僕のヒーローアカデミア 〜One's just awakening〜   作:ノボル0624

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とりあえず予定通り投稿できてよかったです。
オリキャラほとんど紹介。ただし個性は未登場です。


己の力は何のためにあるのか。

あの日以降、女子に妙なくらいにまで付きまとわれている。

あの日とは雄英の入試のことだ。そして女子とは巨大ヴィランを前に共闘した極彩色の彼女だ。

「イロハ、そんなに付纏わんとってくれる?コッチも一人暮らしやから受け入れられてるだけやねんで?」

「別に私はいーけどね」

彼女の名は蝶彩羽。身長160センチを少し下回るほど。まあ日本人としては少し小柄なレベルであり、世界的に見てもあまり変わらない。なのだが絵面が非常にマズイのだ。

身長差およそ70センチ。下手をしなくても子供と大人くらいの身長差がある。それ故に彼女じゃなくても女性と同じ場所にいるだけでいかにもな犯罪臭がしてしまう。

ことの始まりは三月上旬。引越しもひと段落つき、バイトの面接も終えた頃合い。隣の空き部屋に一人の新たな住人が越してきた。三月や四月というのは元々そういう時期だ。隣に新たな住人が越してくるなどよくある話である。

そう、例えば同じ高校の入試を受けて、同じ高校に入ることになった、までなら分かる。何せ取った部屋は学校から徒歩五分圏内であり、同じ高校に通う先輩なんかも多いアパートだったからだ。

「隣に越して来ました、蝶彩羽です!」

だが同じ試験会場で共に行動をした、とまでなると流石に珍しい部類ではないだろうか。

極彩色の羽こそ服の中に隠れていたが、その顔を忘れることはない。名前こそ知らないが彼女は命の恩人である。今日五体満足で居られるのも彼女の存在があったおかげだ。

とはいえ、家主の俺を差し置いて家で寛がれるのはさすがにシャクである。それも二週間毎日欠かすことなく続けば尚更。

「そもそも考えろよ?男一人暮らしの部屋に行くってのは何されても文句言えへんからな?俺みたいなゴツいのやったら尚更や」

「でも、フランクくんだし」

「それや。俺はお前と会うたことあったっけ?」

この前の入試でもイロハは俺の名を呼んでいた。だがあの後どれだけ思い出そうとしてもイロハに関する記憶はない。

「せやったらすまん。ここ一年より昔の記憶がほとんどないねん」

そんな折だった。部屋のチャイムが来客を知らせる。

「誰やろ」

そう呟きながらジェスチャーでリビングにいるようにして、背中をネズミのように丸めて覗き穴から覗く。

デトロイト時代の癖だ。犯罪都市とすら呼ばれたデトロイトにおいて、これは常識だ。最低限の備えと警戒がなければ、あの街で犯罪に巻き込まれる確率は道端の糞を踏むよりも高い。その時の気分が未だに抜け切れず、つい訪れた人の様子を伺ってしまう。

扉を開くと見覚えのある桜色の髪が目に付いた。とりあえず無害だと思い、身長の割に低いドア枠に頭をぶつけないよう身を屈めながらドアを開ける。

「と、隣に越して来ましたっ、狼成(かみなり)月華(げっか)と申します!」

深いお辞儀と共に噛み噛みの挨拶が繰り出される。こちらが面食らっている間に目が合うと、今度は彼女の方が硬直する。

「君は確か、入試の時……」

「あっ、あっ……あぅ」

どうやら想定外の出来事だったようで、赤かった顔をさらに赤くしながらワタワタと忙しなく手だけを動かす。

「その様子を見ると大丈夫そうやな。隣ってあそこ?」

「は、はひっ!助けていただき、ありがとうございました!」

バサッと再び勢いよく頭をさげる。

「当然やろ、ヒーローとして。ゲッカちゃんもここにいるってことはヒーロー科合格できたんやろか」

「い、いえ。やっぱり不合格でした……。けど、普通科にも志願していたので、そちらに……」

無神経なことを言った、と軽く後悔をする。そうだった。雄英高校はヒーロー科だけではない。サポート科、経済科、そして普通科。それら全てを合わせると十クラス近くにもなるマンモス校だ。むしろヒーロー科とは定員数四十の狭き門であり、希少な部類に入るのだと。

