「???」のヒーローアカデミア 作:アララギ持ったメイクイーン
ネオンがうるさく、ギラギラと光っている。酒に酔った人々の怒鳴り声や、嘔吐する音がどうしようもなく不愉快だ。そんな表通りと違い、一本、暗い路地に入ってしまえば、そこはナメクジのような陰湿さに満ちていた。社会から弾き出された、もしくは自ら脱却した不適合者達のハウス。人の営みに混ざれない、しかしその端に触れていたい、そんな彼らの。
いつもなら静かなのだか、今日は何やら少々雑音が混じる。布が無理矢理破かれる、殴られる、抵抗してもがく、押さえつける、音。
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。気持ち悪い、気色悪い、気味が悪い。自分にのしかかる存在が、不快でならない。触れるな、喋るな、撒き散らすな、垂らすな、見るな!
痛くて汚くて臭くて不快で、 下卑ている。
いつも、私を見る目は、なんでか気味が悪くて、気持が悪くて、意味がわからない視線が、私を捕らえて離さない。
あぁ、いやだ。とてもそれがいやだった。
視線ごと、目玉ごと、首ごと、半身ごと、そらして、まげて、曲げて、曲げてマげて曲げて曲ゲてまげテまげてマゲテ
「 」
雨が降ってきた。雑音が消えた。いつも通りに戻った。
のこされたのは1人と1つだけだ。
茫洋としたまま、彼女は今時珍しい折り畳み式携帯を手に取る。
「…もしもし、警察ですか?人を殺してしまいました。至急、こちらに来ていただけないでしょうか?」
あぁ、個性が、暴走したみたいです。
最後にそう付け加えると、電話の向こうから慌てる声が聞こえる。それを聞き流して電話を切った。あとは、まぁどうにかなるだろう。きっとヒーローが来てくれるはずだ。ヒーローなら、不可解なこの現象に…いや個性に対処してくれる。
しばらくするとパトカーのサイレンの音が聞こえて来た。車のドアを閉める音の後、いくつもの足音と話し声も聞こえて来た。自分からやや遠いところで立ち止まって、薄暗い路地がライトで照らされる。ざわめきが、大きくなった。
やがて、1つの足音がこちらに近付いてくる。そして、おそらく、目の前まで来てとまった。「これ、やったのはお前か」質問の形の確認だった。
「……。」
ひどく億劫だった。そうだ、の一言を発するのも辛い。目が熱い上に、目の前にいるらしいこの人を、そこの物のようにしてしまうかもしれないと思うと、怖くて目を開けられない。
「安心しろ…、お前の個性は発動しねえよ。」
本当に?
「本当だ。」
なら、と思い薄目を開く。ぼやけた視界に写る、こちらをじっと見つめるその人も、その後ろの排水管も、曲がることは無かった。
私の個性が発動しないのを確認すると、バサリ、と何かにくるまれて、そのまま運ばれる。毛布らしい。雨に奪われた体温が戻ってくる。ウトウトとして来て、いつの間にか眠っていた。
お読み頂きありがとうございました
続くかどうかは自分でもわかりませんが、よろしくお願いします