音楽室での不思議な同級生とのやりとりを。

Twitterのお題でちょいと書いてみました。
字数は完全にアウトだった……(;・∀・)

青春のいちページを目指して書いたのですが……
うーん……

pixivにも投稿しています。

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僕と君は不協和音

「こんな世界は嫌いです」

 

 音楽室。バイオリンでアリアを弾き終わった君は弓を静かに下ろし、そしてオレンジ色の西日が差し込む窓を眺めながら、ポツリとそうつぶやいた。

 

「……え、それ、どんな意味?」

「だって、相性のいいものとしか、一緒にいられないじゃないですか」

 

 真っ白な制服に身を包み、その澄んだ両目に太陽を宿す君は、僕の方を振り返ってニコリと微笑む。

 

 僕は君の発言の真意を読み解こうとしたけれど、それが僕にはさっぱり分からない。

 

 そんな僕の姿がおかしいのか、君は僕の姿を眺めてククッと喉を鳴らして笑った。肩を揺らす度に揺れる黒髪は西日をキラキラと反射して、それが僕の意識を誘う。

 

「ごめん。わかんない」

 

 そんな僕の精一杯の返事を聞いた君は、少し困ったように微笑みながら僕を見つめ、再び静かにバイオリンを構えた。そして弓を静かに弦に載せ、ゆっくりと弓を引く。

 

 途端に音楽室に鳴り響いたのは、二本の弦が織りなす不協和音。さっきまで美しい旋律を奏でていた人と同じ人が出しているとは思えない、ゴワゴワとした不快な和音だ。

 

 君は次第に、その弓を大きく、速く動かし始めた。比例して音量は大きくなり、騒音となって僕の耳に襲いかかる。

 

「やめて!」

 

 僕は自分の両耳を塞ぎ、君に止めるように促したけれど。

 

「どうして? 二つの音はこんなに楽しそうなのに?」

 

 君は止めるどころか、ますます弓を激しく動かし、室内に騒音を轟かせる。拒絶する僕とは対象的に、君は暫くの間、笑顔でその音を鳴らし続け、そして止めた。

 

「不快でしたか?」

「うるさかったよ……全然和音になってないし……」

「私には、とても楽しそうな口喧嘩に聞こえましたけど?」

「……」

「相性が良くなければ、一緒に鳴らしてはいけないんですか? ……なら、やはり私は、こんな世界は嫌いです」

 

 うんざりしていた僕に対し、君は静かにそう問いかけた。窓の外を眺める君の眼差しは、どこまでも遠くを見つめ、そしてまっすぐに前を見ている。

 

 ……相変わらず、君の考えは理解不能だ。何を言いたいのか分からない君の言葉に、僕の頭は混乱するばかり。

 

 でも。

 

「鳴らしちゃダメってわけじゃないけれど……」

「よかった。もしダメだったら、私と君は、一緒にいられませんから」

 

 そう言って、僕を振り返りククッといたずらっぽく笑う君は、どこか楽しそうで。

 

「……じゃあ、僕は、君とは相性が悪いの?」

 

 一方の僕は、『私とあなたは相性が悪い』と言われているようで不安だ。だからだろうか。僕の口は僕の意識を離れて、ついポロッと、そんな情けない言葉を吐いてしまった。

 

「……」

「……」

 

 オレンジ色の西日の中、バイオリンを手に静かに佇む君は、やがてそれを静かに下ろした。そして僕のそばまで歩いてくると、弓を持ったままの右手で、ゆっくりと僕の左手を握った。

 

「……今日は一緒に帰りませんか?」

 

 そう言って微笑む君の瞳は、西日に照らされ、キラキラと輝いているように見えた。でもその笑顔は僕の問いを、否定も肯定もしなかった。

 

終わり


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