「あ、ごめん。そんなつもりはなかったんや」

「いや、いいよ別に。私なんて気絶しただけだし。えーと……」

「ああ、俺はフランシス・バラナス。フランクでいいよ」

「フランクくん。よろしくね」

はにかむように浮かべた笑みと差し伸べられた手を握る。

「月華?大丈夫?」

ひょっこりと隣の部屋からピンク髪の少女が顔を出す。どちらとも見分けがつかないくらいによく似ていたから、きっと一卵性の双子なのだろう。

とはいえその目は伏し目がちな妹とは違い、初対面でも臆面なくこちらの目を力強く見続ける。それだけで、この双子は対照的なのだというのが理解できた。

「お姉ちゃん?」

「は、はい」

「あの。ウチのゲッカが何か?」

扉からスリッパのまま、ラフな服装も気にせず飛び出してくる。その目は射抜くほどに強く、男でも気圧されそうなほどだ。

「違うの、お姉ちゃん。この人、入試で私を助けてくれた人」

誤解を解くように両手を振って彼女が弁護してくれる。

「あ、そうなの?」

途端、彼女の声が先ほどまでのトゲトゲしさは鳴りを潜めて、表情も穏やかなものになる。

「ごめんなさいね。ウチのゲッカ、そんなに長話するような子でもないから、変に絡まれてるんじゃないかって」

「いやいや、気にしてへんよ。誰だって俺みたいなやつ見かけたら警戒するもんやししゃーないて」

「そんなこと……あるか」

少しの間の後、あっけらかんと肯定を言い放つ。

「もー、お姉ちゃん。失礼だよ!」

「冗談冗談。私は狼成(かみなり)陽華(はるか)。ヒーロー科一年生。クラスで同じになったらよろしくね」

彼女はヒーロー科と言った。その時、少しだけゲッカの表情が曇ったのがどことなく印象的だった。

「ああ、よろしく」

「それじゃ、失礼します」

「以後よろしくねー」

そう言って双子は隣の部屋へと引っ込んでいく。

「なんか楽しそうな感じだったけど」

「お前も自分の部屋に戻ってくれや」

そう言うと、イロハはイタズラな笑みを浮かべたかと思うと、他人の家へと引っ込んでいった。

「あっおい!」

 

ーー

 

「……んで、今日も日が暮れてきたな」

シミジミと一言呟く。今日は四月七日。ちょうどこの部屋へ越してきて一ヶ月ほど。時刻は十九時をわずかに超える程度。

「そうだね」

「お前はいつまでおるねん」

やる気なさげな返しに爪先でソファを小突く。

部屋の家主でもないのにソファを占拠する不埒者がそこにいた。

「わわっ、ちょ、扱い雑じゃない?」

「雑になるやろ。何日おんねん」

結局彼女が部屋に来ない日はなかった。自分の部屋がないとかそう言うわけじゃないのに、だ。

「そら、もう自分の部屋戻って寝ろ。俺は出かけなあかんねん」

「どうして?」

「バイトやバイト」

「また?」

信じられないものを見るように大きく目を開ける。

「休みやからな。集中的にバイト入れさせてもろてるんや」

「どこで働いてるの?」

「居酒屋や。ママの知り合いに頼み込んで働かせてもろてる」

「ママァ?!」

再び目が大きく開かれる。

しかし次の瞬間には面白いオモチャを見つけた子供のようなニヤニヤ顔になってこちらを見つめてきた。

「なんや。俺がママ言うたらおかしいんか」

「べっつにぃ?」

言葉ではそう言うが、確かにおかしいと顔が言っている。

「言うとくけどな。欧米式やとこれがスタンダードやねんぞ。ママとかマムとか。そういうのバカにする風潮ホンマに良くないと思うねん」

「いやいや、バカにしてるんじゃないよ?ただ可愛い呼び方してるなぁって」

この腹立たしいまでに馴れ馴れしい彼女の距離感は一体なんなのだろうか。

「そんなんはどうでもええねん。ええからはよ出てや」

「はいはーい」

気のない返事を聞きつつ、不思議と俺の予定自体は邪魔しない。

彼女の目的がイマイチ分からないのだ。部屋にいる時も特に話しかけてくるでもなく、ただ居座るだけ。

まあ、害があるとかそう言うわけじゃない。光熱費くらいだがまあそのくらいはまだ大目に見てやれる範囲だ。

「あ、やべ。遅れてまう」

時計を見ると十九時半を過ぎていた。大急ぎで支度し、自転車へと飛び乗る。

その様子をベランダからイロハが見下ろしていた。

 

ーー

 

「今日、ホンマに大丈夫なん?」

客がすでに減りつつある午前一時。集団を過ぎた頃合いから客足というのは途絶え始める。とはいえ、そのしばらく後くらいまではどんちゃん騒ぎをする輩もいるのだが。

その合間にできた時間にが話しかけてきた。

彼女は茶野(ちゃの)人見(ひとみ)。明るい茶髪を一本にまとめ、黒い眼鏡をかけた彼女は母の幼馴染で、今は女手一つで居酒屋を切り盛りしている肝っ玉女将でもある。

「何がっスか?」

「いや、クローズまで入ってくれる言うてるけど、明日から学校なんやろ?」

「明日は入学式なんで大丈夫っス」

皿を食洗機に突っ込みつつ返事をする。

「そんな高校時代から無理するもんとちゃうで。それも雄英のヒーロー科やろ?お金やったら工面したるし」

「気持ちはありがたいっスけど、こんくらいの逆境やったら跳ね返したるくらいの気持ちやないと」

「真面目やな。うっとこのオカンそっくりやわ」

思いがけない言葉に手を止める。

「あ……」

「気にせんでください。俺も神経質になりすぎなんスよ」

厨房に降り注ぐ重苦しい空気。どうにか払拭できないかと考えるが、結局増えるのは食洗機に突っ込まれていく皿だけ。

「串盛りぃ!」

「はいよー!」

店長が厨房の奥へと消えるまで、その沈黙は続いていた。

 

