僕と彼女と短編集   作:鱸のポワレ

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違う雰囲気で書いて見ました。


Gとアタシと大戦争

とある日の木下家の話

 

アタシは、木下優子は今日という日を有意義に過ごすと決めていた。今日はせっかくの祝日で秀吉もいないし一人で小説でも読もうかと思ったのに、思ったのに、

「思ったのにぃーー!!」

 

アタシの最大の敵が部屋に潜んでいたのだ。そいつの名はG。抜群の生命力と抜群の気持ち悪さを誇る、アタシの点滴だ。いつもは、秀吉に任せるけど生憎いないし。くそ!アタシがやるしかない。

 

「ゴキブリどこよ、出てきなさい」

 

丸めた新聞紙と殺虫剤という最強の武器を装備して立ち向かう。しかし、奴はなかなか現れない。

 

「ゴキちゃーん。出ておいで」

 

シーンという効果音が付きそうなぐらい静かだ。奴は、まだ出てこない。せっかく優しく言ってあけたのに。

 

「くそ、どこにいるのよ」

 

出てこないなら、もう諦めようと思った矢先にカサカサと音が聞こえた。タンスの裏だ!

殺虫剤はプシューと爽快な音を立てる。それとほぼ同時に、ゴキブリがこちらに飛んできた。

 

「ギャァァアアア」

 

ゴキブリは、してやったりと言わんばかりにカサコソと動き回り、またどこかに消えてしまった。

 

「もう!なんなのよ一体。こうなったら絶対に捕まえてやるわ」

 

アタシは、復習に燃えもう一度ゴキブリを探し始めることにした。

ゴキブリがいそうな場所ランキング1位は、ベットの下よ(優子調べ)。

殺虫剤をベットの裏にぶちまける。さっきのように、音がどうとか考えてる余裕はもうなかった。

 

「くそ、ここじゃないの」

 

少し休もうとした時、不意に後ろから音が聞こえてくる。

 

「そっちね」

 

勢いよく後ろを見ても奴の姿はない。

 

「どこ行ったのよーー!!」

 

またどこかに奴は消えて行った。なら今度は、ゴキブリがいそうな場所ランキング2位の勉強机の裏(優子調べ)を探すまでよ。

机の裏を除くとそこには、黒い影がカサコソと動いていた。

 

「確保ー!」

 

ノンストップで丸めた新聞紙で叩き潰す。

やったか?

そう思い油断をした隙に奴は、再びこちらに飛んできた。

 

「ギャァァアアア」

 

椅子に足を引っ掛けて倒れるアタシ………

木下優子、ゴキブリに敗北。

 

 

「帰ったのじゃ、姉上」

「…ああ、お帰り」

「どうしたのじゃ、そのテンション」

「…ゴキブリに負けたのよ」

 

秀吉は、やれやれとでも言いたげにため息を付く。

ムカつく…

 

「姉上は虫が嫌いじゃからな。どれ、わしが退治しよう」

「アタシの部屋の中にいるわ」

「うむ」

 

秀吉は、アタシの部屋に入ってからものの数分で戻ってきた。

 

「捕まえたのじゃ」

「え!?早くない」

「うむ。なぜかおとなしかったのじゃ」

 

あいつ、アタシ相手に暴れたくせに、秀吉相手には大人しくしやがって。

 

「ちょ!?姉上?なんでわしは関節技を決められてるのじゃ⁉︎」

「ムカつくからよ!!」

「理不尽じゃああああ!!」

 

こうしてアタシの休日はぶち壊しになった。

 




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