答えた。

 

 

 

「では王都に戻りましょう!」

 

どうやらここで解散となり、王都に戻る者たちと自分たちの里に戻るものとで別れるようだ。

 

ウルボザとリト族のリーバルは既に里の方向へと帰り、ミファーとダルケルは王都への途中で別れるらしい。

 

私も自らの愛馬のコクオウに乗る。

 

「心配をかけたなコクオウ」

 

コクオウの背中をなでるとコクオウは返事をするかのように元気に鳴き返した。

 

「あ、改めて見るとローガンさんの馬すごい大きいですね...」

 

「こいつは特別でな。かつてとある群れの長だったこいつを私が手懐けたのだ」

 

砂漠という極限の環境下で育ち、群れを率いていたこいつを手懐けるのにはとても苦労したものだ。

 

 

 

 

馬に乗って移動していると目の前に突如断崖絶壁が現れた。

 

「これは...」

 

一瞬ただの崖かと思ったが違う、崖を作っていたのは何かの城壁だ。

 

「すごい壁ですよね。今私たちがいる場所は始まりの大地と呼ばれているんです。けれどどうして始まりの大地と呼ぶのか。誰が何を目的としてこの壁を作ったのかはわからないんです。不思議ですね」

 

時の神殿の位置からして、何かから神殿を守るために築いたのだろうか。その目的もいつかは分かる日が来るのだろうか。

 

「ここからは降りることができないので、遠回りする必要があるんです。こちらです」

 

私は壁を尻目にあとに続く。やはりここは遠い遠い未来の世界なのだろうと考えながら。

 

 

始まりの大地から降りるために通る道は結構な斜面であった。馬に乗りなれていないのであろうミファーは慣れた様子のリンクの馬に乗っている。ゼルダのほうも馬使いになれているのだろう。確かな手つきで馬を乗りこなしていた。ダルケルはゴロン族特有の体を使って転がって猛スピードで降りて行った。

 

コクオウもこれくらいなら苦ではないのか余裕を保ちながら降りていく。

 

数十分ほどで下に降りると目の前には森林が広がっていた。しかしきちんと整備がされいているのだろう。なだらかな道路が森の間に続いていた。

 

「ハイラル王都はこっちの道です」

 

先行するリンクが乗る馬に続く。生い茂る葉から木漏れ日が顔にさす。あたりに聞こえる小鳥のさえずり。なんとも素晴らしく感じる。いつかは私の故郷もこのような美しい森にしたいものだ。

 

そのまま馬にのり平坦な道中を数時間かけて移動した。ダルケルは途中の分かれ道で別れることになった。ダルケルが歩いて行った道の先には大きな火山があり、あそこが彼の帰る場所なのだろうと察した。

 

日が傾き、夕暮れになってきたころ、ゼルダがここでキャンプをしようと提案した。

リンクと私は森の中から焚火の材料となる木の棒を集め、ゼルダ達にはキャンプの準備をしてもらうことにした。集めた木の棒に火をつけ、リンクは馬につけていた小さな鍋を火に炙る。どうやらスープを作るらしい。4人とも火のまわりに座り食事をとっていた。

 

「そういえば昼間道の途中で大きな鳥のようなものを遠目で飛んでいるのを発見したのだが、あれはいったいどういうものなのだろうか」

 

ふと気になって尋ねたのは、夢で見た鳥のようなものとよく似た姿をしていたもの。それが遠く離れた場所で飛んでいるのだ。

 

「あぁそれは神獣のひとつの風の神獣ヴァ・メドーですね」

 

「神獣?」

 

聞いたことのない言葉だ。

 

そのゼルダに教えてもらうと、神獣とは約1万年前に厄災ガノンに備えて、当時のシーカー族の技術を結集して建造した巨大な機械兵器らしく、時を同じくして造られた大量のガーディアンという機械と共にガノンを抑え込み、厄災封印に大きく貢献したという。

 

そして今、厄災復活の予言から過去のこれらを掘り起こし、昔にならって各種族の英傑たちに使役させているらしい。

 