ーー

 

「そろそろ出る時間かなー……あ、ビンゴ」

ビルの一室。空きテナントであるはずの場所に少女が一人。双眼鏡で見下ろしながらニヤニヤしている。

「いっつもあの美人さんからご飯もらうんだよね」

双眼鏡の中では小さな居酒屋「うっとこ」の裏口。「うっとこ」とは辞書で調べると関西弁で「自分の家」らしい。

「定時連絡。ターゲットが勤務地から帰路に着いたみたい。入手したシフト表とのズレはなしっと」

ピロリン、とケータイから送信ボタンを押す。

「さ、私も帰って寝るかぁ」

はふ、と欠伸を噛み殺しながらビルから飛び降りる。設置する寸前、その翼を広げ、グライダーのように滑空して着地し、夜闇に紛れて消えて行った。

 

ーー

 

「ハァ、ハァ」

ただひたすらに全力で駆け抜ける。遅刻だ。遅刻をしてしまった。もちろん信号は待つし人にぶつからないように、進行を妨げないように注意する。

ヒーロー科に入ったのだから、デトロイトにいた時のような杜撰な行動はできない。ましてやここは日本だ。世界屈指を誇るヴィラン発生率が極めて低い国。よって小さな犯罪でも、明確に浮き彫りになってしまう。

やがてその校舎が見えてきた。Hをもじったような、特徴的なその校舎。全速力で校門をくぐり抜ける。日本トップクラスの高校、その校門をくぐったと言うのに感動の笑みすらも浮かばない。

あるのは焦燥感だ。

「初日で遅刻はマズすぎるやろ!」

滑り込むようにして教室へ入り、着席する。ちょうど学校のベルが鳴った時だった。

「フランシス・バラナス。初日から遅刻ギリギリとはいい度胸だな」

「すみませんでした!」

「あと、全員グラウンドδへ向かった。お前も急ぐように」

振り向くと席はガラガラだった。人っ子一人いない。

「あっ、そうですか」

乾いた声が実に日本人らしいイントネーションで放たれたのがどことなく印象的な朝だ。

「五分前行動はヒーロー以前に社会の基本だ。肝に銘じておくように」

「は、はい」

「じゃ、急いでね。ぼーっとしてる暇ないから」

男性の声は決して厳しいものではなかった。だと言うのに異様なまでに迫力があって、少し気圧されてしまう。

「はい、急いで。こんなところでもたついてる暇はないんだぜヒーロー志望」

「わ、分かりました!」

返事とほぼ同時に全力疾走。ヒーローとは即決即行動が鉄則だ。そう言いたいのだと判断して全力疾走で駆け抜ける。

ちなみに俺の遅刻はこの後イロハによって一ヶ月間はネタにされ続けた。




オリ主の個性ここまで登場なし。ここまで引っ張っといてアレですけど凄まじく地味な個性です。
ここでオリジナルヒロインのデータをば。ざっくりとした個性の説明もあります。
個性自体は一話に登場してますが、詳しい説明は一応次々回にでも説明するつもりです。

蝶彩羽
誕生日:7/30
出身:東京都(離島部)
身長:157センチ(お茶子より1センチ高い。けど髪質の関係上ストレートが強いのであまり差はない)
個性:鱗粉
羽根から様々な鱗粉を放つ。
鱗粉は毒だったり個性を阻害したりと様々な効果を持つ。簡易的だが治療行為も可能。
鱗粉がなくなると飛べなくなるため使いすぎには注意!

主人公くんは個性未使用だから先にこちらを紹介しました。
ちなみに次回はヒーロー基礎試験から書こうと思います。個性把握テストもあまり派手に動かせる気がしないのでパス、と言う形で。ごめんなさい。
ちなみにオリジナル組の成績はこんな感じ。
フランク→五位。飯田くんより下、常闇くんよりは上。
イロハ→十九位。耳郎ちゃんより下、葉隠さんよりは上。
イロハちゃんは身体能力こそ低いですが空を飛ぶと言うアドバンテージがあります。逆にフランクくんはパワー型。試験の時にもロボット殴り壊したりぶん投げたりしてましたね。
割と二人とも元ネタあり?
もし良ければ感想で当てっことかにでも挑戦してくれたら嬉しいです。どちらも名前とか個性とかにそれっぽさは出てますから秒で当てられそうですけど。
次回は雄英オリキャラで最後の(現状)キャラが登場となってます。
来週あたり更新できればな、と思ってます。
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