リト族の英傑リーバルは風の神獣ヴァ・メドー

 

ゾーラ族の英傑ミファーは水の神獣ヴァ・ルッタ

 

ゴロン族の英傑ダルケルは炎の神獣ヴァ・ルーダニア

 

ゲルド族の英傑ウルボザは雷の神獣ヴァ・ナボリス

 

それぞれが神獣を操り来たる厄災ガノンの復活に備えているらしい。

 

そしてその英傑たちのリーダーとなっているのが退魔の剣に選ばれたリンクらしい。

 

目の前で楽しそうに過去の技術を語っているゼルダの話を聞きながら私は少し顔をゆがめた。

 

(はたしてくさっても私である厄災ガノンは二度同じ手札をそうやすやすと食らうだろうか?)

 

夢で見たあの光景は間違いなく約1万年前の厄災ガノンを封じた出来事であろう。あのときのガノンは復活した瞬間に神獣によって足止めされ、退魔の剣と完全なトライフォースにあっけなく封じられた。

 

だから私は考える。もし私が封印されてたとして復活したとき、目の前に前と同じ機械がいたらどうするかと。

 

だがここのガノンはもはや怨念と化している。そこに思考力があるのかどうかはわからない。もしかしたら前と同じようにすぐ倒せるかもしれない。

 

ここで考えても意味はないか

 

と結論づけた私はゼルダの話に耳を傾けた。

 

 

飯が終わり、ゼルダとミファーの二人は立てたテントの中で休ませ、私とリンクは外で休むことにした。

 

 

パチパチと音がなる火を眺める。

 

「そういえばリンク殿...ん?リンクでいい?わかった。じゃあリンク、少し話さないか?」

 

退魔の剣を手入れしているリンクにそう語り掛ける。彼は静かにうなずいた。

 

「君はどういった経緯でゼルダ姫に仕えることになったんだ?」

 

すると、彼は少しづつ喋りだした。

 

騎士の家系の息子として生まれ、幼いころから既に卓越した剣技で有名であったということ。

あるとき、城内でガーディアンと呼ばれる絡繰りの兵器が暴走し、リンクは咄嗟に落ちていた鍋の蓋でガーディアンが放ったビームを反射して暴走を沈めた一件がハイラル王の目に留まり、ゼルダ直属の近衛騎士に最年少で昇格したという。

 

「なるほど。すごいな君は」

 

そう感服すると、リンクは恥ずかしがるかのように頭の後ろを掻く。

 

「うむ?私の過去話も聞きたいだと?まぁいいだろう」

 

私は自分の過去を話した。ゲルド族の男としての義務。武芸に費やした努力の日々。王となるための勉強。

私がガノンであるという事実を避けて、私は語った。

 

「そして私はこのハイラルの地にやってきたというわけだ」

 

焚火が消えないように木を入れる。リンクは静かに私の話を聞いていた。

 

リンクは私に質問を投げる。

 

「周りからの期待でプレッシャーはなかったのかだと?...ははは!なるほど君が無口なのはそれが理由か!」

 

「!」

 

リンクは私の言葉に目を見開いて驚く。どうやら図星をつけたらしい。

 

「私は自慢ではないが人を見る目がある。君、本来は結構陽気な人だろう?」

 

私は夜空に煌めく星を眺める。

 

「自信をもてリンク。今まで君のような人を何十人も見てきたが、彼らは全員自分の務めを乗り越えていった。お前にもできるさ」

 

脳裏には夢で見た歴代の勇者たちを思い出す。彼らはたとえ負けたとしても、後世の勇者に希望を残していった。

 

リンクは少し笑う。彼もまた夜空を見上げる。

 

彼らが親し気に並ぶその光景は、本来ならありえないものだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日中にはハイラル王都につくと思います」

 

朝になって、ゼルダとミファーがテントの中から出てきた。朝の飯のパンを食べながら、ゼルダはそう呟く。

 

「なるほど。楽しみだな」

 

まずはやっぱり王都の図書館に行くことにしようか。それとも1万年前にガノン討伐に携わったというガーディアンでも観察してみるとしようか。

 

 

パンを食い終わったので、コクオウにリンゴを食べさせる。彼は味が気に入ったのかもっとよこせとその鼻で私に触れてくる。

 

「待て待て。飯は逃げん」

 

持っていたリンゴを差し出す。彼は嬉しそうにリンゴを食べていく。

 

「今日も頼むぞコクオウ」

 

彼はヒヒンと返事を返した。

 

 

 

ハイラル王都に近づくと、目の前には広大な草原が広がった。ハイラル平原だ。

遠くには野生の馬が元気に走り回っている。

 

風が吹く。草原の草木はその緑の葉を軽やかに揺らしている。

 

「良い天気だな」

 

右手を顔に当て、太陽光を遮る。空は雲一つないほど澄み切っていた。

気温も暑くもなく寒くもなく、ちょうど良いほどだった。

 

ふと視界に何か奇妙なものが動いているのが見える。

その傍には数人がじっくりと奇妙なものを観察している。

 

「あれは...?」

「あれはガーディアンですね。おそらく実験でもしているのでしょう」

「ほうあれが」

 

タコのような見た目をしており、その脚は6本ついている。その頭部が周囲を観測しているかのように回っている。

 

「なかなか面白いものだな」

 

馬を止め、ガーディアンを眺める。少し先でゼルダとリンクも馬を止める。

 

あの兵器が一万年前に私を封印したのか。確かにいくら私でもあれが数十体きたら敵わないだろう。

 

そのまま観察していると、ガーディアンの目とこちらの視線がかみ合う。

ガーディアンは私をじっくり観察したあと、いきなりこちら側に猛スピードで近寄ってくる。その後ろでは研究者たちが叫びながら走って追いかけている。

 

 

「なんだかまずい雰囲気だが」

「まさか暴走?!ローガンさん逃げてください!」

 

私から少し離れた場所にいたゼルダが叫ぶ。その傍にいたリンクは事態を察したのか私のほうへと走ってくる。

 

ガーディアンの目から赤い光線が飛び出る。その赤い光線は私の胸にあたっている。

 

「まずいです!砲撃がきます!」

「ほう。攻撃手段は光線か」

 

目の前まで来たガーディアンはピピピと音をならし、その標準を私に合わせる。

ゼルダのほうからリンクが盾を手にして走ってくるが、こいつの攻撃には間に合わないだろう。

 

そしてガーディアンの目から白いビームが放たれる。その光は一直線に私を目掛けて駆ける。

だが

 

「甘いわ!」

 

腕に魔力を流し、硬化する。そして迫るビームに腕を振る。

 

パキィンと音をならし、ビームはガーディアンに向けて跳ね返る。そのビームは来た道をそのまま巻き戻しているかのようにガーディアンの目へと走る。

 

そして爆発音を響かせるとともにガーディアンは黒い煙をあげてその場で倒れる。

 

「まさかとは思っていたが、やはり私を狙ってくるか」

 

数十体いれば不味い状況となるだろうが、一体だけなら冷や汗もかかない。

だがこれはハイラル王都でも慎重に行動せねばならんな。

 

「!」

 

「ん?あぁリンクか。大丈夫だ怪我はない」

 

近寄ってきたリンクが私の腕を心配する。

 

「だ、大丈夫ですか!?」

 

ゼルダもまた私のほうへと急いで駆けよる。私はそれに手で無事を示す。

 

「まさかガーディアンが暴走するなんて...これは実戦で同士討ちの危険性が」

「いや、気にしなくてもいいだろう。これは不慮の事故だ。実戦ではそうあるまい」

 

何せこのガーディアンは私のガノンとしての気配を感じ取って攻撃をしてきたのだろうから。

本番では同士討ちの可能性は低いだろう。

 

そのあとは必死に謝る研究者を落ち着かせて、私たちは目前のハイラル王都へと向かうことにした。

 

 

さて、どうなることやらこの旅路は。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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